他人事ではない。新型コロナウィルスでリストラ多発?リストラ対象となりやすいのはこんな人

新型コロナウィルスの蔓延が世界経済に大きな打撃を与えることになりそうです。

すでに多くの企業の売上が大幅減、株価は暴落、為替や金利にも大きな影響を与えています。

株やFX(為替証拠金取引)をやってないし、商売やっているわけじゃないからから自分には関係ないという人も多いでしょうが、今回の話はそうとは言い切れません。

企業の業績が悪化すればリーマンショックのようにリストラやレイオフなどが大量に発生する可能性があるのです。

そうなれば生活の基盤である給料がなくなってしまいますから他人事ではありません。

少し前までは労働力不足が顕著で転職も容易でしたが、これからはそうもいかないでしょう。

一気に世界が変わってしまったんですね。

そこで今回はリーマンショック当時、管理部門の責任者としてリストラする人を決めていた私が「リストラとはなにか」、「リストラ対象はどう決められるのか」、「リストラ対象になりやすいのはどんな人なのか」、「リストラから守るためにやるべきこと」、「リストラされたら知っておきたいこと」について解説していきます。

リストラとはどういうものか

まずはリストラとはなにか。

また、すでに今回の新型コロナウィルスの影響で、アメリカで多く実施しているレイオフとどう違うのかという点についても解説しておきましょう。


リストラとは

リストラはリストラクチャリングの略で日本語で言えば再構築です。

リストラと言うと解雇の印象が強いですが、部署異動などの配置転換なども含みます。

損保ジャパンが全従業員の15%にあたる4000人をリストラ。

少し前に買収したグループ企業の介護部門に回すというリストラ策も話題になりましたね。

実は昨年くらいからAI(人工知能)やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)で多く事務作業を自動化出来るようになってホワイトカラーを中心としたリストラを実行するケースが増えてきています。

特に銀行などの金融機関が顕著でした。

そこに今回の新型コロナウィルスでの業績悪化ですからね・・・

労働者にとっては冬の時代が来たのかもしれません。

レイオフとは

レイオフは一時的な解雇のことを指します。

単なる解雇と違って業績が回復するまでの一時的な措置です。

アメリカやヨーロッパではよく行われる手法ですね。

日本で解雇は法的規制が厳しいのでレイオフはあまり利用されていません。

代わりに従業員を休ませたりさせるとお金が会社に入る制度(雇用調整助成金)がありますので休業がよく使われています。

今回の新型コロナウィルス関連でも雇用調整助成金は特例措置が出ています。詳しくはこちらを御覧ください。

なぜリストラやレイオフが行われるのか

企業にとって労働者は宝です。

いなければ運営できません。

しかし、同時に労働者に払う給料や賞与は費用でもあるのです。

会社の利益は売上ー費用で決まります。

売上が下がるならば当然費用を下げなければ利益が減ります。

今回の新型コロナウィルスによる影響のように大きく売上が落ちてしまうと費用の削減は必須課題となってしまいます。

そこで費用の削減(経費の削減)を検討するのですが、多くの企業で最も多い費用となるのが給料や賞与、社会保険、福利厚生費、退職金といった人に関わったものです。

ですから必然的にリストラなどで人に関わった費用を削減する方法を考えなくてはならなくなるのです。

リストラ対象はどのように決められるのか

次にリストラ対象はどのように決められるのでしょう?

これは会社によって当然異なりますが、私が関わったリストラ事例でご紹介しましょう。

この流れを知っておけば自分がリストラされないためにどうしればよいのかも考えられるかもしれませんね。

※なお、今回の話はわかりやすくするためにかなり端折っていますのでご了解ください。


削減目標が示される

まず、私の関わったケースではまず役員会で人件費の削減目標が示されました

当時、リーマンショックで大きく売上が落ちて赤字転換していました。

その他の経費削減も同時に実行していますが、人件費が経費の多くを占める会社でしたのでリストラは黒字化には必須でした。

私はその人件費の削減目標に沿って具体的なリストラ計画を作ってくれとの指示を受けました。

リストラする人数ではなく、人件費が削減目標であることがポイントですね。

今回は分かりやすいように20%の削減指示を受けたとしましょう。

部署ごとに割当、検討

当然、私が全従業員の働きぶりなど把握しているわけがありませんから、具体的なリストラ対象は各部署にお任せします。

部署ごとに人件費の削減目標を定めそれに沿って案を提示するように指示。

人数ではなく人件費をベースにした削減目標ですから給料の高い方がターゲットになりやすくなりますね。

例えば10人の部署で、それぞれの給料が以下だったとします。(本来は賞与や通勤費、社会保険、退職金も関係してきますが、分かりやすいように給料だけで考えます)

A:100万
B:90万
C:80万
D:70万
E:60万
F:50万
G:40万
H:30万(派遣社員)
I :20万
J:10万(パート)

こちらの部署の給料は全体で550万円です。

これを20%カットとなると110万円減らさなければなりません。

まず、ターゲットとなりやすいのが正社員以外の方です。

アルバイト、パート、契約社員、派遣社員ですね。

このケースだとHとJです。

合計40万円の給料となります。

あと70万円の削減が必要となってきます。

ここからは部署ごとの都合などで決まってきます。

一人で目標を達成できるDを対象とする部署もあれば、GとIで辻褄をあわせる部署もあります。

中には自分(A)を対象としてJと合わせて目標達成してきたところも・・・

また、この案を中心に全体で調整をかけますので同時に「絶対やめさせてはだめな人」、「やめさせてはだめな人」、「どちらでもよい人」、「辞めてほしい人」に分類をしてもらいました。

リストラ会議

全部署からの案が集まったところで幹部を集めて会議を行いました。

かなり大荒れしましたので複数回長時間会議してましたね・・・

役員会で判断

最終判断は役員会です。

役員会でもこの人は残せだの。こいつはいらないだろなんて意見がでてまた案がかわりましたね。

当時、私も辞めるつもりでしたからリストラ候補に自分の名前を入れておいたのですが却下されてしまいました・・・(リストラ対象となると上乗せ退職金があるので通常に辞めるよりも得だったんですよ)

リストラ対象となりやすい人

以上のような流れでリストラ対象が決められます。

それではどのような方がリストラ対象となりやすいのでしょう。

私の経験上でお話します。


給料が高い

当然、給料が高い人は対象となりやすいです。

多くの企業ではリストラは人数でなく金額で検討されます。

ですから給料が高い人は自ずと対象となりやすいのです。

当然、給料には賞与、残業代、通勤費、社会保険なども含まれてきます。

無期雇用でない

日本の法律では解雇がかなり難しくなっています。

労働者有利なんですね。

正社員の場合には働く期間が定めていない無期契約となっていますのでより難しいです。

対して期限を決めて契約しているアルバイト、パート、契約社員、派遣社員などは対象となりやすくなります。

ただし、下記の2018年から適用が開始された無期転換ルールに該当している方は正社員と同様のリストラ対象の確率ですね。

仕事ができない

リストラしても会社は回さなければなりません。

そのため、その人が居ないと仕事が回らないような場合や、その人しかできないような仕事がある場合には対象とされません。

また、いろいろな仕事ができる幅広い人もリストラがあって人が減れば重宝されますので対象とされにくいです。

逆にあまり仕事ができない人は対象とされやすくなります。

これは当然ですね。

穏便に済む人

今まで見てきたように誰をリストラ対象とするのかはある程度、裁量権が与えられます。

私が関わったケースだと、私、各部長、役員ですね。

その当事者になるとまず考えるのがどう穏便に済ませるかということです。

リストラは当然、恨みをかいやすいですからね・・・

そのため、特にリストラ対象となりやすいのは「穏便に済む人」です。

日本の法律では解雇がかなり難しくなっています。

労働者有利なんですね。

そのため、揉めそうな人を対象とはしにくいのです。

逆に言えば穏便に済みそうな人は対象となりやすいのです

実際に私のケースでも労働組合の幹部、過去に賞与の金額を巡って弁護士出してきた人などは揉めそうという理由でリストラ対象から外されましたね。(部長の案では対象となっていましたが、役員会で却下)

特に下記のような人は穏便に済みそうと捉える人が多かったです。

  • 共働き
  • 実家が資産家
  • おとなしい人、気弱な人

つまり、リストラになってもすぐにはお金に困らないだろう。

揉めないだろうという人が選抜されやすいんですね。

過去に問題を起こした人

また、「過去に問題を起こした事がある人」も対象となりやすいです。

リストラするにはやはりある程度の理由づけも必要ですから過去に問題を起こした事がある場合それも大きなポイントとなります。

リストラの話があるまで会社が知らなかった不祥事(会社外)なんかもいろいろ出てきましたね・・・部長は知っていたけど上には報告していない案件。(万引、不倫など)

会社で孤立している

リストラは会社の従業員のモチベーションやモラール(士気)に大きく影響してきます。

ですから会社でムードメーカー的存在や人気者的存在も対象とはなりにくいです。

逆に言えばあまり社内のメンバーと接点が多くない人は対象とされやすい傾向にありますね。

リストラから自分を守るために

それではリストラにあう前にどのような準備をしておけばよいのでしょうか?

今回の新型コロナウィルスは急な話ですから出来ることは限られていますが、今後のことも踏まえ以下の点をやっておきたいですね。


エンプロイアビリティを高める

まず一番大事なことはエンプロイアビリティを高めることです。

エンプロイアビリティはあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、employ(雇用する)とability(能力)を組み合わせた造語で雇用される能力のことを指します。

簡単に言えば企業に欲しがってもらえる能力のことです。

これからAIやRPAがどんどん賢くなってきています。

単純作業ならば殆どの場合、人間がやるよりもAIやPRAのほうが正確になってしまうでしょう。

そのあたりも踏まえて企業に欲しがってもらえる能力を今のうちに磨いておく必要があるのです。

今自分が持っているスキルはどういうものがあり、それはどう活かせるのかを考えてみる整理してみるのもよいでしょう。

自分のスキルの評価を知るにはおすすめは人材紹介会社なんかに登録してみることです。有望なスキルがあれば引き合いがたくさん来ます。

逆にあまりいい引き合いがなければ自分のスキルを必要としている会社が少ないってことなのです。

もしそうならば何を伸ばせば良いのかを考える必要がありますけどね。

また、資格の勉強なんかもおすすめですね。私もたくさん資格を持っていますがその殆どは社会人になってから自己啓発で勉強したものです。

朝仕事行く前のカフェとか昼休みの時間、通勤時間などに無駄な時間を勉強に充てて取得することができました。自分の時間を振り返ってそのような無駄な時間はないのかを考えてみることも大事でしょう。

エンプロイアビリティを高めておけばそもそもリストラにあってしまう確率も低くなりますし、もしリストラにあってしまったとしても転職や独立も容易になります。

会社以外の収入を得る

もう一つが今勤めている会社以外で収入を得る状況を作っておくことです。簡単に言えば副業ですね。

昔と違いいろいろな副業手段がでてきています。それらをうまく使いある程度会社に頼らなくても生活できる環境を作っておくことも大事でしょう。

副業してある程度の基盤ができれば仕事でも強気に動けますからね。

また、副業でなくても複数の会社に勤めたり起業したりというのも手です。

週末カレー屋や週末コンサルタントなんて働き方をする方もいますがそういうことですね。

キャリアを分散させるのです。分散投資のように仕事の上でも分散させた方が保険になりますね。

ただし、複数の勤務や起業は許可してない会社もあると思いますのでそのあたりは就業規則をご確認ください。

リストラされたときに知っておきたいこと

それではリストラにあったときに知っておきたいことを見ておきましょう。

日本の制度の多くは申告が必要です。

自分で知っておかないとお得な制度があっても利用できないのです。


失業保険(基本手当)

まず知っておきたいのが失業保険です。

存在は知っている人は多いですが、細かい内容までは把握していない方が多いです。

事前にある程度の知識は得ておきたいところ。

失業保険とか失業手当、失業給付は一般的によく使われる言葉ですが、正式には雇用保険の中の基本手当のことを指します。

雇用保険を掛けていた方が、離職した際に失業中の生活を心配しないで、新しい仕事を探し、1日も早く再就職していただくために支給されるものです。

なお、失業保険がもらえるタイミングは退職の仕方等によって異なってきます。

基本的にリストラの場合には会社都合となりますが、会社都合退職とすることは会社側が嫌がるケースが多いのです。

会社都合退職としてしまうと助成金がもらえなくなる可能性があるのです。

他にも採用に不利になるなんて理由も言われていますね。

退職理由によってもらえる期間が大きく異なることは知っておきたいところです。

詳しくはこちらを御覧ください。

国民健康保険の免除・減免

会社をリストラされてすぐ就職しない場合には国民健康保険に加入することになります。

サラリーマンの方が入る健康保険と比較して会社負担がありませんから割高なんですね。

そのため払うのがかなりきついという方も多いと言います。

そんな国民健康保険ですが、実はあまり知られていない全額免除されたり、一部免除(減免)される制度があるのです。

この辺りはしっておきたいところですね。

リストラの場合には全額免除は難しいかもしれませんが、減免はいただけるケースが多いです。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

国民年金の免除・猶予

また、健康保険と同じく年金もすぐ就職しない場合には国民年金に加入することになります。

こちらも失業した場合は申請することにより、特例免除となり保険料の納付が免除となったり、保険料の納付が猶予となる場合があります。

免除されると将来もらえる年金も多少減りますからこのあたりは考え方しだいですね。

詳しくはこちらの記事を御覧ください。

住民税の請求

住民税についても知っておきましょう。

所得税は基本的に天引きでその年の分はその年に支払うのに対して、住民税は所得が確定してから翌年分を払うという仕組みになっています。

給料から引かれている住民税も実は6月から来年5月分が昨年分なんですよ。

つまりかなりタイムラグがあるんです。

かなり経ってから(5月〜6月)請求が来ますのですでに使ってしまってお金がない・・・て話が多いのです。

つまり、会社をやめたとしても前年の所得があれば後から住民税の納付書が到着します。

その部分はあらかじめ知っておいて支払う金額を用意しておく必要があるのです。

詳しくはこちらの記事を御覧ください。

まとめ

今回は「他人事ではない。新型コロナウィルスでリストラ多発?リストラ対象となりやすいのはどんな人?」と題してリストラについて見てきました。

新型コロナウィルスで多くの企業でリストラが行われる可能性があります。

いざというときに備えて対策を考えておきましょうね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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