税金を納めすぎているかも??確定申告で所得控除、税額控除を活用しよう

前回書いた2017年分の確定申告の変更点が好評でしたので今回も確定申告に関連することを書きます。

今回はサラリーマンの方のように年末調整があるために確定申告を必要としない方ももしかしたら確定申告をすれば税金が戻ってくる可能性があるかもというお話です。

それが所得控除や税額控除です。

これらは複雑な制度ですが、該当するのか自分でチェックしないと誰もおしえてくれません。

税務署が教えてくれよ・・・っておもいますけどね。

税務署からしても税金余分に納めてくれたラッキーくらいにしか思っていないのでしょう。

そうならないようにぜひ自分で該当するものがないのかチェックしてみてくださいね。

所得控除と税額控除

税金を減らせる可能性がある方法として所得控除と税額控除があります。

所得控除とは

所得控除とは所得税額を計算するときに各納税者の個人的事情を加味しようとするためです。それぞれの所得控除の要件に当てはまる場合には、各種所得の金額の合計額から各種所得控除の額の合計額を差し引きます。

つまり、所得控除により税金を計算するための基礎となる所得を減らして税金を考えることになりますので税金が減るってことです。

所得控除は全部で14種類

所得控除は全部で14種類あります。

自分に当てはまるものはないのかチェックしてみてください。

基礎控除

基礎控除はすべての人が対象となるものです。

年末調整の人もこれはすでに考慮済となっています。

38万円の控除です。

ちなみに基礎控除は2020年から48万円に引き上げられる予定となっています。

配偶者控除

所得が38万以下(給料のみをもらっている方の場合には給料が103万円以下)の配偶者がいる人が対象となります。

こちらも控除金額は38万円となります。(配偶者が12月31日時点で70歳以上の場合は48万円)

こちらも年末調整の扶養控除申告書に適切に記載しておけば考慮済となっています。

書き漏らした場合も確定申告をすればOKです。

こちらは平成30年以後については改正が決まっています。(つまり来年の確定申告、年末調整)

給与所得者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除の適用を受けることができないこととされました。

配偶者特別控除

本人の合計所得金額が1000万円以下で、所得が38万円超76万円以下の配偶者がいる人が対象となります。

こちらは年末調整の給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書に適切に記載しておけば考慮済となっています。

書き漏らした場合も確定申告をすればOKです。

控除額は配偶者の所得に応じて段階的に控除できる金額が以下のように決まります。

 配偶者の合計所得金額 配偶者特別控除の金額
38万円を超え40万円未満38万
40万円を超え45万円未満36万
45万円を超え50万円未満31万
50万円を超え55万円未満26万
55万円を超え60万円未満21万
60万円を超え65万円未満16万
65万円を超え70万円未満11万
70万円を超え75万円未満6万
75万円を超え76万円未満3万
76万円以上0円

配偶者控除、配偶者特別控除は平成30年以降こうなります。

配偶者控除

出所:国税庁配偶者控除、配偶者控除の見直し

扶養控除

所得が38万円以下(給料のみをもらっている方の場合には103万円以下)で16歳以上の親族を扶養している人が対象となります。

扶養控除額は一般の扶養者の場合には38万円

控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人(特定扶養親族)の場合63万円。

控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人(老人扶養親族)の場合同居なら58万円

同居以外なら48万円となっています。

こちらも年末調整の扶養控除申告書に適切に記載しておけば考慮済となっています。

書き漏らした場合も確定申告をすればOKです。

障害者控除

障害者または障害者を扶養している人が対象となります。

控除額は障害の程度によって決まり、27万、40万とあります。40万の特別障害者の場合には同居なら75万円となります。

こちらも年末調整の扶養控除申告書に適切に記載しておけば考慮済となっています。

書き漏らした場合も確定申告をすればOKです。

寡婦控除、寡夫控除

夫や妻と死別や離婚をしてその後結婚していない人で一定の条件を満たした方が対象となります。

寡婦(合計所得金額が500万円以下、夫と死別や離婚をしてその後結婚していない人)場合は27万円、条件を満たした特別の寡婦(寡婦の条件+扶養親族である子がいる場合)の場合35万となっています。

寡夫(扶養親族である子がいて、合計所得金額が500万円以下、妻と死別や離婚をしてその後結婚していない人)は27万円となります

こちらも年末調整の扶養控除申告書に適切に記載しておけば考慮済となっています。

あまり知られていない控除ですから書き漏らした場合も確定申告をすればOKです。

勤労学生控除

納税者自身が勤労学生である場合に控除の対象となります。

勤労学生とは合計所得金額が65万円以下で特定の学校の学生、生徒であることです。

控除額は27万円です。

こちらも年末調整の扶養控除申告書に適切に記載しておけば考慮済となっています。

書き漏らした場合も確定申告をすればOKです。

雑損控除

意外に知られていないのがこれです。

災害盗難横領などによって、個人資産について損害を受けた人が対象となります。

その資産の所有者が納税者本人もしくは配偶者やその親族で総所得金額が38万円以下の者である必要があります。

つまり、自分と配偶者や扶養親族の物が災害や盗難にあったときに使える控除ってことです。

ただし、こんな条件もありますのでご注意ください。

「棚卸資産若しくは事業用固定資産等又は「生活に通常必要でない資産」のいずれにも該当しない資産であること」

控除額は

(1) (差引損失額)-(総所得金額等)×10%

(2) (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

でどちらか多い方となっています。

こちらは年末調整で処理できませんので所得控除を受ける場合には確定申告が必要です。

医療費控除

年間で掛かった医療費やそのための交通費が10万円を超えた場合に所得控除されます。

全ての医療費が控除されるわけではなく実費分だけが控除対象です。

また美容整形など目的でないものは対象外となります。

控除額は「医療費の合計額」-「保険金などの補てん金額」-「10万円または所得の5%」です。

また、セルフメディケーション税制と言って新しく新設された制度もあります。

これはセルフメディケーション対象商品を年間12000円以上購入した場合にその超えた分の88000円までが控除対象となる制度です。上記の医療費控除と選択制となっており使えるのはどちらか一方です。

セルフメディケーション税制

こちらも年末調整で処理できませんので所得控除を受ける場合には確定申告が必要です。

社会保険料控除

その年に納めた社会保険料が対象となります。

社会保険とは年金や健康保険のことです。

これは払った金額全額が控除対象となります。

社会保険は会社勤めの場合には給料から自動で落ちますので年末調整にもちろん反映されています。

そのため基本的には確定申告は不要です。

また、今の会社につとめる前に他の会社にいた場合や、無職期間に国民年金や健康保険を払っていたような場合も、前の会社からもらった源泉徴収票を提出したり、無職期間の分については年末調整の給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書に適切に記載しておけば考慮済となっています。

このようなケースの場合には、書き漏らしている方が多いので確認してみましょうね。

また、配偶者や家族の分の健康保険や国民年金などの社会保険を払ったも対象となります。

これも忘れがちなので該当する方は確認してみましょう。

書き漏らした場合は確定申告をすればOKです。

生命保険料控除

次は生命保険を支払った方が対象となる生命保険料控除です。

現在は生命保険料、個人年金保険、介護医療保険料の3つのカテゴリーに分かれており、それぞれ最大で4万円の控除(年間支払保険料等が8万円超の場合)ができます。

保険契約をするときこの上限を意識しておくとよいかもしれませんね。

こちらも年末調整の給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書に適切に記載しておけば考慮済となっています。

書き漏らした場合も確定申告をすればOKです。

小規模企業共済等控除

小規模企業共済個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入している方が対象となります。

2つとも払った金額の全額が所得控除となりますのでかなりお得な制度となります。

加入しないのは馬鹿らしいオトクすぎる制度です。

とくに個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)はほとんどの方が加入できますので是非利用したいところ。

個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)は年末調整の給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書に適切に記載しておけば考慮済となっています。

書き漏らした場合も確定申告をすればOKです。

詳しくはこちらをどうぞ

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地震保険料控除

地震保険料を納めた方が対象となる控除です。

控除の限度額は5万円です。

こちらも年末調整の給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書に適切に記載しておけば考慮済となっています。

書き漏らした場合も確定申告をすればOKです。

寄付金控除

特定の寄附をした方が対象となる控除です。

たとえば最近話題のふるさと納税もこちらに含まれます。

控除金額は寄附金額(所得の40%が上限)-2,000円となっています。

ふるさと納税は年末調整では処理はされません。

確定申告をするかワンストップ特例制度を利用する、いずれかの手続きをしっかり完了させることが必要となります。

ワンストップ特例制度とは確定申告の不要な給与所得者の方などが「ふるさと納税」を行う場合、1年間の寄附先が5自治体までなら、確定申告を行わなくてもふるさと納税の寄附金控除を受けられる仕組みです。

ふるさと納税をするときに申し込みをする必要がありますので確定申告をする予定のない方は忘れずにやっておきましょうね。

忘れてしまった方も確定申告をすればOKです。

税額控除とは

税額控除とは課税所得金額に税率を乗じて算出した所得税額から、一定の金額を控除するものです。

つまり、所得税から直接引くことができるものが税額控除です。

代表的なものに「住宅借入金等特別控除」や「特定増改築等住宅借入金等特別控除」があります。

住宅をローンで購入した場合に控除できる制度です。

こちらは基本的に初回は確定申告が必要。

その後は年末調整で処理が可能となっています。

他にも配当控除、外国税額控除、政党等寄附金特別控除などがあります。

まとめ

今回は所得控除及び税額控除についてみてきました。

普段は年末調整で確定申告をしたことない方も確定申告をしたほうが得なケースも合ったりしますしぜひアンテナを貼っておいてくださいね。

下記のような方法もあります。

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また、今回の確定申告については今からでは遅いですが来年に向けて個人型確定拠出年金(IDeCo/イデコ)小規模企業共済ふるさと納税などをつかって節税対策をしておくことも大事です。

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ぜひ今から取り組んでおきましょうね。

また、面倒な会計処理等はMFクラウドfreeeを使うとかなり楽になりますよ。

読んでいただきありがとうございました。

 

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