NISA(少額投資非課税制度)は2014年1月からスタートしました。今年からつみたてNISAという制度も始まりましたが、それとはルールが違いますので別物ととられるとよいかもしれません。
通常のNISA(ここではややこしいのでそう呼びます)は非課税期間が5年間です。つまり、開始当初の2014年に買い付けた株式や投資信託は2018年の年末に非課税期間が終了してしまうのです。
そろそろ出口戦略を検討する時期にきているともいえますね。今回はNISAの出口戦略について考えて見たいと思います。
※加筆修正を加えました
NISAとは
NISA(少額投資非課税制度)はその名前の通り、少額の投資ならば5年間非課税で運用できる制度です。通常は株式投資や投資信託、ETFなどで利益がでればその利益に対して20.315%の税金がかかります。しかし、NISA口座内で運用している場合には利益が出ても税金は免除してくれるのです。現在は非課税投資枠が120万円となっています。
例えば120万円分の株を買って200万円で売却したとします。本来なら80万円分の売却益が出ていますので162,520円の税金がとられます。(特定口座で源泉徴収ありなら自動で差し引かれます)しかし、これがNISA口座内ならば税金は0とかなり有利に投資できるってことです。
つみたてNISAとは
ついでにつみたてNISAについても簡単に説明しておきましょう。つみたてNISAと通常のNISA(少額投資非課税制度)を比較すると非課税投資枠が年間120万から40万円に減り、運用期間5年間から20年間へ伸びた制度となっています。つまり、つみたてNISAはより長期投資を狙った制度であるということです。従来のNISAより年間で投資できる金額は減りますが、20年間非課税で運用できますのでめいいっぱい活用すると最大800万円となります。現行の制度ですと600万円ですので、長期的な目で見ればこちらの方が非課税でたくさん投資できることになります。
また、投資可能商品にも違いがあります。つみたてNISAは基本的に金融庁が選定した投資信託のみが対象となっています。対して通常のNISAは普通の株式やETF、ほとんどの投資信託に投資が可能となっています。つまり、投資できる範囲が広いってことになります。
どちらにもメリット・デメリットがありますのでどちらがいいのかは考え方しだいでしょうね。
NISAの非課税期間終了後の選択肢
NISAの非課税終了後については3つの選択肢が用意されています。
1.ロールオーバー(翌年の非課税投資枠に移す)
2.課税口座(特定口座など)に移す
3.売却する
順番に見ていきましょう。
ロールオーバー(翌年の非課税投資枠に移す)
まず一つ考えられる選択肢がロールオーバーです。ロールオーバーとは、NISA口座で買った株式などの金融商品を、5年の非課税期間終了後に、その翌年の非課税投資枠を使って新たなNISA口座移すことができる制度です。
つまり、ロールオーバーを使えば最長5年の非課税運用が10年まで伸ばせるってことです。
ちなみにロールオーバーできるのは5年目の年末に1度だけです。
例えば、30万円で買った株をNISA口座内で運用していたとします。5年目の年末に60万になっていました。この際にロールオーバーすればそのまま5年間は非課税枠で運用することができるってことです。ただし、翌年のNISA枠(非課税投資枠)は60万円消費することになりますので、残り使えるは60万円の枠ってことになります。
出所:金融庁「NISAのポイント」より
ロールオーバーの上限を超えている場合
株や投資信託が値上がりして翌年の非課税投資枠に移すといっても非課税枠は120万円を超えている場合はどうなるのでしょうか?これは2017年に改正が入ったルールで120万円を超えている部分についても翌年の非課税投資枠に移すことが可能となりました。
例えば120万円で買った株が非課税期間終了時には150万円になったとします。非課税投資枠は120万円ですがこの場合にはそのまますべてロールオーバーすることが可能となりました。つまり、あと5年は非課税で運用そのままできるってことですね。また、ロールオーバーできる金額に上限はありません。200万円になっていたらその200万円分がそのままロールオーバーできることになります。ただし、この場合には翌年の非課税投資枠はすべて消費してしまっていることになりますので、その年のNISA枠での新規投資はできなくなります。
ロールオーバーに必要な手続き
ロールオーバーの具体的な手続きは今回はじめてですからまだ発表されていません。
2018年10月ころに案内される予定となっています。
ロールオーバーできるのは2018年購入分までかも。
いま現状のルールはNISAができるのは2023年までとなっています。つまり、つまり、2018年購入分の分は2023年にロールオーバーできますが、来年以降のNISAは終了時にNISAがありませんのでロールオーバーできないことになります。今後、NISAの制度が延長されるのか、それともつみたてNISAに一本化されるのかはいまのところ不明です。決まり次第こちらのサイトでもお知らせしたいと思います。
特定口座などの課税口座に移管する
もう一つの選択肢が特定口座などへの課税口座へ移すことです。この場合に押さえて置きたいのが課税口座へ移管する場合に、その時の時価が新たな取得価格となることです。そのため、その時点で保有資産が値上がりしているのか値下がりしているのかで、その後に課税口座で保有している金融商品を売却する際に支払う税金に差が出てきますので注意が必要です。特に値下がりしている場合は要注意です。
また、課税口座へ移した移行に関しては売却益や配当にも課税されることになりますのでご注意ください。
購入時より値上がりしているケース
例えばNISA内で120万円分の株式を購入したとします。5年の非課税期間終了時に150万まで値上がりしていたとしましょう。このケースでNISA口座から特定口座へ移した場合の取得価格は150万円に変更されます。
つまり、その後180万円まで値上がりして売却した場合は利益が30万円が課税対象となります。(本来の利益は60万円)
また、逆に130万円まで値下がりした場合には20万円の損失で課税対象となりません。(本来の利益は10万円)
購入時より値下がりしているケース
逆に購入時より値下がりしていたケースは要注意です。例えばNISA内で120万円分の株式を購入したとします。5年の非課税期間終了時に100万まで値上がりしていたとしましょう。このケースでNISA口座から特定口座へ移した場合の取得価格は100万円に変更されます。
その後、120万円まで値上がりして売却した場合は利益が20万円が課税対象となります。(本来の利益は0万円)
また、逆に80万円まで値下がりした場合には20万円の損失で課税対象となりません。(本来の損失は40万円)
よく考えてみてください。120万円で買ったものを120万円で売ったのに20万円分に税金40,630円掛かってしまうのです。逆のケースでも本来40万円の損失ですから他の株式売却益がでてれば40万円相殺して税金計算されます。しかし、このケースではそれが20万円の損失としか反映されないのです。
つまり、購入時より値下がりしてる場合にそのまま課税口座へ移すと税金分が損をする可能性がありますね。
なにも手続きをしない場合は課税口座へ移管されます
また、ロールオーバーや売却するなどの手段を選択されない場合はNISA期間が満了した時点で課税口座へ移管されます。ロールオーバーや売却を選択したい場合は早めに手続をしておきましょう。
売却する
最後の選択肢は満了前に売却することです。これは簡単です。普通に株式や投資信託を売却するだけです。利益が出ていても税金は取られません。NISAのメリットが活かせましたね。
ただし、売却を考えられる方は1点だけ注意しておいてください。
2018年の大納会(取引最終日)
それはギリギリまでひっぱろうと思って2018年最終取引日までそのままにしてしまうことです。前述の通り、ロールオーバーの手続きや売却をしなければ自動で特定口座などの課税口座へ移されてしまいます。売却するなら下記の2018年の大納会(取引最終日)を覚えておきましょうね。
2018年の大納会 12月28日(金)
ちなみに大納会も取引時間は通常と同じく(前場:午前9時~午前11時30分、後場:12時30分~15時)です。2008年までは午前中のみでしたがそれ以降は通常と同様になっています。
まとめ
今回は「2018年はNISAの5年後がやってくる。そろそろ出口戦略を検討しよう」と題してNISAの出口戦略について見てきました。
ロールオーバーするにしても売却するにしても期限までに手続きや売却が必要となりますので忘れずにやってきましょうね。
読んでいただきありがとうございました。
フェイスブックページ、ツイッターはじめました。
「いいね」、「フォロー」してくれるとうれしいです