2025年11月、ソフトバンクグループ株式会社が「第67回無担保社債(愛称:福岡ソフトバンクホークスボンド)」の募集を開始しました。
利率は3.50%〜4.10%(税引前・仮条件)と、低金利時代の今日において比較的高い水準となっています。
広告や証券会社からの電話で知った方も多いと思います。
「利率が高そうだけど、本当に買って大丈夫?」
「ソフトバンク 社債 危険って検索すると、ちょっと不安になる…」
そんなモヤモヤを整理できるように、この記事では
- 第67回無担保社債(福岡ソフトバンクホークスボンド)の条件
- そもそも社債とは何か
- 「ソフトバンク 社債 買うべきか」判断するうえでのポイント
- 「ソフトバンク 社債 危険と言われる理由」とリスクの中身
を、一次情報と公表データをもとに解説していきます。
※本記事は商品の勧誘ではなく、情報提供を目的としたものです。購入判断は必ずご自身の責任で行ってください。
ソフトバンクグループ株式会社第67回無担保社債(福岡ソフトバンクホークスボンド)とは
まずは、今回の「福岡ソフトバンクホークスボンド」の条件を整理しておきましょう。
募集条件・スケジュールを整理
主な条件は次のとおりです。いずれも、証券会社や発行体の資料に基づきます。
- 正式名称:ソフトバンクグループ株式会社第67回無担保社債
- 愛称:福岡ソフトバンクホークスボンド
- 期間:7年
- 利率(年率・税引前):3.50%~4.10%(仮条件、2025年11月26日条件決定予定)
- 最終的な利率はこの範囲外となる可能性がある旨も明記
- 発行日(受渡日):2025年12月8日
- 償還日:2032年12月8日
- 利払日:毎年6月8日・12月8日(年2回、初回は2026年6月8日)
- 発行価格/償還価格:額面100円につき100円(パー発行・パー償還)
- 申込単位:額面100万円以上、100万円単位
- 格付け:A(日本格付研究所:JCR、取得予定)
- 担保・保証:なし(無担保社債)
- 特典:購入者にもれなく「お父さん応援隊長 フリースブランケット」プレゼント
ソフトバンクらしく「ホークス」とタイアップした個人向け案件で、期間7年・比較的高めの金利水準というのがざっくりとしたイメージです。
利率水準をざっくりチェック:国債との比較
では、この「年3.50~4.10%(仮条件)」は高いのかどうか。
比較の軸として分かりやすいのが、同じ円建て・同じくらいの期間の日本国債の利回りです。
2025年11月中旬時点で、7年国債の利回りはおおむね1.4~1.5%前後で推移しています。
仮に第67回無担保社債の利率が
- 下限の3.50%になったとしても
→ 同年限の国債の約2倍強 - 上限の4.10%に決まれば
→ 国債との差は約2.5ポイント近く
というイメージになります。
利子には20.315%の税金(所得税+住民税)がかかるため、手取りベースの利回りは
- 税引前3.50% → 税引後 約2.79%
- 税引前4.10% → 税引後 約3.27%
といった水準になります(復興特別所得税込みの標準税率で概算)。
「福岡ソフトバンクホークスボンド」らしい特徴
今回の社債は、個人投資家向けらしく
- 最低購入額100万円(そこまでハードルは高くない)
- ホークスコラボのノベルティ付き
と、「応援したい気持ち」に訴える仕掛けもあります。
購入者全員に「お父さん応援隊長 フリースブランケット」プレゼント(購入金額にかかわらず1人1点)は、金額ベースでは大きなものではありませんが、ホークスファンの心理をくすぐるオマケとしては悪くありません。
ただし、どれだけ愛着があっても、投資は投資。
ここから先は、「そもそも社債とは何か」から一度整理したうえで、この案件をどう見るかを考えていきます。
そもそも「社債とは」何か?基本をおさらい
社債について詳しく知らない方のために、まずは基本的な仕組みから説明します。
社債とは会社の「借用証書」
社債とは、企業がお金を借りるために発行する債券です。
簡単に言えば、企業が投資家から資金を借り入れる際に発行する「借用証書」のようなものと考えてください。
投資家が社債を買うということは、
「企業にお金を貸して、その代わりに利息を受け取り、満期に元本を返してもらう」
ということなんですよ。
銀行からの借入と似ていますが、
- 相手が「銀行」ではなく「投資家」
- 条件(利率・期間など)はあらかじめ決まっている
- 市場で売買できる
という点が異なります。
社債の基本的な特徴
社債には、以下のような基本的な特徴があります。
満期日(償還日)が決まっている
社債には必ず満期日が設定されており、その日が到来すると企業は元本を投資家に返済します。
今回のソフトバンクグループ第67回社債の場合、満期償還日は2032年12月8日です。
利率が決まっている
購入時に利率が確定しており、定期的に利息を受け取ることができます。
福岡ソフトバンクホークスボンドの場合、年に2回(6月8日と12月8日)利息が支払われます。
元本返済の約束がある
満期まで保有すれば、企業が破綻しない限り、投資した元本が額面通り返済されます。
これが株式投資と大きく異なる点です。
社債と株式の違い
社債と株式は、どちらも企業が資金を調達する手段ですが、投資家にとっての性質は大きく異なります。
株式は企業の所有権の一部を表すもので、配当を受け取る権利や株主総会での議決権がありますが、元本保証はありません。
一方、社債は企業への貸付金であり、利息を受け取る権利はありますが議決権はなく、満期には元本が返済されます。
リスクとリターンの観点からも違いがあります。
株式は価格変動が大きく、大きな利益を得られる可能性がある反面、損失のリスクも高くなります。
社債は価格変動が比較的小さく、満期まで保有すれば元本が返済されるため、株式よりもリスクを抑えた投資が可能です。
社債と定期預金の違い
社債と定期預金は、どちらも期間と利率が決まっているという点で似ていますが、重要な違いがあります。
最大の違いは元本保証の有無です。
定期預金は預金保険制度により、金融機関が破綻した場合でも1,000万円とその利息までは保護されます。
一方、社債には預金保険制度の適用がないため、発行企業が破綻すれば元本が返ってこない可能性があります。
ただし、そのリスクがある分、社債の利率は一般的に定期預金よりも高く設定されています。
大手銀行の定期預金金利が0.45%程度であることを考えると、年率3.5〜4.1%という今回の社債の利率は大きな魅力と言えるでしょう。
イメージしやすいように、シンプルに整理すると次のようになります。
- 銀行預金
- 元本1,000万円+利息までは預金保険の対象
- 金利は低いが、安心感は高い
- 日本国債
- 発行体は国(日本政府)
- 信用リスクは「ほぼゼロに近い」とみなされる
- 社債
- 発行体は民間企業
- 銀行預金や国債より倒産リスクは高い
- その分、利回りは高めに設定されることが多い
ソフトバンクグループの社債も、こうした「リスクと利回りのセット」の中で位置づける必要があります。
「無担保社債」とは何か
今回のソフトバンクグループ株式会社第67回無担保社債は、名前の通り「無担保社債」です。
無担保というのは、「この土地に抵当権を付けます」などの担保が付いていないという意味です。
もし発行体のソフトバンクグループに万が一のことがあった場合、担保付きの借入(銀行融資など)よりも支払いの順番は後になります。
その分、利回りは高めに設定される傾向がありますが、発行体の信用力がすべてと言ってよい商品です。
「社債間限定同順位特約」とは何か
また、今回のソフトバンクグループ株式会社第67回無担保社債には「社債間限定同順位特約」が付いています。この条項について詳しく解説します。
社債間限定同順位特約とは、簡単に言えば、「同じ会社が発行する他の無担保社債に対して、不公平な扱いをしない」という約束です。
たとえば、ソフトバンクグループが将来、新たに社債を発行する際に担保を付ける場合、既に発行済みのこの社債(第67回)にも同等の担保を提供しなければならない、というルールです。
この特約があることで、後から発行される社債だけが有利になる、つまり既存の社債保有者が不利益を被る事態を防ぐことができます。
これは投資家保護の観点から重要な条項であり、ある程度の公平性が契約上担保されていることを意味します。
ソフトバンク 社債 は買うべきか?魅力とメリット
ここからは、「ソフトバンク 社債 は買うべきか」を考えるために、まずはメリットから整理していきます。
メリット① 預金や国債より高めの利回り
銀行預金の金利は、いまだに0.0数%台が中心です。
一方で、福岡ソフトバンクホークスボンドは、仮条件ベースで3.5〜4.1%と、預金の何十倍もの利回りが期待できます。
同じ期間の国債利回りと比べても、2倍前後の水準ですから、「少しリスクを取ってでも利回りを上げたい」という投資家にとっては魅力的です。
メリット② 7年固定でインカムが読める
ソフトバンクグループ株式会社第67回無担保社債は、7年満期で途中の利払いは年2回です。利率が一度決まれば、その後は原則として固定です。
株式や投資信託と違い、
- 値動きで一喜一憂する必要が小さい
- 満期まで保有すれば、基本的に額面で償還される前提の商品
という性格があり、インカムをコツコツ受け取りたい人にはわかりやすい商品です(もちろん発行体の信用リスクは別途あります)。
デメリットでもある
ただし、これはデメリットでもあります。
7年間基本的に投資した資金が拘束されるのです。
社債は途中で売ることもできますが、株ほど流動性が高くないため、途中売却時に大きく値段が下がってしまうリスクがあります。
7年持てば元本が返ってくる可能性が高いのに関わらずです。
そのため、子どもの進学資金や住宅購入資金など、「使う時期がある程度決まっているお金」を使うのはリスク管理の面からおすすめしにくいところですね。
メリット③ 個人向けに買いやすく設計されている
ソフトバンク社債は、国内では数少ない「個人投資家向けの社債」の代表的な存在です。
- 最低投資額:100万円
- 国内主要証券会社やネット証券で購入しやすい
- ノベルティ特典もあり、心理的なハードルを下げている
といった意味で、「社債投資の入口」として検討されることが多い商品です。
ソフトバンク社債が危険と言われる理由
一方で、「ソフトバンク 社債 危険」といった検索も多くみられます。なぜ、そこまで警戒されるのでしょうか。
理由① ソフトバンクグループのビジネス構造
ソフトバンクグループは、今や通信会社ではなく、投資持株会社としての性格が非常に強い企業です。
未上場スタートアップや上場株式への投資を通じて利益を狙うビジネスモデルであり、株式市場の変動や投資先の評価損益によって、業績が大きく振れる構造になっています。
安定した通信料金収入をベースにする「ソフトバンク株式会社(通信)」とは違い、本社であるソフトバンクグループ株式会社は、投資ビジネスの成否に大きく左右される会社です。
ですから投資先が大きくコケるとソフトバンクグループの業績は大きく悪化する可能性があります。
すでに孫正義氏が「人生の汚点」と表するWeWorkへの投資などの失敗例も出ています。
ちなみに現在はChatGPTのOpenAIやABBなどAI関連に多額の投資をしていますね。


理由② 有利子負債の規模とレバレッジ経営
ソフトバンクグループは、国内有数の規模の有利子負債(借入金+社債)を抱えています。
2025年3月期末時点では、約28兆円規模の有利子負債があるとされます。
つまり、
- 借金をてこに投資してリターンを大きく狙う
- うまくいけば大きな利益、うまくいかなければ損失と利払い負担が一気に表面化
という、「攻めの経営」です。
社債投資家から見ると、この高いレバレッジ(てこのきき方)そのものがリスクになります。
個人的には孫正義さんが元気なうちは大丈夫だと思いますが、年齢も考えるとその後が怖いですね・・・
理由③ 構造的な「劣後性」
ソフトバンクグループ株式会社は持株会社であり、通信子会社やArmなど、実際にキャッシュフローを生む事業会社をぶら下げる形になっています。
この構造では、
- 子会社で利益が出ても、すべてを親会社が自由に引き出せるわけではない
- 銀行融資や担保付きの債務よりも、無担保社債の返済は後回しになる可能性がある
といった意味で、見た目の資産や利益以上に「社債の返済余力は限定的」と見る専門家もいるのが実情です。
理由④ 無担保社債であること自体のリスク
あらためてになりますが、今回の福岡ソフトバンクホークスボンドは「無担保社債」です。
もし発行体に何かあった場合、
- 税金や社会保険料
- 担保付きの借入(銀行など)
- 劣後債など条件の悪い債務
- 通常の無担保社債
- 株主
といった順番で、だいたい整理されていくイメージです。
「元本保証ではない」「倒産時には元本割れどころか、0になる可能性もある」という点は、ソフトバンク社債に限らずすべての無担保社債に共通するリスクです。
社債は、発行体を「信用できるかどうか」の世界です。
信用できない相手にはお金を貸さない──これも立派なリスク管理です。
福岡ソフトバンクホークスボンドの購入方法
それでは福岡ソフトバンクホークスボンドはどう購入すればよいのでしょう?
取扱証券会社
福岡ソフトバンクホークスボンドは、以下の証券会社で購入することができます。
ネット証券
- SBI証券
- 三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券)
- 楽天証券
総合証券
- SMBC日興証券
- 野村證券
- 大和証券
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- みずほ証券
- 岡三証券
- 岩井コスモ証券
- 東海東京証券
- 水戸証券
- 西日本シティTT証券
需要申告制度の活用
三菱UFJ eスマート証券では、2025年11月14日〜11月25日まで需要申告期間が設定されています。
需要申告とは、販売開始前に購入希望を伝えることで、証券会社が仕入れ数量を調整する仕組みです。
申告したからといって配分が確約されるわけではありませんが、需要申告しておくことで、販売開始後に購入できる可能性が高まります。
購入の流れ
一般的な購入手順は以下の通りです。
まず、当然ながら証券会社の口座が必要です。
まだ口座をお持ちでない方は、申込期間に間に合うよう、早めに開設手続きを行いましょう。
口座開設後、証券会社のウェブサイトにログインし、債券の商品ページにアクセスします。
目論見書などの重要書類を必ず最後まで確認し、内容を理解した上で注文を入力します。
購入金額は100万円以上、100万円単位です。
取引パスワードを入力し、注文内容を確認したら発注します。
申込期間は2025年11月27日から12月5日までですが、人気が高い場合は早期に完売する可能性もあるため、購入を決めた場合は早めの申し込みをお勧めします。
どこで買うのが良いのか?
社債の場合には、株や投資信託と違い基本的にどこで買っても大きな差はありません。
ただし、ネット証券では、口座開設から購入まですべてオンラインで完結できるため、手軽に取引ができるというメリットがありますね。
また、証券会社によっては今回のような大型社債が発売されると、社債購入のキャンペーン等が実施されるケースもありますので、そちらも確認しておきましょう。
まとめ
ソフトバンクグループ第67回無担保社債(福岡ソフトバンクホークスボンド)は、年3.50%〜4.10%という魅力的な利率を提供する一方で、無担保社債としてのリスクも存在します。
この社債への投資は、以下のような方に適していると考えられます。
まず、7年間使う予定のない余裕資金があり、定期的な利息収入を求める方です。
次に、ソフトバンクグループの事業内容と財務状況を理解し、一定のリスクを受け入れられる方です。
そして、分散投資の一環として、ポートフォリオの一部として保有する方です。
一方で、以下のような方は慎重に検討する必要があります。
元本割れのリスクを一切取りたくない方や、近い将来に資金を使う予定がある方、ソフトバンクグループの高い有利子負債に不安を感じる方、社債投資が初めてで、リスクを十分に理解できていない方は、より慎重な判断が求められます。
つまり、福岡ソフトバンクホークスボンドは
「リスクを理解したうえで、資産の一部で付き合うタイプの商品」
と捉えておくと良いでしょう。
ソフトバンク 社債 買うべきかどうか迷ったときは、
「この利回りのために、自分はどこまでのリスクを許容できるのか」
「他の選択肢と比べても、なお納得できるか」
という二つの問いを、自分なりにゆっくりかみしめてみてください。
※本記事は、特定の商品や投資行動を推奨するものではありません。実際の投資判断は、最新の目論見書や発行体の開示資料を必ずご確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。
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