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住宅ローン繰り上げ返済のメリット・デメリットを考える。繰り上げ返済してはいけないケースは?

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住宅ローン繰り上げ返済のメリットを示す上昇グラフを持つ30代夫婦のイラスト

変動金利は0.6〜1%台と低金利が続いていますが、すでにマイナス金利時代は終わり、徐々に金利が引き上げられる流れとなっています。

そこで検討されるのが住宅ローンの繰り上げ返済です。

繰り上げ返済は利息節約や完済時期短縮の効果がある一方、住宅ローン控除や団体信用生命保険の保障が減るデメリットもあります。

この記事では、繰り上げ返済の基本とメリット・デメリットを中心にご紹介します。

目次

繰り上げ返済の基本:期間短縮と返済額軽減

まずは繰り上げ返済時に知っておきたい基本的な話として繰り上げ返済の型についてみておきましょう。

繰り上げ返済には期間短縮型返済額軽減型の二つがあります。

期間短縮型

期間短縮型は月々の返済額を変えずに完済時期を早め、利息を大きく減らす方法です。

返済額軽減型

返済額軽減型は完済時期はそのままに月々の返済を減らし、家計の負担を和らげる方法です。

どちらが良いのかはその人の考え方次第の部分があります。

目的や家計状況に合わせて使い分けましょう。

繰り上げ返済の簡単なシミュレーション

2025年8月現在、変動金利は0.6〜1%台と低く、10年固定は約2.2%、フラット35は1.8〜1.9%台が目安です。

変動は低利息ですが将来の金利上昇リスクがあり、固定は金利上昇の影響を受けない安心感があります。

下の表は、3,500万円を35年返済した場合の参考値です。

変動0.7%、固定10年2.2%、中間の1.45%ミックス型で比較しました。

金利タイプ月々の返済額総利息特徴
変動型 (0.7%)約9万4千円約450万円低利息だが金利上昇リスクあり
固定10年 (2.2%)約11万9千円約1,520万円利息は高いが返済額は一定
ミックス型 (1.45%)約10万6千円約960万円リスクと費用のバランス型

金利差1%で総利息は数百万円変わります。

低金利は続いていますが今後の上昇リスクも考え、家計の状況に合った金利タイプを選びましょう。

10年目に100万円を期間短縮型で繰り上げ返済した場合

ローン返済初期は利息の割合が高く、元金を早く返すほど効果が大きくなります。

例えば3,500万円を35年返済するケースで、10年目に100万円を期間短縮型で返済すると完済が約1年早まり、利息も数十万円減るといったイメージです。

それでは具体的に10年目に100万円の繰り上げ返済(期間短縮型)で繰り上げ返済した場合のシュミレーションをみていきましょう。

金利タイプ返済期間 After利息削減額メモ
変動0.7%34年0か月(▲1年)約18.7万円金利が低いので削減幅は小さめ
ミックス1.45%33年11か月(▲1年1か月)約42.6万円低リスクで中間的な効果
固定10年2.2%33年10か月(▲1年2か月)約71.1万円金利が高いほど利息削減額も大きい

試算条件
・元本:3,500万円 期間:35年 元利均等返済
・10年目(120回目)に 100万円を期間短縮型で繰り上げ返済
・シミュレーションは月次計算(端数切り捨て)で概算

ポイント

  • 低金利の変動型は利息自体が少ないため削減幅も小さめ。
  • 固定型は利息が多い分、繰り上げ返済の削減効果が大きく出やすい。
  • 期間短縮型なら返済期間が約1年短くなるため、精神的なメリットも得られる。
  • なお控除期間中(最長10年間)は 住宅ローン控除額が減る点も要確認。

繰り上げ返済のメリット

繰り上げ返済の最大のメリットは利息を減らせることです。

元金が減ることで今後計算される利息が減るため、トータルで数十万〜数百万円の節約になります。

また、完済時期が早まることで精神的な安心感も得られます。

返済初期は利息の割合が高いので、早く元金を返すほど利息節約効果が高まります。

返済額軽減型なら月々の負担が減るため、教育費が増える時期に役立ちます。

早めの期間短縮型ほど効果大。資金があれば検討しましょう。

繰り上げ返済のデメリット

繰り上げ返済にはメリットだけでなくデメリットもあります。

住宅ローン控除が減少すること、団体信用生命保険(団信)の保障額が減ること、手元資金が減って急な出費に対応しにくくなることなどです。

主なデメリットをみていきましょう。

住宅ローン控除額の減少

住宅ローン控除は年末時点の住宅ローン残高の0.7%(契約時期によっては1%)を税金(所得税、住民税)から差し引く制度なので、繰り上げ返済で住宅ローン残高が減ると控除額も減ります。

期間は最大13年間となっています。

ですから住宅ローン控除がある期間は、金利が0.7%(契約時期によっては1%)以下なら繰り上げ返済しないほうがお得になるケースもあります。

団信保障の低下

住宅ローンには団信保障というもしものときに住宅ローンを完済してくれる保険を掛ける形となります。

最近ではガンや病気でも団信が降りるタイプもありますね。

団信の保障額はローン残高と同じです。

残高が減るほど、万が一のとき受け取れる保険金(住宅ローン返済分)も減る計算です。

生活防衛資金の圧迫

預貯金を減らすと、病気や失業など緊急時の資金不足を招く恐れがあります。

無理な繰り上げ返済は生活が苦しくなるんですよ。

投資機会の逸失

低金利の住宅ローンより高い利回りが期待できる投資に資金を回せなくなる可能性があります。

現状の住宅ローンの金利は上がったと言ってもまだまだかなり低いですから、無理に繰り上げ返済するよりも投資に回したほうがプラスになる可能性は高いです。

投資をやったことない人からするとイメージは湧きにくいと思いますが、日本で年金を運用しているGPIFの利回りは2025年度第1四半期までで年+4.33%の利回りとなっています。

つまり、過去のデータでみると年4.33%以下の利息で借りてれば、繰り上げ返済するよりもGPIFのように運用してた方がプラスだったわけです。

GPIFは債券半分のかなり固い運用しているですけどね。

ちなみにGPIFの運用を真似るのはかなり容易です。

詳しくはこちらの記事を御覧ください。

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繰り上げ返済してはいけないケース

次のような場合は基本的に繰り上げ返済してはいけないケースです。

繰り上げ返済を避けるか慎重に検討しましょう

・生活費3〜6か月分の貯蓄がない、
・教育費や老後資金の準備が遅れている
・住宅ローン控除を受けている期間中
・小さい子どもがいて団信の保障が重要な時
・投資で住宅ローン金利以上の利回りが出せる

繰り上げ返済は一度実行すると戻せません。

手元資金や税制・保障への影響を確認した上で判断しましょう。

ライフプランに合わせた判断とタイミング

繰り上げ返済に資金を集中させると、子どもの教育費や老後資金といった大きな出費に対応できなくなります。

まずは生活費3〜6か月分の貯蓄と教育費の準備を確保し、住宅ローン控除が終わった後や金利が上昇しそうな時期に繰り上げ返済を検討するのが基本です。

変動と固定を組み合わせる場合は、変動部分を優先して返済するとリスクと費用のバランスが取りやすくなります。

まとめ

今回は「住宅ローン繰り上げ返済のデメリットを考える。繰り上げ返済してはいけないケースは?」と題して住宅ローンの繰り上げ返済についてみてきました。

繰り上げ返済には利息節約や完済時期の短縮といったメリットがある一方、住宅ローン控除の減少や団信保障の縮小などのデメリットもあります。

2025年8月時点の金利は、変動が0.6〜1%台、固定10年が約2.2%と低水準。

金利差1%で総利息が大きく変わるため、金利タイプの選択や銀行選びも重要です。

現状の金利状況によっては借り換えをするのも一つの手です。

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生活防衛資金と教育費を確保し、控除期間終了後や金利上昇局面に無理なく繰り上げ返済を検討しましょう。

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