ChatGPTで世界を変えたOpenAI(オープンAI)が、いよいよ株式市場への上場を視野に入れているようです。
2025年10月28日、OpenAIは組織再編を完了し、株式公開が可能な体制に移行したことを発表しました。
OpenAIほど短期間で世界を変革した企業は稀で、新規上場となれば大きな注目を集めるのは必至です。
今回は、OpenAIのIPOについて、上場はいつなのか、オープンAI株はどこで買えるのか、
出資比率はどうなっているのか、そしてソフトバンクやマイクロソフトとの関係まで、投資家として知っておくべきすべてを解説していきます。
OpenAIとは何か
まずはOpenAIとはどのような企業なのかを整理しておきましょう。
イーロン・マスクとサム・アルトマン
OpenAIは、AI(人工知能)の研究開発を行う米国の企業で、2015年にイーロン・マスクやサム・アルトマンらによって非営利団体(NPO)として設立されました。
当初の理念は「すべての人のために価値を構築する」というもので、AIを一部の企業や組織が独占するのではなく、広く人類全体の利益のために開発するという志でした。
設立当初はテスラのイーロン・マスクも共同経営者だったんですよ。
経営方針を巡る対立から2018年にOpenAIから離脱していますが・・・
ChatGPTの生みの親
OpenAIを知らなくても提供しているサービスは、多くの方が認知をしているでしょう。
2022年11月に公開された対話型AI「ChatGPT」です。
社会人だけでなく学生にも浸透しており、女子高生の間ではチャッピーと呼ばれているそうです。
従来のチャットボットとは次元が異なる自然な対話能力、文章の要約や作成、プログラミングコードの生成など、その可能性は計り知れません。
公開からわずか5日間で100万ユーザーを突破し、2025年10月時点でのユーザー数は全世界で8億人を超えています。
非営利から営利へ、そしてIPOへ
2015年の設立当初は完全な非営利団体でしたが、AI開発には膨大な資金が必要です。
最先端のAIモデルを訓練するには、数千億円規模の投資が必要とも言われています。
非営利団体のままでは、このような大規模な資金調達は困難でした。
そこで2019年、OpenAIは「OpenAI LP」という営利組織を設立しました。
非営利の母体を維持しながら、外部から出資を受けられる体制に移行したのです。
この時、マイクロソフトと戦略的パートナーシップを締結し、10億ドル(約1,480億円)の出資を受けました。
そして2025年10月28日、OpenAIはさらなる組織再編を完了しました。
非営利は「OpenAI Foundation」、営利は「OpenAI Group PBC(公益目的会社)」となりました。
PBCはミッションと収益の両立を求められる形態で、資本市場からの資金調達(株式発行)と公共性を両立しやすくします。
この再編により、株式を発行して資金を集めることが可能となり、IPOへの道が開けました。
OpenAI上場はいつ?IPOのタイムライン
投資家として最も気になるのは、OpenAIの上場時期です。
2026年後半か?
ロイター通信によると、OpenAIは早ければ2026年に上場する可能性があるとされています。
具体的には、2026年後半にアメリカ証券取引委員会(SEC)へIPO申請を行うことを検討しているとのことです。
OpenAIのサラ・フライアー最高財務責任者(CFO)は、2027年を目標時期として言及したと報じられていますが、関係者によると2026年末までに上場する可能性もあるとされています。
ただし、OpenAI自身は明確な上場日程を公表していない点には注意が必要です。
広報担当者は「IPOは最優先事項ではないため、日程を設定した事実はない」と述べています。
しかし、サム・アルトマンCEOは「将来的に最も可能性が高い選択肢」としてIPOに言及しており、上場の方向性は明確です。
評価額1兆ドルの衝撃
投資家として驚くべきは、予想される評価額です。
ロイター通信は、OpenAIが時価総額1兆ドル(約150兆円)での上場を計画していると報じています。
これは史上最大のIPOとなる可能性があります。
現時点でのOpenAIの企業価値は約5,000億ドル(約73兆円)とされており、既に未上場企業として史上最高額です。
上場時にさらに評価額が上昇すれば、1兆ドルに到達する可能性があるのです。
ちなみに2025年11月時点で、時価総額が1兆ドルを超える企業は、アップル、マイクロソフト、エヌビディア、アマゾン、アルファベット(Google)など、ごく限られた企業のみです。
OpenAIが上場と同時にこれらの超巨大企業に肩を並べる可能性があるのです。
良くも悪くもOpenAIのIPOは世界の株式市場に大きな影響を当たる可能性があるのです。
OpenAI株主構成と出資比率
OpenAIの株主構成を詳しく見ていきましょう。
2025年10月の組織再編後の株主構成は、以下のとおりです。
マイクロソフト:27%
OpenAIの公式ページと主要報道を突き合わせると、マイクロソフトの持分は約27%と予想されます。
2019年の最初の10億ドル出資に続き、その後も継続的に出資を拡大してきました。
累計出資額は130億ドル(約1兆9,000億円)を超えると言われています。
OpenAIの技術はマイクロソフトのクラウドサービス「Azure」に統合されており、両社は密接に連携しています。
マイクロソフトのOffice製品にも、OpenAIの技術が組み込まれています。
再編後も戦略・資本の中核パートナーの立ち位置となりそうです。
OpenAI財団(非営利):26%
第2位の株主は、OpenAIの非営利部門「OpenAI Foundation(OpenAI財団)」です。
設立当初の理念である「すべての人のために価値を構築する」を守るため、非営利部門が一定の影響力を保持しています。
営利企業でありながら、非営利部門が26%もの株式を保有することで、短期的な利益追求だけに走らない仕組みになっています。
公共性と成長資金を両立するための設計と言えます。
ソフトバンクグループも大規模出資
ソフトバンクグループも2019年からOpenAIに出資しています。
さらに2025年4月には、400億ドル(約6兆円)という巨額の追加出資を発表しました。
順調に進めば、年内に出資が完了する予定です。
金額だけ見るとマイクロソフトを超えているんですよ。(投資時期の違いがあるので出資比率がどうなるかは不明)
OpenAI株はどこで買える?
それではOpenAI株の買い方について考えてみましょう。
上場前
OpenAIは未上場のため、東証・NYSE/Nasdaqでの売買は不可。
私設のセカンダリ市場(ForgeやEquityZenなど)での取引ができる可能性はありますが、適格投資家(一定の資産・収入)条件が一般的。
情報開示も限定的で、流動性・価格の妥当性のリスクが高い点は理解必須です。
基本的に一般の個人が“直接”買う手段はないと思った方が良いでしょう。
間接的な買い方:株主の株を買う
マイクロソフトやソフトバンクグループに投資をすると間接的にOpenAIにも投資をしている形になります。
OpenAIのIPOが実現すれば、マイクロソフトやソフトバンクグループが保有するOpenAI株式の評価額が明確になります。
含み益が巨額になる可能性があり、株価に大きな影響を与えるでしょう。
OpenAIの成長の裾野を取り込める王道ですね。
もちろん、マイクロソフトやソフトバンクグループの事業全体の一部に過ぎず、純粋なOpenAI単独の上げ下げに連動するわけではない点は留意が必要です。
間接的な買い方:AIインフラ周辺
GPU、半導体、データセンター、電力などインフラ側の企業も、OpenAIの需要拡大の恩恵を受けやすい領域。
個別銘柄はリスクも大きいので、テーマ型ETFや分散も検討余地です。(一般論としての留意点)
IPO
次は米国のIPOに挑戦する方法。
これはあまり現実的ではありません。
日本のIPOでは、上場前に抽選で株を入手し、初値で売却して利益を得る戦略が一般的です。
しかし、米国IPOではこの手法はほぼ不可能です。
個人向けの抽選・割当は極めて限定的なんですよ。
一般的に個人投資家は、上場日に市場で購入することになります。
上場した後に買う
上場した後であれば一般の個人投資家でも市場で買うことができます。
OpenAIが上場した場合、NASDAQ市場に上場する可能性が高いです。
米国株を取り扱っている証券会社であれば、上場日から購入できる可能性が高いでしょう。
最近はSBI証券など米国株に力を入れている証券会社も増えていますね。
上場してすぐに欲しい方はあらかじめ口座を用意しておくのが良いでしょう。
OpenAI IPOの投資判断
OpenAIへの投資を検討する際、そのビジネスモデルや収益構造を理解しておくことも重要です。
そのあたりも確認しておきましょう。
結論から言えば、革新的な商品を扱っていますし、売上もかなり伸びていますが赤字続きなんですよ。
競合も多く、そこをどう判断するかでしょうね。
OpenAIの収益、財務状況
OpenAIの主な収益源はChatGPTの有料プランと、企業向けAPI提供です。
2024年の年間売上は約40億ドル(約6,000億円)と推定されています。
投資家として注目すべきは、売上の成長ペースです。
2023年の売上が約16億ドルだったとすれば、1年で約2.5倍に成長しています。
この急成長が続けば、評価額1兆ドルも決して非現実的ではありません。
ただし、AI開発には莫大なコストがかかります。
最先端のAIモデルを訓練するためのコンピューティングリソース、優秀なAI研究者への報酬、データセンターの運営費用など、支出も膨大です。
現時点では、OpenAIは依然として赤字企業である可能性が高いです。
赤字続きですが、投資先は押し寄せている状況で資金繰りに困る状況ではないと推測されます。

競合状況
OpenAIの競争環境も分析しておきましょう。
GoogleのGemini
Googleは「Gemini」という対話型AIを提供しています。
Googleの圧倒的な検索データとコンピューティングリソースを活用しており、強力な競合です。
AnthropicのClaude
Anthropicは、OpenAIの元メンバーが設立したAI企業で、「Claude」という対話型AIを提供しています。
安全性を重視した設計や優秀な日本語認識能力で一部から高い評価を受けています。
XのGrok
OpenAIの共同経営者だったイーロン・マスク率いるXも「Grok」というAIを提供しています。
X内で気軽に質問できることから利用者がかなり増えています。
MetaのLlama
Metaは「Llama」というオープンソースのAIモデルを提供しています。
無料で利用できるため、開発者コミュニティからは支持されています。
Manusなど中国勢
他にもDeepSeekやManus(マヌス)等の中国勢も強いです。
特にAIエージェントに関しては中国勢が一歩進んでいる感がありますね。
ちょっと怖いところがあるので利用を躊躇してしまうところはありますが・・・
競争優位性
OpenAIの競争優位性は「先行者有利」と「ブランド力」にあります。
AIの世界は規模が大きければ大きいほど1件あたりのコストが安くなる「規模の経済」があります。
そのため、先行して投資をし続けているOpenAIには有利なのです。
また、ChatGPTは対話型AIの代名詞となっており、ユーザー数8億人超という圧倒的な規模を持っています。
後発組は同じ程度だと乗り換えてもらえないという状況になるでしょう。
リスク要因
OpenAI株への投資リスクはそれなりに高そうです。
投資家として、これらのリスクを十分に理解した上で投資判断を行う必要があります。
技術的なリスク
AI技術は急速に進化しており、OpenAIが技術的な優位性を今後も維持できる保証はありません。
競合他社が革新的な技術を開発すれば、OpenAIの地位が揺らぐ可能性があります。
一時期、AI関連の株が暴落したのはDeepSeekという中国製のAIが出たときでしたね。
規制リスク
AIに対する規制が世界的に強化されています。
EUのAI規制法、各国のデータ保護法など、規制への対応コストが増大する可能性がありますね。
黒字化の見通しが・・・
現時点での収益は主に有料版のChatGPTとAPI提供ですが、これらが持続可能なビジネスモデルかは不透明です。
AI技術のコモディティ化が進めば、価格競争に巻き込まれる可能性も。
すでに無料で提供している会社もありますしね。
今の時点では黒字化が見えない状況です。
経営陣のリスク
2023年11月、サム・アルトマンCEOが一時解任される騒動がありました。
最終的にはCEOに復帰しましたが、経営陣の不安定さは投資リスクとなります。
サム・アルトマン氏はOpenAIの株を持っていないんですよ。
まとめ
今回は「ChatGPTのOpenAIに新規上場(IPO)観測:購入方法、出資比率、上場前の間接的な買い方など徹底解説」と題してOpenAIのIPOについてみてきました。
OpenAI IPOに向けて投資家が今すべきことをまとめると以下の通りです。
1. 米国株取引口座の開設 OpenAIが上場する際、迅速に投資できるよう、米国株を取り扱う証券口座を事前に開設しておきましょう。口座開設には数日から1週間程度かかることがあります。
2. 情報収集の継続 OpenAIの動向、AI業界のトレンド、競合他社の状況など、継続的に情報を収集してください。上場日程が正式に発表されたら、すぐに行動できるよう準備しておきましょう。
3. 投資資金の準備 OpenAI株への投資を検討している場合、どの程度の金額を投資するか、事前に計画を立てておきましょう。IPO直後は株価が大きく変動する可能性があるため、余裕資金の範囲内で投資してください。
4. 間接投資の検討 直接OpenAI株を購入するのではなく、ソフトバンクグループやマイクロソフトを通じた間接投資も選択肢の一つです。リスク分散の観点から、検討する価値があります。
個人的にもOpenAIのIPOは単なる一企業の上場ではなく、AI革命への分岐点だと捉えています。
ChatGPTが登場してから3年。
AIは既に私たちの生活やビジネスに深く浸透しています。
今後10年、20年を見据えたとき、AIが世界をさらに大きく変えることは確実です。
OpenAIのIPOは大きな分岐点となりそうです。
AIの勝者がOpenAIになるのかはまだわかりませんが・・・
参考:私が読んで一番参考になった生成AI関連の本はこちらです。
にほんブログ村

