会社を辞めたいのに認めてもらえない。法律、対策を解説

先日、ご紹介した知り合いから再度質問がありました。

退職しようとしたけど、人手不足と引き継ぎを理由に半年先しか辞めさせてもらえない

最近は人出不足なのもあり、こういう話は多いのですが、実は大きな問題があります。

今回は退職の法的ルールについて解説していきましょう。

なお、元の質問はこちらです。給料を下げられるから退職しようとしているという状況ですね。

退職は申し出後、2週間あれば自由である

まず、大前提からお話しておきましょう。

法的には以下のルールとなります。(正社員等の雇用期間の定めがない場合)

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。

出典:民法第627条1項

つまり、退職を申し入れてから2週間が経てば、使用者の承諾がなくとも退職できるってことですね。

ちなみに会社側は「すくなくとも30日前にその予告を」とされていますので、従業員側が有利な条件となっているのです。

就業規則に定めがある場合は?

ただし、就業規則等に「労働者は1ヶ月前までに退職を申し出なければならない」等の定めがある場合があります。

この場合は判断が分かれるところがありますので注意が必要です。

基本的には民法の方(2週間)を優先されるとの判断ですが、過去の判例の中には就業規則の規定を優先する旨を認定したものもあります。

ですから揉めたくなければ就業規則等のルールにしたがったほうが無難でしょう。

辞める際の有給休暇

また、退職をする場合に有給休暇の扱いも知っておきましょう。

有給休暇は労働者の「権利」です。

それは退職届けを出したところで変わりません。

ですから辞める際に残っている有給休暇や代休を使うのは問題ありません

例えば「労働者は1ヶ月前までに退職を申し出なければならない」との就業規則があって1ヶ月前に申し出て、残った1ヶ月は丸々有給休暇を取得するといった感じでもなんら問題ないのです。

会社側は本来、有給休暇の取得について理由を求めたり、拒否はできないんですよ。(時季の移動は可能)

退職する際に有給休暇が余っていたらもったいないので使い切ってしまうのが理想ですね。(会社によっては残った有給休暇分をお金にしてくれる買取制度があります)




退職させてくれない場合の対策

前述のように基本的に退職するのは自由ですから2週間あれば可能です。

しかし、「後任が見つかるまで」、「引き継ぎが終わるまで」といった会社都合でなかなか退職させてもらえないという話をよく聞きます。

後任がなかなか見つからずズルズルと。。。というケースも少なくありません。

そんなときはどうすればよいのでしょう。

いくつかのパターンをご紹介しましょう。

上司が止めているケース

よくあるのが、退職の話をした上司が止めているケースです。

会社はそもそも退職の意思があることを認識していないんですよ。

このパターンの場合は上司の上司や総務部や人事部に直接相談すると解決するケースが多いです。

直属の上司だと労働関連の法律をあまりご存知ないケースも多いですからね。

まずは上司の上司や総務部や人事部に相談してみましょう。

会社ぐるみのケース

会社が退職の意思があるのを認識していても対応してくれない場合は外の機関に相談しないと解決しないでしょう。

まず、労働組合のある会社ならそちらに相談するのがおすすめ。

労働組合は労働者側の団体ですから基本的に会社側と交渉してくれるはずです。(組合によりますが)

それでも駄目なら「労働基準監督署」への相談が有効ですね。

労働基準監督署は労働基準法やその関連法令が守られているか監督する機関ですから、相談があればアドバイスや指導、是正勧告なんかが行われます。

労働基準監督署の指導、是正勧告には法的拘束力や罰則はありません。

ただし、労働関係法違反があるとハローワークで不受理にされたり、雇用関係の助成金が受けられない、企業名の公表なんてこともありますのでそれなりの効果は期待できます。

また、厚生労働省の「総合労働相談コーナー」なんかも無料で相談を受けてくれたりします。

退職代行の利用には注意が必要

最近、本人に代わって退職の意思を伝えてくれる「退職代行」というのも流行っています。

こちらの利用はお気をつけください。

一般的な退職代行会社は会社との交渉はできないんですよ。

あくまでこちらの要望を会社に伝えるだけの使者・・・

交渉をすると弁護士法のいわゆる非弁行為(弁護士じゃない人が法律事務しちゃだめよ)に当たってしまうからです。

ですから退職日や有給消化、退職金、未払給料、未払残業代などの話で揉めるケースが出てきます。

揉め事がなさそうなら一般の退職代行を使うのは止めませんが、そうでないなら弁護士や弁護士法人が運営している退職代行を使うのが無難でしょうね。




まとめ

今回は「会社を辞めたいのに認めてもらえない。法的な扱いを解説」と題して会社を辞めさせてもらえないときの話を見てきました。

会社を辞めさせてもらえないというのはよく聞く話ですが、法的ルールを知っていることでそのリスクを減らせるはずです。

ぜひ事前に学習しておきましょう。

基本的には円満退社がよいと思いますので、早くから引き継ぎ等をしっかりやっておくのがおすすめですけどね。

また、退職をするなら退職金の話も確認しておきましょう。

詳しくはこちらの記事を御覧ください。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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