金融庁はコインチェックのNEM(仮想通貨)流出事件をきっかけに仮想通貨交換業者への立ち入り調査を行っています。
それに伴い開催された「仮想通貨交換交換等に関する研究会」(2018年4月27日開催 第2回)ではその立ち入り調査の結果について報告がなされています。
これがかなり怖い内容でしたのでみなさんにも共有いたしたいと思います。
第一回の「仮想通貨交換交換等に関する研究会」も結構衝撃な内容でしたのでこちらも合わせてどうぞ。
4月10日開催された金融庁の「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第1回)議事次第がでていました。これがかなり面白い内容でしたのでご紹介したいとおもいます。前にご紹介した下記の統計もおもしろかったですね。このような統計[…]
※国税庁の発表内容を追記しました
金融庁による仮想通貨交換業者への立ち入り調査結果概要
昨年の4月に改正資金決済法が施行され、仮想通貨交換業は登録制が導入されました。
現在までに登録業者下記の16社となります。
出所:金融庁「仮想通貨交換交換等に関する研究会」(2018年4月27日開催 第2回)資料
マネーパートナーズ
QUOINE
bitFlyer
ビットバンク
SBIバーチャルカレンシーズ
GMOコイン
ビットトレード
BTCボックス
ビットポイントジャパン
DMMBitcoin
ビットアルゴ取引所東京
BItgate
BITOCEAN
フィスコ仮想通貨取引所
テックビューロ
Xtheta
またみなし登録は16社あったのが8社が申請取り下げなどで現在8社となっています。
コインチェック
LastRoods
バイクリメンツ
みんなのビットコイン
BMEX
ブルードリームジャパン
エターナルリンク
FSHO
先日マネックスグループの子会社となったコインチェックもここにあたります。
これらの登録・みなし業者への立ち入り検査が行われたのです。
現在までのところ
業務停止及び改善命令5社、業務改善命令7社と合計12社が対象となっています。(うち2社は2回該当)
この行政処分の内容が抜粋されていましたのでそれについて見ていきましょう。
ビジネス部門での行政処分
〈取り扱い仮想通貨の選定〉
・取り扱う仮想通貨が内包する各種リスクを適切に評価していない。その結果、適切な内部管理態勢が構築されていない。
〈不適切な通貨の販売〉
自社発行仮想通貨について、当社の自己勘定と社長個人の売買を対当させて価格形成を行っていたにもかかわらず、当該事実を利用者に説明しないまま、当該仮想通貨の販売勧誘を行っていた
これはひどいですね。特に社長個人の売買を対当させて価格形成を行っていたのは怖すぎです。
今までは本当になんでもOKの業界だったことがわかる話であると言えるでしょう。
詳しい内容はこれだけではわかりませんが、いくらでも価格を吊り上げることができていたと思われます。
リスク管理・コンプライアンス部門での行政処分
〈マネロン・テロ資金供給対策〉
・複数回にわたる高額の仮想通貨の売買にあたり、取引時確認及び疑わしい取引の届出の要否の判断を行っていない。
・法令に基づく取引時確認を十分に実施しないまま、仮想通貨の交換サービスを提供しているほか、疑わしい取引の届出の要否の判断を適切に実施していない。
・マネー・ローンダリング及びテロ資金供与リスクなど各種リスクに応じた適切な内部管理態勢を整備していない。
・取引時確認を検証する態勢を整備していないほか、職員向けの研修も未だ行っていないなど、社内規 則等に基づく業務運営を行っていない。
・疑わしい取引の届出の判断が未済の顧客について、改めて判断し、届出を行ったとしているが、当局 の指導にもかかわらず、当局が改善を要請した内容を十分に理解する者がいないため、是正が図られていない。
これもちょっと信じられない内容となっていますね。
「当局が改善を要請した内容を十分に理解する者がいないため」というのは特に辛辣ですね。
そもそも仮想通貨の急激な伸びに人材が追いついていないって感じともいえるでしょう。
逆にちゃんとできるところにとっては大きなチャンスとも読めますね。
〈利用者保護〉
・システム障害や不正出金事案・不正取引事案など多くの問題が発生しているにもかかわらず、顧客への情報開示が適切に行われていない。
・利用者情報の安全管理を図るための態勢が構築されていない。
そもそもお金を預けてはいけないレベルの業者も多かったってことなんでしょうね。
一消費者が外から業者を判断できるわけがありませんから今回のコインチェックの事件はいいきっかけとなったこともあり、ある意味よかったのかもしれません。
〈分別管理〉
・特定の大口取引先からの依頼に基づき、複数回にわたり利用者から預かった多額の金銭を流用し、 一時的に同取引先の資金繰りを肩代わりしていた事実が認められた。
・代表取締役が会社の経費の支払いに充てるため、利用者から預かった金銭を一時的に流用していた事実が認められた。
・100%株主である経営企画部長が、利用者から預かった仮想通貨(ビットコイン)を私的に流用していた事実が認められた。
・適正な業務運営を確保するための実効性ある経営管理態勢が不十分なため、利用者財産の不適切な分別管理や帳簿書類の一部未作成が認められた。
これも怖すぎです・・・流用が簡単にできてしまう状況であったことを考えるとこれもそもそもお金を預けてはいけないレベルの業者も多かったってことなんでしょうね。問題外過ぎます。
今回の資料だとどの問題がどこの取引所だったのかわからないのも怖いですね。登録業者も2社指摘を受けているので・・・
〈システムリスク〉
・システム障害や不正出金事案・不正取引事案など多くの問題が発生しているにもかかわらず、その根本原因を十分に分析しておらず、適切な再発防止策を講じていない。
・業容が急激に拡大する中、システム障害事案が頻発していたにもかかわらず、根本原因を十分に分析せず、適切な再発防止策を講じていない。
システム面でもお金を預けれるレベルにはないことがわかります・・・
〈外部委託先管理〉
・自社発行仮想通貨に関するセミナーへの勧誘等を行わせている外部委託先の活動状況等を把握しておらず、委託業務の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な措置を講じていない。
こういうのが仮想通貨のマルチ商法流行に繋がったんでしょうね。
仮想通貨のマルチ商法についてはこちらをどうぞ
内部監査での行政処分
・内部監査が実施されていない。
問題外すぎて話になりません(笑)
お金を流用しているのが多発しているのはここにも大きな原因がありそうですね。
そもそもビジネスとして大丈夫かってレベルです。
経営管理体制での行政処分
・取締役会は、業容が急激に拡大する中、業容拡大に応じた各種内部管理態勢及び内部監査態勢の整備・強化を行っていない。
・取締役会は、法令等遵守や適正な業務運営を確保するための実効性ある経営管理態勢を整備していない。
・取締役会において顧客保護とリスク管理を経営上の最重要課題と位置付けておらず、経営陣の顧客保護の認識が不十分なまま、業容拡大を優先させているなど経営管理態勢等に重大な問題が認め られた。
・経営陣は、自社の財務基盤・収益構造に関するリスク分析を行っておらず、合理的な経営計画を策定していない。
・ 業容拡大を優先させている状況において、監査役が機能を発揮していない
これも前述の内部監査とどうように企業として大丈夫か?ってレベルと言えます。
コインチェックの会見でも同じようなことを思いましたが・・・
これらの話をみるとある程度大きな母体の会社以外での仮想通貨取引は怖いのかと思ってしまいますね。
消費者庁へに相談事例
消費者庁への相談事例もかなり衝撃的でしたのでご紹介しましょう。
システム、セキュリティ等についての相談
・仮想通貨を700万円分保有していたがハッキング被害に遭い全て失った。
・仮想通貨取引口座に不正アクセスされ勝手に仮想通貨を買われ海外に送金された。購入に使われた借入金と金利を払いたくない。
・自分保有の仮想通貨が5倍に高騰したので売り、円に替えたところ、システムエラーを理由にトレード前に巻き戻された。
このあたりはよく聞く話っですね。本当に信用できる取引所、交換所かしっかり見定める必要があるといえます。
事業者の対応についての相談
・仮想通貨を19歳の息子が口座開設して取引していた。この取引所は規約上19歳なら親の同意が不要とのことだが、納得しがたい。
・誤ってスマホ用仮想通貨取引のアプリを消去、パスワードも忘れ、自分のIDに接続できない。業者はメール対応のみで返信遅く不満。
・仮想通貨を他の取引所に送金したが、5回のうち3回が反映されていない。現金の出金要請も記録がなく消えている。調査してほしい。
・仮想通貨の取引所の口座を間違えて振込した。返金を求めているが対応されない。
入金が反映されないのは取引所の問題なのか、システム上の問題なのかはわかりませんがこれは怖すぎます。
トラブルの有無等についての相談
・仮想通貨の投資に興味があり、取り扱っている業者をインターネットで調べ資料を請求したが、信用できる業者か知りたい。
・同居の娘あて、仮想通貨を扱っているような会社から葉書が届いた。仮想通貨に関してセンターに多く相談は入っていないか。
・息子宛に仮想通貨の会社から書留が届いた。不当な請求だったらどうしたらよい
ICOに関連すると考えられる相談
・将来上場するとネットで話題になっているICOのプロジェクトに参加したがトークンが発行されない。
・去年仮想通貨のICOで儲かる話をSNSで8人に紹介し、お金を振込ませたが、その後上場もなく紹介した人たちから返金を迫られている。
これは最近増えていると言われるICO詐欺ですね。
ICOは株でいうIPOみたいに仮想通貨が新規上場するってことです。
これを利用した詐欺が増えているそうなのでお気をつけください。
仮想通貨交換業者関連とは見込まれない相談
・仮想通貨の交換所の名前で「登録変更完了のお知らせ」と書かれたメールが届いたが、覚えがない。
・知人から仮想通貨のネットワークビジネスの勧誘を受けたが息子に大反対されている。業者の信用性を知りたい。
・知人に外国の政府が公認している仮想通貨の代理店にならないかと勧誘された。この事業者に苦情はあるか。
・友人が今年3月に発足する仮想通貨を使った投資グループの会員になり、複数の会員を勧誘している。勧誘行為等を止めさせたい。
2017年の億り人は331人
今回は仮想通貨のマイナス面ばかり取り上げていましたのでプラス面もご紹介しましょう。
先日国税庁から確定申告状況が発表されました。それによると2017年の仮想通貨での収入(雑所得)が1億円を超えたと確定申告した人は331人。
つまり、331人が1年で1億円以上仮想通貨取引で儲けたということになります。
2018年にはいってから暴落はしていますけどね・・・
まとめ
今回は金融庁の「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第2回)から仮想通貨交換業者への立ち入り調査の件を見てきました。
かなり衝撃的な内容でしたね。
どちらにしても業界がまだまだ黎明期であるってことがいえるのかもしれません。
これから淘汰されてくると思いますが、それらに巻き込まれないように自己防衛しておく必要を強く感じさせる内容でしたね。
「仮想通貨交換交換等に関する研究会」(2018年4月27日開催 第2回)の元資料はこちらから見ることができます。
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