4月に入社した新入社員の方はそろそろ3ヶ月が経ちました。
配属先も決まり会社に慣れてきたころかもしれません。
会社にもよりますが、そろそろ試用期間も終わり総務や人事もしくは労働組合から「従業員持株会」の案内を受けるころでしょう。
今回は持株会やストック・オプションで自社の株を買うことについて考えて見たいと思います。
自社の株を買うということの意味
持株会にしてもストック・オプションにしても自社の株を買うというということには変わりがありませんが制度としてはかなり違うものになります。
それぞれ比較してみていきましょう。
従業員持ち株会とは
従業員持株会とは「従業員が毎月一定の金額を拠出し、共同で自社株を買い付けていく仕組み」です。
つまり、自分の勤めている会社の株を買うってことです。
上場企業はかなりの会社で実施されていますし、未上場会社でも上場を目指している会社などは実施されているケースもあります。
こちらは福利厚生の一部として導入されているケースが多いですね。
会社側から見た従業員持ち株会メリット
従業員持株会は会社側から見るとメリットがたくさんあります。
ロイヤリティやモラール向上効果
例えば従業員が会社に対するロイヤリティ(忠誠心)が上がったり、モラール(士気)が高まったりする効果があります。
安定株主を得る
また、上場会社なら安定株主が得ることができ、株価対策や敵対的買収の防止につながるといったメリットも考えられます。
上場時の要件を満たしやすい
未上場企業なら上場時に要求される要件が達成しやすくなるというメリットもありますね。
IPO(新規上場)企業の株主構成は必ずチェックしていますが、中には筆頭株主が従業員持株会であるケースなんてのもあったりします。
つまり、会社から見たら良いこといっぱいなのです。
従業員側から見た従業員持ち株会のメリット
従業員からみた場合にもメリットはもちろんあります。
少ない金額から買える
まずは少ない金額から株を買えるということがあります。
株には単位がありほとんどの株は100株単位でしか買うことができません。
そのため1000円の株価の会社の株でも10万円が必要となります。
しかし、従業員持株会の場合には共同で自社株を買い付けていく仕組みであるため単位とかは考えなくて良いのです。
つまり、少額から購入できるというメリットがあります。
給料天引き
また、給料天引きで購入できますので気軽に始められるのもメリットでしょう。
奨励金
会社によっては奨励金が出ていたりする場合もあり、有利に購入できるのもメリットですね。
とくに奨励金が高い会社などはこのメリットが一番大きいかもしれません。
中には奨励金100%という会社もあったりします。
この場合には加入しない手はないですね。
株価の値上がりを享受
これは従業員持ち株会だけのメリットではありませんが、もちろん株が上がれば売却時に利益を得ることができます。
さらに未上場会社の株の場合で上場できればIPOで抽選で当たる場合の比ではなくかなり有利な金額で取得できているはずです。
かなりのプラスが期待できるでしょう。
従業員側から見た従業員持ち株会のデメリット
会社側から見るとほとんどデメリットはありませんが、従業員側からするとデメリットもあります。
リスクが集中
一番大きいデメリットがリスクが集中してしまうということです。
そこの会社に働いていますので給料や賞与はそこからもらいます。
さらに投資先も自社になるわけですからなにかあったときのリスクがかなり大きくなります。
会社が倒産すれば働き口を探さないといけなくなりますし、投資した株も二束三文になっている可能性があります。
つまり、ダブルでダメージを受けるのです。
最近は大手でも不祥事等が発生すれば買収されたり、上場廃止するケースもありますしね。
株が売れない可能性
非上場の持株会ですと特にそうですが売却が大変であるという点もあるでしょう。
お金が必要と思ってもすぐに売れないのです。
特に未上場だと会社に買い取ってもらうなどが必要ですが、なかなか首を縦に振ってくれないケースも。。。
末上場の会社の持株会に加入する場合には、退会時に株式をどのような条件で買い取ってもらえるのかを確認しておきましょう。
また、未上場の株だと現在の株価がわかりにくい点もあります。
買い取ってもらう価格なども入会する前に確認しておきたいところ。
私の知り合いもベンチャーに勤めていて上場しそうという状況で100万円くらい持ち株を買いましたが、実際はIPOが実現せず、そのまま100万円は還ってきてないそうです。
未上場の場合にはこういうリスクは考えておく必要があるでしょう。
株価が値下がりする可能性
これは従業員持ち株会だけのデメリットではありませんが、もちろん株が下がる可能性もあります。
奨励金がどれくらいでるのかにもよりますが、この点もおさえておきたいところです。
ストック・オプションとは
また、他にも「ストック・オプション」という制度もあります。
ストック・オプションとは「予め決められた価格で自社株を買う権利のこと」をいいます。
例えば100円で自社の株を買う権利を与えられたとします。
株価が1000円のときに権利を行使をしても、100円で株を買うことができますのですぐ売れば900円の儲けとなるのです。
こちらは給料や賞与の一部として実施されているケースが多いですね。
会社側から見たストック・オプションのメリット
ストック・オプションを会社側から見るとメリットがたくさんあります。
役員や従業員の経営参画意識の向上
まず一番大きいのがストック・オプションを付与された役員や従業員が経営参画意識が向上する点にあります。
株価が上がれば自分も儲かりますから、株価が上がるための動きをそれぞれがするようになります。
そうなれば企業価値もあがり、株価もあがるでしょう。
株価があがれば役員や従業員のストック・オプションでの報酬が増えるわけですからモラール(士気)、モチベーション(やる気)の向上も期待できるのです。
賞与の原資が少なくて済む
ストック・オプションを発行しても会社が直接お金を出すわけではありません。
そのため賞与を支払うための原資が済むことも大きなメリットです。
そのためお金がないベンチャーなどでもストック・オプションを使うことで優秀な人材を集めることができる可能性があります。
また、優秀な人材を引き止める効果も考えられますね。
会社側から見たストック・オプションのデメリット
ストック・オプションを会社側から見た場合にデメリットも考えられます。
株価が上がらないとモラール低下を招く
ストック・オプションは株価が上がらないと効果を持ちません。
そのため、株価が上がらないと報酬がなかったと同様になるのです。
そうなれば会社に対してのロイヤリティ(忠誠心)やモラール(士気)の低下が懸念されます。
また、非上場会社の場合にはIPOができなければ簡単に売ることができません。
そのためIPOがうまく行かなかった場合も同様の懸念があります。
どれだけ付与するかの基準が難しい
また、だれにどれだけストック・オプションを付与するのかという基準を策定するのが難しい点もデメリットといえるかもしれません。
頑張っているのにあいつはあんなに付与されたのに、俺はこんなけか・・・ってなってしまえばモラールが下がるのは必然ですしね。
従業員から見たストック・オプションのメリット
ストック・オプションを従業員側から見たメリットもたくさんあります。
持株会よりリスクが少ない
自分で自社の株を買った場合や持株会で自社株を買った場合と比較するとリスクが大幅に少ない点がまずメリットとして上げられます。
ストック・オプションは行使しなければお金がかかりません。
株価が十分にあがって売りたいなって思ったときに行使をすると株を買うことができます。
そのため株価が下落した場合には権利行使をせずにいれば損失を被ることはありません。
つまり、リスクがかなり少ないのです。
貢献が報酬に反映される
基本的にストック・オプションは会社に対する貢献度合いに応じて付与されるケースが多いですから、自分が頑張ればたくさんストック・オプションが付与されます。
また、会社の業績が良くなれば株価に反映されますから利益がでやすくなるのです。
つまり、自分たちの頑張り次第によって高額な報酬が得られるというのはメリットと言えるでしょう。
従業員側から見たストック・オプションのデメリット
ストック・オプションを従業員側から見た場合にデメリットも考えられます。
株価が上がらない可能性
株は自社の業績だけで決まるわけではありません。
例えば世界経済が低迷して株安になっている状況では自社だけが頑張っていても株価は上がりにくくなります。
そうなれば正当な報酬が受けられない可能性があるのです。
行使しなければ損はしませんが得することもありません。
もし賞与をすべてストック・オプションの付与となっていたら最悪0円であったということも。
つまり、自分たちの努力でどうにもならないところが報酬額に影響を及ぼしてしまうのです。
このあたりは大きなデメリットと言えるでしょうね。
行使するタイミングが難しい
基本的にストック・オプションを行使するのは売るタイミングになると思いますが、どこで行使をすればよいのかはかなり難しい選択となるでしょう。
このあたりはしっかり検討しておく必要があるでしょうね。
まとめ
今回は「デメリットも・・・自分の会社の株を買うことについて考える【従業員持株会】【ストックオプション】」と題して持株会とストック・オプションについてみてきました。
どちらも自社の株を買うという制度に違いはありませんが、だいぶ毛色が違うことはわかっていただけたと思います。
特に従業員側の点をまとめるとこんな感じです。
従業員持株会
奨励金が高ければかなり有利な制度
ただし、働く先と投資先が同じではリスクが大きくなる点に注意
未上場の場合には売却が難しい(IPO成功すれば大きな利益)
ストック・オプション
株が下がれば行使しなければいいだけなのでリスクは低い
行使するタイミングに注意が必要
未上場のままの場合にはあまり意味がない(IPO成功すれば大きな利益)
それぞれのメリット・デメリットをしっかり把握した上で加入の有無を検討してくださいね。(持株会の場合)
読んでいただきありがとうございました。
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