ソフトバンクIPOの当選株を私が辞退した理由

今週12月19日にソフトバンクHDの子会社ソフトバンクが東証一部にIPO(新規上場)します。

過去最大規模のIPOということで注目度はすごいですね。

私ももちろんお祭りIPOなので抽選にほどほどに挑戦しました。(全力でないのは後述するいくつかの理由が原因です。)

その結果は以下のとおりほぼ当選となりました。

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ソフトバンクIPO抽選結果

しかし、その後の情報や様々な点を加味してすべて辞退しました。

今回は私がソフトバンクIPOの当選株を辞退した理由について見ていきましょう。

ソフトバンクIPOについてあらためて考える


今回のソフトバンクは様々な点で注目度が高いIPOとなりました。

上場を前にして様々なネガティブ要素がでていますが、もちろんポジティブ要素もあります。それらを順番に整理してみましょう。

ソフトバンクIPOのポジティブ要素(過去の大規模IPOの成績)

まずソフトバンクIPOの抽選に挑戦した方の最大のポジティブ要素といってよいのがしばらくの間、大規模なIPOは全勝だったことです。

直近5年の時価総額が大きかった(吸収金額1000億円以上)IPO銘柄の公募価格と初値は下記のとおりとかなり成績が良いのです。

大規模IPOは当選確率も高く枚数をそれなりにゲットできますからプラス幅以上に利益が出るのです。例えば今回のソフトバンクは1500円で100株単位ですから1単位15万円です。1割あがったとしても利益は1万5千円と微々たるものです。

しかし、大規模なIPOの場合は複数枚ゲットできる可能性があるのです。例えば1000株手に入れば1割の上げでも利益は15万円。2000株手に入れば利益は30万円。さらに10,000株なんて手に入れば150万円の利益となります。(マイナスとなれば枚数が多ければそれだけ損失も広がりますけどね)

これを期待した方も多いでしょう。

正直、ポジティブ要素はこれくらいかもしれません・・・

メルカリ(4385)

フリマアプリのメルカリです。今回のソフトバンクを除くと2018年最大の新規公開株式公開(IPO)がメルカリです。

吸収金額1306億円、時価総額4059億円でした。

公開価格は3000円に対して初値は5000円 66.7%のプラスでした。

大きくプラスになりIPOで当選された方はかなり儲かりました。

SGホールディングス(9143)

佐川急便を運営する会社です。2017年最大の新規公開株式公開(IPO)でした。

吸収金額1276億円、時価総額5187億円

公開価格は1620円に対して初値は1900円 17.3%のプラスでした。

SGIホールディングスの規模と比べると今回のソフトバンクの規模がどれだけ大きいのかわかると思います。

九州旅客鉄道(9142)

次はJR九州です。

吸収金額4160億円、時価総額4160億円。

公開価格は2600円に対して初値は3100円 19.2%のプラスでした。

LINE(3938)

次はみなさんご存知LINEです。

吸収金額1328億円、時価総額6920億円

公開価格は3300円に対して初値は4900円 48.5%のプラスでした。

こちらも初値はかなり高く付きましたね。

日本郵政(6178)

次は3社同時に上場した郵便関連です。その郵便部門が日本郵政です。

吸収金額6930億円、時価総額6兆3000億円

公開価格は1400円に対して初値は1631円 16.5%のプラスでした。

かんぽ生命保険(7181)

次は郵便関連の生命保険部門のかんぽ生命保険です。

吸収金額1452億円、時価総額1兆3200億円

公開価格は2200円に対して初値は2929円 33.1%のプラスでした。

ゆうちょ銀行(7182)

次は郵便関連の銀行部門のゆうちょ銀行です。

吸収金額5980億円、時価総額6兆5250億円

公開価格は1450円に対して初値は1680円 15.9%のプラスでした。

リクルートHD(6098)

次はリクルートHDです。

吸収金額2138億円、時価総額1兆7784億円 リクルートでも時価総額1兆7千億円なんですよね。今回のソフトバンクの大きさがわかると思います。

公開価格は3100円に対して初値は3170円 5.7%のプラスでした。

直近5年の大規模IPOは全勝だが・・・

過去5年の大規模IPOは上記のように全勝となっています。ただし考えなくては行けないのが今回のソフトバンクのIPOは上記と比較しても規模がかなり大きいということです。

ソフトバンクの吸収金額は約2兆6千億円です。同時上場した日本郵政、かんぽ生命保険、ゆうちょ銀行を合計しても吸収金額が上回っておりこのあたりがどうなるのかは未知数ではあります。

ソフトバンクIPOのネガティブ要素

ネガティブ要素は正直たくさんあります。順番に見ていきましょう。

競合する携帯電話会社2社と比較して割高な株価設定

まずは直接競合する携帯電話会社2社(ドコモ、KDDI)と比較してかなり割高な株価設定となっていることです。この辺りがメルカリやLINEなどと違う点です。メルカリやLINEは直接比較する会社がありませんが、ソフトバンクは直接の競合が2社もいますからね。どうしても比較となってしまいます。

ドコモの時価総額、配当利回り

時価総額:9,760,223百万円(11/15)
配当利回り:4.26%(11/15)
1株配当(会社予想):110円
配当性向(会社予想):58.9%
株主優待:なし

ドコモの経営指標

PER:(連) 13.84倍(11/15)(会社予想)
PBR:(連) 1.57倍(11/15)(実績)

au(KDDI)の時価総額、配当利回り

時価総額:6,304,691百万円(11/15)
配当利回り:4.02%(11/15)
1株配当(会社予想):100円
配当性向(会社予想):38.7%
株主優待:100~999株保有=3000円相当のグルメ品(5年未満の保有)
100~999株保有=5000円相当のグルメ品(5年以上の保有)
1000株以上保有=5000円相当のグルメ品(5年未満の保有)
1000株以上保有=1万円相当のグルメ品(5年以上の保有)

au(KDDI)の経営指標

PER:(連) 9.64倍(11/15)(会社予想)
PBR:(連) 1.43倍(11/15)(実績)

ソフトバンクの時価総額、配当利回り

時価総額:7,180,700百万円(想定価格で上場した場合)
配当利回り:5%(予想)
配当性向(会社予想):85%(予定)

ソフトバンクの経営指標

PER:(連) 17.1倍(予想)
PBR:(連) 6.1倍(予想)

競合2社との比較まとめ

まとめるとこんな感じでです。ソフトバンクの割高さがかなり目立ちます。例えばau(KDDI)よりも今回のソフトバンクは時価総額が大きくなります。しかし、営業収益や営業利益ともau(KDDI)の方がかなり大きいです。つまり、au(KDDI)よりも割高な株価設定となっているってことです。

ドコモau(KDDI)ソフトバンク
営業収益(2018年3月期)4兆7694億円5兆0419億円3兆5470億円
営業利益(2018年3月期)9732億円9627億円6419億3500万円
PER13.84倍9.64倍17.1倍
PBR1.57倍1.43倍6.1倍
時価総額9,760,223百万円6,304,691百万円7,180,700百万円
配当利回り4.26%4.02%5%
配当性向58.9%38.7%85%
株主優待なし100~999株保有=3000円相当のグルメ品(5年未満の保有)
100~999株保有=5000円相当のグルメ品(5年以上の保有)
1000株以上保有=5000円相当のグルメ品(5年未満の保有)
1000株以上保有=1万円相当のグルメ品(5年以上の保有)
未定

詳しくはこちらの記事を御覧ください。

配当性向が高すぎる

今回のソフトバンク配当予定5%とかなり高いことが注目されています。

しかし、ちょっと気になるのが配当性向の高さです。配当性向とは利益のうちどれだけを配当に回すかってことで今回のソフトバンクはかなり高い水準にあります。このあたりは同じく配当の多い日本タバコ産業(JT)と同じですね。

配当性向が高いということはお金がそれだけ外部にでていくことを表します。とくにソフトバンクは親子上場で筆頭株主がソフトバンクグループです。つまり、悪い言い方をすれば親会社にお金を吸い取られる形となっているのです。ライバル2社は利益のうち何割かは将来の投資にお金を回すでしょうが、もともと2社と比較して利益が少ないソフトバンクが配当を出す割合が高いってことは将来の投資に回すお金がかなりすくなくなるってことです。そうなれば2社と比較して差がでてしまうことが容易に想像できます。

この配当性向なら今回上場するソフトバンクを買うよりも親会社のソフトバンクグループを買ったほうがよいと個人的には考えてしまいます。

配当性向が高いと出る弊害について詳しくはこちらを御覧ください。

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親子上場である点

回のソフトバンクはソフトバンクグループの親子上場である点はおさえておく必要があるでしょうね。親子上場は一般的に投資家に嫌われる傾向が大きいです。特に欧米ではあまりないため海外投資家の反応が気になる所です。

親子上場の問題点について詳しくは下記の記事をご覧ください。

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総務省からの価格引き下げ要求

これもまだこれから影響がでてくる話ですが将来的なソフトバンクにとってはかなり大きな影響となるでしょう。

総務省から携帯電話料金の引き下げ要求がきている点です。

価格を引き下げると単に売上が下がったときと違い原価は変わらずかかってきます。そうなれば利益をまるまる減らすことになりますので会社の経営にとってかなり大きな痛手となるのです。

ドコモは受け入れる方向のようですが、ソフトバンクがどうするのかが注目です。

ソフトバンクの通信障害

かなり大きな影響を与えそうなのが大規模な通信障害が発生したことです。しかもちょうどブックビル最終日の前日に発生しましたのでかなりキャンセルなどがでたという話もあります。

携帯電話はすでに世の中に必要なものとなっていますが、ソフトバンク以外に2社いますし、楽天も参入します。格安SIMもあります。つまり、ソフトバンクでなくてもよいのです。そんな中でこれだけ大きな障害が発生すると影響は少なからずあるでしょう。すでに携帯電話業界はキャリア間の差はほぼなくどこを使っても変わらないコモディティ化していますのでこれは致命的とも言えます。

どうやらソフトバンクが直接の原因ではないようですけどタイミングが悪すぎました。

ファーウェイ問題

これも大きいです。ファーウェイ問題。とくにソフトバンクは5Gでファーウェイと組む方向でしたし、4G基地局でもファーウェイのものをたくさん使っているようです。ファーウェイが排除されることになればそれらの改修が必要となります。つまり、多額の追加費用が発生することってことですね。これも上場にあたっての大きな懸念材料となるでしょう。

私個人的にはファーウェイのスマートウォッチ持ってますので微妙な気持ちですが(笑)

SBI証券の追加当選問題

心象の面でかなり影響を与えそうなのがSBI証券の追加当選の問題です。

これは今回のソフトバンクIPOの当選結果で例えば500株応募して100株当選となっていたのに、気づいたら500株当選となっていたって感じのようです。

どうやらソフトバンクIPOの補欠を辞退した人が多数発生したために追加当選としたようなんですね。(SBI証券の公式な発表では過小表記となっていましたとのことのようですが・・・)

このようなことは見たことがありませんし、そもそもSBI証券でIPOの当選はかなり微妙な株でも応募者多数でまず当たらなかったのが今回当選者続出しているのも不安材料となります。

まとめ

今回は「ソフトバンクIPOの当選株を私が辞退した理由」と題してソフトバンクIPOについて見てきました。

辞退したのは上記のネガティブ理由が多すぎること、例え初値でプラスになったとしても大きな儲けは期待できそうもなく、長期的に見ても持ちたい株ではないこと、最近の相場そのものがあまりよくないことから辞退することにしました。マイナスとなってもしれているでしょうから買っても良かったと言えば良かったのですがあまりにもネガティブな話が連続していますしね。私は迷うくらいなら買わない選択肢を選びます。

ソフトバンクの株価の今後について考えてみました。

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