株式投資は値ごろ感で行うな。【アンカリング効果】を意識しよう

最近、株式市場があまり調子がよくありません。

そんな状況からか値頃感から追加投資を検討している方が多く見受けられます。

これ実はかなり怖い行為なんですよ。

値ごろ感で株を買ってしまうのは行動経済学でよく言われる「アンカリング効果(アンカーリング効果」による罠みたいなものなのです。

今回は株式投資をする際に知っておきたい「アンカリング効果」についてみていきましょう。

アンカリング効果とは

アンカリングとは船の錨(いかり)のアンカーからきた言葉です。

最初(同時)に提示された数値や情報が、印象に残ることで基準(アンカー)となり、その後の判断に強く影響を及ぼす現象のことです。

最初に提示された情報が錨(アンカー)のように頭に引っかかりができてしまうんですね。

これをうまく使うことで消費者を誘導することが出来るのです。

これが株式投資にも大きな影響を及ぼしているのです。

アンカリング効果の実験

アンカリング効果の有名な実験がありますのでご紹介しましょう。

オークション開催前にたくさんの商品が書いてある用紙を配ります。

その商品の横に自分の社会保障番号(日本でいうマイナンバー)の下二桁を書いてもらいます。

そしてその後にオークションを開催します。

すると面白い傾向が出てくるのです。

社会保障番号の下二桁が大きい人ほどオークションで高い金額をつける

社会保障番号の下二桁は所得の順についているわけでもなんでもありません。

ですがなぜか社会保障番号が大きい人ほど高い金額を付けるのです。

これがアンカリング効果によるものなのです。

自分で商品の横に社会保障番号の下二桁を書いたことで無意識ですがその数値がその商品の価格の基準となってしまっているんですね。

まったく関係ない数値でも書いてしまうだけでアンカリング効果が発動してしまうのです。

小売店の例

アンカーリング効果は実際に小売店や飲食店、ネットショッピングなんかでもよく使われている手法です。

例えば10万円と価格だけ書かれた商品と10万円(通常価格30万円)と書かれた商品があったとしましょう。

10,000円
10,000円(通常価格30,000円)

この2つはまったく同じものだとしても後者の10万(通常価格30万円)を選択する人が増えます。

これは通常価格30万円が印象に残り基準と考えてしまうため安く感じるのです。

また、ネットショッピングなんかで下記のような時間限定でタイムセールなんかが行われることがあります。

10,000円
9,800円(30分限定)

対して本当はたいして安くなっていないのに買ってしまったことはないでしょうか?

これもアンカリング効果によるものです。

元の金額が基準となってしまうため安く感じてしまうんですよね。

ポイントなんかも同じです。

通常1倍ポイント(0.5%還元)なのに5倍ポイントデーなんかだと同じ商品でもかなりよく売れるようになります。

10,000円
10,000円(5倍ポイント還元)

しかし、これ冷静に考えると2.5%のポイント還元、つまり、通常の0.5%よりも2%増えているだけなのです。

そこまで安くなっているわけでもないのですが買ってしまうんですよね。



株式投資におけるアンカリング効果

それでは今回の本題である株式投資におけるアンカリング効果について考えてみましょう。

これはいろいろな場面で生じてしまっているのです。

あ、これアンカリング効果になっていると知っていたり、自分がアンカリング効果に囚われていると意識すればある¥程度防げる場合もあります。

ですからアンカリング効果を理解しておきたいところですね。

高値覚え

まずは今回の某銘柄で多く発生している話です。

高値覚え」です。

高値覚えとは株価が下落したあとでも高い時点での株価を忘れられずにそこに戻ることを期待している状態のことを指します。

例えば5,000円まで上がった株が2,000円まで下がりました。

つまり、5,000円のものが2,000円で売ってる割安なんだと勘違いしてしまう状態なんです。

5,000円にアンカー(基準)ができてしまっているので判断がおかしくなってしまっているのです。

会社の業績も変わりますし、外部環境も変わります。

それらが変われば適正株価も変わってくるのです。

また、株の世界は行き過ぎる傾向が強いです。

行き過ぎた状態が頭に残っているのは邪魔でしかないんですよね。

その時点での会社の価値を判断する必要があることを押さえておきましょう。

一番確実なのは現状の財務諸表や外部環境をしっかり分析した上で検討するってことでしょうね。

それならばアンカリング効果は働きません。

安値覚え

次はその逆です。

安値覚え」です。

安値覚えとは高値覚えの逆の話で過去の安値をアンカー(基準)としてしまう場合です。

例えば過去に1,000円まで売り込まれた株が復活して3,000円になっていたとしましょう。

業績は絶好調で今後の見通しは明るい。チャートもいい感じ。

しかし、過去に1,000円だったことが頭にあるとまた、下がってくるだろう・・・と買値を逃してしまうなんてことも。

こちらも過去の1,000円なんて忘れ、その時点での会社の価値を判断する必要があるってことなのです。

買値

また、多いのが自分の買値を強烈に意識してしまうことです。

そうなると会社の状況が以前と大きく変わっていたとしても冷静な判断ができない状態となります。

損切りができないケースもこの買値を意識しすぎてしまうためです。

逆に株価が一旦下がってまた上がって買値まで戻ったらそこで離脱。

儲け損なうなんてことも・・・

1ヶ月で○○%上昇

また、投資雑誌や投資サイトなんかでよくこの銘柄は1ヶ月で○○%上昇したとか載っていることがあります。

それは実際に事実なのでしょうが、その情報が入ってしまうことにより心にひっかかり冷静な判断ができていない状態があります。

これもある意味、アンカリング効果です。

こちらも同じです。過去は過去です。

その時点の価値で判断する必要があるってことを知っておきましょう。

人気ランキング

投資信託なんかでは特に多い傾向ですが、人気ランキングです。

これも現在一番人気の商品と言われるとそれが心にひっかかり冷静な判断ができていない状態があります。

これもある意味、アンカリング効果ですね。



まとめ

今回は「株式投資は値ごろ感で行うな。【アンカリング効果】を意識しよう」と題してアンカリング効果についてみてきました。

アンカリング効果はかなり大きな影響を及ぼします。

しっかり意識してコントロールしたいところですね。

特に意識したいのは過去の株価なんて関係ない。ってことですね。

買値、高値、安値などですね。

どうしてもそれら株価にとらわれてしまう方が見えます。

あくまでも今の時点での会社の価値、チャート、外部環境などで判断しましょう。

過去に囚われても株式投資の世界ではあまりいいことはありませんよ。

また、合わせて投資格言も知っておきましょう。

特に「落ちるナイフを掴むな」とかは今回のケースに非常に合致した格言ですよ。

詳しくはこちらの記事を御覧ください。

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また、今回の話に絡むプロスペクト理論サンクコストについても理解しておきたいところ。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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