2025年4月、トランプ前大統領は、ほぼすべての輸入品に対して10%の一律関税を課すとともに、特定の国に対して最大49%の相互関税を導入する新たな貿易政策を発表しました。
さらに中国などは対抗措置を取ったために145%(一説には245%)というトンデモナイ関税となっています・・・
これにより、米国株式市場は大きく反応し、S&P500やナスダック指数は大きな下落を記録しました。
特に、テクノロジーセクターでは、Nvidiaが中国向けAIチップの輸出制限により55億ドルの損失を見込むなど、大きな打撃を受けています
米国株は過去の成長が著しかったことからNISAなどで「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」など米国株を買っている方も多いのではないでしょうか?
「このまま米国株だけで大丈夫かな?」「全世界株式(オルカン)に乗り換えた方がいいのかな?」と不安に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、トランプの追加関税が米国株にどんな影響があるのか、そして私たち投資家はどのように考え、行動すべきなのかを、分かりやすく解説していきます。
トランプの追加関税の概要
まずは本記事の前提となるトランプが導入する追加関税の概要についてみていきましょう。
トランプの追加関税の内容
たとえば、日本、中国、ドイツ、韓国などは米国との貿易黒字国として、高関税の対象になります。
日本は24%、その他主な国・地域では欧州連合(EU)の税率は20%、中国は34%、韓国は25%、インドは26%となっています。
英国は最も低い10%です。
計算の根拠は非関税障壁などを含めた各国の関税の約半分とのことですが、計算の根拠も不明で一部報道では計算が間違っているというのもでていました。
なお、中国はこのトランプ関税に対抗措置を取ったことにより、アメリカもさらなる対抗措置を取り、累計145%(一説には245%)となるとのこと。
他に高税率となっているのはカンボジア49%。ベトナム46%、スリランカ44%となっています。
なお、対抗措置をとっていない国に対しての追加関税は90日延期となっています。
ただし、一律の10%の関税や自動車、鉄鋼などには追加関税がかかったままです。
現在の主なトランプの追加関税(相互関税)状況は以下の通り。
製品/国 | 関税率 | 発行日 | 注記 |
ほぼ全ての輸入品 | 10% | 2025年4月5日 | 基本税率 |
中国からの輸入品 | 145% | 2025年4月9/10日 | 大部分の輸入品 |
57カ国 | 11%-50% | 2025年4月9日 | 大部分が90日間一時停止(中国を除く) |
自動車 | 25% | 2025年4月3日 | |
自動車部品 | 25% | 2025年5月3日 | 主要部品 |
鉄鋼 | 25% | 2025年3月12日 | |
アルミニウム | 25% | 2025年3月12日 | |
半導体関連部品 | 検討中 | 一時除外 |
想定される影響
それでは今回のトランプ関税、どのような影響が予想されるのでしょう。
経済全体への影響(米国側)
まず、アメリカ側にも大きなマイナス点があります。
輸入品の価格上昇 → インフレ圧力が高まる
企業のコスト増 → 利益圧迫
消費者の購買力低下 → 景気へのマイナス効果
世界的な貿易摩擦の再燃 → グローバル経済の減速リスク
などです。
すでにトランプの政権内にいるイーロン・マスクなども猛烈に反対していますね。
日本企業への影響
日本も当然大きな影響があります。
・米国向けの輸出依存度が高い企業ほどダメージ大
・特に自動車、電子機器、化学製品などは高関税の直撃を受ける
・サプライチェーンの混乱・原材料費の上昇にもつながる
為替への影響も当然考えられます。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。

米国株インデックスファンドへの影響とオルカンへの乗り換え
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)などの米国株インデックスファンドは、これまでの経済成長と企業の収益性の高さから、多くの投資家に支持されてきました。
過去の成績もオールカントリーよりも良いんですよ。
しかし、今回の関税政策により、以下のようなリスクが浮上しています。
・企業収益の圧迫:輸入コストの増加や報復関税により、企業の利益率が低下する可能性があります。
・消費者心理の悪化:物価の上昇が消費を抑制し、経済成長の鈍化につながる恐れがあります。
・市場のボラティリティ増加:政策の不確実性が市場の変動性を高め、投資家のリスク許容度に影響を与える可能性があります。
これらの要因から、米国株インデックスファンドの短期的なパフォーマンスには注意が必要になってきました。
全世界株式インデックスファンド(オルカン)への乗り換えの検討
eMAXIS Slim全世界(オール・カントリー)など全世界株式インデックスファンド(オルカン)は、米国を含む世界中の株式市場に分散投資を行うことで、特定の国や地域のリスクを軽減することができます。
しかし、ほとんどのオルカンが時価総額加重平均株価指数を採用しているため、時価総額が大きい米国が大きな割合を占めています。
投資先の約60%以上が米国企業なんですよ。
完全に米国リスクを排除することはできません。
それでも、オルカンへの投資は以下のようなメリットがあります。
・地域分散によるリスク軽減:米国以外の市場が好調な場合、全体のパフォーマンスを下支えする可能性があります。
・新興国市場の成長取り込み:新興国の経済成長をポートフォリオに取り入れることができます。中国やインドは投資の世界では新興国扱いなんですよ。
ただし、オルカンも前述したように米国株が60%を占めています。
また、米国市場がこければ他の国にも当然影響が出てきますから、完全なリスク回避策ではないことを理解しておく必要があります。
なお、米国株を除く全世界株インデックスファンドというのも存在しています。
これなら米国だけコケた場合には有効ですね。

投資戦略の見直しと今後の対応
現在の市場環境を踏まえ、以下のような投資戦略の見直しが考えられます。
まとめ
今回は「トランプ追加関税で米国株は危険?いま全世界株(オルカン)に乗り換えるべき?」と題してトランプ関税のインデックスファンドへ与える影響についてみてきました。
トランプ大統領の追加関税政策は、米国株式市場に大きな影響を与えており、投資家はポートフォリオの見直しを迫られています。
全世界株式インデックスファンド(オルカン)への乗り換えは、地域分散によるリスク軽減の一手として有効ですが、米国市場の影響を完全に排除することはできません。
個人的な見解としては「トランプ氏の追加関税の可能性“だけ”を理由に、慌てて米国株ファンドを全て売却し、オルカンに乗り換える必要はない」 と考えます。
しかし、これを機に、ご自身の投資方針やリスク許容度を再確認し、ポートフォリオ(資産配分)を見直す良い機会と捉えることをお勧めします。
投資は自己責任ですが、冷静な情報収集と長期的な視点を持って、賢く資産形成を進めていきましょう!


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