先日知り合いの方から下記のような質問をされました。
今回はプロ野球選手の年金問題について解説していきましょう。
プロ野球独自の年金制度は存在していたが・・・
もともと、プロ野球選手、監督、コーチ、審判のための年金制度が存在していました。
選手から掛け金を集めてそれを原資に運用。
55歳から年間120万円を支給するという年金制度でした。(10年以上選手登録が条件)
これは年5.5%の運用という計算ですから国民年金基金の当初と同等な利回りとなっています。
2011年に財源不足が原因で解散
しかし、当時の株式市場の状況ではそんな利回りで運用できるわけもなく大きな赤字(52億円)を抱えてしまったのです。
ちなみに国民年金基金が新規加入者の利回りをどんどんさげているのもそんな理由からです。
プロ野球の年金制度は他の確定給付型の企業年金と同様に財源不足が問題となり2011年に解散をしています。
なお、残った積立金13億円は日本野球機構13億円がプラスする形でOBを中心に返金したとのことです。
つまり、現在はプロ野球独自の年金制度はなくなっているのです。
メジャーリーグは年金制度が健在
ちなみにアメリカのメジャーリーグはプロ野球の年金制度があり、10年メジャーで活躍すると終身で毎年2,300万円ほど支給されるというすごい状況が続いています。
これは日本と違ってアメリカの株式市場が好調だったのが大きいのでしょうね。
こんなところも日本人がメジャーを目指す要因の一つになっていそうです。
独自の年金制度の代わりに3つの制度が導入
独自の年金時代はなくなりましたが、3つの制度が導入されています。
支配下10年以上選手養老補助制度と退団金共済制度と年金制度加入への補助制度です。
支配下10年以上選手養老補助制度とは
支配下10年以上選手養老補助制度とは
日本プロフェッショナル野球組織に所属され、支配下登録10年以上を記録された元選手に対し、球界で長年に渡りご尽力いただいた功労に報い、高齢者となった際の養老に資することを目的に、それぞれ55歳時と60歳時に補助金として各50万円の一時金を当機構からお支払いする制度です。
出典:日本野球機構 「支配下10年以上選手養老補助制度に関するお知らせ」より
簡単に言えば2回55歳時と60歳時に50万円がもらえる制度です。
年金と違い毎年出るわけではなく2回だけの一時金ですけどね。
退団金共済制度とは
もう一つは退団金共済制度です。
こちらは任意での加入となり、一口10万円で年間50口まで自分で積み立てる制度です。
退団後に税金(特にあとから来る住民税)で困ってしまう方が多いのでそうならないための強制貯金に近いような制度のようです。
退職金みたいなものですね。
それ以外の退職金は制度としてはなく、入団時にもらえる契約金が退職金みたいな扱いになっているとのこと。
国民年金基金などに加入する場合の補助制度
また、「国民年金基金」など国の年金制度に加入する場合、 球団から毎年53.5万円まで補助金が支給される制度もあるようです。
なお、この話の日本プロ野球選手会が出しているプロ野球目指す方向けのパワポ資料だけですので、どの年金制度が対象なのか、そもそもまだ存在しているのかはわかりませんが・・・
プロ野球選手は基本的に個人事業主:国民年金
前述のようにプロ野球選手のための年金制度はなくなってしまっています。
そのため、一般の方と扱いは同じです。
ちなみにプロ野球選手は球団と業務委託契約を結んでいる個人事業主で会社員ではありません。
そのため、他の個人事業主の方と同じく国民年金の加入となります。
国民年金だけでは不安・・・
プロ野球選手は収入も多い方が多いですが、その分出費も多く、引退後破産してしまう方もあとを絶ちません。
そのため、国民年金だけでは将来の年金が不安な方が多いようです。
ラチェット効果といって一度上げてしまった生活水準を元に戻すことは難しいと言うのもありますしね。
ちなみに国民年金加入だけだと年金平均支給額は国民年金5.5万円というデータもあります。。。
ですからお金について意識が高い方は付加年金や小規模企業共済や国民年金基金、iDeCoに加入しているようですね。
ただし、国民年金基金もプロ野球選手向けの年金制度と同じような仕組みであまり財政状態はよくありませんので個人的には付加年金+小規模企業共済+iDeCoの組み合わせをおすすめしますが・・・
個人事務所を作っている場合:厚生年金
前述のようにプロ野球選手は個人事業主です。
しかし、ある程度稼いでいる方からすると個人事業の場合に掛かる所得税よりも法人の場合に掛かる法人税の方が低くなります。
そのため、個人事務所を作ったり、どこかの事務所に入ってそこと球団が契約している方が多いとのこと。
そして事務所から給料をもらう形にするのです。
この場合はその法人(個人事務所)の役員(もしくは社員)ですから厚生年金の対象となります。
※常時従業員を使用する法人は厚生年金の強制適用です。
厚生年金でもiDeCoは加入可能
前述の付加年金や小規模企業共済や国民年金基金は厚生年金の方は加入できません。
しかし、IDeCoは上限は少なくなりますが加入可能です。
収入が多く税金対策が大変なプロ野球選手でそのあたりの知識がある方はiDeCoに加入している方が多いでしょうね。
なお、iDeCo(個人型確定拠出年金)ってなに?方は以下の記事をご覧ください。
この記事をみれば「iDeCo(個人型確定拠出年金)制度」から「NISAとの違い」、「おすすめ金融機関」、「おすすめ商品」、「いくら積み立てればよいのか」などを網羅的に確認することができますよ
まとめ
今回は「プロ野球選手の年金はどうなっているのか?厚生年金?国民年金?それとも独自年金制度がある?」と題してプロ野球選手の年金問題について見てきました。
まとめると以下の通り、
- 独自年金制度はあったものの2011年に解散
- プロ野球選手は基本的に個人事業主なので国民年金
- 個人事務所を持っていたり、事務所に入っていれば厚生年金
お知らせ:You Tubeはじめました。
You Tube「お金に生きるチャンネル」をはじめました。
You Tubeでも少しでも皆様のお役に立てる動画を定期的に発信していきますのでチャンネル登録をぜひよろしくお願いいたします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。