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知らないと損する!民事再生法と破産の違い│AI企業オルツの民事再生申請で注目の再建型手続きを徹底解説

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知らないと損する!民事再生法と破産の違い│AI企業オルツの民事再生申請で注目の再建型手続きを徹底解説

粉飾決算が発覚し上場廃止(2025年8月31日予定)となるオルツは、2025年7月30日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請しました。

負債総額は約24億円、スポンサー型再建を目指すと報じられています。

民事再生法は「事業を続けながら債務を整理し、会社を再建」するための法的枠組みです。

破産のように会社を清算せず、現経営陣が原則続投できる点が最大の特徴。

今回は粉飾決算をしたオルツが民事再生法の適用を受けられるの?なんて疑問をお持ちの方も多いと思いますのでその点も踏まえて解説していきます。

目次

民事再生法とは?わかりやすく基礎を整理

まずは民事再生法とはなにか?についてみていきます。

民事再生法の目的

民事再生法は、「事業を継続したまま負債を整理し、再建を図る」ことを目的とする再建型倒産手続きです。

破産や特別清算と違い、経営陣が原則続投でき、技術・雇用・取引先との関係を維持しやすい点が最大の特色です。

法的根拠と管轄裁判所

根拠法は民事再生法(平成11年法律第225号)で、管轄は地方裁判所。

申立てから再生計画の認可まで、約6〜12か月が標準的スケジュールとされています。

再建型手続きの“入口”と“出口”

  • 入口:弁済不能またはそのおそれ、かつ再建可能性あり
  • 出口:債権者集会で可決(議決権総額の2分の1超+頭数過半数)し、裁判所が再生計画を認可すると終結します

民事再生法と破産・会社更生の違いを徹底比較

民事再生と破産、会社更生の違いもみておきましょう。

結構違うんですよ。

比較項目民事再生法破産法会社更生法
目的事業継続し再建資産換価し清算大企業の再建
経営陣原則続投全員退任退任必須
主体債務者主導管財人主導管財人主導
適用範囲個人・法人個人・法人原則上場大企業
債権者同意議決権総額50%+頭数過半数不要3分の2超
適用要件弁済不能のおそれ+再建可能性支払不能・債務超過再建可能性+公益性
必要コスト
公開性高(官報公告)最高
株式価値残存または希薄化原則ゼロ殆ど希薄化
債権回収率高め低い中〜高
上場維持原則不可廃止廃止

清算型の破産と比べ、民事再生法は投資家の回収率が高まる可能性がある一方、再建が失敗すると破産へ移行する二段構えリスクもあります。

また、民事再生は適用要件が弁済不能のおそれ+再建可能性となっており、必ずしも支払不能・債務超過になっていなくても対象となり得るのが今回のオルツの件のポイントですね。

オルツの粉飾決算と民事再生申請までのタイムライン

次にオルツが上場してから民事再生申請するまでのタイムラインを確認してみましょう。

日付出来事解説
2024/10/11新規上場
2025/4/25議事録AI「AI GIJIROKU」で売上過大計上疑惑を公表第三者委員会を設置
2025/6/30負債総額約24億円が判明借入金の約7割が短期債務
2025/7/25調査報告で粉飾決算を正式認定信用棄損→資金繰り悪化
2025/7/30上場廃止決定東京証券取引所が決定
2025/7/30東京地裁へ民事再生法申請再建型を選択しスポンサー募集へ

上場して1年経ってなくて上場廃止、民事再生申請ですから監査法人や主幹事、上場を承認した東証の責任問題という話も出てきますね。

粉飾決算の内容等はこちらの記事でまとめております。

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オルツが会社更生や破産ではなく民事再生の理由

民事再生は「会社も雇用も残したい」ケースで選ばれます。

破産は「清算してやり直す」最終手段です。

また、会社更生を適用するには規模や公益性が必要ですので民事再生が選ばれたのでしょう。

今回のオルツは負債額24億円と会社更生ほど大規模でないはないですしね。

民事再生法が適用される4つの条件

なお、今回のオルツは民事再生を申請したというだけです。

実際に適用されるかどうかは以下に4つの適用条件で判断されます。

弁済不能またはそのおそれ(キャッシュ不足)
再建可能性がある(事業価値・スポンサー候補)
再生手続費用の予納金納付(負債総額で変動)
再生計画案が債権者集会で可決(前述の議決権要件)

原則提出期限は再生手続開始決定から2〜3か月以内(延長可)。

可決後は裁判所認可により効力が生じます。

ステークホルダー別影響

それぞれのステークホルダー別のインパクトは以下の通り。

ステークホルダー想定インパクトリスク管理策
株主希薄化・減資①再生計画を熟読 ②議決権行使
債権者元本カット・弁済繰延①弁済率交渉 ②担保権実行
従業員賃金カット・人員整理①労組交渉参加 ②転職準備
取引先与信縮小①担保取得 ②決済条件変更
顧客サービス停止リスク①代替ベンダー検討

なお、株主は民事再生でも普通株が100%減資+新株発行となるケースもあり、株主への配分はゼロの可能性があります。

過去の同様のケースだとそのパターンが多かったですね。

ただしスポンサーがDES(Debt-to-Equity Swap)を行う場合、旧株主に数%の持分が残る事例もあります。

オルツは上場廃止もしますが、株主はそのまま持ち続けるのかは慎重に考えたいところです。

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粉飾決算でも「民事再生」は認められる?過去事例を分析

オルツのような粉飾決算でも民事再生は認められるのか?疑問に思う方もお見えでしょう。

過去の事例を調べてみました。

企業名/申請年粉飾の概要手続きの結果ポイント
白井松器械(医療機器)/2023年20年以上にわたり売上・借入を水増し再生計画認可決定老舗ブランドと販売網が評価され再建型を選択
プロデュース(機械装置)/2008年循環取引で3年間に117億円売上を捏造民事再生申請・上場廃止。事業をスポンサーに譲渡粉飾でもスポンサーと事業価値があれば再建可能
エフオーアイ〈FOI〉(半導体製造装置)/2010年売上高の約98%を架空計上(118億円→実際約2億円)民事再生を選択できず破産手続開始決定・上場廃止スポンサー不在・資産評価困難で清算型へ移行

白井松器械やプロデュースは粉飾案件ですが民事再生が認められていました。

一方、エフオーアイは民事再生が認められず破産手続きです。

ちなみにライブドアは法的手続きなしの自力再建(紆余曲折を得てLINEに繋がっています)、カネボウは会社更生法ですね。

なぜ粉飾決算でも民事再生が許されるのか?

過去の事例を見る限り粉飾決算=即破産ではありません。

裁判所の役割は「債権者の経済合理性」を最大化することなんですよ。

ですから粉飾決算の責任は刑事・民事で別で処理しつつ、事業価値>清算価値なら再建型が優先されます。

つまり、事業価値外部スポンサーが揃えば、裁判所は再建の道を残す可能性が出てくるってことですね。

ただし、粉飾で上場廃止となったエフオーアイ(FOI)は民事再生を目指すもスポンサーが不在、資産評価が困難であったことなどから破産となったようです。

オルツの場合もFOIと同様に粉飾の度合いが大きく実際の事業価値が技術など見えない部分も含めてどの程度あるのか外部スポンサーが見つかるのかという点がポイントとなりそうです。

まとめ

今回は「知らないと損する!民事再生法と破産の違い│AI企業オルツの民事再生申請で注目の再建型手続きを徹底解説」と題してオルツの民事再生申請の話を中心に民事再生その他の手続きについてみてきました。

民事再生法 わかりやすく理解しておけば、オルツのような事例に直面しても「不安→解決策→具体アクション→追加メリット」の流れで迷わず判断できます。

既存株主の人は慎重に対応をご検討ください。

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