株式は上場をすると証券取引場内での売買が可能になります。
企業としては多くの方に株を持ってもらう機会が増えますし、投資家としてはその企業の株が簡単に買えるようになるメリットがあります。
しかし、年に数件は上場廃止をする会社がでてきます。
「倒産」はもちろん「買収」や「合併」、さらには「戦略的理由」などいろいろなケースが今までありました。
それでは上場廃止をする段階でも株を持ち続けたらどうなるのでしょう?
私は2回ばかり株主としての上場廃止後の株保有の経験がありますし、ボロ株企業に勤めていましたので上場廃止も経験があります(笑)
今回は上場廃止する際に株を持ち続けていたらどうなるのかを見ていきましょう。
上場廃止で変わること、変わらないこと
それでは上場廃止になるとどうなるのかを見ていきましょう。
上場廃止になると株の売買が難しくなる
当たり前と言えば当たり前ですが、上場廃止をすると株の売買がかなり難しくなります。
上場しているときには簡単に売り注文を出すだけで売ることができましたし、買い注文をだすだけで買うことができました。
しかし、上場廃止となると証券会社で取引ができませんから、売買しようにも買い手や売り手を自分たちで見つける必要があるためです。
また、売買の手続きも自分たちでしなければいけなくなります。
かなり売買が大変になるんですね。
そのため、上場廃止の1ヶ月前程度には「整理銘柄」として上場廃止をすることを周知する期間が取られます。
上場廃止しても株主の権利はそのまま
上場廃止をするとその時点で株の価値がなくなると思ってらっしゃる方も多いですが、実はそうではありません。
株主の権利はそのままなのです。
議決権や配当を貰う権利なども当然継続します。当然、株主総会とかも開かれます。
なお、理論上は株主優待も権利はそのままですが、多くの場合は上場廃止すると株主優待は廃止されるケースがほとんどです。
ただし、上場廃止理由が倒産だったり、業績不振により証券取引所の基準を下回ったような場合はなかなか配当等は期待薄ですけどね。
業績はよいけど戦略的な理由で上場廃止をする企業がたまにありますがそういったところはそのまま株をもっておくのもありといえばありなのです。
例えば吉本興業なんかがそうですね。
上場廃止が決まると株価は乱高下
ちなみに上場廃止が決まると多くの場合は株価が暴落しますが、ある程度まで下がった段階で暴騰するなどマネーゲームの対象となりがちです。
特にデイトレーダーが大量参入してくるのもこの時期ですね。
例えば10円の株が11円にあがるだけで10%の利益ですから狙われやすくなるのです。
名古屋ドル紙幣バラマキ事件
昔から株をやっている人は覚えている方も多いでしょう。
2003年12月23日に名古屋のテレビ塔でお金(ドル紙幣)がばらまかれた事件がありました。
これは2004年1月に上場廃止することが決まっていた足利銀行(あしぎんファイナンシャルグループ)の株が1円から24円まで一気に上がったときに岐阜在住のデイトレーダーが大儲けしてお金に嫌気が指してお金をばらまいたと言われています。
このような乱高下がある可能性があるためにマネーゲームの対象となりやすいのです。
TOBの場合
前述のように上場廃止しても株主の権利はそのままですから会社の財務状態や業績、配当などによって考えられる株価が意識される形が基本です。
しかし、どこかの企業の完全子会社化を目指すために上場廃止するようなケースではTOB価格で買い取る提案がなされますから、その価格を基準として乱高下しやすくなりますね。
上場廃止しても株を持ち続けるとどうなるのか?
前述のように上場廃止をしても株主の権利はそのまま継続します。
しかし、そうはうまくいかないケースがほとんどです。
民事再生のようなケースでは下記の減資のケースが殆どで無価値に近い状況になるケースが多いです。
また、民事再生でなくても上場していない会社としては株主がたくさんいても良いことはあまりありません。
招集通知を出したりなど様々な場面で費用が余分に掛かりますし、株主総会も大変です。
つまり、少数株主を排除する方向に舵を切るケースが多いのです。
そこで以下のような措置が取られるケースが多いです。(揉めたり、裁判になるケースも多いですが・・・)
減資
まず多いパターンが減資ですね。
言葉の意味の通り、資本金を減らすことを意味します。
100%減資
まず多いのが100%減資です。
100%の減資は簡単に言えば株の価値がすべてなくなるよってことですね。
民事再生などのケースでは多くはこのパターンとなります。
つまり、一旦リセットして一からスタートを切るってことですね。
既存の株主はまるまる損をして終わることになります。
99%減資
次は99%減資です。
99%減資なら株数が100分の1となります。
このケースは理論上の株価は100倍となります。
しかし、多くの場合はこれと第三者割当増資がセットになっており、結局希薄化され理論上の株価も激減します。(揉めるケースですね)
株式買取り
また、株を買い取る提案を出されるケースもあります。
多くの場合はその時点の財務状況等を元に株価を算定しますから業績が悪いケースだとかなり低い株価が提案されるでしょう。
この場合はまったくゼロにはなりませんが、大きな損失で終わるケースが多いですね。
上場を目指していた会社に勤めていて、自社株を購入。
その後、業績が悪化したようなケースでもよくこのやり方が取られて大損した方の相談を受けたことがあります。
100万円で買った株なのに買取額は数千円だったとか・・・
私の経験
前述のように私も2度ほど上場廃止をする株を最後まで掴んでいましたし、ボロ株の中の人でした。その経験をご紹介しましょう。
ライブドア
まずは皆さんご存知「ライブドア」です。
ライブドアは2006年に有価証券報告書の虚偽記載事件が発覚して上場廃止することになります。
私は上場廃止寸前に記念でライブドア株とライブドアマーケティング株を数株買いましたね。
いくらで買ったのかは覚えておりませんが、全部で1000円いかなかったくらいだと思います。
当時は上場廃止すると紙ベースの株券が発行されるルールになっていましたので株券が欲しかったんですよ(笑)
あとチャンスがあれば大荒れ必須の株主総会行ってみたいな・・・ってのもありました(予定が合わず行きませんでしたが)
上場廃止後は書類のやり取りを何度か行いようやく株券をゲットできたのを覚えています。
その後、ライブドアは途中減資したり、ネイバーまとめで有名なネイバーに買収されますが、その前後にいろいろ書類がきていつの間にか株主としての権利がなくなったようです(笑)
たぶんいろいろ手続きを踏めばなんらかのアクションがあったようですが、金額が金額なのでそのままにしてたんですよ。
とりあえずライブドアの株券を1000円くらいで買った感じですね。
ライブドアとライブドアマーケティングの株券は今でも記念に取ってあります。(付箋は株主番号)
ちなみにライブドアの株券のヤフオクの入札をみると平均落札価格が1,800円とのことです。
売りませんが、売ってもぜんぜん元が取れたんですね(笑)
レントラックジャパン
もう一つはレントラックジャパンという会社の株です。
これは私が国内株を初めて買った株(株自体は中国株のレノボが一番はじめ)でしたが、カルチャコンビニエンスクラブ(CCC)の子会社化したことで上場廃止となりました。
もともとCCCの社長が別で始めた会社で大口取引先がCCCという感じでしたので想定内の流れでしたけどね。
詳細の流れは覚えていませんが、レントラックジャパンの株がCCCの株に株式交換で変わったような気がします。
レントラックジャパンはそれまでにテンバーガー(10倍)になって半分くらいは処分していましたし、ぜんぜん損はない上場廃止でした。
ちなみにレントラックジャパンに目をつけたのは四季報を読みまくったことによるものです。
ROEの異様な高さと事業の内容的に社長が同じCCCが大口顧客で儲からないわけないじゃんという部分でしたね。
四季報の読み方はこちらの記事を御覧ください。
ボロ株の中の経験
ボロ株の中の経験は語れないことも多いですが、株を持ったまま上場廃止になってしまった方は大きく損をしていますね。
前述のように上場していない会社としては株主がたくさんいても良いことはあまりありませんからどうしても排除の方向に舵をとりがちなのです。
中の人達も株主に対しては腫れ物やクレーマーに触るような扱いで少数株主対策はかなり話し合われました。
そのため、上場廃止後の株主総会はかなり大変でしたね。。。
なお、私のボロ株会社勤務時代の話はこちらを御覧ください。
まとめ
今回は「上場廃止する会社の株をそのまま持ち続けたらどうなるのか?」と題して上場廃止と株の関係を見てきました
まとめると以下のとおりです。
- 上場廃止となると株の売買が大変になる
- 上場廃止されても株主の権利はそのまま
- 倒産企業の株式はほぼ無価値
- 上場廃止後は株主に冷たい企業が多い
中には再上場をするケースなどもありますが、多くの場合はその時点までに株主も入れ替わらざる得ない状況となっています。
つまり、上場廃止後に株を持ち続けてもあまり良いことは少ないのです。
そのことをしっかり理解した上で上場廃止間際の会社の株は売買したいところですね。
なお、話題のNTTドコモの件はこちらの記事を御覧ください。
株の売買するならSBI証券がおすすめですよ。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。