2025年は円建ての金価格が過去最高を更新しました。
足元でも上値を追う展開が続き、海外でも予想の上方修正が相次いでいます
昔は、有事の金と言われ戦争などの問題があるときだけ上がっているセクターだったのですが・・・
一方、老舗アナリストなどは「にわか金専門家の急増」と“熱”に警鐘も鳴らしています。
上がるときほど浮つきやすい
だからこそ「やめておけ」の論点も含め、冷静に仕組みとコストを見ていきます
金投資(純金投資)のメリット
まずは金投資のメリットについて考えてみましょう。
金そのものに価値?
まず、よく言われるのが株式や通貨と違い、金そのものに価値があるということ。
そのため“いざ”に強いのです。
有事の金と言われるのもこの部分が大きいですね。
国内の円建てでは為替も効くため、ドル建て上昇+円安が重なる局面では評価額が押し上がりやすいです。
分散効果
金は株や為替と値動きが異なり、ポートフォリオのブレーキ役になりうるという点もメリットでしょう。(すべて10月18日時点)
ちなみに日経平均との相関係数は+0.67です。
原油との相関係数は-0.63。
円/ドルとの相関係数は-0.46
完全な逆相関ではありませんが、かなり値動きが違うのがわかると思います。
インフレに強い
また、金はインフレに強いという点もあります。
インフレになるとお金の価値は下がり、モノの価格が上がります。
金はインフレになるとそれ以上に上がる傾向にあるためインフレによる資産の目減りを防ぐ効果もあるのです。
買い方が選べる
金は買い方がいろいろあるのもメリットでしょう。(詳しくは後述)
金そのものを現物を買うこともできますし、ETFや投資信託などで買うこともできます。
純金積立みたいな買い方もあります。
「金投資はやめておけ」で語られるデメリット
次はデメリットをみていきましょう。
配当・利息が出ない
金は収益を上げることはありませんので配当や利息も基本的に発生しません。
儲かるのは基本的に価格が購入したときより上がった時だけです。
金は成長しない
会社であれば成長することがあります。
会社が成長すれば当然株価は上がるでしょうし、それに応じた配当等をだすこともあります。
株の世界にはテンバーガー(10倍株)という言葉がありますが、単に株価が10倍にあがったということではありません。
会社が成長したり、今後の成長を折り込んだ部分が大きいのです。
しかし、それは金にはありません。価格の上げ下げだけなのです。
コストが高い
金は購入コストが株などと比べて高めです。
現物は購入時の消費税10%、サイズ別の製品手数料、保管・配送費、スプレッドなどがかかります。
投信・ETFは信託報酬や売買コストがかかります。
株の投資信託と比べるとそれら費用は高め。
また、国内の代表ETF「1540」は市場価格が基準価額を上回る“プレミアム”注意が直近で東証から出ています
>>「純金上場信託(現物国内保管型)、純プラチナ上場信託(現物国内保管型)」に関する注意喚起
為替の影響
金は為替の影響をかなり受けます。
円高に触れると、ドル建てが強くても円建て評価が伸びない局面もありうるのです。
金投資の種類
次に金の買い方の種類についてみていきましょう。
ETF(上場投資信託)
まずはETF
例えば1540 純金上場信託(現物国内保管型)という商品があります。
現物裏付け・国内保管。
信託報酬率は0.539%
税制は株式と同じ申告分離20.315%(特定口座可)。
新NISAの成長投資枠の対象です。
投資信託(国内公募)
次は投資信託。
例えば三菱UFJ 純金ファンド(1540連動タイプ)。
実質コストは約0.99%と明示され、国内ETFを組み入れる二重コスト構造のためやや高め
ETFと比べると口数でなく金額指定ができるため、少額投資が容易なのがメリットです。
税制はこちらも申告分離20.315%(特定口座可)。
こちらも新NISAの成長投資枠の対象です。
現物(地金・地金型金貨)
次は金の現物を買うパターン。
消費税10%、サイズ別の手数料、送料、保管というコストが掛かります。
また、500g未満は別途手数料がかかる事業者が多い点は要確認
なお、税制はサラリーマンなどの個人の方が譲渡した時には、譲渡所得となります。
純金積立
次は純金積立。
月1,000円~など小口でドルコスト平均が効くが、年会費やスプレッドで実質コストは現物直買いより高めになりがち
金を積立したいなら投資信託を定期購入する場合との比較をおすすめします。
なお、純金積立も個人の方なら税制は譲渡所得ですね。
先物・CFD
先物やCFDを使う方法もあります。
大阪取引所(JPX)の金標準先物は取引単位1kg。
レバレッジ・限月・呼値のルールを理解できる上級者向け
金はどこで買う?
金はどこで買うものなのでしょう?
証券会社(投資信託/ETF)
投資信託やETFを買うなら証券会社になります。
メリットとしては少額から買えること、売買のしやすさ、特定口座・新NISAで税務が簡便である点が挙げられます。
貴金属店(現物)
現物を買う場合は貴金属店となります。
一番のメリットは手元に実物が残る安心感でしょう。
デメリットは前述したとおり、コストが消費税10%+製品手数料+送料+保管料とかかることです。
サイズが小さいほど割高になりがち(500g未満の別途手数料設定など)
少額投資にはあまり向いていないかもしれません。
また、売買すると譲渡所得となりますので、税務が面倒な点もあります。
積立サービス
現物を積立したいなら純金積立です。
こちらのメリットは相場を見ないで自動積立、価格平準化することでしょう。
心理が入らないのが大きいですね。
少額で買えるのもメリットですね。
ただし、年会費・スプレッド等の総コストが高めになりがち。
現物で受け取る際には改鋳・送料等の費用も発生します。
金の税金(個人)
次に税金面をまとめておきましょう。
ETF/投資信託
まず、ETFや投資信託は上場株式等と同じ申告分離課税20.315%。
特定口座(源泉徴収あり)なら基本は申告不要。
NISA成長投資枠なら非課税で運用できます
現物
現物の金を売買し、利益がでると譲渡所得として総合課税の対象となります。
確定申告が必要ですね。
所得階層によって実効税率は変わります。
なお、5年超の長期保有なら長期譲渡で課税計算は1/2、特別控除50万円あり。
また、購入時に消費税10%が掛かります。
まとめ
今回は「円建て金価格が過去最高の今、焦って買う前に読む:金投資(純金投資)のデメリット/やめておけの論点、選び方」と題して金投資について考えてみました。
金は攻めの主役ではなく、守りの脇役です。
長期の通貨分散とインフレ耐性という“役割”で考えればありな投資先です。
しかし、基本的に成長しませんし、配当もでません。
主役にはなれないんですよ。
そのあたりも含めて判断することが必要ですね。


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