最近、アメリカ株がウクライナ侵攻の影響もあり、上下に動いていますが、そこで注目されるのが「逆イールド」です。
米国のトランプ大統領も2019年に逆イールドが発生した際にはツイートしていましたね。
出典:トランプ ツイッター
今回は逆イールドとはなにかについて見ていきます。
また、過去に逆イールドが発生した際の株価動向なども見ていきましょう。
なお、こちらの記事の動画版はこちらからご覧いただけます。合わせて御覧ください。
逆イールドとは
今回大きく、NYダウが下げた大きな理由が逆イールド・カーブ発生に伴う、景気後退懸念だと言われています。
それでは逆イールドとはなにかについて見ていきましょう。
逆イールドとは簡単に言えば短期金利が長期金利を上回った状態のことを指します。
つまり
の状態のことですね。
ちなみにイールドとはイールドカーブ(利回り曲線)のことです。
ですからトランプ大統領のように逆イールドカーブと言うこともあります。
景気後退のシグナル?
通常、債券を買う際に期間が長ければ長いほど資金の固定されることになりますから、リスクが伴います。そのため金利を高くしないと資金調達できません。
ですから理屈で言えば短期金利よりも長期金利の方が高くて当たり前なのです。
しかし、景気後退が予想される状態だと短期金利よりも市場の影響を受けやすいと言われる長期金利が低下する傾向にあります。
それが短期金利よりも下回ってしまった状態なんですね。
ちょっと異常な状態といえるかもしれません。
つまり、市場関係者が景気後退があると考えている状態である、逆イールドが発生すると一般的に景気後退のシグナルと捉えられているのです。
逆イールドが発生するとどうなる
逆イールドが発生すると一般的に1年から2年で景気後退期に入るケースが多いと言われています。
しかし、逆イールドが発生したからと必ず景気後退するわけではありません。
ただ、多くの市場関係者がそう考えているということで株などのリスク資産を処分することが多く下がりやすくなるのです。
過去の逆イールド発生時はどうだったのか?
逆イールドはそれほど頻繁におこる現象ではありません。
それでは過去に起こった逆イールドは本当に景気後退のシグナルとして機能したのでしょうか?
過去に逆イールドになった後の株価で検証してみましょう。
1989年の逆イールド発生時
まずは1989年の逆イールド発生時です。
そこから2年のNYダウ(12月最終営業日)をみてみましょう。
1990年12月:2,633.66
1991年12月:3,168.83
1990年は前年より120ドル近く下げましたね。
しかし、翌年は535ドルも上げると一気に挽回しました。
確かに1990は多少の影響はあったのかもしれませんがそれほど大きな影響はなかったように思われます。
2000年の逆イールド発生時
次はそこから約10年後の2000年の逆イールド発生時です。
そこから2年のNYダウ(12月最終営業日)をみてみましょう。
2001年12月:10,021.57
2002年12月:8341.64
2001年は前年より766ドル近く下げましたね。
さらに翌年には1,679.93ドル下げています。
これはITバブルの崩壊によるものです。
ちょうど逆イールドが発生して2年後に大きく下がる減少となっています。
定説は2000年については当たっていると言えるでしょう。
2007年の逆イールド発生時
次はそこから約7年後の2007年の逆イールド発生時です。
そこから2年のNYダウ(12月最終営業日)をみてみましょう。
2008年12月:8,776.39
2009年12月:10,428.05
翌年は盛り返して1,6521ドル近くの上げとなっています。
こちらも逆イールドが発生して1年後に大きく下がる減少となっています。
こちらも定説どうりとなっています。
2019年の逆イールド発生時
次はかなり久しぶりに発生した逆イールド発生時です。
2020年8月:28,439.05
2021年8月:35,819.56
2019年は逆にそこから大きく挙がっています。
米国の経済の強さがわかる
今回、逆イールドカーブのデータを分析していてつくづく感じたことがあります。
それは米国経済の強さです。
米国ってITバブルの崩壊、リーマンショックとこのような大きな下げを記録しても最終的には最高値を更新しているんですよ。
恐ろしい国ですね。
例えば今みてきた番最初のデータである1989年12月はNYダウが2,753.20ドルでした。
それが2019年では27,000ドル代までいきましたからね。
30年で10倍です。
長期的に見ればそれほど気にする必要もないのかもしれません。
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まとめ
今回は「【逆イールド】。過去の発生を検証してみた」と題して逆イールドについてみてきました。
過去4回中2回は大きな下げとなっています。
今回もどうなるのかはわかりませんが、ちょっと警戒しておく必要があるかもしれませんね。
また、今回の逆イールドと同じように暴落の可能性をチェックする指標はいくつかあります。
バフェット指数やシラーPERです。
逆イールドと同じくこちらもチェックしておきたいですね。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
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