先日のブログでご紹介した選択制確定拠出年金と似た制度にマッチング拠出という制度があります。
企業型確定拠出年金のもう一つのパターン【マッチング拠出】
今回はこのマッチング拠出について考えてみたいと思います。
企業型確定拠出年金とは
企業型確定拠出年金はこのブログでも何度も紹介させていただいている個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)と似た制度です。
相違点としては掛金や手数料を負担するのが個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)は加入者本人が負担するのに対して
企業型確定拠出年金は会社が負担してくれるという違いがあります。
会社の退職金や年金制度としては確定給付制度というのがありました。これはいくら支給するのかをあらかじめ規定等で決めておく制度です。
しかし、近年の低金利でその給付水準に達する事ができず会社からの持ち出しが大変多く問題になっていました。
そこで会社からの負担(払い込む金額)が固定にできる確定拠出年金が人気となっています。
掛金をどう運用するのかは各従業員におまかせという制度となっています。
その運用結果によって退職金、年金の金額が変動するのです。
マッチング拠出とは
マッチング拠出とはその企業型確定拠出年金の会社が払ってくれる掛金に自分で上乗せできる仕組みのことです。
自分で金額を増やすこと将来の年金や退職金をふやすことを目的としています。
マッチング拠出のメリット
所得税、住民税の節税
マッチング拠出のメリットとしては個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)と同様ですが、払った金額が「所得控除」の扱いとなります。
そのため、払った金額が増えれば所得税、住民税の節税に繫がります。
例えばマッチング拠出で1万円を毎月支払ったとします。
すると年間で12万円の控除が得られます。例えば所得税と住民税で30%の方ならば36000円の節税効果となるのです。
自分の将来のお金を積み立ててるだけですが税金が安くなるというかなり大きなメリットですね。
運用益が非課税
また、これも個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)と同様ですが運用益が非課税です。
ですので通常の特定口座での取引と比べてメリットがあります。
これはNISA口座でも同様ですね。
受け取るときも優遇
また、受け取るときも退職所得控除の対象となるので有利に受け取ることができます。(一時金受取の場合)
年金で受け取る場合でも公的年金等控除の対象となります。
これらは会社側が拠出した金額分との合算で計算することになります。
マッチング拠出のデメリット
マッチング拠出のデメリットとしては途中解約ができない点が挙げられます。
これも個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)と同様ですね。
あとでお金が足りないから解約するということはできません。
そのためある程度の余裕資金で行う必要があるのです。
マッチング拠出の拠出金額
マッチング拠出を利用して自分で上乗せできる金額には上限があります。
以下の2つの条件に注意が必要です。
・会社が拠出する金額を超えることができない。
・自分と会社が出す拠出金額の上限が55,000円(企業年金を併用の場合27500円)を超えることができない。
つまり、本人が掛けられる金額は会社が27500円を拠出していた場合の27500円となります。
たとえば会社が55000円掛けてくれていればもう満額なのでマッチング拠出をすることはできないってことですね。
逆に会社が5000円しか掛けてくれていない場合は、本人も5000円が上限となり合計1万円しか掛けることができません。
選択制確定拠出年金との違い
選択制確定拠出年金との大きな違いは2点あります。
1つは選択制確定拠出年金は企業が拠出してくれないってこと。
もう1つは選択制確定拠出年金は社会保険料の削減効果がありますがマッチング拠出はありません。
これはメリット・デメリットがありますのでどちらがいいのかは一概にはいえませんが・・・
詳しくは下記ページを御覧ください。
今回は読者様よりご質問いただいた内容を考えて見たいと思います。企業型確定拠出年金の制度に選択制確定拠出年金というのがあります。読者様はこれに入っている会社に所属していますが選択制確定拠出年金制度に加入するかどうかで悩んで見え[…]
マッチング拠出ができるならやるべきか?
基本的に制度としてとても有利なものとなっています。
そのためやった方が得のケースが多いです。
ただし、企業型確定拠出年金は会社が契約している証券会社、銀行、保険会社によっては地雷しか運用商品にない会社もあります。
おそらく総務や社長の知識不足や付き合いで仕方なく入っている場合などです。
この場合、運用で利益を出すことはかなり難しいものとなりますし、あまりオススメできません。
地雷運用商品の見分け方
以下のページは個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)での地雷運用商品の見分け方ですが、企業型確定拠出年金でも同様です。
該当する運用商品しかないようなら節税効果との天秤にかけて考えましょう。
もしその場合で規約等で個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の加入が認められているならば、マッチング拠出ではなく個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を選んだほうが有利に運用ができるでしょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に入れない場合には、来年から始まるつみたてNISAや現在のNISAも選択肢の1つです。
運用商品がたくさんの中から選べますし、運用益は非課税というメリットは得られます。
しかし、マッチング拠出や個人型確定拠出年金のように節税効果は得られませんのでその辺りをよく検討してみましょう。
運用商品の中に比較的ましな商品があるようならそれだけ買って、分散はつみたてNISAやNISAで行うという併用型もよいかもしれませんね。
今までシリーズとしてそれぞれの金融機関、証券会社毎に個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)のおすすめ運用商品を見てきました。まだ他にもたくさんの金融機関、証券会社で個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を扱っています。地雷が[…]
逆マッチング拠出についてはこちらをご覧ください。
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