今回は読者様よりご質問いただいた内容を考えて見たいと思います。
企業型確定拠出年金の制度に選択制確定拠出年金というのがあります。
読者様はこれに入っている会社に所属していますが選択制確定拠出年金制度に加入するかどうかで悩んで見えます。
今回はこの件を考えて見たいと思います。
※加筆修正いたしました
選択制確定拠出年金とは
まずは、選択制確定拠出年金制度とはどういったものなのかをみていきましょう。
選択制確定拠出年金制度とは企業型確定拠出年金制度の一種です。
通常の企業型確定拠出年金制度は会社が掛金を払う仕組みとなっています。
そして全員加入が原則です。
選択制確定拠出年金制度は少し通常のタイプと違う点があります。
それが従業員が加入(拠出)するかを選択できる点にあります。
拠出することを選択すればその部分が通常の企業型確定拠出年金と同様に扱われます。
拠出を選択しない方はそのまま退職金の前払いのような形で給料としてもらうことができるのです。
拠出を選択しない→今受け取る
ということです。
どちらを選択するのがいいのかは考え方しだいですね。
選択制確定拠出年金のメリット
それでは選択制確定拠出年金のメリットを会社側、従業員側に分けてみていきましょう。
会社側
会社側の選択性確定拠出年金の大きなメリットは導入しやすさにあります。
通常の企業型確定拠出年金制度は掛金を会社が拠出しますので大きな負担となってしまいます。
選択制確定拠出年金制度の場合は一般的に給料の一部を拠出することになりますので負担はそれほどありません。
つまり導入しやすいってことなのです。
また、社会保険を減らす効果もありますのでその点でもプラスが大きいです。
導入しやすい
社員の老後設計が立てやすくなる
社会保険が削減
従業員側
従業員側からしても選択制を選ばなければ今までの給料と同じですし、選択すれば確定拠出年金に加入できる(将来への積立と節税効果)というメリットがあります。
もちろん確定拠出年金ですので運用が非課税などのメリットも受けられます。
また、選択制確定拠出年金は通常の企業型確定拠出年金やイデコ(個人型確定拠出年金)と違って給料が下がるため社会保険を減らす効果もあります。
これも大きいと思います。
どちらを選択するのがいいのかは考え方しだいですね。
所得税、住民税の節税
運用が非課税
受取も優遇
社会保険料が安くなる
選択制確定拠出年金のデメリット
次は選択制確定拠出年金のデメリットを会社側、従業員側に分けてみていきましょう。
会社側
会社側からすると選択制確定拠出年金はデメリットはほとんどありません。
しいてあげるなら就業規則などの改定にお金や時間がかかったり、従業員への説明など準備にちょっと時間がかかることでしょう。
従業員側
従業員側のデメリットはさきほどの社会保険を減らす効果によるものです。
社会保険のうち厚生年金は払った金額により将来もらえる年金がかわります。
厚生年金の支払いが減ればそれだけ将来の年金を減らすことに繫がります。
また、健康保険のステージにより給付金額が決まる傷病手当などの金額にも影響があります。
また、会社を退職したときにもらう失業保険も給料が計算ベースになりますから給料が下がればそれだけ貰う金額も減るのです。
その点はしっかり抑えて判断する必要があります。
また、通常の企業型確定拠出年金やイデコ(個人型確定拠出年金)でも一緒ですが60歳まで引き出せませんのでそのあたりも考えて置く必要があります。
傷病手当などが減る
失業保険が減る
60歳まで引き出せない
選択制確定拠出年金に加入(拠出)すべきか?
それではここからは選択制確定拠出年金制度に加入(拠出)すべきかを考えてみたいと思います。
ポイント1 個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)との比較で考えよう
イデコ(個人型確定拠出年金)との比較で考えるとコスト(手数料)が会社もちの分だけ選択制確定拠出年金制度の方に優位です。
しかし、運用機関を自分で選べるイデコ(個人型確定拠出年金)と違い、選択制確定拠出年金制度では会社が選んだ証券会社や銀行を使うことになります。
そのため運用商品がやけに信託報酬が高いものばかりだったりする可能性もあります。
まずはそこを見極めましょう。
あまり信託報酬が高いものばかりなら加入(拠出)を辞めるのが正解だと思います。
実際、選択制確定拠出年金制度は信託報酬が高い運用商品ばかりのところが多いとも聞いています。
中には全部信託報酬が1%以上のアクティブ投信ばかりというところもあるとか・・・
もし、その場合は、銀行なり、証券会社、保険会社などが儲けるためのサービスですからやめておきましょう。
会社側の総務担当や上層部が投資に弱い人ばかりだとこうなるケースが多かったりします。
従業員のことを思ってはじめたのに・・・逆効果になってしまうこともありえます。
信託報酬に注意
ポイント2 給料が下がることによるメリットデメリット
選択性確定拠出年金の大きなポイントが給料を減らすことによる社会保険の削減効果があります。
短期的にみれば嬉しいことです。
所得税や住民税を減らすことはメリットしかありません。
しかし、従業員側からみると社会保険は将来の年金や社会保険制度でもらえる金額にも絡んできてしまうので一概に下がったから良いとは言えないのです。
そのあたりも考えて置く必要があるでしょう。
例えばすぐに影響があるものとして失業保険があります。
失業保険は会社を退職する前6ヶ月の給料で計算するので、給料が下がればもらえる金額も減ってしまうのです。
失業保険を貰う可能性があるかたは選択性確定拠出年金に入らないほうが得になるやもしれません。
また、傷病手当といって怪我や病気などで仕事を休まないと行けなくなったときにもらえる手当は健康保険の金額(標準報酬月額)で決まります。
標準報酬月額はステージ制になっていますが基本的に給料の金額ですから給料が下がって健康保険のステージが下がればそちらも減ってしまうのです。
また、同様に出産手当金といって出産する際にもらえる社会保険も同様に健康保険の金額が下がれば減ってしまいます。
近く出産する予定のがある方も入らないほうがいいかもしれませんね。
もう一つ、厚生年金も将来もらえる金額は厚生年金の金額(標準報酬月額)で決まります。
給料が減れば厚生年金の金額(標準報酬月額)も減りますので将来もらえる年金が減るのです。
せっかく選択制確定拠出年金制度で積み立てても年金が減ったら意味はないですよね。
選択制確定拠出年金制度でどれくらいプラスになって将来もらえる年金がどれくらい減るかは検討しておく必要があります。
社会保険が減るってことは両刃の剣ということを覚えてきましょう。
そしてそのあたりを理解した上で検討する必要があります。
総務担当等が知識がない場合このあたりのデメリットを理解していない場合もありますので自己防衛が必要かもしれませんね。
ポイント3 お金の余裕を考えよう
選択制確定拠出年金制度も60歳まで引き出せません。
さらに選択制確定拠出年金制度は給料を減らして拠出するわけですから尚のことお金の余裕を見ておく必要があります。
お金が足りないといって確定拠出年金から引き出すことはできないのですから・・・
ですから加入するにしても絶対使わなくても大丈夫な範囲の掛金にしておきましょう。
まとめ
選択制確定拠出年金制度の導入は会社側からすると大きなメリットがありますが、従業員側からするとデメリットが結構ありますのでそのあたりを加味して検討する必要があります。
個人的に言わせていただくと選択制確定拠出年金制度はイデコ(個人型確定拠出年金)と違って両手を上げて推奨する制度ではありません。
また、似た制度にマッチング拠出というのがあります。
マッチング拠出についてはこちらをごらんください。
先日のブログでご紹介した選択制確定拠出年金と似た制度にマッチング拠出という制度があります。企業型確定拠出年金のもう一つのパターン【マッチング拠出】今回はこのマッチング拠出について考えてみたいと思います。企業型確定拠出年金とは[…]
どこの会社と契約してるかによっては個人型確定拠出年金(ideco/イデコ)の方をおすすめします。(規約で認められていて入れる場合)
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するならこの5社から選ぼう
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるならまずは金融機関を決める必要があります。
しかし、たくさんあってどこにしたらよいのかわからない方も多いでしょう。
簡単に決めてしまう方もおおいかもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合、金融機関ごとの違いがとても大きいですから慎重に選びたいところです。
私が今もし、新たに加入するならSBI証券、マネックス証券、松井証券、大和証券、楽天証券の5択の中から決めます。
(※私が加入しているのはSBI証券です)
この5つの金融機関は運営管理機関手数料が無料です。※国民年金基金連合会の手数料等は各社共通で掛かります。
また、運用商品もインデックスファンドを中心に信託報酬が低い投資信託が充実しているんですよ。
順番に見ていきましょう。
SBI証券
まずイチオシはSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。
SBI証券は信託報酬も最安値水準のeMAXIS Slimシリーズを始めとしたインデックスファンドから雪だるま全世界株式、ひふみ年金、NYダウ、グローバル中小株、ジェイリバイブといった特徴ある投資信託をたくさん揃えているところが最大の魅力です。
選択の楽しさがありますよね。
また、確定拠出年金を会社員に解禁される前から長年手掛けている老舗である安心感も大きいですね。
SBI証券は運営管理手数料が無条件で0円ですし、なにより運用商品が豊富で選択の幅が広いです。現状最強のラインナップを誇ることになります。
また、他の証券会社に先んじて確定拠出年金の取扱をはじめてますから安心感が強いですね。
マネックス証券
次点はマネックス証券 iDeCoです。
こちらも後発ながらかなりiDeCoに力をいれていますね。
iDeCo初でiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスを取扱い開始したのに興味をひかれる人も多いでしょう。
マネックス証券はeMAXIS Slimを多く取り扱っており、信託報酬がほとんど最安値水準でスキがありません。また、iDeCoでいち早くiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスの取り扱いをはじめたところも大きなポイントになりますね。
松井証券
松井証券のiDeCoは35本制限まで余裕があるというのは後発の強みですね。
その35本制限までの余裕を生かして他社で人気となっている対象投資信託を一気に採用して話題になっていますね。
こちらも有力候補の一つですね。
2020年10月18日から取り扱い商品が大幅拡充されました。
人気となっているeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)や楽天・全世界株式インデックス・ファンドなども採用され最強ラインナップといっても過言ではない充実ぶりですね。
大和証券
大和証券 iDeCoは大手証券会社でありながら、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)にもかなり力を入れています。
他のネット証券と違い店舗が全国各地にたくさんあります。そこに魅力を感じる方にはおすすめできますね。
また、取扱商品もダイワつみたてインデックスシリーズなど信託報酬が安めの商品を取り揃えています。
運営管理機関手数料が無条件で無料ですし、商品も充実したことで選択肢となりえる金融機関になりましたね。中国株、ロシア株、ブラジル株のファンドへ投資できるなど特徴的な商品があるのが他との差別化要因かな。あとはiFreeシリーズ、とくに米国株さえ入れば十分に他と競争できると思いますので期待したいところです。
楽天証券
楽天証券は楽天・全世界株式インデックス・ファンドや楽天・全米株式インデックス・ファンドといった自社の人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。
この2つのファンドは人気ですね。
楽天証券は楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド、楽天・S&P500インデックス・ファンド、楽天・全世界株式インデックス・ファンド、楽天・全米株式インデックス・ファンドといった楽天ブランドの人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。今後は楽天SPUの対象になったりしたらかなり面白い存在ですね。
総合して考えるとこの5つの金融機関に加入すれば大きな後悔はないかなと思います。
他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですが・・・
最後まで読んでいただきありがとうございました。
「シェア」、「いいね」、「フォロー」してくれるとうれしいです