新NISAで個別株を買うことの是非を考える

知人から新NISAについて質問を受けました。

近々上がると思う株を新NISAで買うのはどうかな?
新NISAで個別株を買うことの是非ですね。
今回はこの件について考えてみたいと思います。

NISA枠で株を買う際のデメリットを知っておこう。

まず、今回の件を考える上で必要なのはNISAの仕組みの理解です。

新NISAの制度を簡単にまとめるとこんな感じです。

新NISA概要

出典:金融庁 新しいNISA より

枠内であれば非課税で運用できる制度ってことですね。

これだけみると個別株も枠が余っているならそちらで買ったほうがよいと考える方が多いでしょう。

しかし、NISA枠で個別株を買うのにはデメリットもあるんですよ。

損益通算ができない

まずはNISA枠で取引した株の損益は、他の口座(一般口座や特定口座)と損益通算ができないということ。

損益通算とは、同一年分の利益と損失を相殺できる制度です。

例えばA口座では100万円の利益。

B口座では20万円の損失がでていた場合に、確定申告すればAーBの利益で税金が計算されるようになるのです。

しかし、B口座の20万円の損失がNISA内の話だとそれは損益通算に使えず、A口座の100万円にそのまま税金が掛かることになります。

ですからNISA枠で取引した株は損失がでると利益が出るまで売るに売れないってことになる方が多くなりそう。

塩漬けですね・・・

繰越控除もできない

もう一つがNISA枠で取引した株は繰越控除もできません。

繰越控除とは損益通算で引ききれなかった損失を最大3年繰り越して、利益と相殺できる制度のこと。

例えばA口座では20万円の利益

B口座で100万円の損失が出たとします。

その場合、損益通算するとマイナスとなりますので、確定申告すれば株の売買での税金はかかりません。

更にマイナス分の80万円を繰り越すことができます。

次の年に50万円利益出ても繰越分のマイナスいないですから税金かからず。

更に次の年に30万円利益が出ても繰越分で丁度ですから税金かからずといった具合になります。

しかし、NISA枠で購入していて損失が出た場合には損益通算の対象外ですからこの繰越控除も使えないのです。

つまり、NISA枠で利益が出れば非課税で有利ですが、損失がでた場合にはNISA枠で買った方が不利になる可能性があるってことですね。




個別株をNISA枠で買う事の是非

今回の件、正解はありませんが、個人的には以下のように考えます。

必ず利益が出るならありだが・・・

前述のようにNISA枠で株を買うのは利益がでれば得だけど、損がでると特定口座で買う場合と比較して損です。

ですから必ず利益がでると考える場合以外にはおすすめしないんですよ。

個別株は全体のリスク+個別リスクがありますから必ずと言えるほど確信がもてることは普通はないですけどね。

ですから個別株は特定口座で買うことをおすすめしています。

個人的にも今かなり高い精度でここ数年上がると考えている分野の株がありますが、絶対ではありませんのでNISA枠ではなく特定口座で買っていますね。

この先もその企業は安泰か?

また、長期投資ならええやろみたいに言われる方もいます。

しかし、長期投資と言っても個別株の場合はその会社がその先もずっと安泰とは限らないというリスクがあります。

貴重な非課税期間が無期限で買える枠でわざわざそのリスクをとって買うのはどうかと思うんですよ。

技術進歩によって衰退するビジネスもありますし、新たな企業に取って食われるリスクもあります。

さらにはそもそものそのビジネスの需要が消滅してしまうなんてことも普通にあります。

ですから長期で成功し続ける企業を狙い撃ちするのはかなり困難なんですよ。

今良い企業でも今後どうなるかなんて誰にもわかりませんからね。

特にNISAで人気となっている高配当株の企業はすでに成長をあまり狙っていない成熟企業ですからその可能性がそれなりにありそう。

新しいNISAでは銘柄の入れ替え(その年の枠は消費します)も可能ですからうまく入れ替えれれば良いのでしょうが、そんな簡単ではありません。

新NISAは無分配のインデックスファンドがおすすめ

私は非課税期間が無制限の新NISAならインボイスファンド一択だと考えます。(遊びで株も一部入れる分には良いでしょうが、メインはインボイスファンドを推奨)

それは2つの理由からです。

複利を活かしやすい

まず、複利効果を活かしやすいってことにあります。

インデックスファンドは基本的に配当(分配金)を出さないところがほとんどです。

そのため、成長分を含めて自動的に非課税枠内で再投資をされるイメージとなります。

つまり、より複利効果を活かしやすいのです。

新たなスター企業の成長を享受できる

次にスター企業が入れ替わっても成長を享受できるってことろです。

個別株だと企業が衰退してしまうリスクを前述しました。

しかし、インデックスファンドは個別企業が衰退したとしても新しいスター企業の成長を享受できるのです。

その国などの企業の株全体に投資をするみたいなものですからね。

例えば2023年12月末の世界時価総額ランキングは以下のとおりです。

1位アップル
2位マイクロソフト
3位サウジアラムコ
4位アルファベット(Google)
5位Amazon.com
6位エヌビディア
7位メタ・プラットフォームズ
8位テスラ
9位パークシャ・ハサウェイ
10位イーライリリー

21年前の2002年では以下の通り。

1位マイクロソフト
2位ゼネラル・エレクトリック
3位エクソンモービル
4位ウォルマート
5位ファイザー
6位シティグループ
7位J&J
8位BP
9位AIG
10位 IBM
マイクロソフトやなど一部は20年間強いままですが、かなり入れ替わっているのがわかりますね。
それだけ同じ企業が強いままというのは難しいということです。
個別株で長期間持つというのはここをピンポイントである程度当てる必要があるので大変なんですよ。
当たれば大きいんですけどね。
しかし、インデックスファンドなら全体を享受できますので、もし強い銘柄が入れ替わっても問題が無いのです。
さらに全世界株のインデックスファンドならどの国のどの企業が大きく成長してもある程度その成長を享受可能なんですよ。



まとめ

今回は「新NISAで個別株を買うことの是非を考える」と題して新NISAで個別株を買うことについて考えてみました。

個人的な見解をまとめると以下の通り。

必ず上がるという確信がもてるならアリ。
しかし、損失が出た場合には特定口座で買う場合より損。
そのあたりを考えると新NISAはインデックスファンドがおすすめ
参考になれば幸いです。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
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