新型コロナウィルスによる企業業績への影響が出始めてきています。
「決算短信」や「業績予想の修正」、「お知らせ」などで、新型コロナウイルス関連の影響や対応について情報開示した上場企業は、2月28日13時で337社
自主的な開示はないが、東京商工リサーチの独自調査で工場や事業所、店舗の稼働休止など何らかの影響が判明した上場企業は26社
63社(構成比24.4%)が、売上高や利益の減少など業績への下振れ要因とした。このほか、195社(同75.5%)が「影響の懸念がある」、もしくは「現時点で影響を確定することは困難で業績予想に織り込んでいない」としている。
出所:東京商工リサーチ 上場企業「新型コロナウイルス影響」調査より
かなり多くの企業の業績への影響がでているのです。
企業業績が悪化すれば当然株価への悪影響も出てきます。
今回は新型コロナウィルスの影響を大きく受ける業界、プラスになる業界について考えて見ましょう。
新型コロナウィルスの影響を大きく受ける業界とそのポイント
まずは新型コロナウィルスの影響を大きく受ける業界及びそのポイントについて考えてみましょう。
製造業
まずは製造業です。
製造業といっても生産しているもの、生産拠点などによって大きく異なりますが、全般的にいうことでみていきましょう
実際、前述の東京商工リサーチの調査によると「決算短信」や「業績予想の修正」、「お知らせ」などで、新型コロナウイルス関連の影響や対応について情報開示した上場企業のうち製造業が過半数を占めています。
製造業は新型コロナウィルスの発端となった中国から原材料の仕入れをしていたり、逆に中国で製造していたりします。
中国は今現在も多くの工場等が従業員が出社できず休業していますし、輸出や運輸についても滞っているようです。
そのため、工場の稼働に直接の影響がでてきてしまっている企業が多くなっていますね。
工場が稼働しなければそれだけ製品を作れませんから売り逃しに繋がります。
また、そもそもの取引先の利用や、消費が落ち込めば当然売上は下がります。
製造しているものによってはかなり厳しい状況になってしまうことも予想されますね。
製造業での新型コロナの影響を見極めるポイントは以下の2点ですね。
・新型コロナでの売上の影響がある製品か?
サービス業(外食含む)
次はサービス業です。
サービス業は前述の東京商工リサーチの調査でも製造業の次に情報開示が多かったですね。
サービス業も取り扱うサービスによって影響は大きく異なります。
とくに人が集まるサービスを提供している会社への影響は大きいでしょう。
すでに政府は大規模イベントの自粛を訴えており、その影響から続々とイベントも中止や縮小、延期となっています。(私も何件か影響を受けています)
プロ野球のオープン戦は無観客試合となりますし、Jリーグは開幕自体が延期、コンサートも中止が相次いでいます。
また、東京ディズニーランドは2月29日から3月15日まで臨時休園すると発表しています。
身近なところでは映画館など人が多く集まる施設もかなり閑散としていると聞いていますね。
映画どらえもんも上映延期になることが発表されましたね。
また、外食産業もかなり厳しいです。
多くの企業で飲み会などの集まりを自粛要請していますしね。
特に食べ放題や回転寿司など新型コロナウィルスの感染でちょっと不安があるところは今後の客数の動向が気になるところです。
その他、旅館やホテルなどはインバウンドや出張が激減していることからかなり厳しい企業が多いようです。
多くのサービス業は大きな影響を受けることは確実でしょう。
その中でも特に新型コロナの影響を見極めるポイントは扱うサービス内容でしょうね。
小売業
次は小売業です。
前述の東京商工リサーチの調査でも製造業、サービス業の次に情報開示が多くなっていました。
小売業も扱う商品によって大きく異なっていますが、特に中国などからのインバウンド客をターゲットとした店舗の場合かなり厳しい状況となることは間違いないでしょう。
すでに東証二部上場の免税店大手「ラオックス」は140名の希望退職者の募集を発表していますね。
また、高島屋など営業時間を短縮する店舗がでてきたりもしていますし、外出を控えるようにとの要望を北海道知事が出したりしています。
つまり、そもそもの来店客が減ってしまう可能性が大きいです。
その影響からインバウンド客がターゲットの小売店でなくても影響は避けられないでしょう。
最寄品(食料品など計画せず頻繁に買うもの)の多くは生きていく上で必ず必要ですからそこまで急激に売上が落ちる可能性は少ないでしょう。
しかし、最寄品以外の買回品(ある程度計画して買う電化製品、衣料品など)、専門品(かなり計画的に買う車、高級ブランド品など)を扱う小売業への影響は大きくなると予想されます。
小売業の新型コロナの影響を見極めるポイントは以下の2点ですね。
・取り扱う商品は買回品や専門品か?
運輸業
意外なところでは運輸業の影響も大きいでしょう。
すでに新幹線なども通常時ではありえないくらいガラガラです。
これは多くの企業が出張を自粛させていることが大きいのでしょうね。
私もすでに出張予定が中止となり数件、新幹線や特急列車をキャンセルしています。
飛行機やバス、船などもお客さん同士が近く感染リスクが大きいことから極力利用しないと考える方が多いようですね・・・
運輸業は新型コロナウィルスの感染拡大が収まらないと収拾つかないでしょうね。
大型客船などは今回のダイヤモンド・プリンセスの件もあり、収まったあとも利用者が減る可能性があります。
新型コロナウィルスが業績にプラスとして働く業界
それでは新型コロナウィルスの件がプラスに働く業界はないのでしょうか?
マスク・医薬品など直接影響のある業界
まずは、マスクや医薬品など直接新型コロナウィルスに関わってくる業界の業績にはプラスとなるでしょう。
たとえばマスク業界です。すでに政府の要請もあり、生産をフル稼働させてさらに増産体制に入っています。
また、消毒用アルコールなども同様の状況となっています。
現状の新型コロナウィルスはまだ具体的なクスリはでていませんが、効果のあると言われる医薬品を製造している会社などにも大きなプラス要因となっています。
テレワーク・働き方改革関連
今回の新型コロナウィルスの影響でテレワークが多く取り上げられています。
すでにインターネット老舗のGMOグループは大半の従業員をテレワークに新型コロナウィルスが話題になりだした早い段階から実現していますね。(株価は下がっていますが・・・)
そのようなテレワークの仕組みを提供する企業や、働き方改革関連の仕組みを提供する企業にとって今回の騒動は大きな追い風となることが予想されます。
中食業界
消費税の軽減税率のときにも話題となった中食産業はまたもや追い風が吹いているかもしれません。(消費税が持ち帰りや配達は軽減税率対象で8%、外食は10%のため)
中食とは持ち帰りや配達で提供されて家で食事をとるスタイルのことです。
飲食店の利用はどうしても感染リスクが伴います。
しかし、持って返ってきて食べるとか、配達してもらうならばそのリスクは押さえられますので人気となる可能性が高いです。
特に小中高が休みとなることもあり中食利用の需要も拡大するはずです。
まとめ
今回は「新型コロナウィルスの影響を大きく受ける業界、プラスになる業界はどこか?企業業績への影響を考える」と題して新型コロナウイルスの企業業績への影響をみてきました。
大きな括りでみるとかなり経済への影響は大きくなるでしょうが、プラスに働く業界もあります。
株を買うならそういう業界を選別することも必要でしょうね。
なお、新型コロナウィルスに関連した支援策は以下のページを御覧ください。
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