2020年の株式相場は新型コロナウィルスの蔓延を発端とした暴落。
各国の金融緩和による金余りにより高騰と大きく動いた年でした。
日経平均にしてもS&P500やNYダウにしてもかなり高値圏まできていますね。
そんな相場状況ですが、気になっていることがあります。
それはスマートマネー指数と相場が大きく乖離しているという点です。
今回はスマートマネー指数と相場の状況について考えてみましょう。
スマートマネー指数とは
スマートマネー指数とはあまりメジャーな指標ではありませんのでご存知ない方もお見えかもしれません。
スマートマネー指数は正式にはスマートマネーインデックス(SMI)やスマートマネーフローインデックス(SMFI)といって投資家の感情を示す指標です。
スマートマネー(賢い資金)の動きを見るのです。
取引開始の30分間、そしてマーケットが閉じる30分間の動きに着目するんですよ。
場中は狼狽売りや飛びつき買いといった賢くない取引が多数行われます。
対して機関投資家など賢い投資家は夜通しニュースや世界各国の株式動向、経済データを当然に分析したり、見ているために取引開始時に注文を入れるケースが多いです。
また、たくさんの情報を元に次の日の動きを予想して終了間際に注文を入れることも多くあります。
そこではじめの30分と終わりの30分の値動きに着目することで賢い投資家(大口投資家や機関投資家)の動きを感じることができるようにしたのがスマートマネー指数なのです。
つまり、スマートマネー指数を見ればプロがどのように動いているのかを知ることができるのです。
スマートマネー指数の計算式と見方
なお、スマートマネー指数の計算式は以下のとおりです。
スマートマネー指数は警報や注意報
スマートマネー指数は大口投資家や機関投資家の動きをみるだけのものであって、細かい売買タイミングをみる指標ではありません。
ですからスマートマネー指数が大きく動いているからと言ってなにかすぐに起こるとは限りません。
天気予報で警報や注意報くらいのイメージで捉えるとよいでしょう。
雪崩警報や雪崩注意報が出ても雪崩が起こるとは限らないと同じような感じですね。
スマートマネー指数とダウ平均(1/12)
それでは現在はどのような状況なのでしょう?
下記は1/12現在の2018年から2021年のNYダウとスマートマネーフローインデックスのチャートです。
出典:Wall Street Conrier Smart Money Flow Indexより
基本的な動きはNYダウと連動しているようです。
注目すべきは 2020年の新型コロナウィルスでの暴落があったころからまったく連動しておらず、違う動きをしていることでしょう。
NYダウは新型コロナウィルスで大きく暴落してから概ね右肩上がりで上げています。
しかし、スマートマネーは新型コロナウィルスでの暴落の頃に上がって、現在はどちらかというと右肩下がりのチャートとなっています。
つまり、スマートマネーは新型コロナウィルスでの暴落の頃に買って、現在売っているということになりますね。
また、現在NYダウとスマートマネー指数がかなり乖離している状況であるという事がわかります。
前述したようにスマートマネー指数は、あくまでも警報や注意報レベルの話ですからすぐにどうこうなるわけではないかもしれませんがちょっと気にしておく必要があるかもしれません。
現在は警報が出ている状態と言ってもよいかもしれませんね。
ただし、最近はアルゴがあったり、ロビンフッターなどの影響が強まってきていますのでスマートマネー指数の感度が弱くなっているとも言われていますが・・・
他の指標はどうなのか?
それではスマートマネー指数以外の他の指標はどうなのでしょう?
よく株式市場全体が割高か否かを判別するのに使われるバフェット指数とシラーPERの現状を見てみましょう。
それぞれの指標について詳しくはこちらの記事を御覧ください。
バフェット指数
バフェット指数とは世界的な投資家ウォーレン・バフェットの名をもった指数です。
株式市場の割高・割安をざっくりと判断できる指標で
で簡単に計算できます。
バフェット指数のNYダウの現状(1/12)
NYダウのバフェット指数は189.71です。
バフェット指数は100が基準となります。
100を超えていると割高と判断ですね。
現在はかなり割高な状況ということです。
株式時価総額は株式相場全体の大きさですから投資家の期待を表しています。
逆に名目GDPは実際の経済の状況を表しています。
つまり、株式時価総額÷名目GDPという計算で100%を超えるってことは期待が実際を超えているということになります。
つまり過大評価、割高な状態を示すのです。
バフェット指数の日経平均の現状(1/12)
バフェット指数はNYダウ以外でも算出できます。
1/12時点の日経平均のバフェット指数は123です。
こちらもNYダウほどではありませんが割高な水準ということですね。
シラーPER
次はシラーPERです。CAPERレシオともいいます。こちらは長期の平均利益を用いて計算したPER(株価収益率)です。
こちらもバフェット指数と同様に株式市場の割高・割安をざっくり判断する指標として用いられています。
計算式は以下の通り。
シラーPERは過去10年間の1株あたり純利益の平均値を使うことで一時的な要因などを除外して純粋な割高・割安を見ることが可能です。
シラーPER S&P500の現状(1/12)
下記はS&P500のシラーPERです。(NYダウや日経平均のシラーPERはデータ入手が困難でしたのでS&P500としました。)
かなり上下しているのがわかりますね。
出典:Shiller PE Ratioより
S&P500noシラーPERは1月12時点で34.56倍です。
シラーPERの平均は15.88倍、中央値は14.84倍ですからかなり割高な水準であることがわかりますね。
ただし、1999年の12月には44.19倍まで上がったことがありますのでまだ上昇余地がないことはないのでしょうが・・・
まとめ
今回は「要注意?スマートマネー指数と相場が大きく乖離している件」と題してスマートマネー指数について見てきました。
あくまでもスマートマネー指数は警報レベルの話ですが、バフェット指数、シラーPERと含めてちょっと警戒が必要な水準に来ていることがわかっていただけたと思います。
新型コロナウィルスの経済対策のために各国が金融緩和をするという過去に例を見ない状況ですからどう動くのかは予想しづらい部分もありますが、ちょっと気にしておきたいデータですね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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