Netflixの地面師たちというドラマが大きな話題となっています。
私も見始めたら面白くて一気に最後までみてしまいました。
スポンサーの絡み、エログロの関係もあるので地上波ドラマでは絶対できないレベルの内容ですし、さすがNetflixって感じですね。
ちなみに地面師たちの話は実際にあった話がベースってご存じですか?
世界一戸建てを建てている国内最大手ハウスメーカー「積水ハウス」が2017年に地面師に55億騙し取られた事件を元に作られた話なんですよ。
今回はこの話を元に詐欺に引っかからないための教訓について考えて見ましょう。
地面師たちの概要
まずは今回の話について簡単に見ておきましょう。
地面師とは
そもそも地面師(じめんし)とは土地の所有者になりすまして不動産の売却を行い、お金をだまし取る詐欺です。
マンションの所有者になりすました同様のマンション師ってのもいるそう。
バブル時代に多く発生した詐欺でしたが、東京の土地があがってきたことでまたちょくちょく発生しているようなんですよ。
今後も空き家が増えてきていることもあり、さらに多くなるのではと危惧されています。
地面師の手口
普通に考えれば土地の所有者になりすまして不動産の売却なんて騙される方が馬鹿と思いがちではそうではありません。
判別がかなり難しいんですよ。
今回のようなケースでは土地の所有者はもちろん、司法書士、不動産会社など複数の偽物が登場します。
さらに本人確認書類、印鑑証明、実印なども精巧に偽造されています。
経済産業省も3Dプリンターなどデジタルの発達などで印鑑はあまり意味がなくなっていると言っていますが、印鑑証明、実印が偽造されてしまうようではそもそも意味をなしていませんよね。
積水ハウスや法務局のレベルでもスルーしちゃうんですよ。
積水ハウスの地面師事件の概要
ウィキペディアによると積水ハウスが騙された地面師事件の概要は以下のとおりです。
旅館「海喜館」の所有者の元にはリーマンショック前あたりからデベロッパーなどの不動産会社の社員が寄っていたが、所有者は断固としてその土地の売却を拒んでおり、客を装って接客時に旅館売却を迫る不動産関係者に嫌気が差して常連以外を宿泊させなくなった。「海喜館」は2015年3月に廃業となったが、所有者はなおも売却せずに旅館に居住し続けた。
この土地に目を付けた地面師グループは「海喜館」の土地を狙った。
2017年4月3日、地面師グループは転売目的で海喜館の土地を購入しようとする中間買主を見つけ、この中間買主から申込証拠金として2000万円を受け取った。4月4日、マンション事業を行う事業部の営業次長に、元旅館「海喜館」の土地を売却するという話が持ち込まれる。土地所有者はパスポートと印鑑証明で本人確認ができる状況であった。4月13日、地面師グループと中間買主、積水ハウスの次長・課長は条件面を打ち合わせた。その際、地面師は「所有者はマンション購入資金として3億円の調達を急いでいる。申込証拠金だけだと翻意するかもしれない。他にも購入希望者は沢山いるので急いだ方が良い」と積水ハウス側に対して取引を急かした。積水ハウスは稟議決裁を行った後、4月24日に売買契約を締結し、手付金14億円を支払った。この契約は海喜館を一旦中間買主が買取り、それを積水ハウスが買うという契約で、中間業者の買取価額60億円、積水ハウスの買取価額は70億円であった。この後、所有権移転の仮登記が完了する。6月1日に残金の支払いが行なわれ、建物取り壊し後に支払う留保金7億円を除いた残金49億円が支払われた。
6月6日、法務局から不動産の本登記却下の連絡が入る。ここで偽の所有者から土地を購入していたことが判明する。6月9日、積水ハウスは新宿警察署に被害届を提出するが受理されず、9月15日警察庁で刑事告訴が受理された。この間、6月24日に海喜館の本来の所有者が死亡したと見られ、「相続」を原因に都内大田区の2人の男性が所有権を移転し、7月4日に登記された。
その後、旭化成不動産レジデンスが真正の所有者から土地を取得。30階建の超高層マンション・アトラスタワー五反田を建設した。
出典:ウィキペディア 積水ハウス地面師詐欺事件
ちょっとわかりにくいですが、簡単に言えば積水ハウスが所有者を名乗る女と契約して55億円のお金も払ったけど、偽の所有者だったから登記もできず損したってことです。
犯人はその後、捕まっていますが55億は戻ってきていません。
この事件後、すぐに実際の所有者が亡くなり、相続した方から積水ハウスのライバル企業である旭化成グループ(ヘーベルハウスなど)が実際に土地をゲットしているのがなんとも皮肉な結果です・・・
さらにこの事件をきっかけに積水ハウスの内紛に発展してしまうようです・・・
ドラマではそこまでやりませんでしたが、事実もかなり面白い?ことになっていますね。
詳細が知りたい方は詳しくはこちらの本を御覧ください。
Netflixの地面師たちと積水ハウスの実話との違い
基本的にNetflixの「地面師たち」は実話を元にしたフィクションです。
大まかな流れは同じですが、細部はかなり違います。
実際の積水ハウスの事件は旅館が舞台ですが、ドラマではお寺の土地が舞台。
金額も実際は55億ですが、ドラマでは100億円。
所有者が女性というのは同じですが、実話では入院中。
ドラマではホスト遊びをしている尼僧といった違いもあります。(ですからホスト関連の話はすべてフィクションかと)
犯人は実話では内田マイク、カミンスカス操という二人が主犯ですが、ドラマでは豊川悦司さんが演じるハリソン山中が主犯です。(双方をモデルにしたと言われる)
また、ドラマではかなり精巧に詐欺をしていますが、実際はもう少しずさんだったようです。
競合他社からあれは詐欺っていう忠告があったり、本当の所有者からの土地を売るつもりはないって手紙が4通きたり、土地の所有者役の人が面談時に自分の生年月日や干支を答えられなかったとか。
ドラマみたいに「もうええでっしゃろ」とか言ってたのかもしれませんが。
なお、原作はこちら。本もおもしろかったです。
地面師詐欺を防ぐには
それでは地面師詐欺を防ぐ方法について考えて見ましょう。
土地の所有者側
まず、土地の所有者側です。(直接の経済的な被害はないでしょうが。。。)
地面師に狙われやすいのは価値が高いのに放置されている土地です。
ですからそのあたりをクリアにしておくのも良いかもしれません。
売りたくない土地にはその旨を看板を掲げておく地面師対策をしている方もおみえですね。
土地の購入者側
購入者側については簡単ではありません。
相手はプロの詐欺師ですからね。
まず、有効なのはあわてて契約しないってことでしょう。
長引けば長引くほど化けの皮が剥がれてしまう可能性があるため、地面師側が早い決済を求めます。
今回のドラマでも他の検討者を匂わせて急がせてましたね。
実際の話しでも社内ルールを曲げてまで決済を急いでいます。
遅くなることで失注のおそれも確かにありますが、詐欺の合うよりは良いかとおもいますので、急がないということが重要かもしれません。
また、所有者の本人確認は最重要です。
実話でもドラマでも本人になかなか会うことができず、本人確認もずさんだったことが致命傷になっています。
実際、積水ハウスも様々な忠告や出来事があり、本人かどうか確証が持てず、法務部から写真が本人か近所の人に確認するようにお達しがあったそうですが、心象を悪くしたくなくやらなかったそう。
登記が却下された後、実施したら本人じゃないことがすぐにわかったとか。
もし事前にやっていれば詐欺られなかった可能性が高いでしょう。
さらにそもそも美味しすぎる話などに飛び乗らないことでしょうね。
どこからの紹介か、どういう経路できた話か、信頼できる不動産屋、仲介業者、司法書士なのかなども重要でしょう。
まとめ
今回は「積水ハウスも騙された地面師。引っかからないための教訓」と題して地面師詐欺の話をみてきました。
Netflixの「地面師たち」は地面師詐欺に合わないための教訓にもなりますし、なにより面白いのでぜひみてくださいね。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。