ハウスメーカーや住宅メーカーで家の商談を始めると言われるとよくいわれるのが、ファイナンシャルプランナーを無料で利用できますという甘い誘い文句
「無料でプロがライフプランまで作ってくれるならお得かも!」
と利用する方も多いです。
しかし、実は落とし穴があるケースもあるのをご存知でしょうか?
ちなみにこの記事を書こうと思ったきっかけは、知人がハウスメーカーから紹介を受けたファイナンシャルプランナーが酷かったという話を聞いたからです。詳しくは後述します。
今回はファイナンシャルプランナーの無料相談の裏側と安全な代替策をわかりやすく解説します。
読み終わる頃には“家族の未来を守るための正しい相談先”がクリアになりますよ。
ハウスメーカー紹介のFPとは
まずは今回の前提となるハウスメーカー紹介のファイナンシャルプランナー(以降FP)についてみていきます。
無料相談の仕組みとビジネスモデル
無料相談のビジネスモデルを考えればなんとなく見えてくるものがあるはずです。
“無料”の原資はどこから?
ハウスメーカーが社外FPを紹介するとき、成約ごとに数万円〜数十万円の紹介料を支払うことが一般的です。
つまり、売れてナンボのビジネスモデルなんですよ。
FP側もハウスメーカーと同じ売るという方向にバイアスが掛かっているのです。
はじめから中立な意見というわけでもないということは事前に知っておくべきでしょう。
FP側のインセンティブ
また、FPの多くは生命保険や住宅ローン代理店手数料も重要な収入源。
契約が取れなければ報酬ゼロというケースも珍しくありません。
ですからそれらも合わせて誘導される可能性もあります。
利益相反が生まれる構造
つまり、「家を売りたいハウスメーカー」×「契約を取りたいFP」――両者の利益は一致していますが、必ずしも相談者の利益と一致しないってことです。
メリットもゼロではない?──一見お得に見えるポイント
ただし、メリットもゼロではありません。
スケジュール調整が楽
見学会などと同日に相談できるため、忙しい共働き世帯には時短効果があります。
私はFP相談の提案は受けたものの断ってしまったので利用していませんが、場所もハウスメーカーの展示場などで行う感じでした。
住宅ローン事前審査がスムーズ
ハウスメーカーと提携銀行のルートを使えば審査回答が早いことも。
審査も融通が聞きやすいという話もあるそうです。
このあたりはたしかに大きなメリットではあります。
家づくり費用の概算をその場で確認
FPがライフプランソフトを操作し、「教育費+老後資金」込みのキャッシュフロー表を提示してくれる場合もあります。
通常であればお金がかかるサービスですのでこのあたりはメリットとなりそうです、
ただし、これらはあくまで ハウスメーカー FP 信用 を高める“演出”。
メリット以上に大きなリスクが潜む点を押さえましょう。
ハウスメーカー紹介のFPの利用をすすめない5つの理由
今まで書いてきた内容でもおわかりだと思いますが、私は基本的にハウスメーカーが紹介するFPの利用はおすすめしません。
① 利益相反が生む“販売優先”アドバイス
英国で導入されたRDR(Retail Distribution Review)は、販売手数料を禁止し「顧客本位」へ舵を切りました。
背景には「コミッション目当ての押し売り=利益相反」が問題視された歴史があります。
日本でも金融庁は同様の課題を指摘しています。
現状のお金の流れだと買ってくれる方に誘導するのは仕方ないビジネスモデルなのです。
ちなみにここ数年、銀行では「顧客本位」へ移行させるために金融庁が様々な資料を公開して頑張ってますね。

② ライフプランが“買える根拠を示すシナリオ”になりがち
FPのライフプランは個人の人生設計に基づいた資金計画のことです。
結婚、出産、住宅購入、教育、老後など、将来のライフイベントに必要な資金を予測し、それらを達成するための具体的な計画を立てることを指します。
つまり、これを使えば将来の必要なお金がクリアに見えるのです。
当然、家にお金をいくら使えるのかもわかってきます。
しかし、ハウスメーカー紹介のFPの場合には前述のように買ってもらわないと儲かりません。
ですから
- 物件価格を決め打ちで組み込む
- 教育費や老後資金を楽観的に設定
- 返済負担率25%超でも「大丈夫」と言い切る
といいった傾向になりがち。
つまり、そのFPがつくったライフプランは“買える根拠”を示すためのもので、「買っていいか」を検証するものではなくなってしまうのです。
③ 手数料の二重取りリスク
ハウスメーカーから紹介された客はFP側からすればかなりおいしいターゲットとなりえます。
- ハウスメーカーからの成約手数料
- 生命保険や投資商品の販売手数料
と二重の手数料ゲットの可能性があるんですよ。
結果として「本来払わなくていいコスト」が家計にのしかかるケースが多発。
保険の無料相談も基本的に同じ流れですが、さらにハウスメーカーからの成約手数料があるという美味しいお客なのです。

④ 住宅ローン借入額が限界ギリギリになりやすい
住宅金融支援機構の調査では、総返済負担率の平均は23.1%と年々上昇傾向。
既に4割超が25%以上というデータもあります
前述のように家が売れると儲かるというビジネスモデルであるため、多少無理があっても「大丈夫」って太鼓判を押すケースが目立つんですよ。
⑤ 独立系FPと比べ専門領域が狭い
また、保険・住宅ローンに偏りがちで、NISA・iDeCoや資産運用を含む総合的アドバイスは不得意なケースが目立ちます。
試験には当然投資のこともでますが、それほどレベルが高いものではありませんので、自身で実践してなければ薄い知識しかないケースがほとんどなんですよ。
ちなみに私もファイナンシャルプランナーの資格は持っていますのでここまで言えます笑
以前オリエンタルラジオの中田氏も同様の指摘をして炎上してましたね

知人の事例:住宅ローン破綻待ったなし・・・
ちなみのさきほどの知人のケースをしてご紹介しておきましょう。(多少ぼやかしています)
大手ハウスメーカーからの紹介されたFPの事例。
知人のスペックは
30代公務員:年収600万円:子あり、専業主婦の奥さん
預貯金:ほぼなし
公務員のため、安定した所得は得られますが、奥さんは子供が生まれたばかりで働いていません。
まだ商談を始めたばかりなので、家の具体的な金額はないそうですが6,000万円でシュミレーションしてきたそう。
家の価格:6,000万円
金利:固定1.7%、変動0.9%
これで計算すると35年ローンで固定金利で月約19万円、変動金利で16万6千円。
毎月の給料の手取りは25万円ほどとのことで、住宅ローンを引くと固定で6万円、変動でも8.4万円ほどしか残らないんですよ。
これで「公務員だから大丈夫!!」とのGOサインがでたそう。
奥さんが職場復帰するというのが前提とのことですが・・・
一般的に住宅ローンの返済負担率は25%以下に抑えろといわれていますので、かなり高い負担率となります。
そもそも住宅ローンが通るかも怪しいですが、通ったとしてもほぼ預貯金なしの現状では突発的な支払いが来たり、二人目ができて奥さんな働けなくなったらアウトとしか思えないレベル。
さらに生命保険の加入を勧めてきたそう。
本当に相談者の方のことを考えての提案だったのか疑問に残る話でした。
代替策:独立系FPを利用する
それではお金のことを相談したい場合はどうすればよいのでしょう?
おすすめは独立系のFPを利用することです。
料金体系が“フィーのみ”か確認
まず、重要なのがFPのビジネスモデル。
おすすめは相談料のみで生活しているFPですね。
例えば相談料3万円/90分など、顧客からの報酬だけで成り立つビジネスモデルの方を選びましょう。
紹介料や成功報酬で成り立つビジネスモデルだとどうしてもバイアスが掛かったアドバイスしかいただけません。
資格と実務経験を両方チェック
また、前述したようにFPはそこまで難易度が高いものでもなく、試験の内容も一つ一つの論点もそれほど深くはありません。
つまり、FPを名乗っていても知識があるのかはわからないってことです。
「ある程度のお金の知識がありますよ」って証明に過ぎないんですよ。
ですから重要なのは実務経験などがどのくらいあるかですね。
また、宅建士、住宅ローンアドバイザー、社会保険労務士、税理士などのその他の複数の資格を保有しているとより信憑性が増しますね。
提案書に“買わない”選択肢が盛り込まれているか
住宅購入を前提にしないシミュレーションがあるかは重要なチェックポイントです。
独立系のFPは独立系は“売らない自由”がある点が大きなメリットとなります。
まとめ
今回は「ハウスメーカー紹介FPは信用できる?利益相反とローン破綻事例を徹底解説」と題してハウスメーカー紹介のFPについて考えてみました。
まとめると
- 「無料相談」はハウスメーカーとFPの利益相反構造を理解したうえで利用すべき
- 公式統計でも返済負担率は上昇傾向。家計の余裕はますます削られています。
- まずは独立系FPにセカンドオピニオンを取り、「買える」ではなく「買ってもいいか」を判断しましょう。
鵜呑みにせずいろいろな話を聞いてみるのは大事だと思いますけどね。

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