iDeCo(個人型確定拠出年金)で初めての投資に挑戦をする人が増えています。
しかし、正直初心者には少しハードルが高い点があるのです。
それは投資の世界では様々な専門用語があることです。
また、税金や社会保険特有の用語もあります。
そのほとんどは普段の生活ではあまり聞いたことがない馴染みのない言葉ですしね。
証券会社のページはもちろん、初心者向けの投資関連のブログなどでもそれら用語が当たり前に飛び交っているのでよく理解しないまま進めてしまう方も多いと思います。
それでは投資を始めるのにはちょっと怖いですよね。
そこで今回はiDeCo(個人型確定拠出年金)で初めて投資に挑戦する方向けに知っておきたい専門用語を解説していきます。
辞書的に使っていただければ幸いです。
iDeCoを始めるときに知っておきたい基本の用語
まずはiDeCoを始めるときに必ず知っておきたい基本の用語からみていきましょう。
iDeCo
まずはそもそもの大前提「iDeCo」からです。
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」の愛称で、「イデコ」と読みます。
個人型確定拠出年金の英語表記「individual-type Defined Contribution pension plan」の単語の一部から構成され公募で決定した愛称なんですよ。
個人型確定拠出年金は元々、確定拠出年金という制度があり、その個人版ということで個人型確定拠出年金という名前になっています。
iDeCoがどういったものかを知る前提に確定拠出年金とはどういったものなのかを見ておきましょう。
確定拠出年金
確定拠出年金とは名前のとおり、拠出が確定した年金制度のことです。DCや401Kとも呼ばれることがあります。
企業年金では確定給付年金というもらえる金額があらかじめ確定(確定給付)した年金制度が一般的でした。
しかし、株価の低迷で多くの機関が運用が失敗するなどして企業の経営に大きな影響を与えてしまうようになります。
運用に失敗しても確定した金額は支払う必要がありますから、企業には大きな持ち出しが発生してしまうんです。
そこで登場したのが確定拠出年金。
企業は支払う金額(拠出)を確定してあり、あとは本人が自由に運用してもらおうという仕組みなのです。
つまり、運用責任は本人となりますので会社のリスクは大幅に減ります。
そのため、企業理由による部分が大きいですが普及してきているのです。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)
同じ仕組みを自営業者にもと誕生したのが確定拠出年金制度の個人版で個人型確定拠出年金(iDeCo)です。
企業型との一番大きな違いは拠出も自分で行う部分になります。
つまり、簡単に言えば自分の老後生活のために老後資金を自分で作るための制度です。
下記図のように国民年金や厚生年金と合わせた年金制度の上乗せ部分を自分で運用できる制度として考えると良いでしょう。
出所:厚生労働省 iDeCo説明ページ
具体的にはiDeCoはこんな感じの流れになっています。
↓
その積み立てたお金で投資信託や定期預金、保険などの商品を選択して運用
↓
60歳以降にその運用した資産を受け取ることができる。
なお、iDeCo(個人型確定拠出年金)の詳しい内容を知りたい方は以下の記事を合わせてご覧ください。
この記事をみれば「iDeCo(個人型確定拠出年金)制度」から「つみたてNISAとの違い」、「おすすめ金融機関」、「おすすめ商品」、「いくら積み立てればよいのか」などを網羅的に確認することができますよ。
所得控除
企業型と違い個人型確定拠出年金(iDeCo)は拠出を自分でしなくてはなりません。
なんの得があるんだ??って思われた方もみえるでしょう。
iDeCoの最大の肝といっても良いのが「所得控除」の対象となるということです。
所得控除とはその名前そのままですが、以下のような制度となります。
iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象となるのです。
所得控除が増えればそれだけ所得税や住民税を計算するときの元となる所得を減らす効果があります。
その結果、所得税及び住民税が減るのです。
例えば課税所得が500万の自営業者の場合でみてみましょう。
すると年間で81万6千円の掛け金です。
それがそのまま全額所得控除となり24万4千8百円もの節税となります。
(81万6千円✕30%)所得税率20%、住民税10%で計算
自分の将来の年金を作るために積み立てているだけなんですが、税金までやすくなってかなりオトクであると言えます。
つまり、毎年3割(所得税率20%、住民税10%の方の場合)の運用ができる投資をしたようなものなのです。
掛金を自分で拠出しないといけない個人型確定拠出年金ですが、多くの方が加入している最大のポイントはここにあります。
iDeCoの節税面についてさらに詳しく知りたい方は下記記事を御覧ください。
退職所得控除
もう一つiDeCo関連で知っておきたい控除があります。
それは「退職所得控除」です。
iDeCoは基本的に拠出したときに所得控除が受けられるため節税効果があり、受け取るときに課税される仕組みです。
しかし、受け取るときも控除を受けられるケースがあります。
それが「退職所得控除」です。
退職所得の計算は退職金の税金計算と一緒で以下の通りとなります。
退職所得金額×所得税率=所得税額
つまり、退職所得控除額からはみ出たぶんについては半分が課税対象となるってことですね。
逆に言えば退職所得控除額内で収まれば非課税ということです。
退職所得控除額の計算は以下の計算で求められます。
20年以下 40万円✕A(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超 800万円+70万円✕(Aー20年)
つまり、この枠内で収まれば受け取る時も税金はかからないということになります。
iDeCoの場合の勤続年数は加入年数です。
つまり、早く入れば入るほど控除も大きくなるということです。
ただし、会社員で会社から退職金が出る場合や企業年金の一時金がもらえる場合や、自営業者で小規模企業共済に加入している方は要注意です。
iDeCoと退職所得控除の枠をシェアすることになるのです。
なお、イデコと勤務期間の重複期間がある場合にはイデコの加入年数と会社の勤務期間の長い方で控除を計算します。
公的年金控除
もう一つ控除があります。
「公的年金控除」です。
前述の退職所得控除はiDeCoで運用してきたお金を一括で受け取る場合に関係してきますが、こちらの公的年金控除は老齢年金として分割で受け取る場合に影響していきます。
具体的には以下の控除となります。
受給者の年齢 | 公的年金等の年間収入金額 | 公的年金等控除額 | |
---|---|---|---|
65歳未満 | 130万円以下 | 70万円 | |
130万円超 | 410万円以下 | 収入金額 × 25% + 37万5千円 | |
410万円超 | 770万円以下 | 収入金額 × 15% + 78万5千円 | |
770万円超 | 収入金額 × 5% + 155万5千円 | ||
65歳以上 | 330万円以下 | 120万円 | |
330万円超 | 410万円以下 | 収入金額 ×25% + 37万5千円 | |
410万円超 | 770万円以下 | 収入金額 × 15% + 78万5千円 | |
770万円超 | 収入金額 × 5% + 155万5千円 |
なお、公的年金等の年金収入額はiDeCoで受け取る金額だけでなく、厚生年金や国民年金など他の年金と合算で計算されます。
つまり、合算して
65歳以上の場合、年金が年間120万円未満ならば非課税
逆に言えばこれを超える場合には税金が発生します。
受け取る時、年金で受け取るのがいいのか、一時金で受け取るのがいいのか、それとも併用がいいのかは人それぞれ違います。
詳しくは下記記事を御覧ください。
iDeCoの手数料用語
次はiDeCoの手数料用語です。
かなり種類がありますのでごっちゃになってしまいますね。
ちなみにどこの金融機関でiDeCoを始めるのがよいのかという話に絡んでもくるところですからしっかり理解しておきたいところです。
口座管理手数料
まずは口座管理手数料からみていきましょう。
iDeCoの弱点の一つに手数料があります。
様々な場面で手数料が掛かってしまうんですよ。
それら手数料のうち毎月かかってくる部分を一括にして「口座管理手数料」といいます。
口座管理手数料は金融機関によってかなり違いますからiDeCoを始めるときには必ず確認しておきたいところです。
それぞれ順番に見ていきましょう
運営管理機関手数料
まずは運営管理期間手数料です。
ここがかなりの差になっているんですよ。
無料のところもあれば、毎月458円掛かるところもあります。
毎月の話ですからかなり大きいですよね。
ちなみに運営管理機関手数料が無条件で無料である金融機関はSBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、イオン銀行、大和証券、au、auカブコム証券、三井住友銀行(SMBC個人型プラン)、野村證券などです。
他にも資産50万円以上で無料のみずほ銀行など条件付き無料の金融機関もあります。
基本的には手数料は安いに越したことはありませんから無料のところから選択するのがおすすめですね。
国民年金基金連合会、信託銀行の手数料
各社共通でかかってくるのが国民年金基金連合会への手数料と信託銀行への手数料です。
国民年金基金連合会は月々105円、信託銀行へは月々66円掛かります。
つまり、上記の運営管理機関手数料が無料のところでも171円は毎月発生してくるってことですね。
信託銀行はある程度仕方ない部分もありますが、国民年金基金連合会の手数料はどうも違和感を感じてしまうのは私だけではないでしょう。
詳しくは下記記事を御覧ください。
加入時手数料
加入時に各社共通で掛かる手数料のことを「加入時手数料」といいます。
そのままですね(笑)
加入時手数料は国民年金基金連合会への支払いとなり2,829円となっています。
口座開設手数料
あまり取っている金融機関は多くないですが国民年金基金連合会への支払い以外に金融機関へ「口座開設手数料」の支払いが必要なケースもあります。
基本的には手数料は安いに越したことはありませんから無料のところから選択するのがおすすめですね。
ほとんどが無料ですけどね。
移換時手数料
iDeCoをどこかの金融機関で始めたはよいけど他へ変更したい・・・ってケースもあると思います。
その場合にかかってくるのが「移換時手数料」です。
こちらも金融機関によって大きく違いますね。
多くの金融機関は4,400円となっています。
ただし、一部無料の金融機関もあります。
運営管理機関手数料が無料で移換時手数料も無料な金融機関はイオン銀行、三井住友銀行(SMBC個人型プラン)2019年12月7日現在2社だけです。
変更しなければ関係ない話ではありますが・・・
ただし、それ以外に移換時の手数料として加入時と同じく国民年金基金連合会に2,829円必要です。
あまりころころ変えるのは得策ではありませんね。
移換の流れ等はこちらの記事を御覧ください。
給付手数料
次は受け取るき時掛かる手数料です。
「給付手数料」と言います。
こちらも各社共通で440円/1回掛かります。
一時金で受け取れば440円で完結。
年金で受け取るとその都度440円掛かってきます。
手数料だけを考えれば一時金がお得なんですよね。
還付手数料
あまり知られていませんが「還付手数料」というものもあります。
例えば、年金を未納して加入資格がない状態でiDeCoにそのまま加入していたとか自営業だったけど会社員に転身して掛金の上限が変わったのにそのまま加入していたようなケースだと掛けた金額が還付されます。
還付されるはよいのですが、手数料が取られてしまうんですよ。
こちらも各社共通で以下の手数料が取られます。
信託銀行:440円/1回
結構な金額ですからそういったことがあるなら早めに手続きをしておきましょう。
商品選択時に知っておきたい用語
最後はiDeCoで商品を選択するときに知っておきたい用語です。
基本的にここに紹介したものだけチェックするだけでも充分だと思います。
こちらも手数料と同じくどこの金融機関でiDeCoを始めるのがよいのかという話に絡んでもくるところですからしっかり理解しておきたいところです。
信託報酬
まずは信託報酬
iDeCoで投資信託を買うなら必ずチェックしたい項目です。
信託報酬とは簡単にいえば
信託報酬は投資信託を保有している機関ずっとかかってきます。
その投資信託が儲かるかどうかは不確実性は高いです。
しかし、信託報酬のようなコストは確実に発生してきます。
ですから極力安い方が良いのです。
iDeCoの金融機関を決める際も信託報酬が安い投資信託をラインナップしているところがおすすめですね。
金融機関によっては取り扱い商品のすべて信託報酬が高いなんてことも普通にあります。
騰落率
次に投資信託の過去成績を示す用語をご紹介しましょう
「騰落率」です。
騰落率は運用効率が良いかどうかを示すと考えればよいでしょう。
騰落率が数年間安定している投資信託は運用が安定していると考えればよいでしょう。
トータルリターン
もう一つ過去成績を示す用語があります。
「トータルリターン」です
つまり、こちらは実際にどれだけ儲けられたか、損したかを表すものです。
体感的に分かりやすいのはトータルリターンでしょう。
あくまでも過去の成績ですから将来どうなるかの保証ではありませんが参考にはなりますよね。
騰落率とどちらもチェックしておきたいところですね。
シャープレシオ
もう一つが「シャープレシオ」です。
こちらも投資の効率を測る指標です。
この数値が高いほどリスクを取ったことによって得られるリターンが高いことを示します。
異なる投資対象を比較するときに同じリスクを取るならどちらのリターンが高いのかを判断するときに使われます。
純資産額
もう一つ重要なのが「純資産額」です。
簡単に言えばその投資信託にお金がどれだけ集まっているのかを示します。
お金がたくさん集まってきていれば運用にも有利に働きますし、規模の経済が働き実質コストも安くなりやすいです。
また、償還といって儲からないからとかの理由で投資信託の運用やめた!ってことにもなりにくいのです。
ですから純資産額もチェックしておきたい項目なのです。
iDeCoの投資信託の選び方はこちらの記事を御覧ください。
iDeCo始めるなら知っておきたい専門用語まとめ
今回は「iDeCo(個人型確定拠出年金)を始めるなら知っておきたい専門用語解説」と題してiDeCoに関係する専門用語を見てきました。
たくさんありますね(笑)
これら用語を知らなくてもiDeCoを始めることはできますが、理解してから始めた方が有利な部分です。
ぜひ覚えておきましょうね。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するならこの3社から選ぼう
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるならまずは金融機関を決める必要があります。
しかし、たくさんあってどこにしたらよいのかわからない方も多いでしょう。
簡単に決めてしまう方もおおいかもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合、金融機関ごとの違いがとても大きいですから慎重に選びたいところです。
私が今もし、新たに加入するならSBI証券、マネックス証券、松井証券の3択の中から決めます。
(※私が加入しているのはSBI証券です)
この3つの金融機関は運営管理機関手数料が無料です。※国民年金基金連合会の手数料等は各社共通で掛かります。
また、運用商品もインデックスファンドを中心に信託報酬が低い投資信託が充実しているんですよ。
順番に見ていきましょう。
SBI証券
まずイチオシはSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。
SBI証券は信託報酬も最安値水準のeMAXIS Slimシリーズを始めとしたインデックスファンドから雪だるま全世界株式、ひふみ年金、NYダウ、グローバル中小株、ジェイリバイブといった特徴ある投資信託をたくさん揃えているところが最大の魅力です。
選択の楽しさがありますよね。
また、確定拠出年金を会社員に解禁される前から長年手掛けている老舗である安心感も大きいですね。
SBI証券は運営管理手数料が無条件で0円ですし、なにより運用商品が豊富で選択の幅が広いです。現状最強のラインナップを誇ることになります。
また、他の証券会社に先んじて確定拠出年金の取扱をはじめてますから安心感が強いですね。
マネックス証券
次点はマネックス証券 iDeCoです。
こちらも後発ながらかなりiDeCoに力をいれていますね。
iDeCo初でiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスを取扱い開始したのに興味をひかれる人も多いでしょう。
マネックス証券はeMAXIS Slimを多く取り扱っており、信託報酬がほとんど最安値水準でスキがありません。また、iDeCoでいち早くiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスの取り扱いをはじめたところも大きなポイントになりますね。
松井証券
松井証券のiDeCoは35本制限まで余裕があるというのは後発の強みですね。
その35本制限までの余裕を生かして他社で人気となっている対象投資信託を一気に採用して話題になっていますね。
こちらも有力候補の一つですね。
2020年10月18日から取り扱い商品が大幅拡充されました。
人気となっているeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)や楽天・全世界株式インデックス・ファンドなども採用され最強ラインナップといっても過言ではない充実ぶりですね。
総合して考えるとこの3つの金融機関に加入すれば大きな後悔はないかなと思います。
他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですが・・・
お知らせ:You Tubeはじめました。
You Tube「お金に生きるチャンネル」をはじめました。
You Tubeでも少しでも皆様のお役に立てる動画を定期的に発信していきますのでチャンネル登録をぜひよろしくお願いいたします。