選挙前になると必ず発表される話があります。
それが低所得者向けの給付金です。
今回も自民党、公明党それぞれが表明していますよね。
首相はまた、物価高対策として「年金世帯や低所得者世帯を対象とし、追加の給付金で支援することを検討する
出典:読売新聞
公明党の石井啓一代表は17日のBSフジ番組で、物価高対策として衆院選公約に盛り込んだ低所得者世帯向けの給付金支給について、1世帯当たり10万円が目安になると言及した。
出典:共同通信
ちなみに今年はすでに低所得者向けの3万円+7万円、合計10万円の給付が行われているんですよ。
それにプラスしてという・・・
今回はそのカラクリを解説していきましょう。
低所得者向けの給付金の対象者の7割が高齢者
過去の例だとこの手の低所得者向けの給付金の対象者は住民税非課税世帯が対象です。
簡単に言えば住民税が0の世帯ってことですね。
この人たちの層を見れば選挙前になると発表されるカラクリが分かってくるかと思います。
住民税非課税世帯の条件
住民税非課税世帯の条件は家族構成や住んでいる自治体によっても異なりますが、大まかに整理するとこんな感じです。
実は住民税非課税世帯の多くは年金生活者なんですよ。
同じく住民税非課税世帯を対象とした「年金生活者等支援臨時給付金」に関する資料によると、65 歳以上世帯の住民税非課税世帯に属する人数は約 1,100 万人程度もいるという・・・
具体的な比率は発表されていませんが、住民税非課税世帯の7割くらいが高齢者世帯であると言われています。
例えば、所得が年金だけの方は高齢者夫婦(65歳以上)なら211万円までの年金なら住民税非課税世帯となります。
年金で生活している方の多くが対象となりますね。
また、高齢者は選挙に行く比率も高いです。
つまり、低所得者向けの給付金出すというと景気対策とか物価高の対策なように見えますが、内情は高齢者に媚をうって選挙で入れてもらおういうカラクリなわけです。
低所得者向けの給付金の問題点
低所得者向けの給付金には大きな問題がいくつもあります。
それは以下のようなケースでももらえてしまうってことです。
つまり、高齢者もそうですが、本当に給付が必要じゃない方に行ってしまうケースが多いのが今までのやり方なんですよ。
貯蓄が多額にあり働いてない隠居生活なので住民税非課税世帯
まずはよくあるケース
貯蓄が多額にあり、働かなくも問題なくて隠居生活をおくっている場合はどうでしょう?
隠居生活で働いてなければ当然、住民税は非課税となっているでしょう。
こちらも当然もらえます。
前述したように判定は所得(収入)が多いかどうかです。
その判定を住民税の課税の有無で行っているため、住民税非課税世帯と判定されるこのケースでは、過去の住民税非課税世帯を対象とした給付は受給できていますね。
貯蓄の有無は一切関係ないんですよ。
少し前にも40億円くらいの資産をもつ無職の方がXで低所得者向けの給付金をもらったと問題提起していました。
日本の多くの資産は高齢者が持っていると言われていますが、その多くの資産をもつ高齢者に給付を行う意味は選挙対策以外に考えにくいですよね・・・
株の配当でFIRE生活、デイトレーダー
次に株の配当でFIRE生活をしているケースです。
こちらはちょっと条件があります。
特定口座で源泉徴収ありの方ならいくら配当をもらっていようが関係ないんですよ。(それ以外の口座の場合は影響あり)
この場合、配当や株の売買で所得税、住民税は支払っていても、住民税非課税世帯の判定には入らないのです。
たとえば、配当金で年間1,000万円をもらって配当金生活をしている方がいたとします。
他に収入はなく特定口座で源泉徴収ありにしている場合は、住民税非課税世帯の対象となります。
ですから前述の貯蓄のケースと同じように、過去の住民税非課税世帯を対象とした給付は受給できていますね。
もちろん配当金生活の方だけではなく、特定口座で源泉徴収ありでやっているならデイトレーダーなんかも同様ですね。(資金効率を考えると、デイトレーダーで源泉徴収ありの方はあまりいないかもしれませんが)
つまり、実は多く稼いでいる方にも低所得者向けの給付金が行く可能性が高いのです。
学生や新社会人も条件によってはもらえるケースも
ちなみに学生も条件によってはもらえる可能性があります。
住民税は前年の所得によって決まります。
ですから前年にあまりアルバイトなどをしていない学生や新社会人は世帯が独立していればもらえる可能性があるのです。
たとえば低所得者向けの給付金としてちょうど4年前の選挙前にでた「臨時特別給付金」は、新社会人であっても親と同居しておらず、2021年12月10日時点に住民票を移していたケースでは住民税非課税世帯と判断され給付されたようです。
国が定める支給対象は、二〇二一年度の住民税均等割が非課税の世帯と、昨年一月以降の家計急変世帯。非課税世帯の場合は、昨年十二月十日時点で住民基本台帳に記録されている市町村から順次、確認書類が送付される。昨年四月に就職し、親と同居していない新社会人の大半は、二一年度は納税しておらず、「非課税世帯」の扱い。このため現在の収入と関係なく、受給対象になるとみられる。出典:中日新聞 新社会人にも10万円? 「もらいたいけど」給付書届き困惑
ただし、自治体によっては違う判断になったケースもあります。(この手の給付金は自治体の管轄)
刈谷市の場合には、前年に親の扶養に入っていた場合には支給対象外とするとの案内がでていますね。
令和3年4月より就職した新社会人の方は、令和2年に親の扶養(税法上の扶養控除)に入っている可能性があります。
親に令和2年末時点の扶養申告状況を確認し、扶養に入っていた場合は支給対象外となりますのでご注意ください(ただし、親が非課税の場合は除く)。なお、扶養に入っていた場合は、確認書の確認欄の1にチェックをせずにその他の記載事項を記載したうえ、ご返送ください。出典:刈谷市 【新社会人の方へ】住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金支給要件確認書について
他の自治体でも案内は出していないものの同じように判断しているケースもあると思われます。
まとめ
今回は「なぜ政党は低所得者向けの給付金を出したがるのか。そのカラクリと問題点を解説」と題して低所得者向けの給付金の話をみてきました。
個人的に低所得者向けの給付金という選挙対策でお金をばらまくのは大反対でそのような政党にいれたくありませんね・・・
せっかくマイナンバーがあるのだからもっと本当に必要な人にお金を給付する仕組みができないものなでしょうか?
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最後まで読んでいただきありがとうございました。