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米国ETF「AGIX」の罠と現実。未上場のスペースXやアンソロピックに投資できるが。。。

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米国ETF「AGIX」の罠と現実。未上場のスペースXやアンソロピックに投資できるが。。。

先日、スペースXに投資したい。

でも、未上場だから買いにくいという記事を書いたところ、すでにスペースXやアンソロピックが含まれている米国ETF「AGIX」について詳しく教えてほしいとの質問がありました。

そこで今回はAGIXについて詳しく解説していきます。

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目次

AGIXとは何か。スペースXやアンソロピックに投資できる米国ETF

「スペースXに投資したい」

「アンソロピック(Claudeの会社)に上場前から乗りたい」

最近、こう考える投資家が増えています。

AI、宇宙、クラウド、半導体、データセンター。どれもこれからの成長テーマとして魅力的です。

しかし、ここに大きな壁があります。

スペースXもアンソロピックも、通常の個人投資家が証券口座から直接買える上場株ではありません。

つまり、どれだけ将来性を感じても、普通は「見ているだけ」になりがちです。

そこで注目されているのが、KraneShares Artificial Intelligence & Technology ETF、ティッカーはAGIXです。

NASDAQに上場しています。

AGIXの特徴は上場しているAI・テクノロジー企業だけでなく、非上場のAI・テクノロジー企業にも投資していることです。

運用会社のKraneSharesは、AGIXについて「公開企業と非公開企業の両方に投資し、AIのバリューチェーン全体を捉えるETF」と説明しています。

具体的には、AIモデルを作る企業、半導体、クラウド、データ、インフラ、AIアプリケーション企業などを対象にしています。

ここで大事なのは、AGIXは「スペースX単体ETF」でも「アンソロピック単体ETF」でもないという点です。

AGIXは、あくまでAI・テクノロジー全体に投資するETFです。

その中に、非上場企業であるスペースXやアンソロピックが一部組み込まれている。

ここを勘違いすると、期待と現実のズレが大きくなります。

どちらもそこまで比率は高くないんですよ。

経費率、純資産

経費率0.99%、アクティブ運用です。

KraneSharesの開示では、2026年5月6日時点の純資産は約4億1,613万ドルとなっています。

アクティブファンドですから経費率は高めですね。

純資産も今の時点ではそこまで大きくはありません。

なぜ「未上場株を買えるETF」が成立するのか

まず、素朴な疑問から始めましょう。

ETFは通常、上場株式を組み合わせて運用される金融商品です。

それなのに、なぜ「AGIX」はスペースXやアンソロピックといった未上場企業の株式を保有できるのでしょうか。

答えは、米国の規制の中にあります。SEC(米国証券取引委員会)のルール22e-4により、ETFは純資産の最大15%まで、流動性の低い資産を保有することが認められています。

この「15%の枠」を活用することで、AGIXは未上場AI企業の株式を直接、自らのバランスシートに組み入れているのです。

ここで重要なのは「直接」という言葉です。

多くの未上場株式に投資するファンドは、SPV(特別目的事業体)と呼ばれる中間ビークルを介して投資しています。

ところがAGIXは違います。

アンソロピックの株主名簿(キャップテーブル)に、AGIX自身の名前が載っているのです。

これは、アンソロピックが2025年2月に資金調達ラウンドを実施した際、KraneSharesが直接参加して獲得したポジションです。

「直接保有」と「SPV経由」は、似ているようで根本的に違います。

後者は手数料の上乗せや、評価額の不透明性といった問題を抱えがちですが、前者にはそれがありません。

これがAGIXを「他のAIテーマ型ETFと一線を画す存在」たらしめている、最大の構造的な強みです。

AGIXの構成銘柄

では実際、AGIXの中身はどうなっているのでしょうか。

直近の公開情報をもとに、ポートフォリオの実態を見ていきます。

公開株式部分では、想像通りの「AIメガキャップ」が並びます。

NVIDIA、Microsoft、Meta Platforms、Alphabet、Apple、Broadcom、Taiwan Semiconductor、Amazonといった、AI革命の中核を担う上場企業群です。

これらは純資産の約8割を占めます。

そして、残りの約2割の枠の中に、AGIXの「らしさ」が凝縮されています。

【AGIXの主要構成銘柄(2026年5月時点の公開情報をもとに整理)】

銘柄種別純資産比率(概算)
NVIDIA上場株(AIインフラ)約4.7%
Alphabet(Google)上場株(AIプラットフォーム)約3.6%
SpaceX未上場株(AI+宇宙)約1.39〜3.5%
Anthropic未上場株(AIモデル)約2.36〜2.9%
Nuro未上場株(自動運転AI)約1.0%

比率には幅がありますが、これは時期によってKraneSharesが評価額を更新するためです。

重要なのは「順位」ではなく、ここに並ぶ顔ぶれです。

スペースXは、ロケット打ち上げ事業のSpaceX、衛星インターネットのStarlink、そして2026年2月にxAIと統合したAI部門までを内包する複合体です。

Bloombergの報道によれば、合併後の評価額は1.25兆ドルに達し、2026年内のIPO実施が有力視されています。

アンソロピックも凄まじい成長カーブを描いています。

Anthropicの公式情報では、年間収益ランレートが2024年末の10億ドルから、2025年末には90億ドル、そして2026年4月には300億ドルへと拡大しました。フォーチュン500の上位10社のうち8社がClaudeを採用しているという事実が、その実力を裏付けています。

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そして2026年5月7日、AGIXは新たに自動運転技術のNuro Inc.を組み入れました。

Uberとルーシッドモーターズと組んで、サンフランシスコ湾岸エリアで2万台超のロボタクシー商用展開を計画している、AI×モビリティの中核プレイヤーです。

つまりAGIXは、上場AI銘柄でベースを作りながら、未上場の「次世代AIユニコーン」にも継続的にアクセスする、極めてユニークな構造を持つETFなのです。

AGIX どこで買える?SBI証券、楽天証券は?

検索する人が一番知りたいのは、おそらくここでしょう。

AGIX どこで買えるのか。

結論から言えば2026年5月時点でSBI証券、楽天証券にて「米国ETF」として取扱いがあります。

SBI証券については、SBI証券の米国株式の注意銘柄ページに「KS AI & Tech ETF」「AGIX」が当社取扱銘柄として表示されています。

検索結果上も、AGIXについてSBI証券の注意銘柄ページが確認できます。

また、楽天証券では2025年8月21日現地約定分から米国上場ETF16銘柄の新規取扱いを開始した案内があり、楽天証券のETF検索結果にもAGIXがNASDAQ上場ETFとして表示されています。

ただし、ここで注意してください。

証券会社の取扱状況は変わることがあります。

特に海外ETFは銘柄検索では表示されても、口座区分、取引規制、特定口座対応、NISA対応、注文時間、為替決済、外貨決済、買付停止などで実際の買い方が変わることがあります。

AGIXのSBI証券での購入手順

買い方は他の米国ETFと同様です。

  1. SBI証券にログインし、「外国株式・海外ETF」のページへ進みます
  2. 銘柄検索で「AGIX」または「KraneShares Artificial Intelligence」と入力します
  3. 取引画面で買付数量、円貨決済または外貨決済を選択します
  4. 注文を発注します(米国市場の取引時間に注意)

円貨決済を選ぶか、住信SBIネット銀行で米ドルに両替してから外貨決済するかで、実質コストが変わります。

為替手数料を抑えたい方は、後者のルートを検討する価値があります。

AGIXの「5つのリスク」

ここまでお読みいただき、「AGIXは画期的だ」と感じた方も多いでしょう。

しかし、魅力的な商品ほど、構造的なリスクが見えにくくなります。

AGIXには、表層的な記事ではあまり語られない、5つの重要なリスクがあります。

未上場株式の「評価額の不透明性」

AGIXを語るとき、多くの記事やSNSではこう言います。

スペースXに投資できる。
アンソロピックに投資できる。
上場前の成長を取り込める。

たしかに間違いではありません。

しかし、この記事で一番伝えたいのは少し違います。

AGIXは「IPO先取りの夢」を売る商品であると同時に、「未上場株の評価リスクをETF価格に包んだ商品」でもあります。

AGIXが保有するスペースXやアンソロピックの株式は、毎日値段がついている上場株とは違います。

価格は、直近の資金調達ラウンドでの評価額や、信託会社が独自のモデルで算出する「フェアバリュー」によって決まります。

ここに歪みが生まれます。

たとえば、ある資金調達ラウンドで「アンソロピックの企業価値は1,800億ドル」と決まったとします。

すると、次の調達ラウンドまでの間、アンソロピックの評価額は基本的にこの数字に固定されます。

ところが、その間にAI業界全体が暴落しても、AGIXに組み入れられているアンソロピックの評価額は、すぐには下がらないことがあります。

この「評価ラグ」は、上昇局面では追い風になりますが、下落局面では「実態より高く評価された資産を保有している」状態を意味します。

IPO時にこの歪みが一気に解消され、想定外の価格で公開されると、ETFの基準価額に大きなインパクトを与える可能性があります。

IPOの「遅延・中止リスク」と、その後の値動き

スペースXは2026年内、アンソロピックは2026年10月の上場が観測されています。

しかし、これらはあくまで「観測」であり、確定情報ではありません。

市場環境の悪化、米国の金融政策、地政学リスクなど、IPOを延期させる要因は数多く存在します。

また、仮にIPOが実施されても「上場後の値動き」は予測不可能です。

期待先行で買われていた銘柄ほど、上場直後に売り圧力が殺到することがあります。

アンソロピックがOpenAIとの競争で劣勢に立たされた場合、評価額の下方修正もありえます。

歴史を振り返れば、Uberは2019年のIPO直前に評価額1,200億ドルが期待されましたが、実際の上場時公開価格に基づく時価総額は約760億ドルにとどまりました。

期待と現実の乖離は、これほど大きくなりうるのです。

AGIX自体の「集中投資リスクと高い経費率」

AGIXは「非分散型ファンド」として登録されています。

これは、規制上の分散要件を緩和することで、特定の銘柄や産業への集中投資を可能にするためです。

投資テーマの純粋性は高まりますが、AI業界に何か逆風が吹いた場合、ダメージはダイレクトに来ます。

加えて、経費率0.99%は、長期保有における大きな「重し」です。

たとえば、年率8%のリターンを30年間複利運用した場合、経費率0.99%と0.20%の差は、最終リターンを約20%押し下げる計算になります。

短期の値動きに目が行きがちですが、長期の複利効果における手数料の影響は侮れません。

ETFは毎日売れても、中身は毎日売れない

AGIXのETF自体は市場で売買できます。

これがETFの魅力です。

しかし、中に入っている非上場株は、必ずしもすぐに売れる資産ではありません。

KraneSharesは、SEC Rule 22e-4により非流動性資産は純資産の15%以内に制限されると説明しています。

AGIXもこの制約の中で非上場株を組み入れています。

この仕組みは投資家保護のために必要です。

しかし、逆に言えば、AGIXが非上場株を無制限に増やせるわけではありません。

人気企業をもっと入れてほしいと思っても、ETFの流動性を守るために限界があります。

意外と少ない組入比率。名前ほど効かない可能性

また、組入比率はしっかり理解しておく必要があります。

組入比率は2026年5月時点の公開情報をもとに整理すると概算でスペースXは約1.39〜3.5%、スペースXは約2.36〜2.9%程度です。

これは魅力的ですが、AGIX全体を大きく動かすにはかなり限定的なんですよ。

例えば100万円AGIXに投資しても、実際はスペースXには1.39万円、アンソロピックには2.36万、その他の銘柄に96.25万円投資しているイメージです。

その他の投資先の比率の方が圧倒的に大きいのです。

つまり、「スペースXに投資した」と感じていても、実際には他の大型AI株の値動きのほうが大きくなる可能性の方が大きいのです。

これは一概に悪いことではありません。

ただし、スペースXやアンソロピックに投資したい!という期待値とはズレているかもしれません。

個人投資家は、AGIXとどう付き合うべきか

ここまでメリットとリスクを整理してきました。

それでは、個人投資家にとって、AGIXはどう位置づけるべき商品なのでしょうか。

私の見解は、こうです。

AGIXは「コア資産」ではなく「サテライト資産」として持つのが理にかなっています。

ポートフォリオの中心はS&P500連動ETFや全世界株式インデックス、もしくはNISAの成長投資枠で取得する低コストのインデックスファンドが妥当です。

その上で、ポートフォリオ全体の5〜10%程度を上限に、AGIXのような「テーマ型・非分散型」のETFを組み込む。

これが、リスクとリターンのバランスを取った持ち方です。

なぜ「全部入り」にすべきでないか。

理由は3つあります。

経費率が高いこと、未上場株評価の不透明性、そしてAIブームそのものが調整局面に入る可能性があること。

これらをすべて織り込んだ上で、「それでも未上場AI企業の成長に賭けたい」という意志がある方にとって、AGIXは合理的な選択肢になります。

逆に「とりあえずスペースXに乗りたいから」という気持ちだけで全力投資するのは、私はおすすめしません。

投資の世界では、構造を理解せずに買った商品が、最も損失を出しやすいものです。

まとめ

なぜ私がこれだけAGIXについて深掘りしているのか。

理由は、ありふれた「AIブームに乗ろう」という誘いに、安易に乗ってほしくないからです。

AI、大型テック、半導体、クラウド、データセンター、未上場企業、スペースX、アンソロピック。

投資家が惹かれる言葉が詰まっています。

だからこそ、冷静さが必要です。

スペースXやアンソロピックといった企業は、間違いなく次の10年を象徴する存在になるでしょう。

しかし、それを「いま、いくらで買うか」という問題は、企業の素晴らしさとは別次元の判断です。

AGIXは優れた商品です。

同時に、限界もある商品です。両方を理解した上で、ご自身の投資方針に組み込むかどうかを決める。

それが、長く投資を続けていく上での唯一の正解だと、私は考えています。

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この記事を書いた人

豊かに生きていく上で必須なのがお金の知識です。
しかし、日本では「お金」が汚いものという認識が根強く、あまり勉強されてきませんでした。そのため今後は老後破産が増えてしまうなんて話もありますね。
そんな世の中を少しでも変えたいという強い信念を元に「お金に生きる」を立ち上げました。
投資歴15年以上、社会保険労務士、中小企業診断士、簿記1級、1級販売士、ファイナンシャルプランナー2級、年金アドバイザー3級持ちの私が「お金」についてどこよりもわかりやすくお伝えることを目指していきます。
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