中長期投資を行う場合でもある程度、全体相場の流れは定期的にみておくとよいです。
基本的に相場は行き過ぎるものだからです。
どちらかに傾けばしばらくそちらに流れることが多くなってしまうんですよ。
そのシグナルを確認しておくことは大事なのです。
そのシグナルを見る方法としておすすめなのがテクニカル分析です。
テクニカル分析といっても本当にいろいろな方法がありますが、なかでも中長期の相場の展望を見るのに非常に有効な方法である羽黒法についてみていきましょう。
この羽黒法は株式投資はもちろん為替、仮想通貨なんでも有効だと思われます。
このローソク足特に週足には人の心理が詰まっています。
人の心理はどのような投資先でも基本は同じだからです。
羽黒法は中長期投資に非常に有効
羽黒法とはテクニカル分析の1つであるローソク足の週足を見る手法です。
ローソク足とは
ローソク足とは始めについた値段を始値
最後についた値段を終値
最も高い値段を高値
最も安い値段を安値
として1本のローソクの形をした図形を作り時系列に並べたグラフのことです。
週足とは1週間単位でその図形を作るものです。
上記4つの値の組み合わせで様々なローソクの形が作られます。
ローソク足は江戸時代に日本で生まれた手法で今では世界中で使われています。
羽黒法とは
羽黒法とは「羽黒山人」という方が考案したというローソク足の週足を見る手法です。
かなり昔からある手法で大正3年には羽黒式極秘罫線法という本がでています。
古い本ですから入手は困難ですが国会図書館のデジタルコレクションで一部が読めます。
大正時代の本ですからカタカナと漢字でかなり読みにくいですが興味有る方はどうぞ
一目均衡表を作ったと言われる一目山人もこの羽黒山人の名前から取ったという話もありますね。
昔からある手法ですがあまりメジャーではありません。
テクニカル分析の体系的な本を買ってもほとんど載っていないか触りだけがほとんどです。
しかし、かなり使える手法なのです。
私も10年以上前にインターネットで知り合った株の師匠に教えていただいて初めて名前を聞いたレベルですがそれ以来非常に重宝しています。
羽黒法の見方
羽黒法はローソク足(週足)の形を全部で16種類に分類してそれにより方向性を定めるというカンタンな仕組みになっています。
今回は基本的な見方を説明したいと思います。
実はもう少し奥が深いところもありますのでまたの機会に解説したいと思います。
まずは基本から抑えましょう。
それでは順番にみていきましょう。
第一号線
まず第一号線からみていきましょう。
真ん中にある点線は高値と安値の真ん中を表します。
第一号線は陽線(始値より終値が高い)で高値と安値の真ん中よりも終値が安い状態になります。
基本的な見方としては
この線が出た後は小幅なボックスな値動きとなると予想されます。
そのため次の週に初値によってこのような判断となります。
上放れした場合には「売り」
下放れした場合には「買い」
第二号線
次は第二号線を見ましょう。
第二号線は陽線(始値より終値が高い)で高値と安値の真ん中が始値と終値の間にくる形です。
長めのロウソクとなっている状態ですね。
第二号線はどのような相場で現れたかで見方が変わります。
まず、上昇トレンドでこれが現れたら、
翌週の寄りが高くなれば「売り」
さらにその価格が真ん中の線を超えてくるようならば更に「売り」
底値保ち合い状態で比較的短い第二号線ならば、上昇の兆しとして捉えることができ「買い」となります。
翌週、下に大きく動いた場合、上昇の兆しは間違いと考えられ「売り」
翌週も第二号線が現れるようならば上昇が確定と見なし「買い」
さらにその翌週も第二号線が現れるようならば押し目「買い」で小幅な利確
四週連続の場合は行き過ぎですから一旦「売り」となります。
第三号線
次は第三号線です。
第三号線は陽線(初値より終値が高い)で高値と安値の真ん中よりも始値が高い状態になります。
つまり、一旦それなりの始値で始まったけど大きく下げて結局は初値を超えて終わった時に現れるローソク足です。
第一号線の逆ですね。
見方としては翌週の始値が真ん中付近、もしくはそれより低い場合は「買い」
逆に翌週の始値が真ん中よりも高い場合は「売り」
となります。
第四号線
次は第四号線を見ましょう。
第四号線は陽線(始値より終値が高い)で終値と高値が同じ状態となります。
陽の大引け坊主の形ですね。
この形は文句なく「買い」です。
第五号線
次は第五号線です。
第五号線は陽線(始値より終値が高い)で始値と安値が同じ状態となります。
長めのロウソクとなっており、陽の寄り付き坊主の形ですね。
この形も第4号線と同様に文句なく「買い」です。
特に翌週の始値が真ん中ラインと終値あたりで始まる場合には、翌週も同様に陽線の週足が現れる可能性が非常に高くなります。
第六号線
次は第六号線を見ましょう。
第六号線は陽線(始値より終値が高い)ではありますが、大きめの上髭ができている状況で、高値と安値の真ん中よりも終値が低い状態になります。
これが上昇トレンドで出現した場合には、そのトレンドの終焉が近いことを表しています。
翌週の始値が真ん中より高くなる場合は、もう少し上昇の余地があるとみることができます。
しかし、真ん中より始値が下になる場合は「売り」です。
第七号線
次は第七号線です。
第七号線は陽線(始値より終値が高い)ではありますが、大きめの下髭ができた状態で、高値と安値の真ん中よりも始値が高い状態になります。
これが上昇トレンドの高値圏で出現した場合には大暴落の兆候です。
そのほかの場面ならば強めの「買い」と判断します。
上昇トレンドでは翌週に真ん中の線を割ってくるようならば押し目と考え「買い」と判断できます。
第八号線
陽線の最後は第八号線です。
第八号線は長い陽線(始値より終値が高い)で始値が安値で終値が高値という状態を表しています。
陽の丸坊主ってやつですね。
これは相場が行き過ぎていることを表しますので翌週成り売りの局面です。
また、さらに価格が真ん中のラインを下回るようなら追撃の売りを行うチャンスです。
上昇局面で現れた場合には天井と判断して「売り」です。
第九号線
次は第九号線です。ここからは陰線となります。
第九号線は陰線(終値より始値が低い)で高値と安値の真ん中よりも終値が高い状態になります。
この場合に上髭が長い場合には弱気相場を表し「売り」と判断
上髭が短い場合には基本は様子見と判断します。
第十号線
次は第十号線です。
第十号線は陰線(終値より始値が低い)で高値と安値の真ん中よりも終値が低い状態にあり始値が高い状態にある状況です。
この場合には次週の始値が終値と真ん中の間にきて、そのこの安値を下回った場合は「売り」と見なします。
しかし、その前の週が長大陽線であった場合には強力な「買い」となります。
さらに前週線が長大で、本線がはらみ線※となったら非常に強力な「買い」となります。
※はらみ線と下記のように前の週の線に収まる状況のこと
また、底値圏で発生した場合には翌週の始値が真ん中を下回っていて、さらにその後の価格が真ん中から高値に上抜けて行ったら「買い」となります。
天井圏ででた場合には翌週の始値が真ん中付近でより付いた後に安値を下回るようなら「売り」
第十一号線
次は第十一号線を見ましょう。
第十一号線は陰線(終値より始値が低い)で高値と安値の真ん中よりも初値が低い状態です。
この場合には翌週安値を下回ってくるようならば暴落の予兆と考えられ「売り」となります。
さらにこの形が下落トレンドで出た場合には波乱の暗示であると言われています。
下落トレンド終盤の底値圏で出た場合には翌週陽線となるようなら「買い」です。
第十二号線
次は第十二号線です。
第十二号線は陰線(終値より始値が低い)で高値と安値の真ん中よりも初値が高く、安値が終値と同額の状況です。
この状態は強力な「売り」です。
翌週の寄り付きで売りましょう。
第十三号線
次は第十三号線を見ましょう。
第十三号線は陰線(終値より始値が低い)で始値が高値で高値と安値の真ん中よりも終値が低い状況となります。
陰の寄り付き坊主ってやつですね。
よく週の始値が真ん中よりも高くなる場合には下落相場の始まりと考えられますので「売り」と判断されます。
逆に真ん中よりも下で寄り付いた場合には、上昇相場の始まりとみて「買い」と判断します。
しかし、その後、終値を下回るようなら「売り」と判断が修正されます。
第十四号線
次は第十四号線です。
第十四号線は陰線(終値より始値が低い)で始値が高値で高値と安値の真ん中よりも終値が高い状況となります。
こちらは基本的に「買い」と判断されます。
しかし、その後、真ん中ラインを下回ってくるようならば「売り」と判断が修正されます。
第十五号線
次は第十五号線を見ましょう。
第十五号線は陰線(終値より始値が低い)で終値が安値で高値と安値の真ん中よりも始値が低い状況となります。
この状況は基本「買い」です。
底値圏で出現した場合には翌週の寄り付きで「買い」と判断されます。
高値圏で長大な場合には様子見となります。
第十六号線
最後は第十六号線です。
こちらは陰線(終値より始値が低い)で終値が安値、始値が高値という状況です。
この場合には翌週寄り付きで上放れした場合には「買い」
ただし翌々週は下落すると予想されますので小幅で利喰推奨となります。
逆に寄りが下放れた場合には押し目を待っての「買い」となります。
羽黒法:まとめ
今回は羽黒法を見てきました。
特に羽黒法は週足での動きを見るのに適した手法ですのである程度大きな括りで相場を見ることができます。
とくに羽黒法で第七号線や第十二号線のような強い売りのシグナルが出ている場合には、長期投資のつもりでも一旦現金化しておくのも手ですね。
また、第四号線、第五号線、第十号線のような強い買いがでた場合には株などの比率を増やすのも手です。
今年になってからのような相場には特に有効に思います。
ぜひ羽黒法の基本をおさえておきましょう。
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