ライオン事務器(スタンダード/423A)の新規上場が承認されました。
名前の通り、事務機器の会社で文具・事務用品、オフィス家具・事務機器の製造販売に加え、オフィス環境のデザイン・施工・内装工事、文教市場向けICT機器販売、ECまでを一気通貫で手掛ける老舗の会社です。
今回はライオン事務器のIPO(新規上場)について見ていきましょう。
ライオン事務器IPO(423A)の基本情報
まずは基本情報から確認しておきましょう。
市場・コード:東証スタンダード/423A(ISIN:JP3965440005)
上場予定日:2025年10月15日
単元:100株
主幹事:みずほ証券(ほかSBI、岡三、岩井コスモ、楽天、広田、松井、マネックス、丸三、水戸)
スケジュール:仮条件9/25、BB 9/29〜10/3、公募価格10/6、申込10/7〜10/10、受渡10/15
公募・売出:公募1,469,000株+自己株処分31,700株、売出2,765,700株、OA639,900株
上場時発行済株式数:31,369,000株(公募分含む)
(出所:東証「新規上場会社概要」)
想定価格と初値の土台
想定価格は209円。
直近実績ベースでPER約8.6倍、PBR約0.6倍、配当利回り約2.39%(年5円)の試算。
当選本数は約49,063枚でやや多め。
想定時価総額約65.6億円、吸収金額約10.3億円とサイズは小型〜中型の境目。
低価格帯(~1,000円)での配当付与は需給に一定の下支え。ただし公開株数の多さは短期の重しになりやすい点は意識。
ビジネスモデルの要点
同社は文具・事務用品、オフィス家具・事務機器の製造販売に加え、オフィス環境のデザイン・施工・内装工事、文教市場向けICT機器販売、ECまでを一気通貫で手掛ける老舗。
BtoB色が強く、官公庁・自治体・学校や企業向け販路を持つのが特徴です。
商品販売は据付・設置・設定の有無で収益認識が分かれ、保守サービスは期間按分。
期末計上の適切性は監査上の主要な検討事項にも位置づけられています。
安定した既存顧客基盤の一方、成熟市場での差別化と価格競争が中期の論点です
業績の現状と会社計画
直近(2024/9期)の連結売上高は348.9億円、経常利益11.68億円。
2025/9期計画は売上365.6億円(+4.8%)、経常12.12億円(+3.8%)と小幅増収増益を見込みます。
2025/9期は基幹システム投資を予定。将来のAI等を用いた営業支援の強化も企図し、運用コスト抑制と効率化を狙います。
バリュエーション検証(想定価格209円)
実績ベース
PER約8.6倍/PBR約0.6倍/配当利回り約2.39%(年5円想定)で、上場バリュエーションは保守的。
PBR1.0未満は是正余地の余白を示し得ます。
予想ベースの見方
一部アナリスト系サイトの試算ではPER7倍台も示唆。
成長株ではなくバリュー寄りのディフェンシブIPOという立ち位置が読み取れます。
もっとも、成長期待よりも資本効率・株主還元で評価されやすい領域。
中長期はBPS積み上げ+配当でのトータルリターン設計が現実的です。
需給・ロックアップ・既存株主
公開規模は公募約150万株+売出約276万株+OA約64万株。
主要株主には180日ロックアップ(解除条項なしの記載)がかかっており、2026/4/12まで大口の売り出しは抑制されます。
売出しには都銀・生損保など金融機関の持分放出が含まれます。
上位株主では大塚商会が36.85%と筆頭。
販売面での親和性や案件連携の余地はポジティブ材料。
一方、当選本数が多いことは初値形成の拡散要因。
短期妙味より中期の持ちどころを探す案件となりそうです。
ライオン(4912)との関係性
ライオン事務器は、洗剤・歯磨きで知られるライオン株式会社(証券コード4912/東証プライム)とは資本・人的関係が一切ありません。
社名は同じ「ライオン」ですが、まったくの別会社なんですよ。
私もライオンの子会社かとおもってしまいました。
ライオン事務器は江戸期創業の筆墨商がルーツ。
1880年代に製図器で“ライオン(獅子)マーク”の使用を開始し、1895年に「獅子印」を商標登録。その伝統が社名につながりました(1980年に現商号へ)。
日用品メーカーの「ライオン(4912)」とは社名の由来から異なります。
また、ライオン事務器の筆頭株主は前述したように大塚商会(持分36.85%)です。
ライオン(4912)ではありません。
初値を左右しやすいプラス/マイナス要因
それでは初値を左右しやすい要因をみておきましょう。
プラス
- 低PBR・配当ありのディフェンシブ特性(資産バリュー+還元)。
- 主要株主の180日ロックアップで早期の大口売り圧抑制。
- 老舗ブランド×BtoBチャネルの底堅さ。
マイナス
- 公開株数が多い(約490万株)→需給の重さ。
- 事業は成熟市場で高成長シナリオは描きにくい。
- オフィス需要の構造変化(働き方・設備投資サイクル)や学校ICT需要の波に業績感応
個人的な参加スタンス(BB方針)
個人的な参加スタンスは以下のとおり。
総合判定:中立〜やや前向き。
配当+低PBRで下値耐性が見込める半面、初値ジャンプ要求の案件ではありません。
短期利ざや狙いは控えめ期待、配当込みでの中期保有を前提に公募割れリスクを許容できる価格観なら参加余地あり
申込の実務ポイント
- スケジュール厳守(仮条件9/25、BB 9/29〜10/3、公募価格10/6、申込10/7〜10/10、受渡10/15)。複数社で締切時刻が異なるため要確認
- 主幹事のみずほ証券軸で配分が厚い一方、副幹事・ネット証券にも広く割当。
- 長期保有検討なら、配当5円方針と基幹システム投資による効率化の進捗を、上場後の決算で逐次点検。
まとめ
今回は「ライオン事務器のIPOは買いか?低PBR×配当2%台。想定209円の割安度は?」と題してライオン事務器のIPOについてみてきました。
まとめるとこんな感じですね。
“高い成長”ではなく“守りの割安”を取りに行く案件。想定価格209円・低PBR・配当ありで“バリュー寄り”。主要株主に180日ロックアップがかかる一方、公開株数は約490万株(当選約4.9万枚)とやや多く、初値の上振れは限定的になりやすい案件です。短期は「公募近辺〜小幅高」を基本線、中期はPBR是正と配当を手掛かりに“ディフェンシブ保有”が選択肢。
初値一撃より中期のPBR是正と配当でじっくり狙うのが基本線です。
公開規模の重さを吸収し切れない局面では公募近辺のヨコヨコも想定。
投資方針(短期/中期、期待リターン、許容ドローダウン)を明確化した上で、BB参加を選択しましょう。

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