AIに興味あるけど株となるとエヌビディアくらいしか浮かばないって方は意外と多いと思います。
ChatGPTのオープンAIは上場してませんしね。
そんな方に注目すべきニュースが。
すでにアメリカで運用残高は3,000億円を超えているAI投資のアクティブ運用型ETFが日本に上陸したのです。
今回はi シェアーズ AI グローバル・イノベーション アクティブ ETFをご紹介しましょう。
「ベストAI」とは?
まずはi シェアーズ AI グローバル・イノベーション アクティブ ETFの概要をみていきましょう。
コンセプトと運用方針
ブラックロックの国内組成アクティブETFで、AIイノベーションの波に乗る世界の優良企業を約40銘柄前後に厳選して集中投資する設計です。
指数連動ではなく、ファンダメンタルズに基づくアクティブ運用で機動的に入れ替えを行うのが特徴。
愛称は「ベストAI」。
重要ポイント
「AIそのもの」だけでなく、AIバリューチェーン(半導体・クラウド・ソフト・アプリ/応用)まで視野に入れる設計。
テーマ型×アクティブ:指数は持たない=裁量で組成(=ベンチマーク超過を狙う反面、実力差が結果に直結)
信託報酬、為替ヘッジなどの基本スペック
上場市場:東京証券取引所(内国ETF)
上場日:2025年9月10日
コード:408A
売買単位:10口
信託報酬(年率):0.847%(2026年6月30日以降は0.99%程度が適用予定と明記)
為替ヘッジ:原則として行わない(外貨建て資産への投資が中心)
信託報酬はアクティブETFとしては標準〜やや高めのレンジ。
パフォーマンスと入れ替えの妙味に見合うかが評価軸となりそう。
運用体制・投資制限
ブラックロック・インスティテューショナル・トラスト・カンパニー、N.A.のコアPMチームが担当(委託等は変更の可能性あり)。
株式・外貨建資産の投資割合に制限なし、投信証券は5%以下、非流動性資産は15%以下などの投資制限が開示されています。
また、当ETFはアクティブ運用で指数連動なしのため、相場全体から乖離することがある点が東証の資料でも強調されています。
ベンチマークはなし
ベストAIはベンチマークはありません。
指数がない=絶対リターンで見る必要があります。
なお、自身で参考ベンチマークとしては「AI関連の広めの指数やETF(例:生成AI関連のグローバル指数や半導体指数)」を為替込みの日本円ベースでのパフォーマンスを期間を決めて相対比較するのも効果的です。
月次レポート(構成銘柄・寄与度・入れ替え)公開が始まれば、“運用で何を掴みにいったか”の説明責任が見えます
※初期は開示情報が限られますが、目論見書の投資制限やリスクを「運用でどう使っているか」を読むのが肝。
今、なぜこのETFが出てきたのか?
東証は上場承認で、国内投資家の利便性向上の観点から上場商品の多様化を掲げています。
世界的にAIテーマがホットで、国内でもアクティブETFの裾野拡大が進む文脈の中でのリリースとなっているようです。
実際、上場当日には、WBSなどの関連ニュースでもAIテーマへの関心の強さが報じられました。
何が「新しい/便利」なのか:投資家側のメリット
それではi シェアーズ AI グローバル・イノベーション アクティブ ETFは投資家側からみて何が新しい・便利なのでしょうか?
投資家のメリットをみていきましょう。
このETFだけでグローバルAIバリューチェーンへ
まず大きいのがこの銘柄を持っているだけで半導体~クラウド~ソフト~応用まで横断し、約40銘柄前後に厳選できること。
個別銘柄より分散が効き、投信より売買の即時性も担保されます
指数の弱点を回避
AIは産業構造の変化が速く、既存指数の成熟度や時価総額偏重の課題がある中、裁量で新陳代謝に追随できる。
AIの場合は勝ち負けがはっきりしそうなので、AI銘柄全体よりも厳選してくれるのにはメリットがありそうです。
国内上場・内国ETF
国内に上場してくれたことで証券口座で取引しやすく、特定口座/NISA等の実務がスムーズとなりました。
想定されるデメリット/リスク
それではデメリットやリスクはどのような点にあるのでしょう?
アクティブゆえの成否
指数連動ではないため、運用の巧拙がリターンに直結します。
市場全体からの乖離もありえます。
上振れ・下振れの両面ともに可能性あり。
為替影響をフルに受ける
原則為替ヘッジなし。
円高局面では海外株の上昇を相殺する可能性もあります。
高コスト
0.847%(将来0.99%程度)という持ち続けコストに、リターンで見合う根拠が必要。
AI全般や情報系に投資をするテーマ型のETF、投資信託等とのリターンの差がどの程度出るのかは注目しましょう。
例えば私がかなり前からもっている「バンガード 米国情報技術セクター ETF(VGT)」の経費率(信託報酬率)は年率0.09%とベストAIの9分の1程度なんですよ。
テーマ集中
AIに特化であることはメリットにもデメリットにもなります。
景気後退や規制強化、サイクル変調時はドローダウンが大きくなる可能性。
リスクは販売資料にも明示されています。
使いどころを考える
それではi シェアーズ AI グローバル・イノベーション アクティブ ETFのつかいどころを考えてみましょう。
長期×コアよりはサテライトか?
全世界株/米株のコアを持ったうえで、AIテーマのサテライトとして比率を決めるのが現実的でしょう。
テーマ型は集中するとリスクが高くなりすぎる部分もあります。
積み立てよりも“機動的な売買”
アクティブ×テーマ型の性格を考えると、相場局面(AIサイクル・為替)を見ながらの機動運用もしやすいかもしれません。
NISAは成長投資枠対象
NIAの成長投資枠対象です。
決算は年2回(2・8月)で、分配金課税/再投資方針はご自身の設計に合わせて
他のAI関連商品との違い(競合比較)
それでは競合となりそうな商品との比較をみておきましょう。
実はかなりあるんですよ。
米国上場のETFとの比較
商品(ティッカー/コード) | 運用方式 | 対象範囲(ざっくり) | 上場先/通貨 | 為替ヘッジ | 経費率(目安) | 銘柄数 | 代表的な上位銘柄(例) | 想定ポジション感 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ベストAI(408A) | アクティブ(指数なし) | グローバルのAI/テック関連を厳選・集中 | 東証/JPY | 原則ヘッジなし | 0.847%(~26/6/30)、0.99%(26/7/1~) | 初期構成はこれから本格開示 | ―(上場直後、月次等で順次開示) | サテライト/円建てで機動的にAIテーマに乗りたい方向け |
VGT(米国情報技術セクター) | インデックス(MSCI US IMI IT 25/50) | 米国ITセクター広範(AIに限らず) | NYSE Arca/USD | なし | 0.09% | 319 | NVDA, MSFT, AAPLほか(上位10で約59%) | コア寄りのセクターETF(低コスト・米国ITの王道) |
QQQ(ナスダック100) | インデックス(NASDAQ-100) | 米国大型グロース中心(IT比率高・AI関連多いが非限定) | NASDAQ/USD | なし | 0.20% | 約101 | MSFT, NVDA, AAPL, AVGO等 | 広めのグロース軸でAIも含む“受け皿” |
SOXX(iShares 半導体) | インデックス(米上場半導体指数) | 半導体/製造装置に特化 | NASDAQ/USD | なし | 0.35%(FS記載) | 30 | AMD, NVDA, AVGO, TXN, QCOM等 | AIの“ハードウェア中核”に絞るサテライト |
SMH(VanEck 半導体) | インデックス(MVIS US Listed Semiconductor 25) | 半導体集中 | NASDAQ/USD | なし | 0.35% | 約25 | TSMC, NVDA, ASML, AVGO等 | SOXXと同趣旨(銘柄/比重の違い) |
AIQ(Global X AI & Tech) | インデックス(Indxx AI & Big Data) | AI/ビッグデータ横断 | NASDAQ/USD | なし | 0.68% | 約90前後 | NVDA, ORCL, PLTR等 | AIテーマをインデックスで広く |
ARTY(iShares Future AI & Tech) | インデックス(テーマ型) | AIと関連テックの将来分野 | Cboe/USD | なし | 0.47% | ―(公式で随時開示) | (テーマ横断、均し目) | AIテーマ×やや低コストの選択肢 |
BOTZ(Global X Robotics & AI) | インデックス(Indxx Robotics & AI) | ロボティクス×AI寄り | NASDAQ/USD | なし | 0.68% | 約49 | NVDA, ABB, FANUC, KEYENCE等 | 産業ロボ×AI応用も取りたい |
ROBO(ROBO Global Robotics & Automation) | インデックス(ROBO Global Robotics & Automation) | ロボ・自動化に広く(中小型も) | NYSE Arca/USD | なし | 0.95% | 70~80前後 | ISRGほか(均し寄り) | 分散広いがコスト高 |
408A(ベストAI)は日本の口座で扱いやすく、NISA成長投資枠対象。為替はヘッジなしで受けます。
ほかと違いアクテイブ運用のためコストは高めなので、運用の質(組入・入替)を月次等で継続チェックする前提でサテライト配分にするのが適しているかと思われます。
使い分け例
- 円建て×アクティブでAIの“銘柄入替”に賭けたい
→ 408A(ベストAI)。日本の口座で扱いやすく、NISA成長投資枠対象。為替はヘッジなしで受けます。コストは高めなので、運用の質(組入・入替)を月次等で継続チェックする前提でサテライト配分に。 - 低コストで“米国ITセクター”を面で押さえ、AIも含めて広く取りたい
→ VGT。AIピュアではありませんが、NVDA/MSFT/AAPLなどAI主役級の構成比が高い。ただし米国大型ハイテク集中と上位ウェイトの偏在には留意。 - AIだけに限定せず、グロースの“受け皿”として分散
→ QQQ。NASDAQ-100の大型非金融に広くアクセス。AI露出は高い一方で、テーマ純度は下がります。経費は0.20%。 - AIサイクルの“心臓部(半導体)”に絞ってベータを取りたい
→ SOXX/SMH。どちらも0.35%前後で、半導体株への集中投資。需給・在庫サイクルに敏感でボラティリティ高め。SOXXは米上場半導体に30銘柄、SMHは25銘柄前後。 - AIそのものをインデックスで“広く”押さえたい
→ AIQ/ARTY。選定方法は指数ごとに差があります(AIとビッグデータや将来テックを包括)。コストは0.47~0.68%程度。 - ロボティクス×AIの“実装面”まで取りたい
→ BOTZ/ROBO。産業ロボや自動化企業への比重が上がりやすい。BOTZ: 0.68%/ROBO: 0.95%とコストはやや重め~重い。
投資信託、国内上場のETFとの比較
商品名 | コード/分類 | 運用方式 | 連動指数/方針 | 主な投資対象 | 為替ヘッジ | 信託報酬(年) | 銘柄数(目安) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
iシェアーズ AI グローバル・イノベーション アクティブ ETF(ベストAI) | ETF・408A | アクティブ(ベンチマークなし) | 米国ETFを通じ世界のAI関連に集中投資 | グローバルAI関連(米株中心) | 原則なし | 0.847%(〜2026/6/30)/以降0.99%程度予定 | ―(ファンド・オブ・ファンズ) |
グローバルX AI & ビッグデータ ETF | ETF・223A | インデックス | Indxx Artificial Intelligence & Big Data | グローバルAI+ビッグデータ株 | 原則なし | 約0.705%(内訳:対象ファンド0.68%+国内0.0275%) | 約90前後 |
GX ロボティクス&AI-日本株式 ETF | ETF・2638 | インデックス | S&P/JPXロボティクス&AI日本株指数 | 日本のロボティクス&AI関連株 | 円建て(ヘッジ不要) | 約0.649% | 約40 |
NASDAQ100連動ETF(国内複数あり) | 例:1545, 2568, 2631など | インデックス | NASDAQ100(米国大型非金融100社) | AI色が強い米大型グロース | 原則なし | 約0.20%前後 | 約100 |
iシェアーズ NASDAQ トップ30 ETF | ETF・392A | インデックス | NASDAQ100の上位30社 | NVDA・MSFT・AAPLなどAI主役級に集中 | 原則なし | 0.22%前後 | 30 |
eMAXIS Neo AI | 投資信託 | インデックス | S&P Kensho AI Enablers Index | グローバルAI関連(米中心) | 原則なし | 0.792% | 約60前後 |
野村グローバルAI関連株式ファンド | 投資信託 | アクティブ | AI関連株を裁量選択(ヘッジあり/なし) | グローバルAI関連株 | コース選択制 | 1.705% | 約40〜60 |
グローバルAIファンド(SMDAM) | 投資信託 | アクティブ | 世界のAI関連株を厳選投資 | グローバルAI関連株 | コース選択制 | 1.925% | 約40〜60 |
iFreeNEXT FANG+インデックス | 投資信託 | インデックス | NYSE FANG+指数 | AI勝ち組テック10社(NVDA, META等) | 原則なし | 0.7755% | 10 |
使い分け例
- 低コスト×広くAI関連へ:指数連動の「eMAXIS Neo AI」(0.792%)や、ETFの「223A(実質0.7075%程度)」は、費用面で有利。ヘッジは原則なし=円安で追い風・円高で向かい風の前提。
- 裁量で“AI純度”を取りに行く:408A(ベストAI)やグローバルAIファンド、野村グローバルAI関連はアクティブ。指数にない配分の妙と引き換えに、費用は高め(0.847~1.9%台)。408Aは上場ETF(円建)で売買のしやすさが強み。
- 日本株のAI×ロボに限定:2638は国内個別株テーマで、為替影響を抑えたい人にも選びやすい(円建・日本株中心)。ただし銘柄は日本偏重になる点に留意。
- AI色は薄いが“AI比重の高い大型グロース”:392A(Qトップ)/FANG+はテーマ純度ではなく成長株の塊に乗る選択。AI相場の受益は期待できるが、AI以外の要因(個別決算、規制など)にも強く左右される。
まとめ
今回は「i シェアーズ AI グローバル・イノベーション アクティブ ETF(408A)とは?上場日・特徴・コストまで徹底解説」と題してi シェアーズ AI グローバル・イノベーション アクティブ ETFについて詳しくみてきました。
かなり面白いと思われるETFですが、以下の点は確認してきましょう。
・商品性を理解:アクティブ×テーマ×ヘッジなし。0.847%⇒将来0.99%程度のコストも把握。
・ポートフォリオ位置づけ:まずはコアを固め、その上でサテライトとして比率をコントロール。
・為替と需給に注意:上場直後は価格乖離に留意。指値や段階的エントリーで。基本スペックや市場データは東証/Yahooでチェック。
・検証サイクル:月次開示が出そろったら、構成銘柄・入れ替えの妥当性を定点観測(自分の“採点表”を作るのがおすすめ)。

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