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和解成立。敷金の少額訴訟をしたら反訴され通常訴訟。弁護士を使わず戦った話

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敷金を返してくれないので弁護士なしで少額訴訟やってみた

以前から何度か書いていますが、敷金を返してくれないので少額訴訟をしたら反訴され通常訴訟になった話。

ようやく決着がつきました。

弁護士は使いませんでしたが、なんとかなりましたね。

同様の事があった方のために詳細に解説したいと思います。

目次

少額訴訟の提訴、反訴され通常訴訟になるまでの経緯

まずは簡単に通常訴訟になるまでの経緯の話から見ておきましょう。

高額な原状回復費用を請求される

まず、家を買ったので住んでいたマンションから退去しました。

退去の立会の日には指摘をしなかったのに、あとから高額の金額の請求書を送付されたんですよ。

提示されたのは敷金+追加料金の内容でまったく納得できるものではありません。

つまり、敷金だけでは足りず、追加でお金払えよって話です。

猫を飼っていますので敷金返ってこない程度には覚悟していましたが、それにしても高額・・・

しかも、向こうが指摘している内容はこちらが認識していないものもあり、詳細も不明。

さらに証拠としてかなり画質が悪い写真が添付されているだけなんですよ。

それこで異議を申し出ます。

魔法のコトバが効かない

以前こちらのサイトでもご紹介した「魔法のコトバ」である「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」や「減価償却費」を窓口の管理会社に唱えました。

しかし、この管理会社はそもそも「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」や「減価償却費」すらまともに理解されてないようで話になりませんでした。

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魔法のコトバには強制力はないんですよ。

原状回復をめぐるトラブルとガイドラインは裁判の判例をもとに作られていますので、それを守られない場合に裁判したら勝てる可能性が高いって話なだけなんです。

管理会社の非弁行為

そこで大家と直接交渉させてくれ。と話しましたが「うちの仕事だから連絡はだめです」と拒否し、連絡先も教えてくれません。

そもそも法的に管理会社は交渉権限なんてないのにおかしな話です。

詳細を教えろといっても写真のとおりですとまともな回答をしてきません。

平行線ですね。

その後、管理会社は大家の代理人を名乗り脅しのような書類を送ってきたのです。

実はこれ、法律違反の可能性がある行為なんですよ。

管理会社がやれるのは事務手続きのみ。

こちらが異議を申し出てる時点で敷金の金額等について交渉したり、請求をする行為は弁護士法第72条、第73条に違反する可能性があるのです。

いわゆる非弁行為(弁護士じゃない人が法律事務しちゃだめよ)です。

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内容証明を送る

そこで管理会社がなんと言おうが、非弁行為である可能性が高い管理会社と交渉する義務はなく、大家に直接内容証明を送ることにしました。

しかし、大家からはもちろん敷金の返金もありませんし、そもそもこちらの内容証明になんの反応もありません。(管理会社がほっておけといったのかもしれませんが)

そこで少額訴訟に踏み切ることにしたのです。

裁判までなったのは管理会社の態度がかなり悪かったのが大きいですね。。。

少額訴訟を提訴

少額訴訟とは1回の期日で審理を終えて判決をすることを原則とする,特別な訴訟手続です。

少額訴訟のポイントは以下の点

・60万円以下の金銭の支払を求める場合に限る
・審理が1日で判決(和解)
・控訴は出来ない
・訴訟費用が少額

迅速に解決することをモットーに作られた制度ってことです。

少額訴訟っていうだけありますね。

ちなみに少額訴訟の3分の1が敷金の裁判だそうです。

少額訴訟については詳しくはこちらの記事にて解説しております。

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反訴され通常訴訟に移行

こちらは少額訴訟で決着をつけたかったのですが、被告(大家)は通常訴訟に移行を希望してきました。

少額訴訟は被告側が少額訴訟を通常の訴訟に移行する権利があり、申し出ることができます。

それを行使した形です。

おそらくこちらの提訴した少額訴訟だとこちらの敷金返せというものについての判決しかでないためです。

しかし、向こうは敷金だけで足りずお金を払えといってきているのです。

ですからこちらの提訴した少額訴訟では向こうははじめからお金が取れないんですよ。

敷金を返すか返さないかという話のみ。。。

ですから反訴して通常訴訟でお金を返せと提訴したようです。

なお、通常訴訟は少額訴訟とは違い複数回で決着を付ける形となります。

また、通常訴訟であれば裁判結果に不服があれば控訴も可能です。

通常訴訟は弁護士を使う場合が多いそうですが、金額が金額なので弁護士をつけないことにしました。

なによりちょっと面白そうって思ってしまったのもあります笑

たとえ完膚なきまでに負けたとしても敷金が返ってこず、被告が要求している追加料金を払うくらいで、裁判をせず泣き寝入りをしていたらそのまま払っていたお金。

追加で必要になるのは裁判費用のみですしね。

通常訴訟については詳しくはこちらの記事にて解説しております。

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裁判開始から和解まで

ここからは裁判の和解までの流れを詳細に見ていきましょう。

第一回裁判

まず、第一回目の裁判です。

少額訴訟の予定日にそのまま行われました。

法廷は会議室に毛が生えたようなところです。

普通の会議室との違いは傍聴人席があるくらい。

参加者は裁判官、調停委員、書記官、原告、被告の5人。

傍聴人で管理会社の社長も来ていました。

一般に想像する裁判という雰囲気というより会議に近いですね。

こちらと向こうの提出した書類について「訴状の通りです」「答弁書の通りです」などと言って、証拠書類の原本を確認。

あとは裁判官からああだこうだ言われたり、質問や指摘をされる形です。

よくある裁判ドラマやゲームの逆転裁判のように「異議あり!!」みたいなものはありません。

相手の話に反論をしようとしたら裁判官から勝手に喋るなと怒られちゃいました笑

被告(大家)も声が小さいとか声出して返事しろとか2度ほど怒られてましたので、和気あいあいというよりもピリピリした雰囲気はありましたね。

被告側の書類の提出が遅かったので、こちらには当日に渡されており、反論もできませんので向こうの主張資料の内容が中心。

敷金返還を求める裁判は被告(大家)側に客観的な証拠や根拠を示す説明責任があり

とのことで向こうが出してきた写真(こちらに以前送ってきたのと同じ)について裁判官からもっと画質良いの出せとか、施工内容の詳細、◯◯の書類を出せとかいろいろ言われてました。

こちらには被告の主張に反論する書類を出すようにと言われって第一回目が終了。

30分くらいでしたね。

第二回裁判

第二回目の裁判は約1ヶ月後。

被告は裁判官から言われた画質を良くした写真や請求書等を出してきました。

こちらは被告の主張への反論(反訴答弁書)及びその証拠を提出。

「異議あり!!」とは裁判ではいいませんが、文章で異議を追求する感じですね。

裁判自体はまたもや被告の写真が中心。

新たに出してきた写真もまだ画質がイマイチでそこをひたすら確認していた感じです。

裁判自体は10分程度で終了。

一回目の調停委員との和解相談

その後は和解を探るためにこちら側から調停委員と話すことに。

ほぼ被告や管理会社の愚痴を聞き取っていたようなレベルでした笑

30分程度話して終了。

この日は特に和解案の提示等はありませんでした。

おそらくこちらの和解への感触を探っていたのでしょう。

こちらの後に被告が調停委員と話す形です。(なんの話をしたのかはわかりません)

第三回裁判

第三回目はゴリ押しで和解を勧められる流れとなりました。

裁判前にこちらは被告が出してきた証拠書類及び準備書面(被告側の主張)がめちゃくちゃだったので、ツッコミまくりの準備書面を出しました。

被告が裁判官に言われて出してきた証拠書類がツッコミポイントだらけで、おそらく裁判用に後追いで作ったものだったんです。

例えば7月付の請求書なのに10月スタートのインボイスの番号が書いてあるんですよ・・・

また、第一回の主張と第二回の主張が全く違ったりもしました。

例えば退去立会いで指摘がなかった点について。

第一回目:多数の傷で指摘するのは困難だった
第二回目:退去立ち合いは鍵の返却や事務手続きが目的だった

とまったく変わっています。

さらに第三回裁判用に出してきた準備書面ではさらに退去立会いについての主張が異なっていました。

第三回目:退去立会い時に「変な請求するなよ」と高圧的なことを言われたので、指摘する雰囲気でなかった

確かに立会い時に減価償却を考えるとすでに1円になっている箇所をいきなり指摘してきたので、それについて「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」をこちらは知ってますので、ちゃんと守ってください的なことは言いましたが、あのレベルを高圧的と言われてもって感じです。

おそらく指摘しなければ減価償却が終わっているはずの費用まで請求してきたと思われます・・・

また、そもそも雰囲気でないので指摘しないとか職務怠慢としか言いようがありません。

「異議あり!!」と言いたいところですが、裁判官的にはあまりそこは重要ではないよう。。。

裁判ではそれらの点に全く触れずに、裁判官的に今の時点でこう考えている。

判決になるといろいろ大変だから和解してね。みたいな話ばかりをずっとしてました。

どうやら聞くところによると判決になると裁判官は判決書を書かねばならず面倒だそう。

さらに控訴でもされたら恥ずかしいみたいで・・・

和解をなんとかして勧めるとのこと。

実際、敷金裁判のほとんどは和解になるそうです。

また、裁判官はこちらや被告の提出した書類の読み込みが甘いようで、見当違いの質問をしたり、理解が足りない感じが見受けられました。

おそらく和解させる気しかなかったんでしょうね。。。

裁判自体は10分程度で終了。

二回目の調停委員との和解相談

裁判の後に調停委員と話すことに。

今回は被告側からでした。

40分くらい待ってようやくこちらの出番。

裁判所の考える和解案を被告は飲んだので、これでこちらも飲んでという説得でした。

被告が和解するならそれぞれの項目ごとに決めてくれという要望を出したとのことで、被告が求めている原状回復費用項目ごとに金額を算定する形でした。

提示はこんな感じ。

クリーニング費用:完全こちら持ち
こちらが認めた傷:完全こちら持ち
通常損耗、経年劣化と認められた傷:完全被告持ち
写真で判断がつかない傷:完全被告持ち
その他:裁判所が算定した価格に修正して半々持ち

こちらが認めた傷について減価償却はないのかとツッコんでみましたが、和解なので大雑把に計算させてほしいとのことでした。

これで算定すると被告が請求してきた金額(敷金+追加料金)からみると3分の1程度に。

裁判所の算定した価格に修正したのが大きかったです。

被告の提示した価格がそもそもボッタクリだったってことですね。。。

金額で考えると向こうが反訴してまで求めていた請求(追加料金分)は却下され、敷金の一部が返ってくる形となります。

和解提示された金額は、和解はどれくらいの金額なら飲めるか?と聞かれたら言うつもりの金額よりもちょっと多いくらいだったんですよ。

ですから金額的にはまあ満足です。

しかし、第三回で被告が提出した準備書面にも腹が立つ嘘が書いてあるなどツッコミポイントがたくさんあったし、以前出したツッコミに対しての白黒はまったく付いていないので裁判を判決まで続けようか迷い。。。。

結局、調停委員に説得されて和解を受け入れることに。

金額的には満足ですが、ちょっとモヤモヤは残る形で終わりましたね。

理屈の説明もなく半々持ちになっている部分がありますので、ツッコミが効いてはいたんだと思いたいです・・・

ちなみに腹が立った嘘は以下の内容です。かなり時間かけて掃除したのに

クリーナーを掛ける程度の掃除もしていない

おそらく管理会社にお任せで被告はまったく見ていないのか、こちらが掃除をした証拠出せないだろうと踏んでイメージ戦略で適当な嘘を言ってるんでしょうね・・・

和解成立

和解を受け入れると調停員はすぐに裁判官や被告などを呼びに行きます。

書記官に振込先等を伝え、再び法廷で振込予定日の確認などが行われました。

被告は今までかなり声が小さかったのですが、どうやらキレているようで大声で「今すぐはらってもええんか?」みたいなことを言っていましたが、振込にしてください的なことを言われていました。

被告は反訴までしてますので、お金を払うことになるとは思ってもいなかったようですね。

管理会社に「絶対勝てますよ!」とか言われてたのかもしれません。

そしてそれが終わると裁判官から和解内容を読み上げと、締めの挨拶があり終了となりました。

結局はこちらが請求されていた金額はなしになり、敷金の一部が戻ってくる着地となりましたね。

完全な勝ちではありませんが、まあまあ満足のできる結果で終わりました。

ただし、こちらがツッコんだ内容の白黒が全く分からず終わってしまったのは残念でしたが・・・

口頭弁論調書(和解・通常手続移行後)が郵送

その後、数日して和解の書類が特別送達されてきました。

あとは被告が期日までにちゃんとお金を払ってくれれば完全に終了となります。

ちなみに裁判を提起した日に払った郵便切手(裁判費用)は一部一緒に戻ってきましたね。

400円分くらいですが笑

まとめ

今回は「和解成立。敷金の少額訴訟をしたら反訴され通常訴訟。弁護士を使わず戦った話」と題して敷金裁判について見てきました。

結局は半年以上かかって3回の裁判。1万円くらいの裁判費用で、請求されてきた金額がなしになり、一部敷金が返ってくる形になりました。

証拠集めや書類作成の労力も考えるとめちゃくちゃ良いわけではありません。

しかし、原状回復で納得できないときは裁判してみるのもありだと思いますね。

弁護士つけなくてもなんとかなりますよ。

個人的には良い経験が出来たなってのと。裁判おもしろいって思っちゃいました笑

なお、今回、敷金裁判をしてわかった敷金トラブルにならないために契約時、退去時にしておきたいチェックポイントを下記記事でまとめております。

これらを参考に対策してもらえばトラブルの未然防止につながるはずですのでぜひ参考にしてみてください。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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