一時期、ブロガーやYouTuberがこぞって紹介しまくっていた「みんなで大家さん」
分配金が滞るなど問題がでているのをご存知でしょうか?
行政処分、分配金遅延、解約(譲渡)申込の集中、そして集団訴訟へと事態が進んでいるんですよ。
今回は「みんなで大家さん」について解説していきたいと思います。
みんなで大家さんとは(仕組みと商品性の要点)
みんなで大家さんとは、不動産特定共同事業法にもとづく匿名組合スキームで、1口100万円から出資し、賃貸利益をもとに年6回の分配を受ける商品です。
ちょっとわかりにくいので、簡単に言えば名前のとおり、みんなで大家になれる商品です。
みんなで出しあったお金で不動産を買い、賃貸収入が分配されるようなイメージですね。
利回りはプロジェクトごとに異なりますが、今回問題になっている「シリーズ成田」は年7%の想定利回りとなっており、数字だけをみると魅力を感じる方も多いでしょう。
匿名組合スキームとは
匿名組合スキームというのは投資家は“匿名組合”という形で事業に出資し、物件の賃料収入などから分配を受ける設計です。
元本は保証されません。
収益源は実際の賃貸キャッシュフローで、想定通りに賃料が入らない・工事が遅延する等があると、分配の遅れや減額につながり得ます。
みんなの大家さんの公式の説明では、年6回の分配や仕組みが説明されています。
匿名組合スキームという仕組み自体は「一口馬主」やこれまたブロガーがこぞって推奨していた「ソーシャルレンディング」でも使われる形態なので、怪しくありません。
ただし、ソーシャルレンディングもトラブルが多かったりするんですよ。
「みんなで大家さん」と名前が似ているソーシャルレンディング大手だった「みんなのクレジット」も問題となりましたね。
ちなみに「お金に生きる」の場合には私が良いと思わないものしか紹介しないと決めているので、ソーシャルレンディングも「みんなで大家さん」も紹介していません。

「譲渡(実質の中途解約)」が殺到すると・・・
匿名組合スキームには、地位の譲渡=実質的な中途解約に相当する出口が用意されていますが、申込が殺到すると一時停止されることがあります。
みんなで大家さんでも2024年6月18日付の公式「お知らせ」では、行政処分を機に譲渡申込が多発し、締結を一時停止すると告知。
さらに7月26日付では月間5億円以上の処理枠と6〜12カ月の処理目安を示し、順番に対応と発表しました。
つまり、解約するのに半年以上かかるってことですね・・・
これは「好況時は入りやすいが、不安時には出にくい」構造リスクを端的に示します
ソーシャルレンディングもそうですが、この手のサービスは株や投資信託のように出口は「いつでも・すぐに」では解約できない点に注意が要りますね。
「危ない」と言われる論点を一次情報で分解
ここからは現状なにが問題なのかを一次情報で確認してみましょう。
行政処分
2024年6月17日、東京都・大阪府が業務の一部停止+指示処分を公表。
理由を簡単に言えば、書面記載の不備や説明不足など。
不動産特定共同事業法(不特法)では、契約前の重要書面の交付・説明、契約後の財産管理報告等が義務で、これに照らしての判断です。
行政事件手続では一時的に執行停止→高裁で取り消しといった動きもあり、結果として一定期間の業務停止が実施されました。
分配遅延と情報開示の混乱
2025年7月末以降、「シリーズ成田」関連の案件で分配金遅延が発生し、投資家とのトラブルが表面化。
投資家の資金繰りや進捗への不安が広がりました。
解約(譲渡)申込の集中=「解約殺到」
行政処分の公表直後、譲渡申込が多発し、解約(譲渡)も遅延しています。
前述のとおり、7月26日付では月間5億円以上の処理枠と6〜12カ月の処理目安を示し、順番に対応と発表。
出口の「時間リスク」が可視化された形です。
集団訴訟の広がり
2025年9月、被害対策弁護団が発足し、出資金返還を求める訴訟方針を公表。
その後も参加者・請求額の増加が報じられています。
弁護団サイトでは、処分や分配遅延の経緯を踏まえた立場が示されています。
みんなで大家さん側の主張
事業者側の主張も確認しておきましょう。
みんなで大家さん販売会社と営業者の都市綜研インベストファンド株式会社は共同で「行政指導は法的拘束力のない任意の働きかけであり、公告等での名指し公表は行政手続法の趣旨に反する疑義がある」との立場を公表しています。
自治体公表・裁判所判断・第三者報道と併読して判断しましょう
トラブルに合わないためのポイント
それではこの手のトラブルを避けるためにはどうすればよいのでしょう?
申込前:自分が理解できるか?
まず、重要なのが自分が理解できているかです。
世界一の投資家であるウォーレンバフェット氏が、以下のような発言をされています。
つまり、「自分がよく知っているものに投資をしなさい」逆に言えば「自分がよく理解できないものには投資をしない」ってことです。
今回の「シリーズ成田」を自分で理解できていた人はどれくらいいたでしょうか?
ある不動産専門家に言わせると、初めの時点で相場よりかなり高い金額で土地を買っているとの証言もあります。
そこまで理解できれば回避が可能だったはず。
素人にわかるか!!って思われた方も多いと思いますが、そもそも分からないなら買っちゃいけないんですよ。
ブロガーやYouTuberが勧めていたからという理由だけでその商品を買っちゃ駄目。
自分がよく知っているものだけに投資するというだけでほとんどのトラブルは回避できるのですよ。

申込前:許認可・処分歴・開示の“突き合わせ”
自分が理解できて、買いたいのであれば、次に申し込み前であれば許認可・処分歴・開示等は確認しましょう。
どこを見る?
例えば
・都道府県の処分ページ(会社名・処分日・内容・理由が明示)
・金融庁の免許・許可・登録等を受けている事業者一覧(無登録金融商品取引業者を排除)
・公式サイトのお知らせ(自社の見解・手続変更・投資家宛メッセージ)
・第三者の信頼できる取材(発言の裏取りや時系列整理)
“自治体公表→公式見解→第三者報道”の順で齟齬(食い違い)がないか確認すると、リスクの輪郭が見えます
具体例(今回)
・2024/6/17に大阪府が業務一部停止+指示処分を公表(都市綜研IF)。内容・理由・期間が載っています。
・直後に公式が「譲渡契約の一時停止」を告知。のちに「再開日」「月次枠」「目安期間」を明示。
・2025/9には、被害弁護団の結成が報じられ、同弁護団の公式サイトも公開。
申込時:契約書は“出口→原資→手数料”の順で読む
次に契約時です。
出口をしっかり確認しましょう。
出口(譲渡・任意解約に相当)
停止できる条件、再開の条件、手数料、処理の優先順位(申込順か)、月次上限、想定期間。
ここが弱いと、好況時は入れても不況時に出られない構造になります。
原資(分配の源泉)の把握
賃貸収支、工事・開発の進捗、外部借入(LTVに相当)の水準。
数字とタイムラインで追う癖を。遅延が出たら、その案件名と理由が説明されているか確認。
手数料・費用の位置づけ
譲渡手数料や評価の考え方は実質利回りに効きます。
数字で比較して妥当か判断しましょう(同種の他社商品とも比較)。
保有中:KPIを“自分のダッシュボード”で定点観測
次に保有中です。
以下の4つをチェックすると良いでしょう。
- 分配予定と実績の差(遅延・減額の有無)
- 稼働率や賃料の推移(季節性も考慮)
- 案件進捗(開発系は工程表)
- 出口の混雑度(公式の月次枠・目安の更新)
今回のシリーズ成田は実際に現場を見に行くとまだ更地で早い段階で問題がわかったそうです。
異変時:証拠化→相談先→費用対効果
次に問題が発生したかもという異変を感じたときにやることです。
証拠化
・公式告知のスクショ・URL・日時
・通帳・明細・配当通知
・問合せの記録(日時・担当・回答)
・郵送物の写し(封筒含む)
のちの交渉・訴訟で時系列が命。
もれなく保存を。
相談先の使い分け
・被害対策弁護団:集団での回収・交渉の道を検討。サイトで方針・参加方法が公開されています。
・消費生活センター等:事実整理と初期アドバイス。
・個別弁護士:案件特性(投資額・契約条項)に応じて個別戦略。
費用対効果の考え方
「回収期待額 −(時間+費用)」を現実的に。
集団訴訟は費用分散の利点、個別交渉は柔軟性が利点。
状況次第で併用も。
まとめ
今回は「みんなで大家さんはどうなる?配当遅延・解約殺到の背景とトラブル回避ポイント」と題してみんなで大家さんの問題を一次情報を中心に見てきました。
まとめると行政処分(2024/6/17公表)、譲渡停止→月次枠で再開(2024/7告知)、分配遅延(2025夏以降、成田関連)を経て、集団訴訟が広がる局面です。
みんなで大家さん「シリーズ成田」の問題は、事前に土地の相場価格などをちゃんと調べればシグナルが出ていて、回避が可能だったぽいです。
今回の問題をきっかけに自分がちゃんと理解できないものに投資はしないという教訓を持ちましょう。
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