最近、政府が働き方改革を叫んでいますが、ここ数年で民間レベルでは自然的に働き方が改革されているような気がします。
それはフリーランス(個人事業主)の方が増えている点にあります。
これはおそらくインターネットの普及で仕事のやり方や受注の仕方が変わってきたことが大きいのでしょう。
しかし、会社員からフリーランスに転向した方の全員が成功しているわけではありません。
私も会社員を辞めてから7年以上立ちます。
私の場合には辞めてよかった派ですが、周りには本当に苦労されている方を目の当たりにしています。
今回は私の経験も踏まえ会社員とフリーランス(個人事業主)どちらがいいのか?について考えて見たいと思います。
会社員とフリーランスの比較
会社員にも良い点、悪い点があるように、フリーランスにも良い点、悪い点がそれぞれあります。
順番に見ていきましょう。
会社員のメリット
まずは会社員のメリットから見ていきましょう。
これが辞めて見てわかりますが結構たくさんあるのです。
給料(収入)が安定してもらえる
1番大きいのはやはり給料が安定してもらえることでしょう。
中には歩合給の方もお見えかもしれませんが、ほとんどの方は固定給+残業手当で安定的に給料が入ってくるはずです。
フリーランスの場合には仕事が多くあったときはたくさん稼げるけど、逆に仕事が閑散期になると全く稼げないというのも多くあります。
中には収入が0どころか出費を考えればマイナスの月もあったりします。
また、フリーランスになって一番感じるのは賞与のありがたみです。
安定した会社に勤めていれば年に2回はそれなりの金額がもらえると思います。
これはフリーランスにはまったくない制度であり本当に羨ましい限りです。
会社員には給料以外隠れ手当があります。
会社勤めをしていると気づかないメリットが他にもあります。
それは会社が給料以外に負担してくれている様々な経費です。
厚生年金
まずは代表的なものとして厚生年金があります。
給料明細で大きく引かれているものなので自分が全額負担していると思っている方もたまに見えますが、半分は会社が負担してくれる仕組みになっています。
これを掛けることで将来にもらえる年金が大きく増えるのです。
一方、フリーランスの場合は法人化したり、任意加入したりすれば厚生年金に加入できますが、結局のところ全額自分が負担しているという事になってしまいます。
そのため個人型確定拠出年金(iDeCo)や国民年金基金で自ら老後に備える必要がでてくるのです。
会社員の方は給料以外に会社が厚生年金を半分負担してくれているという覚えておきましょう。
健康保険
もう一つ健康保険も同様です。
会社が半分負担してくれています。
私もそうでしたが、フリーランスになってまず驚くのが健康保険の金額です。
今までは会社が半分負担してくれていましたし、給料天引きでしたのでそれほど意識しませんでしたが、いざフリーランスになって請求がくるとびっくりするくらい高かったのです。
それは満額を自分で負担しなければいけないというのもあります。
また、フリーランスなどの方が加入するのは国民健康保険という制度で加入者の層が違うのも大きいです。
国民健康保険に加入するのは「フリーランス(個人事業主)」「社会保険に加入していない会社で勤務する人」「高齢者」「無職」の方などです。
無職の方や高齢者の方も含まれますので平均すれば所得が少ない方が多くなってしまいますね。
また、高齢者の方は医療費が掛かる金額も多くなります。
そのため財政面が厳しくなり、所得のある自営業の方の負担が多くなってしまうのです。
市町村によっても金額が違い、高齢化が進んでいる市町村ではかなりの負担金額となってしまいます。
また、会社員の方が加入する健康保険組合などの方が福利厚生が充実しているなどのメリットも大きいです。
会社員の方は健康保険のありがたみも押さえておきたいところですね。
その他社会保険
その他にも失業したときやなにか勉強するときに使える雇用保険や仕事中や通勤中の事故した場合に使える労災保険などに会社員の方は加入できます。
雇用保険は多少自己負担がありますが、労災保険は全額会社が負担してくれる仕組みです。
いざ、自分が関係しないと気づかないと思いますが、このあたりの会社負担はありがたいことなんですよね。
ちなみにフリーランスの方が失業してもなにももらえません。
また、フリーランスの方が仕事中に怪我をしても基本的になにももらえません。
この差は大きいですよね。
その他福利厚生など
会社勤めしているとまったくわかりませんが他にもいろいろな優遇があります。
例えば所得税や住民税の計算など会社が自動でやってくれます。(年末調整)
さらに支払いも給料天引きですから意識する必要もありません。
また、旅費を使えば会社で精算することができますし、なにか必要な文房具があれば用意してくれます。
一方、フリーランスの場合は所得税や住民税は確定申告を自分でするか税理士に頼む必要があります。
それをするためには日々の取引をしっかり記録し、領収書をとっておく必要があります。
また、請求書も自分で作って出す必要がありますし、入金の確認、督促も自分でする必要もあります。
苦手な方だとここで挫折してしまったりもします。
新幹線チケットも文房具も必要ならば自分のお金で自分で買いに行く必要があります。
フリーランスになればこういった日々の細かいことも全部自分でやる必要があるってことを押さえておきましょう。
社会的信用
もう一つ会社員とフリーランスで大きく違う点があります。
それが社会的信用です。
例えば銀行でお金を借りる、アパートを借りる、クレジットカードを作る。
全て社会的信用が必要です。
ある程度経験年数を積めばフリーランスでも問題無いケースもありますが、会社員のそれと比べると天と地ほど対応が違います。
それはそうですよね。
会社員は毎月安定してお金が入ってきますのでお金を返してくれる確率は高いでしょう。
しかし、フリーランスの場合は大きく波がありますので調子が悪くなったらどうなるかわかりません。
自分が貸す側でも会社員の方に貸したいと思うのは当然です。
フリーランス(個人事業主)のメリット
今までの内容を見ると圧倒的に会社員のほうがよく見えると思います。
しかし、もちろんフリーランスの方が良い点もたくさんあります。
自分の稼ぎと働きがイコール
まずはフリーランスのメリットとして自分が頑張れば頑張っただけ稼げるという点があります。
会社員の場合、自分がどれだけ頑張ろうがある程度の給料の枠が決まっているので大きく増やすことは難しいです。
しかし、フリーランスの場合自分が頑張ってそれだけ顧客に貢献すればそれだけ稼げる可能性があるのです。
もちろん、まったく仕事がない可能性や割に合わない仕事もありますが・・・
働き方が選べる
フリーランスのメリットとしてもう一つあるのが自分で働き方を選択できることです。
がむしゃらに働いてたくさん稼ぐことも出来ます。
逆にほどほど働いてぼちぼち稼ぐこともできます。
週1日くらいの副業感覚で働くこともできます。
これら働き方を自分で選択できるのは大きいですね。
ちなみに私はほどほど働いてぼちぼち稼ぐ派です(笑)
それでも会社員時代よりも労働時間は大幅に減って収入は増えていますのでこれはこれでありだと思っています。
人間関係のストレスから開放
もちろんフリーランスならまったく人間関係のストレスないわけではありませんが、繋がる人を自分で選択できるのもフリーランスの強みです。
嫌な仕事や嫌な人とは付き合わなければよいのです。
私も会社員時代と比較してストレスはかなり低減した気がしています。
このあたりも大きいかな。
独立するのはちょっと待って
今まで会社員とフリーランスそれぞれのメリットを見てきました。
この両者ぜんぜんベクトルの方向が違うのが分かっていただけたと思います。
会社員だけしているとフリーランスに憧れを抱く方が多いでしょう。
しかし、ちょっと待って下さい。
フリーランスになる前に押さえておきたいのは下記の点です。
お金の準備
特に駆け出しのフリーランスの方に多いのがそもそも仕事がない。
営業の仕方がわからないなど仕事を取るすべがないケースが多いです。
飲食店など店舗で開業された方の場合にもお客さんが来ないというケースも多いです。
ですからある程度の期間まったく仕事、お客さんがなくても困らない程度の蓄えをしておきたいところです。
目安としてはできれば3年程度、少なくても1年程度の最低限必要な生活費は確保した状態で開業したいところですね。
創業時の借り入れができるなら借り入れるのもありだと思います。
お金があるのとないのでは精神的な負担が全然違います。
勉強して備えよう
また、独立する前に勉強しましょう。
おすすめは下記の3つの分野です。
会計、税金、社会保険
まずは会計と税金、社会保険の勉強をしましょう。
今はfreeeや MFクラウドのように簡単に経理できるクラウドシステムがたくさんでています。
ですから確定申告するために簿記の知識はそれほど必要ありませんが、経営をしていく上で会計の知識はないといろいろな局面でかなり不利です。
ぜひ簿記2級程度の知識は付けておきたいところ。
また、税金や社会保険も大きなウエイトとなりますのでぜひ基本的なことは知っておきたいところ。
そうしないと損をするのは自分です。
マーケティング
そもそも仕事や売上げが立たなければ生活することができなくなります。
そのためには売るための勉強をしておきましょう。
IT系で独立する方はここが弱い方が多いですね。
自分を売り込むためになにをすべきかということを含めてマーケティングの勉強は大事です。
経営
経営の勉強と言っても幅広いですがある程度の経営的知識がないと自営業としては厳しくなるケースが多いです。
有名な経営者もはじめは机上で勉強したりするケースも多いと聞きます。
たとえば和民を創業した衆議員議員の渡辺氏は開業前に佐川急便で働きながら中小企業診断士の勉強をしたそうです。
佐川急便では必要な開業資金を、中小企業診断士の勉強では経営のノウハウを学びました。
中小企業診断士は経営全般を広くおさえることができますのでおすすめです。
開業するだけならば資格を取る必要まではないでしょうが。
副業から始めるという手も
最近は働き方改革の影響なのか副業を許可する企業が大企業を中心に増えています。
その波に乗らない手はありません。
副業でフリーランスを始めれば会社員のメリットとフリーランスのメリット両方を享受できます。
まずは副業ではじめて軌道に乗ったらフリーランスとして独立するというのもおすすめですね。
クラウドワークスなどで在宅でできる仕事から請け負ってみるのも良いと思います。
まとめ
今回は会社員とフリーランスを比較してみました。
それぞれメリット・デメリットあります。
それらを踏まえて総合的に判断してみてくださいね。
将来的に独立するにしてもある程度準備は用意しておきましょうね。
読んでいただきありがとうございました。