数年前に大ベストセラーになった経済学者トマ・ピケティ氏の書いた「21世紀の資本」をご存知でしょうか?
700ページにも及ぶ超大作かつかなり難解なためななかな手に取れなかった方も多いと思います。
私も読むのにかなり苦労しました(笑)
ただし、この本伝えたいことはほんの少しであとはそれを証明するために世界各国の200年以上に及ぶ統計データを用いた説明を行っているといった内容です。
そのため、伝えたいことを理解することが大事なのです。
伝えたいことはズバリ、r > gという公式です。
今回はr > gについて考えて行きましょう。
r > gとは
r > gの公式はトマ・ピケティ氏も本書の中で下記のように語っています。
それくらい大事な式ということです。
ある意味で、この不等式が私の結論全体の論理を総括しているの
出所:トマ・ピケティ 21世紀の資本
具体的に見ていきましょう。
rとは
rとはリターンの略で資本収益率のことを指します。
簡単に言えば株の売却益、配当、不動産収入などの資本からの収入から得られる収益率のことです。
配当でいう配当利回りのことですね。
gとは
gとはグロースの略で経済成長率のことを指します。
つまり、一定期間にどれだけ経済(GDP)が成長したかを示しています。
GDPは一定期間に生み出された付加価値の合計のことです。
その付加価値を生み出すのは働く人々の労働ですから働いて得る、所得の伸び率と考えればよいでしょう。
つまりr>gとは
r>gとは資本収益率が経済成長率を上回っている状況です。
資本(株式や不動産)から生み出す設けの方が働いて得る所得の伸びを上回っているということになります。
トマ・ピケティ氏はこの状況がずっと続いているよ。
今後もおそらくね。ってことを世界各国の200年以上に及ぶ統計データから導き出したのです。
つまり、今までも今後も資本家が資本から得る利益のほうが、労働者が働いて得る利益よりも常に大きいため、今後も格差は拡大し続けるということなのです。
r>gを解消するには・・・
r>gを解消するにはいろいろは方法がありますが、どれも実現はなかなか難しそうです。
例えば下記のベーシックインカムのような再分配する制度を導入するとかが考えられます。
選挙に負けてしまったのでいまいちパっとしませんでしたが希望の党の公約にベーシックインカムの導入が入って一時期大きな騒ぎになりました。また、最近では元ZOZOタウンの前澤氏が自腹でベーシックインカムの実験をするとのことで話題になってい[…]
また、資産課税なんかも効果あるでしょう。
消費税増税は悪、資産課税をしなさいってのがピケティ氏の意見ですが日本ではぜんぜん報道されません・・・
議員をはじめとしたお金持ちの方は資産課税されると困っちゃいますしね。
資本家以外の人はどうすればよいのか?
それではそんな現実を突きつけらたとして資本家以外の人はどうすればよいのでしょうか?
答えは簡単です。
自分も資本家になれば良いのです。
もちろん簡単にすぐになれるわけではありません。
少しずつお金がお金を生む(r)の状況を作っていくのです。
具体的に見ていきましょう。
株式投資、不動産投資などを始める
今後もr>gが続くならば取るべき道は一つでしょう。
自分も資本を買ってそこから利益を得られるようにするのです。
今の日本だと株式投資や不動産投資が考えられますね。
不動産投資は少しハードルが高いですが、株式投資なら今はかなり低い金額から始められるようになりましたのでおすすめです。
ただし、短期的な投資だと投機となってしまいますのでr>gが享受できるとは限りません。
長期的な投資と考えるのがよいでしょう。
また、株式投資はいろいろ知識が必要です。
そのため、はじめての投資は投資信託の方がおすすめだったりします。
そろそろボーナスが支給された企業も多いでしょう。そこではじめての投資に挑戦しようと考えているかたもみえると思います。投資といっても株式投資、FX(為替証拠金取引)、債権、不動産、仮想通貨などなどたくさん種類がありますね。[…]
はじめてにおすすめは投資信託
投資信託とは投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用のプロであるファンドマネージャーが株式や債券などに投資・運用しその運用の成果として生まれた利益を皆さんに還元するという金融商品のことを言います。
つまり、難しいところはプロに丸投げできるのです。
そのためはじめての方におすすめしやすいのです。
もちろん投資信託でもトマ・ピケティ氏のrに該当する収益を期待できます。
ただし、投資信託には地雷と呼ばれる商品が沢山ありますのでご注意ください。
地雷を回避さえできればおすすめですね。
地雷回避のポイントは下記の通りです。
バッシブファンド(インデックス)を買う
ノーロードを買う
信託報酬率は安いほうがよい
過去の成績もチェック
この4つを押さえればほぼ地雷回避ができます。
また、つみたてNISAで買える投資信託はは金融庁が厳しい条件を付しているためほぼ地雷がありません。
そのためつみたてNISAで始めるか、つみたてNISA向けの商品を買うのがおすすめです。
なお、つみたてNISAで買える商品でおすすめはこちらです。
参考にどうぞ
つみたてNISA(積立NISA)の取扱商品が各社続々でてきています。特にSBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券あたりはかなりの充実度です。また、商品数こそ少ないですが大和証券や野村證券、日本郵便もなかなかよいツボをつ[…]
投資を始める際の注意点
また投資を始める際の注意点も合わせておさえておきましょう。
これは株式投資でも不動産でも投資信託でも基本は同じです
長期投資をする
株式投資というとデイトレーダーのような方を思い浮かべられる方もいますが、r > gでいっているのは
成長する資本から利益を得る「長期投資」のことを指しています。
できるだけ長い目で見て取引するようにしましょう。
そのためには株式投資なら銘柄研究が重要になりますし、不動産もその立地など様々な点から確認する必要がありますけどね。
分散する
また、いろいろ分散するということも重要です。
株式投資をするにしても一つの銘柄を買うのではなく複数の銘柄に分けて買うことをおすすめします。
また、できれば同じような業種ではなく違う業種がよいです。
さらに国などが分散できるとなおよいでしょう。
また、投資信託のパッシブ型(インデックス)といってもたくさんの種類があります。
TOPIX
NYダウ
S&P500
先進国株
新興国株 などなど
それらを分散することもおすすめです。
例えば日経平均と先進国株(日本除く)と新興国株のインデックスファンドを買っておけば全世界の株に投資をしたことになります。
(1本でそれを達成できる商品もあります)
世界の経済成長を享受できるんですね。
こういった買い方ができるのは株式投資と大きく違ったメリットといえるでしょう。
また、投資信託ならば株以外にも債権、リート(不動産)などにも分散しやすいと思います。
それらに分散することでよりリスクは減ることになりますので資産分散も検討しましょう。
その際にアセットアロケーション(資産配分)なんかも考えるのをおすすめします。
アセットアロケーションをどうするかで投資結果の9割が決まると現代ポートフォリオ理論では言われています。デイトレードやIPO投資などの短期的な投資の場合はそうでもないと思いますが、個人型確定拠出年金(iDeCo)やつみたてNISAは長[…]
買う時期を分散する
また、買う時期を分散するのがおすすめです。
株にしても不動産にしても投資信託にしても相場に波はつきものです。
良いときに買えればもちろんそれが一番ですがなかなか波を読み切るのは難しいです。
そのためおすすめは買う時期を分散することです。
買う時期を分散する方法としてはもちろん自分で複数回購入することも可能ですが自動化してある仕組みを使うが一番です。
証券会社が積み立て投資信託という制度を用意している場合がほとんどですのでそれらを活用しましょう。
おすすめの投資法
以上の話を踏まえておすすめの投資法はつみたてNISAとiDeCoです。
これらは投資信託を買う仕組みですが、税制優遇もあり、前述の買う時期の分散、買う資産の分散も容易となります。
また長期投資が前提の制度ですからr > gのrを享受しやすいのです。
つみたてNISA
まずはつみたてNISA から見ていきましょう。
つみたてNISAとは毎月(毎日や毎週も設定できる証券会社もあります)決まった金額を預金口座から引き落とし設定した投資信託を買う仕組みです。
(年間40万円まで)
つみたてNISAの最大の特徴は20年間は非課税で運用することができることです。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)と似た制度ですが大きく違う点としていつでも引き出せる点があります。
そのため強制力としてはちょっと弱めですがいざという時に使える安心感はありますよね。
そのかわりに個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)であった掛けた金額が所得控除の対象というのはありません。
つみたてNISAは定期的に自動買い付けをする方法となりますので買う時期が分散されます。
証券会社によっては毎営業日毎に買うなんてこともできます。
ちなみに私はSBI証券で毎日1600円ずつ買っています
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)
次は個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)です。
こちらは2017年から自営業やフリーランスだけでなくサラリーマンや公務員にも開放され知名度があがったので知ってる方も多いかもしれません。
最大の特徴は掛金が全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象になることです。
つまり、投資するだけでそれにより所得税や住民税の節税をすることができるのです。
また、貰うときも一時金として貰えば退職金控除
年金として貰えば公的年金等控除が受けられますから有利に受け取ることができます。
また、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)口座内での売買益は非課税となります。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)もつみたてNISAと同様に毎月自動買い付けとなりますので買う時期が分散されるのでおすすめですね。
さらに税金が安くなるということでやらないのは損な制度ですよ。
ただし、年金制度ですから60歳まで引き出せないというデメリットもあります。
そのあたりも踏まえて投資をするなら個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を検討してみるとよいでしょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)について詳しくは下記のページを御覧ください。
個人型確定拠出年金(イデコ/iDeCo)とは、毎月決まった金額を積み立てることで老後の生活に備えるための公的な制度です。この制度最大の特徴は税金面で様々な優遇措置が取られていることです。他にもメリット・デメリットがありますの[…]
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)始めるならこの4社がおすすめ
実は個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合、金融機関ごとの違いがとても大きいですから慎重に選びたいところです。
まず、違う点が金融機関の手数料の有無及び金額。
もう一つが運用できる商品です。
この2点の観点を考えるとSBI証券かイオン銀行、楽天証券、マネックス証券、松井証券の5択で決まりですね。
5社とも金融機関の取り分の手数料が無条件無料です。
また、運用できる商品も信託報酬の低いインデックスファンドを中心に取り揃えてきています。
各社特徴がありますんで簡単に解説しておきます。
マネックス証券
その中でもマネックス証券 iDeCoが筆頭候補となります。
信託報酬がほとんど最安値水準でスキがありません。
特にeMAXIS Slim先進国株式インデックスが買えるのが大きいですね。
また、最近、一番人気のひふみ年金もラインナップに追加されさらにスキがなくなりました。
松井証券
松井証券のiDeCoは取扱商品が12本と少ないですが、
マネックス証券と同様にeMAXIS Slimシリーズを取り揃え信託報酬が最安値水準となっています。
抑えるところは抑えた感じがあります。
最後発の強みですね。
また、1番人気のひふみ年金の取扱もあるのもポイント高いです。
SBI証券
次はSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」かな。
SBI証券はたくさんの運用商品があり、信託報酬も安いものも多くあります。
そのため選択の楽しさがあるでしょう。
また、ひふみ年金やジェイリバイブのようなアクティブファンド、iFree8資産やダウ、グローバル中小などの人気商品の取扱もポイント高いですね。
あとは確定拠出年金について古くから携わっており5社の中で1番の老舗で安心感が高いのも大きいと思います。
楽天証券
楽天証券 確定拠出年金は楽天スーパーポイントがたまったり、セゾン投信なんかに加入できます。
また、楽天・全世界株式インデックス・ファンドと楽天・全米株式インデックス・ファンドといった人気商品の取扱も魅力です。
総合して考えるとこの5つのどれかに加入すれば後悔はないかなと思います。
他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですね。
まとめ
今回は「今更ながらトマ・ピケティ著「21世紀の資本」の「r > g」について考えてみる」と題してr>gについて考えてきました。
まとめるとこんな感じです。
r>gとは資本収益率が経済成長率を上回っている状況
つまり、働いて稼ぐよりも資本から得る利益のほうが多くなる
自分も資本から利益を得れるようにしよう
投資というとリスクが高いなって感じられる方が多いですが、働いて稼ぐだけってのも実はリスクが高いってことも理解しておきたものです。
読んでいただきありがとうございました。
フェイスブックページ、ツイッターはじめました。
「いいね」、「フォロー」してくれるとうれしいです