仮想通貨が暗号資産と名称変更??今後は風説の流布、インサイダーも適用か??

最近の仮想通貨はビットコインをはじめほとんどが大きく値を下げています。株式などと違って割安、割高といったことがわかりませんので今が適正かもしれませんし、まだまだ下が適正なのかもしれません。もちろん、これから大きく伸びる可能性もあります。

私個人的にも仮想通貨の将来性には期待していますが、相場の波が激しすぎることもありリアルな店舗での利用はあまりないのかな?って懐疑的な感じになりつつあります。最近ではスタートアップという海外ドラマ(Amazonプライム・ビデオで見れます。なかなか面白いですよ。海外版半沢直樹的な)が仮想通貨が舞台(途中から変わりますが)だったりして話題には事欠かないのですけどね。

そんな仮想通貨界隈では先日、金融庁が「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第9回)を開催しその議事次第が公表されました。これが大変興味深いものでしたのでご紹介しましょう。

過去には同研究会でこんな怖い話もでてましたね

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仮想通貨は怖い

仮想通貨についての政府の考えの方向性がわかりますので今後の規制動向を把握する参考になるでしょう。

仮想通貨交換業等に関する研究会(第9回)のポイント


それでは今回の仮想通貨交換業等に関する研究会のポイントを見ていきましょう。これを見れば政府の仮想通貨に対する姿勢や今後の方向性が見えてきます。

ウォレット業者に対する規制の要否等

仮想通貨売買は行わないが顧客の仮想通貨を管理し、 顧客の指図に基づき顧客が指定する先に仮想通貨を移転させる業務、俗に言うウォレット業者は今の所、資金決済法上、仮想通貨交換業に該当しない扱いとなっています。

しかし、サイバー攻撃による顧客の仮想通貨の流出リスク、ウォレット業者の破綻リスク、マネロン・テロ資金供与のリスクなど、一部、仮想通貨交換業と共通のリスクがあると考えられること、仮想通貨はインターネットを介し容易にクロスボーダーで移転が可能であり、国際的に協調して対応することが重要であるところ、 FATF(金融活動作業部会)において、仮想通貨交換業に加え、ウォ レット業務もマネロン・テロ資金供与規制の対象にすることを各国に 求める旨の改訂FATF勧告が採択されたことから規制の対象とすべきではないかという話になっています。

具体的には以下の点です。

・ 登録制
・ 内部管理体制の整備
・ 業者の仮想通貨と顧客の仮想通貨の分別管理
・ 分別管理監査、財務諸表監査
・ 仮想通貨流出時の対応方針の公表、弁済原資の保持
・ 利用者保護又は業の適切な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる仮想通貨を取り扱わないこと
・ 顧客の本人確認、疑わしい取引の当局への届出 等

要するにウォレット業者に対しても仮想通貨取引所と同じく厳しく管理しましょうってことですね。当然といえば当然ですね。

仮想通貨の不公正な現物取引への規制の要否等

次は仮想通貨において不公正な取引がまかり通っているって話です。

具体的には仮想通貨交換業者に係る未公表情報(新規仮想通貨の取扱開始) が外部に漏れ、情報を得た者が利益を得たとされる事案や仕手グループが、SNSで特定の仮想通貨について、時間・特定の顧客間取引の場を指定の上、当該仮想通貨の購入をフォロワーに促し、価格を吊り上げ、売り抜けたとされる。株で言う下記のインサイダー、風説の流布、相場操縦なんかでしょうね。

① 不正行為(不正手段・計画・技巧、虚偽表示等による取引、虚偽 相場の利用)
② 風説の流布、偽計、暴行又は脅迫
③ 相場操縦(仮装売買、馴合売買、現実売買・情報流布・虚偽表示等による相場操縦)
④ インサイダー取引

不正行為

仮想通貨の現物取引の形態には、仮想通貨交換業者と顧客の相対 取引と仮想通貨交換業者が設ける顧客間取引のマッチングの場における取引がある。 仮想通貨の不公正な現物取引について上記のような対応が求められ る場合には、不公正な行為の類型ごとに、それが行われるリスクに着目しつつ、対象とする仮想通貨の取引形態を検討していくことが考えられるが、どうか。

その際には、仮想通貨交換業者に対し、不公正な現物取引がないか 審査を行うこと及びそれを適切に行い得る体制の整備を求めた上で、 行政対応と仮想通貨交換業者による取引審査との間で十分に連携していくことが重要とも考えられるが、どうか。

なお、金融商品取引法では、一部の不公正な行為については、罰則の ほか課徴金の納付を求める規定やそのための審判手続の規定等も存在している。これは、株式等の取引が資本市場の形成に必要不可欠であることに鑑み、刑事罰を科すに至らない程度の違反行為に対しても 行政上の措置として金銭的負担を課すことによって、違反行為の抑止を 図る観点から設けられているものと考えられる。仮想通貨の現物取引にこうした対応が必要かどうかについて、どのように考えるべきか。規制の実効性の観点や行政リソース等の観点からはどうか。

要するに不正行為について株式のように刑事罰や金銭的負担を課すことを検討しましょうってことです。こちらも当然って言えば当然ですね。

インサイダー取引

○ 金融商品取引法では、上場会社等に関する未公表の重要事実を知っ た会社関係者が、当該重要事実の公表前に、当該上場会社等の有価 証券に係る売買等を行うことを禁止している。

○ 一方、仮想通貨(株式等に相当するICOトークンを除く)の現物取引に ついては、以下の点を踏まえると、法令上、発行者等に係るインサイダー 取引規制を設けることには困難な面があるとも考えられるが、この点についてどのように考えるべきか。
・ ビットコイン等の多くの仮想通貨には発行者が存在しないこと

・ 発行者や仮想通貨の仕様を決定するインナーが存在する場合でも、 発行者等はグローバルに存在し得るものであり、また、該当者を 特定することにも困難な面があると考えられること

・ 多くの仮想通貨には企業価値等に基づく本源的価値が観念し難く、 何らかの権利が付与されたICOトークン(仮想通貨に該当するもの) についても、その設計の自由度は高いため、様々な権利が付与され る可能性があることを踏まえると、金融商品取引法のインサイダー 取引規制のように、何が顧客の取引判断に著しい影響を及ぼす未公表の重要事実かをあらかじめ法令で明確に特定することには困難な面があると考えられること

○ 他方、インサイダー取引規制のような規制が困難である場合であっても、少なくとも仮想通貨交換業者が把握する取引に係る不正の抑止や 仮想通貨交換業者自身による不正行為の防止の観点から、仮想通貨 交換業者に以下のような対応を求めることも考えられるが、この点についてどのように考えるべきか。

(ア) 取引審査を行うこと

(イ) 「取り扱う又は取り扱おうとする仮想通貨に係る自己が有する未公表情報」の適切な管理を行うこと

(ウ) 当該未公表情報に基づき自己又は他人の利益を図る目的で取引を行わないこと

要するに発行者が存在しない仮想通貨ではインサイダー取引を問うのは難しいが取引審査や未公表情報の適切な管理、当該未公表情報に基づき自己又は他人の利益を図る目的で取引を行わないことなんかはしなければいけないよね。ことですね。

ちょっとかなりハードルが高そうな内容ではあります・・・

仮想通貨の呼称

○ 仮想通貨交換業への規制導入時、資金決済法では、以下の理由に より、「仮想通貨」との呼称を使用することとした。 ・ FATFや諸外国の法令等で用いられていた「virtual currency」の邦訳であること ・ 日本国内において「仮想通貨」という名称が広く一般的に使用され ていたこと

○ 一方で、最近では、G20等の国際的な場において、「暗号資産」との 表現が用いられつつある。また、仮想通貨交換業者に法定通貨との 誤認防止のための顧客への説明義務を課しているが、仮想通貨の呼称 の使用は誤解を生みやすいとの指摘もある。

○ こうした国際的な動向等を踏まえ、仮想通貨の呼称を「暗号資産」に変更することも考えられるが、この点についてどのように考えるべきか。

こちらそのままですが仮想通貨の名称を変更しようってことです。G20等の国際的な場でも暗号資産と言われているのでそれに合わせようということでしょう。

仮想通貨デリバティブ取引に係るその他の論点

○ 金融商品取引法上、金融商品取引所は、多数の市場参加者による 円滑な取引を通じて、公正な価格形成の実現を図るという公共性を有する場であることを踏まえ、当該市場の開設には免許を必要とし、免許制の下、市場取引の公正性や投資者保護等の観点から規律を働かせて いる。

○ 仮に、仮想通貨デリバティブ取引を金融商品取引法の規制対象にし、 当該市場の開設に免許を必要とする場合、以下の点も踏まえ、多数の市場参加者の参加を可能とする公共性を有する取引所市場の存在が必要かどうかについてどのように考えるか。

・ 第7回の研究会における討議において、仮想通貨デリバティブ 取引は、社会的意義の程度と比して、過当な投機を招くこと等の害悪の方が大きいとの意見があったこと

・ 多くの仮想通貨には企業価値等に基づく本源的な価値が観念し難い中で、取引所の取引には、多くの個人の取引を誘引するおそれがあること

・ 天候デリバティブ等と異なり、経済活動を行う上でのヘッジ手段としての性格を見出し難いこと

こちらはデリバティブ取引について規制をしようという流れですね。仮想通貨の場合には海外との取引も容易ですからあまり規制をしてもそれほど大きな意味は無い気もしないでもありませんが・・・

まとめ

今回は「仮想通貨が暗号資産と名称変更??今後は風説の流布、インサイダーも適用か??」と題して仮想通貨の研究会の議事録を見てみました。

まだまだ未熟な市場ですから今後ある程度の規制は仕方無い部分もあるかな・・って気もします。ただし、あまり規制しても海外の取引所に逃げてしまうだけなきもしないでもありませんけどね。そもそも規制できるのかな?って疑問もありますが・・・

具体的な議事内容なこちらを御覧ください。

>>「仮想通貨交換業等に関する研究会」(第9回)議事次第

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仮想通貨研究会議事録
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