あまり注目されていませんが、今年に入って東証REIT指数がいい感じで上がっています。
REITは金利が上がってきたこともあり、必要以上に下がっていて注目していたんですよ。
今回はREIT(リート)について考えてみましょう。
そもそもREIT(リート)とは?わかりやすく解説
REIT(Real Estate Investment Trust) とは、私たち投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設、物流倉庫などに投資し、そこから得られる賃料収入や物件売却益を「分配金」として還元する金融商品です。
株式と同じように証券取引所に上場しており、1口数万円から売買できる点が特徴。
まさに “小口化された不動産投資” と言えます。
ポイント
・配当性向90%超(税制優遇を受けるため)は法律で“ほぼ義務化”
・不動産投資を“投資信託化した商品
・金融庁の厳格な監督下で運用され、決算・開示ルールも株式並みに透明
REITの仕組み
具体的にはREITを買うと以下のような状況になります。
あなたが証券会社でREITを購入
例:東証に上場するJ-REITを1口買う
運用会社(アセットマネジャー)が運用
プロが物件選定・賃料交渉・資金調達を担当
賃料収入などが分配金としてあなたに還元
年2回や年4回の決算ごとに分配金が口座へ
つまり、「ファンドがビル等不動産を所有し、そのビルからの家賃が分配になる」とイメージすればOKです。
J-REITの利回りと時価総額
それでは実際どのくらいの利回りなのでしょう。
当然ながらREITによって異なりますが、平均だと以下の通り。
平均分配金利回り:4.83%(2025年7月11日時点)
ちなみにJ-REITは利回り面で世界上位クラス。
低金利が続く国内で、4%台後半の利回りはかなり魅力的ですね。
ちなみに国内の株式の平均利回りは2.08%で、REITクラスに配当を出している会社は数えるほどしかありません。
また時価総額は以下のとおり。
時価総額:15兆4,994億円(2025年7月11日時点)
まだまだ株式と比較すると小さいですがそれでも現状、アジア首位なんですよ。
ただし、先日NTT系のデータセンターREITがシンガポールでの上場をすることになり大きな話題となり、抜かれるのではと日経の記事にも出ていましたが・・・
どうやらJ-REITは海外物件の取得を原則認めていないというのが原因のようですけどね。
あえて海外REITを狙うという手もあります。
S&P グローバルREIT指数は年初来騰落:+2.48%(2025年6月30日現在)と世界全体で見てもプラスで推移しています。
メリット:REITを選ぶ5つの理由
それではREITのメリットについても見ていきましょう。
メリット | 詳細 |
---|---|
高い分配金利回り | 定期預金の約50倍、国内株の平均配当利回り(2%台)を大きく上回る |
少額・分散投資が可能 | 1口数万円、1つのREITでも数十〜数百棟に分散 |
流動性 | 株式と同じく、リアルタイム売買可能 |
プロ運用+情報開示 | 運用会社は不動産のプロ、IR資料も充実 |
インフレヘッジ | 賃料収入は物価連動しやすく、インフレ局面で強み |
なにより大きいのが高い利率と、不動産投資と比べると少額で投資できることでしょうね。
不動産投資に興味あるけど敷居が高いと感じる方にはかなりひかれるものがあると思います。
デメリット:「RIETやめとけ」と言われる8つの真相
ネットで「RIETやめとけ」「RIETおすすめしない」という声があるのも事実。
主なリスクは次の8つです。
デメリット | 解説 |
---|---|
価格変動(元本割れ)リスク | 景気悪化で物件価値が下落し価格が下がる |
分配金減額リスク | 空室率上昇や賃料下落でキャッシュフロー悪化 |
投資法人破綻・上場廃止リスク | 合併・吸収で保有口数が強制交換される場合も |
金利上昇リスク | 借入比率(LTV)が高い銘柄ほど金利負担増 |
自然災害リスク | 地震・水害で物件損傷→修繕費・空室増 |
レバレッジが利きにくい | 個人がローンを直接組めないため複利効果が限定的 |
節税メリットが限定的 | 所得控除・減価償却は個別不動産より薄い |
自己投資以上のポジション不可 | 不動産クラファンほどの小口・短期売却は難しい |
特に大きいのが価格変動(元本割れ)リスクや空室率上昇や賃料下落での分配金減額リスクでしょう。
このあたりのリスクは基本的に株式投資と一緒ではありますが・・・
株式投資以上に素人ではわかりにくいというのはありますね。
失敗しないREITの選び方チェックリスト
当然REITに投資をする場合も株式投資の決算書分析やチャート分析のように事前調査が欠かせません。
今の点をチェックしてみてください。
・利回りだけで選ばない(極端に高い=リスク高)
・物件用途の分散(オフィス・商業・物流・住宅)
・立地の分散(関東一極集中は地震リスク大)
・LTVと金利固定比率を確認※
・スポンサー企業の財務体質を調べる
・IR資料の透明性(運用レポートが詳細か)
・過去の減配・希薄化イベントの有無
・売買手数料・信託報酬を合算して実質コストを把握
※LTV=有利子負債 ÷ 総資産。40〜50%が一般的な水準。LTV<50%を選びたいところ。
J-REIT3銘柄をサクッと比較
銘柄 | 投資対象 | 時価総額 | 分配金利回り | LTV | ポイント |
---|---|---|---|---|---|
日本ビルファンド投資法人 | オフィス | 1.2兆円 | 3.8% | 42% | 国内最大、丸の内物件多数 |
日本都市ファンド投資法人 | 商業施設 | 7,660億円 | 5.2% | 45% | イオン系、郊外モール強み |
GLP投資法人 | 物流 | 6,200億円 | 5.1% | 45% | EC拡大で需要増、長期契約多 |
(2025年7月11日時点)
よくある質問(FAQ)
よくある質問もみておきましょう。
REITと不動産クラウドファンディングの違いは?
REITと似たサービスに不動産クラウドファンディングというものがあります。
どちらも少額で不動産投資ができるサービスですがかなり経路が違うんですよ。
主な違いは、投資対象と流動性です。
REITは複数の不動産に分散投資されたパッケージ商品で、上場しているため流動性が高く、いつでも売却可能。
一方、不動産クラウドファンディングは、個別の不動産プロジェクトに投資し、運用期間中は原則として中途解約できません。
その分、利回りは高めです。
どちらが良いのかは好みの部分になるかと思いますが、不動産クラウドファンディングには金融庁が注意喚起を出すなど、詐欺的業者が潜んでいます。
過去にはお金は集めたけど実際は工事すらしておらず、更地だったなんて例も・・・
初心者は上場しているREITの方が安心かと思います。
インフレに本当に強い?
賃料は契約更新で物価スライドされるケースが多く、長期的にはインフレヘッジ効果が期待できます。
ただし短期的には金利上昇で価格が下落する可能性もあります。
今は買い時?
金融商品の買い時は後にしかわかりません。
ただし、現状の平均利回り4.8%台は過去10年平均(3.9%)を上回るので、バリュー面では妙味ありといえるでしょう。
今年に入ってあがっていると言ってもまだまだ過去と比べて安値圏内なんですよ。
一方で不動産にはマイナスに働く金利上昇局面なので、株式などとの分散買いがセオリーです。
REITはNISAで買える?
REITはNISA(成長投資枠)でも買えます。
なお、NISA(つみたて投資枠)には現時点でREITに特化した投信はありません。
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)などバランス型投信でREITを組み入れている投信はあります。

まとめ
今回は「RIETはやめとけ?メリット・デメリットと活用法をわかりやすく」と題してREITについて考えてみました。
REITはネットで「RIETやめとけ」「RIETおすすめしない」という声が多数ありますが、言うほど悪い商品ではないんですよ。
当然リスクはありますが、高い分配率はかなり魅力的ですね。
ポートフォリオのアクセントとして考えればアリな選択かなって思います。
なお、REITは上場していますので、証券口座で購入可能です。

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