40歳になると社会保険の負担が増えるの知ってました?介護保険の仕組みを解説

先日、質問をいただきました。「社会保険料が急に増えたんだけど」的な内容です。

理由としてはあまり知られていない社会保険制度が原因でした。

介護保険料です。

介護保険料は40歳になると強制加入となりますので、給料の社会保険料の天引き額が増えてしまうんですね。自営業者の方もしっかり明細をみないと気づきませんが、40歳から国民健康保険料に上乗せされています。

高齢化が進展していますから今後も介護保険料の負担は増えていく可能性が高いでしょう。そこで今回は介護保険料の仕組みや金額の目安について解説していきたいと思います。

介護保険料とはなにか

介護保険は2000年に創設された比較的新しい社会保険制度です。

名前の通り、介護にかかる負担を社会全体で支えることを目的として創設されました。

高齢化が進んでいますから介護を必要とする方も急増していますからね。

また、親の介護を理由に退職せざるえない方も増えてしまっています。(一説には年間10万人くらいいるそうです)

介護保険は半分税金。半分はみなさんが支えます。

保険料の話に行く前に介護保険料の仕組みから解説してきましょう

介護保険料仕組み

出典:厚生労働省「介護保険制度について」より

介護サービスにかかる費用のうち本人負担が1割(もしくは2割)となっています。

残りの9割(8割)を国が25%、市町村12.5%、都道府県12.5%、第一号被保険者22%、第二号被保険者28%の割合で負担する仕組みです。

つまり、半分は税金で負担。残りは40歳以上の方で負担してねということですね。

なお、介護保険料の金額は増加傾向にあります。これは高齢化の進展で介護サービスを受けられる方が増えていることが要因となります

介護保険の被保険者は2種別

介護保険は第一号被保険者と第二号被保険者の2つの種別に大きく分けられています。そのあたりから解説していきましょう。

介護保険の第一号被保険者とは

まずは介護保険の第一号被保険者です。

年齢が65歳以上の方が対象となります。収入による要件等はありません。

65歳になると後述する第二号被保険者から第1号被保険者に自動的に切り替わります。

第一号被保険者の方も保険料は支払う必要があり、年金などから特別徴収されるか別途普通徴収(自分で納付)する形となります。

介護保険を受けられる条件

第一号被保険者の方が介護保険を受けられる条件は、お住まいの市町村から要介護状態要支援状態と認定を受けることです。

それによる介護保険を利用することが可能となります。

介護保険の第二号被保険者とは

次に第二号被保険者です。こちらは40 歳以上 65 歳未満の健康保険組合、全国健康保険協会、市町村の国民健康保険などの医療保険加入者が対象となります。

要は40歳以上の現役世代の方ですね。

こちらも収入による要件等はありません。

40歳になると介護保険の第2号被保険者となり保険料が徴収されるようになります。

細かい話をすると40歳になった月から徴収が開始されます。

介護保険を受けられる条件

第2号被保険者の方が介護保険を受けられる条件は、お住まいの市町村から要介護状態要支援状態と認定を受けることだけでなく、その状態が、老化に起因する疾病(特定疾病) による場合のみです。

特定疾病は現在16種類あり、具体的な病名等は以下のとおりです。

1  がん(末期) 2 関節リウマチ 3 筋萎縮性側索硬化症 4 後縦靱帯骨化症 5 骨折を伴う骨粗鬆症 6 初老期における認知症 7 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性 症およびパーキンソン病 8 脊髄小脳変性症 9 脊柱管狭窄症  10 早老症 11 多系統萎縮症 12 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症 13 脳血管疾患 14 閉塞性動脈硬化症 15 慢性閉塞性肺疾患 16 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症




介護保険料でいくら負担が増えるのか

それでは介護保険料でいくら負担することになるのでしょうか?

介護保険料のそれぞれの負担は本人の所得や世帯状況に応じて決められます。

第一号保険者の介護保険料

第一号被保険者の介護保険料は市町村ごとに定められたルールで決められています。所得割や資産割、被保険者均等割、世帯別平等割など計算方法は様々ですからお住まいの市町村でご確認ください。ちなみに負担金額は健康保険と同様にお住まいの市町村でかなりの違いがあります。

たとえば介護保険料の決め方をWEB上で公開していた東京都北区を例に見てみましょう。

所得状況等により第1段階〜第16段階まであり、第1段階の方は年額33,021円。第16段階の方は年額256,800円とされています。
なお、全国平均だと2017年度で月額5,514円となっています。

第二号保険者の介護保険料

第二号被保険者は健康保険と同様に加入している健康保険組合、全国健康保険協会、市町村の国民健康保険によって計算方法や金額が異なります。

また、会社勤めで65歳未満の方は健康保険と同様に会社と半々で支払うことになります。

自営業者の方はすべて自己負担ですね。国民健康保険とまとめて支払うことになります。

例えば全国健康保険協会に加入している東京の会社にお勤めで給料が月額30万円(22等級)の方の平成31年(令和元年)4月からの介護保険料を例に見てみましょう

全国健康保険協会に加入している方の平成31年(令和元年)4月からの介護保険料は1.73%となります。
労使半々ですから自己負担は0.865%となります。
給料が月額30万円(22等級)の方ならば39歳までは健康保険14,850円の天引きでした。
それが40歳になると17,445円の天引きに増加します。差額は2,595円ですね。
これが介護保険料部分となります。

40歳にこれからなるかたは給料天引きの金額が少し増えることを知っておきましょう。

介護保険料の負担は何歳まで?

40歳から給料天引きが始まる介護保険。65歳になってからも支払うことになります。それではいつまで払えばよいのか?という質問を受けることがあります。

これは行きている間ずっとです。

もちろん介護サービスなどを受けられる方もみえますが、その間も介護保険料の支払いは必要となります。




介護保険で受けられるサービス

それでは介護保険でどのようなサービスを受けられるのかも見ておきましょう。

かなりいろいろな種類が対象となります。

訪問介護
訪問看護
福祉用具貸与
通所介護(デイサービス)
通所リハビリステーション(デイケア)
短期入所生活介護(ショートスティ)
特定施設入居生活介護
特別養護老人ホーム
小規模多機能型居宅介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護

介護休業制度も知っておこう

介護保険と合わせてぜひ知っておきたいのが仕事と介護の両立のための制度です。

介護休業制度

まずは介護をするために会社を休む必要があるときに受けられる介護休業制度です。

介護が必要な家族1人について、介護が必要な状態になるたびに1回、通算して93 日まで(短時間勤務などを使った 期間があれば、それと合わせて 93 日)休業できる制度です。

労働者から会社に申し出ることで利用できます。 また、介護休業期間中は、要件を満たせば雇用保険から休業前の賃金の4割がハローワークから支給されます(介護休業給付金)。

介護休暇制度

有給とは別に休暇を申請できる制度もあります。

介護が必要な家族1人につき、1年度に5日まで、対象家族が2人の場合は1年度に 10 日まで、介護休業や年次有給 休暇とは別に1日単位で休暇を取得でき、労働者から会社に申し出ることで利用できます。

なお、こちらは会社にもよりますが、基本的に給料は支払われません。

介護のための短時間勤務

あまり知られていませんが以下の制度を作らなければならないことになっています。該当する方は会社に確認してみてください。

事業主は以下のa~dのいずれかの制度を作らなければならないことになっています。労働者は介護休業と通算して 93 日の範囲内で利用できます。

a 短時間勤務の制度:日単位、週単位、月単位などで勤務時間や勤務日数の短縮を行う制度です。
b フレックスタイム制度:1か月以内の一定の期間の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各自の始業・終業時刻を自分で決めて働く制度です。
c 時差出勤の制度:1日の労働時間は変えずに、所定の始業時間と終業時間を早めたり、遅くしたりする制度です。
d 労働者が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度




まとめ

今回は「40歳になると社会保険の負担が増えるの知ってました?介護保険の仕組みを解説」と題して介護保険についてみてきました。

社会保険の金額が増えるとがっかりしてしまう人が多いと思います。しかし、どういう意味のものがどうして引かれているのかを理解すれば納得性は高くなるはずです。

40歳になってから給料の手取りが減って慌てないように介護保険料という制度があり、どういう仕組みなのかはあらかじめ理解しておきたいものですね。

また、高齢化の進展に伴い今後、介護に関わる方はどんどん増えることが予想されます。2025年には戦後のいわゆるベビーブームで生まれた世代(約800万人)が75歳の後期高齢者となります。つまりどんどん介護保険料の負担も増えてしまうでしょう。

2025年ってかなり差し迫った問題なんですよね。

個人でできることは限られていますが早めに対策を考えておきましょう。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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