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はぐくみ基金とは?iDeCoと何が違う?“退職金 × 節税 × 福利厚生”を徹底解説

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はぐくみ基金とは?iDeCoと何が違う?“退職金 × 節税 × 福利厚生”を徹底解説

最近はぐくみ基金という名前は聞いたことあるけど、いまいちよくわからないという話を最近立て続けにいただきました。

どうやらなにかでバズってるそうなんですよ。(私は確認できませんでした)

そこで今回は「はぐくみ基金」について徹底解説したいと思います。

利用できる人は限られますが、iDeCoと並ぶオトクな制度なんですよ。

目次

はぐくみ基金とは

はぐくみ基金は正式名称が福祉はぐくみ企業年金基金(厚生労働大臣認可・関基第016408号)で、2018 年にスタートした確定給付企業年金(DB)制度です。

確定給付年金を簡単に説明すればもらえる金額があらかじめ確定している企業年金です。

iDeCoなど確定拠出年金→拠出(積立)する金額が確定
確定給付年金→給付する金額が確定

という違いですね。

企業が毎月掛金を拠出し、複数の生命保険会社が元本保証で運用。

退職・休職時に一時金または一定条件で年金として受け取れます。

はぐくみ基金は確定給付企業年金の商品の一種ですね。

はぐぐみ基金のポイント

主なポイントをまとめるとこんな感じです。

主なポイント内容
制度区分確定給付企業年金(DB)
掛金上限月 40 万円または「基本給の 20%」の低い方(2024/8/1 改定)
加入対象者厚生年金被保険者で 70 歳未満(パート・役員含む)
給付形態加入 20 年以上:年金 or 一時金/1 ヵ月〜 20 年未満:脱退一時金
予定利率2024 年度:年 0.1%付利(過去は 0%)

最大のポイントは退職金を「社外留保」できるため、倒産隔離と節税(全額損金)が同時にかなうってことです。

また、iDeCoなど他の制度と比較して掛け金上限が月 40 万円または「基本給の 20%」の低い方というかなり大きい設定になっているのも魅力的です。

はぐくみ基金のメリット

主なメリットは以下の通り

メリット詳細
元本保証でリスク極小市場変動の影響を受けず、確定利回りで運用
退職・休職でも引き出せる流動性iDeCo は 60 歳まで原則ロック、はぐくみ基金は育休・介護休業でも一時金請求が可能。
社会保険料の圧縮 給与選択拠出にすれば標準報酬月額が下がり、会社・従業員とも負担軽減。
法人税の節税掛金・事務費はいずれも全額損金処理。
1 名から導入 OK小規模法人でもハードルが低い(退職金規程は必須)。
運用指図・投資教育が不要生命保険会社に一任、投資が苦手でも安心。

給与選択拠出の場合は、従業員側も会社側も大きいのが社会保険料の圧縮効果ですね。

iDeCoや国民年金基金は所得税・住民税の節税にしかならないのでこの差は大きいです。

ただし、厚生年金や健康保険を削減するということは、老後の年金や傷病手当を貰うときも少なくなるということですから、メリットばかりとは言えないのが社会保険の圧縮ですが・・・

はぐくみ基金のデメリット

デメリットは以下

デメリット詳細
利回りが低い年 0.1〜1%程度。iDeCo で株式インデックスを選ぶ方が中長期リターンは大きい
積立不足は会社負担DB のため将来の不足額は追加拠出が必要
掛金額=給与減少給与選択制の場合、額面給与が下がる=一時的な可処分所得減
個人では加入不可会社導入が前提、フリーランスは利用できない
事務費掛金が必要加入者数×数百円/月を企業が負担

デメリットで大きいのは利回りの低さです。

国民年金基金小規模企業共済でも言えることですが、iDeCoで株式系の投資信託でインデックス投資をする場合と比較してどうしても利回りが低くなります。

長い間かけることを考えるとその辺りは微妙ですね・・・

最近は国債でも利回り1%となっていますのでもう少し頑張ってほしいところ・・・

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会社側からすると運用が失敗した場合に負担をしなければいけないというのはリスクとなります。

リーマンショックのときにこの手の話で苦しんだ会社は多かったのでちょっと怖いところはあります。

はぐくみ基金に入れる人は?加入要件と手続き

それでははぐぐみ基金に入れる人はどのような人なのでしょう?

加入要件と手続きについて見ていきます。

加入対象者

加入対象者は

厚生年金被保険者で 70 歳未満なら正社員・パート・役員も可。

です。

ただし、会社が加入する仕組みなので自分だけではいるような事はできません。

なお、1 名から導入可能なので一人法人の方でも加入ができます。

他の制度だと役員は加入不可だったりしますが、こちらはOK

ですからどちらかというとそれ目当ての方が多いかもしれません。

加入フロー

加入の流れは以下の通り。

会社が退職金規程を制定

従業員説明会(加入は任意)

掛金額と拠出方法(会社負担/給与選択)を決定

15 日までに納付書類提出・ 22 日口座振替

はぐくみ基金は会社負担?費用と税務処理

はぐくみ基金の費用構造についても見ておきましょう。

費用区分誰が負担税務処理備考
基本掛金会社(または給与選択)全額損金 /個人分は非課税上限月 40 万円
事務費掛金会社のみ全額損金加入者 1 名あたり数百円/月
積立不足補填会社全額損金財政再計算で不足時

基本的に掛け金等は会社負担ってことですね。

将来の退職金積立の要素が強い仕組みとなっています。

また、会社としては退職給付引当金の計上は不要で支払時点で費用化できるため、決算書の負債圧縮と節税を同時に実現できるというメリットもあります。

なお、役員・従業員が役員報酬・給与の一部を掛金として拠出する給与選択という制度もあります。

上限が月40万円というのも他の制度と比較したメリットとなります。

はぐくみ基金が潰れたらどうなる?安全性チェック

よく聞かれますのではぐくみ基金が潰れたらどうなるのか?についてもみておきましょう。

リスクシナリオ資産保全の仕組み
勤務先が倒産積立金は基金で分別管理されており全額保証
基金が解散企業年金連合会へ移換/一時金払い出し
保険会社が破綻生命保険契約者保護機構が責任準備金の 90%を補償

まず、勤め先の会社が潰れた場合ははぐぐみ基金の分は全額保証されます。

また、はぐぐみ基金が解散したようなケースも企業年金連合会へ移換されますので問題はありません。

少しリスキーなのが運用している保険会社が破綻した場合です。

この場合は90%補償となります。

ちなみにiDeCoの場合はこちらの記事でまとめております。

合わせて御覧ください。

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はぐくみ基金と iDeCo/企業型DC の違い

よく比較されるiDeCoとの違いについても確認しておきましょう。

比較項目はぐくみ基金(DB)iDeCo(個人型 DC)企業型 DC(選択制)
掛金拠出者会社+(任意で従業員)従業員本人(iDeCo+なら会社負担も)会社+従業員
元本保証あり(保険会社)運営管理機関による(定期預金があるケースも)運営管理機関による(定期預金があるケースも)
受取時期育休・介護休業で引出可原則 60 歳以降原則 60 歳以降
税制メリット掛金損金/非課税、給付は退職所得等掛金所得控除、運用益非課税同左
想定利回り0.1〜1%投資商品による投資商品による

大きな違いは掛け金拠出者ですね。

基本的に会社が負担する「はぐくみ基金」

基本的に従業員本人が負担をする「iDeCo」

会社と従業員が負担をする「企業型DC」という感じとなります。

また、運用を本人がやるのか、保険会社(証券会社)がやるのかの違いもあります。

想定利回りもかなり違います。

どちらが良いのかは好みが分かれそうです。

なお、「はぐくみ基金」を掛ける金額によりますが、iDeCoとの併用も可能となっています。

導入シミュレーションと活用事例

それでははぐぐみ基金に入った場合のシュミレーションをいくつかのパターンで見てみましょう。

会社負担型(従業員 30 名、掛金 1 人 1 万円/月)

年間掛金:360 万円
法人税率 30%なら 108 万円の税金削減
事務費(月 300 円/人)=年 10.8 万円 → ネット税負担減 97.2 万円

会社が従業員のために掛けるパターンです。

給与選択型(役員 3 名、掛金 5 万円/月)

掛金は役員報酬から控除 → 月額標準報酬減で社会保険料率 30%の場合、会社+本人合計で 4.5 万円/年の社会保険料削減

家族役員だけの会社などのケースはこのパターンが多いでしょう。

社会保険料の圧縮効果は大きいですね。

併用プラン

元本保証:はぐくみ基金(元本保証)
高リターン狙い:+iDeCo(高リターン狙い)

老後資金の安定性と成長性をバランス良く確保できます。

まとめ:はぐくみ基金は「安定+流動性重視」の選択肢

今回は「はぐくみ基金とは?iDeCoと何が違う?“退職金 × 節税 × 福利厚生”を徹底解説」と題してはぐくみ基金について見てきました。

まとめると

社会保険料/法人税の削減退職金の社外留保を実現。
元本保証で市場リスクを避けつつ、休職時にも引き出せる流動性が魅力。
ただし利回りは低く、積立不足リスクや事務費負担を把握する必要あり。
iDeCo/企業型 DC と併用し「安定資産+成長資産」のポートフォリオを構築するのが現実解。

個人的には運用を自分で選択できるiDeCoのほうが好きですが、元本保証を好むタイプの方や途中で出金したい方だと「はぐくみ基金」は有力な選択肢となりそうです。

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