遺族厚生年金の解説
次に厚生年金部分(2階)にあたる遺族厚生年金についてみていきましょう。
遺族厚生年金がもらえる条件(支給要件)
遺族厚生年金の支給要件は以下のとおりです。
・被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき
・老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。
・1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者が死亡したとき。
出所:日本年金機構「遺族厚生年金」より
こちらは前述の遺族基礎年金と比べて対象が少し大きくなっていますね。
被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき、1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者が死亡したとき。というパターンが加わっています。もちろん現役で払っている被保険者の方も対象となります。
滞納している場合・・・
ただし、こちらも以下の条件がありちゃんと納めてないと対象外となってしまいます。厚生年金の場合は給料から天引ですから滞納は起きにくいと思いますが・・・
※ただし平成38年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。
出所:日本年金機構「遺族厚生年金」より
つまり、3分の1未納があったら駄目よってことですね。このあたりは遺族基礎年金とまったく同様なルールとなっています。
遺族厚生年金がもらえる人(対象者)
もらえる人の条件も遺族基礎年金より少し広くなっていますね。
具体的には以下のとおりです。
出所:日本年金機構「遺族厚生年金」より
ちょっとややこしいのでもう少し噛み砕いて説明すると妻は年齢に関わらず受給できる。
子、孫は18歳の年度末まで受給できる。(障害等級1or2級の場合は20歳まで)
夫、父母、祖父母については被保険者が死亡時に55歳以上であることが条件となります。
なお、生計維持などの条件は遺族基礎年金と同様です。
遺族厚生年金はいくらもらえるのか(受給額)
遺族厚生年金のもらえる金額は簡単に言えば亡くなった方の年金加入実績によって決まります。つまり、長い期間たくさん給料をもらって(厚生年金を払って)来た方は高い金額となりますね
計算自体はかなり複雑となりますが、ねんきん定期便などを使えば簡単に算出が可能です。
一応計算式もご紹介しておきましょう。
報酬比例部分の年金額(本来水準)
出所:日本年金機構「遺族厚生年金」より
報酬比例部分の年金額(従前額保障)
出所:日本年金機構「遺族厚生年金」より
中高齢の加算
また、中高齢加算というルールもあります。これは以下に該当する妻は金額が加算されるルールです。
次のいずれかに該当する妻が受ける遺族厚生年金には、40歳から65歳になるまでの間、584,500円(年額)が加算されます。
・遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、子が18歳到達年度の末日に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)等のため、遺族基礎年金を受給できなくなったとき。
出所:日本年金機構「遺族厚生年金」より
ねんきん定期便をつかっての計算方法
上記の計算はちょっとややこしいのでねんきん定期便をつかっての計算方法をご紹介しましょう。
ねんきん定期便に「これまでの加入実績に応じた老齢厚生年金額」というのが載っていると思います。
それを元に計算が可能なのです。まず、老齢厚生年金の加入年数が25年以上の方は「これまでの加入実績に応じた老齢厚生年金額」に3/4を掛けた金額がもらえます。
25年未満加入の方の計算は以下のとおりとなります。25年(300ヶ月)分掛けたとみなして計算されます。
たとえば老齢厚生年金額が50万で20年掛けていたとしましょう。
50万円÷20年(240ヶ月)×300ヶ月×3/4
となりますので468,750円がもらえることになります。
さらに中高齢加算に該当していればプラスで584,500円がもらえます。
ねんきん定期便の詳しい見方はこちらの記事を御覧ください。
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遺族厚生年金は何歳までもらえるのか(受給期間)
遺族厚生年金を受給できるのは以下の期間です。
夫の死亡時30歳未満の妻で、子がいなければ5年間のみ受給可能
障害等級(1級、2級)に該当しない子と孫は18歳年度末まで
障害等級(1級、2級)に該当する子と孫は20歳まで
夫と父母、祖父母は60歳から一生涯受給可能
ちなみに上記の条件を満たしていても結婚(再婚)をしたり離縁したりすると失権することになります。また、事実婚や内縁関係でも遺族厚生年金が支給停止となる場合もありますのでご注意ください。
遺族年金まとめ
今回は「【遺族年金(遺族基礎年金、遺族厚生年金)】いくらもらえる?何歳までもらえる?など分かりやすく解説」と題して遺族年金についてかなり詳しく解説してきました。
ちょっとややこしい制度ですが、計算はそれほど難しくないです。もしもがある前にぜひ自分がどれくらいもらえるのか、遺族にどれくらい残せるのかをあらかじめ考えておきたいものです。
また、生命保険を掛ける際にも遺族年金分を加味していくら実際に生命保険としてほしいのかというのを考えてみてもよいでしょう。
詳しくは下記記事を御覧ください。
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