【高年齢雇用継続基本給付金】定年後も働くなら知っておきたい制度

最近テレビ・雑誌などで年金問題を絡めて老後問題を多く扱っています。

金融庁が作成した資料「高齢化社会における資産形成・管理報告書」老後に年金だけでは2000万円足りないぜというような事が書いてあったことに単を発します。

非常に真っ当なことが書いてあるのですが、この資料を作成した責任者の方は飛ばされてしまったようですね・・・

金融庁が言いたかったのはこのままじゃ老後資金が足りないから今のうちに老後について考えておこう。

そしてお金貯めようぜ、投資しようぜ、老後も働こうぜってことなんです。

しかし、下記記事のように多くの方は老後についてあまり考えていなかったようですので刺激が強すぎたのかもしれません。

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年金への興味や知識が皆無

そうはいっても臭いものに蓋をするだけでは老後資金問題は解決しません。

日本人は投資に対して抵抗感を持つ方が多いですから、現実的には老後も働くということが中心となってくるでしょう。

そこで今回は定年後に働く際に知っておきたい給付金をご紹介します。

なお、投資などを活用して老後資金を貯める場合は以下の記事をご覧ください。

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老後資金は65歳までに最低2,000万円

定年後に働くなら高年齢雇用継続基本給付金がもらえるかも

定年する際に知っておきたい制度はいくつかありますが、特に重要なのが「高年齢雇用継続基本給付金」です。

高年齢雇用継続基本給付金を簡単に言えば定年後働く際に給料が下がった方にその一部を援助する制度です。

定年後も給料は変わらない方もお見えですが、多くの方は嘱託になったり、肩書きが無くなったりして給料が大きく下がります。

その部分を補填してくれるイメージでしょうか。


高年齢雇用継続基本給付金の対象者

高年齢雇用継続基本給付金の対象となるのは60歳時点の賃金と比較して、60歳以後の賃金(みなし賃金を含む)が60歳時点の75%未満となっている方で、以下の2つの要件を満たす必要があります。

1.60歳以上65歳未満の一般被保険者であること。
2.被保険者であった期間が5年以上あること。

なお、高年齢雇用継続基本給付金は再雇用が前提の給付金ではありますが、同じ会社で継続勤務する以外に転職して別会社で勤務する場合でも対象となります。

ただし、雇用保険の基本手当(失業手当)をもらっている方は対象となりません。代わりに高年齢再就職給付金を受け取ることができます。

高年齢雇用継続基本給付金のパターン

高年齢雇用継続基本給付金の対象となるパターンは大きく分けて3つあります。

60歳で定年を迎え再雇用で嘱託などになるため給料が低下したパターン

60歳以降で定年でも同様です。

また、雇用保険の基本手当(失業保険)をもらわず再就職まで間(1年以内)があっても対象となりますね。

高年齢雇用継続給付イメージ

高年齢雇用継続給付イメージ

出典:厚生労働省「雇用継続給付リーフレット」より

高年齢雇用継続基本給付金でいくらもらえる?

それででいくらもらえるのでしょう?

もらえる金額は低下率により決まります。

「低下率」(%)=支給対象月に支払われた賃金額/60歳到達時の賃金月額×100

つまり、60歳到達時の賃金と比較してどれだけ低下したのかってことですね。

これを元に給付される金額が決まります。

賃金×支給率

低下率が下がるごとに支給率が上がってきます。

満額は低下率61%以下の場合で賃金の15%が支給となります。

高年齢雇用継続基本給付金と低下率
高年齢雇用継続基本給付金と低下率

出典:厚生労働省「雇用継続給付Q&A」より

高年齢雇用継続基本給付金の支給例

それでは数字を使ってどれくらいもらえるのかを見てみましょう。

60歳到達時の賃金月額が30万円である場合の支給額の例

1.支給対象月に支払われた賃金が26万円のとき

賃金が75%未満に低下していませんので、支給されません。

支給対象月に支払われた賃金が20万円のとき

低下率が66.67%で61%を超えていますので、支給額は16340円です。

支給対象月に支払われた賃金が18万円のとき

低下率が60%で支給率は15%となります。

18万円×15%で支給額は27000円です。

支給上限額と最低限度額

高年齢雇用継続基本給付金は支給上限額と最低限度額が決まっています。

支給上限額 360,169円
最低限度額 1,984円
※ 上限額及び下限額は変更される場合があります。

新しい賃金が上限の360,16円以上の場合には例えば75%未満に低下していたとしても支給されません。

また、支給対象月に支払いを受けた賃金額と高年齢雇用継続給付として算定された額の合計が支給限度額を超えるときは、360,169円-(支給対象月に支払われた賃金額)が支給額となります

最低限額は1,984円です。高年齢雇用継続給付として算定された額がこの額を超えない場合は、支給されないということになります。

高年齢雇用継続基本給付金は非課税

なお、高年齢雇用継続基本給付金は課税の対象にはなりません。

つまり、税金は掛からないってことですね。

高年齢雇用継続基本給付金をもらう方法

高年齢雇用継続基本給付金の申請は基本的に勤務先に手続きしてもらいます

会社にやってもらう仕組みですがこちらから言わないと気づかれない場合が多い制度です。必ず自分が対象なのかを確認しておきましょう。

ただし、本人が希望する場合には自分で申請することも可能です。

必要書類は以下の通りです。

1.雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書
2.高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書
3.賃金台帳、労働者名簿、出勤簿又はタイムカード等被保険者が雇用されていることの事実、賃金の支払状況及び賃金の額を証明することのできる書類(1.、2.に記載した賃金の額及び賃金の支払い状況を証明することができる書類)
4.被保険者の運転免許証(コピーも可)など被保険者の年齢が確認できる官公署から発行・発給された身分証明書などの書類
1.高年齢雇用継続給付支給申請書(受給資格確認や前回の支給申請手続後にハローワークから交付されます。)
2.賃金台帳、出勤簿又はタイムカード(1.の申請書に記載した支給対象月に支払われた賃金の額及び賃金の支払い状況等を確認できる書類)

高年齢雇用継続基本給付金はいつまでもらえるのか

高年齢雇用継続基本給付金がもらえる期間は60歳に到達した月から65歳に達する月までとなっています。

つまり、65歳になる誕生日月までということです。

年金がもらえるようになるまでの補助的な制度と思っていただければ良いかもしれません。

特別支給の老齢年金や年金の繰り下げ制度も含めて老後設計をしておきましょうね。

高年齢雇用継続基本給付金まとめ

今回は「【高年齢雇用継続基本給付金】定年後も働くなら知っておきたい制度」と題して高年齢雇用継続基本給付金について見てきました。

高年齢雇用継続基本給付金をまとめると以下の通りです。

再雇用などで賃金が75%未満になった場合に支給される制度
支給額は最大15%
支給は65歳の誕生月まで
手続きは会社にやってもらう

ちょっと複雑な制度ですが自分が対象となるのかは事前に確認しておきたいところです。

同様のルールに該当する人が多い会社は大丈夫でしょうが、そうでない場合は会社が気づかず手続きが行われない場合もあります。

特別支給の老齢年金や年金の繰り下げ制度と合わせてチェックしておきたいところです。

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また、廃止の検討もされていますが、在職老齢年金についても合わせて知っておきましょう。

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