7Payの撤退戦略がすばらしい

7Payがサービス終了。批判が多いけどサンクコストに囚われない経営判断は称賛されるべき

セブン&アイ・ホールディングスグループが鳴り物入りではじめた同社のスマホ決済の「7Pay(セブンペイ)

7月1日からサービス開始したものの、不正が相次いだこともあり、9月末で終了するとの発表がありました。

不正の被害額は7月31日時点で808人、被害額は約3860万円にもなるそうです。

テレビ、新聞、ネットで様々な報道を見ましたがほとんどが批判でした。

被害者がいますし、大企業の大きな失敗ですから当然かもしれません。

しかし、個人的にはセブン&アイ・ホールディングスの評価が上がった今回の判断でした。

それはサンクコストに囚われない経営判断ができたことによるものです。

今回は7Payの話からサンクコストについて考えてみたいと思います。

7Pay(セブンペイ)の歴史

セブン&アイ・ホールディングスグループではすでに12年前にはじめた電子マネー「nanaco(ナナコ)」で大成功しています。

発行枚数は6518万件(2月末現在)と楽天Edy、Suicaに続いて業界3位。

そのnanaco(ナナコ)の条件を落としてでも「7Pay」へ移行を推進しようとしていたほど力を入れていたサービスになります。

まずは今回の問題を考えるためにかなり短い一生になってしまった7Payの歴史を振り返りましょう。

これだけ見るとかなりお粗末な内容で養護するような点はありません・・・


7Pay は2年前にプロジェクトスタート

報道によると7Payのプロジェクトがスタートしたのは約2年前。

当初は単独アプリでリリースする予定だったそうです。

また、当初から2019年7月1日のスタートは決まっていたとのこと。

2018年末にセブンイレブンアプリの一部機能として仕様変更

今回の問題の大きな要因となってしまった単独アプリではなく「セブンイレブンアプリ」の一部機能として利用する仕様変更は2018年末くらいだそうです。

ギリギリでの大きな方向転換となります。

2019年7月1日に7Payサービス開始

スタートは2019年7月1日と当初決まっていたスケジュールどうりに間に合わせています。

しかし、スタート当初から不正が相次ぎ、ネット上では大きな騒ぎとなります。

私も一応登録まではしましたが、クレジットカードの紐付け等はまだ行っていなかったため被害からは免れました・・・

2019年7月4日に入金・新規登録停止

不正が相次いだことを受けてセブン&アイ・ホールディングスでは7月4日に入金と新規登録を停止します。

外部のセキュリティ会社と連携した「セキュリティ対策プロジェクト」を設置し、対策を考えてきました。

2019年7月30日全会員のパスワードリセット

「セキュリティ対策プロジェクト」の検討結果なのか、2019年7月30日には全会員のパスワードをリセットしました。

今後に被害を防ぐ目的のようです。

2019年8月1日。9月末で7Payのサービス廃止を発表

スタートしてちょうど1月で廃止が発表されました。

9月末まではサービスが続きますが、7月4日から入金と新規登録は止まっていますので、実質的に稼働したのは4日だけというお粗末なサービスとなってしまいましたね。

10月から国が主導する5%還元の消費者還元事業が始まることも大きいのでしょう。

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7Pay(セブンペイ)の廃止を決断できたのはすごい

上記のようにかなりひどい結果となってしまった7Payですが称賛されても良い点があります。

それは引き際です。

すでにセブン&アイ・ホールディングスグループでは7Payに142億円の開発費を掛けていたそうです。

しかし、今回の撤退でこれをほとんど回収することなくサービスが終了します。

通常の経営者ならばこの142億円を回収するためにサービスをなんとか続けよう、立て直そうとしてしまうのです。

しかし、スパッと撤退の判断をできたのは素晴らしいと考えます。


サンクコストを考えてしまう。(損切りできない)

なかなかスパッと撤退できない最大の理由は通常、サンクコストを考えてしまうからです。

サンクコストとは埋没費用のことで既に回収が不可能であるコストを意味します。

本来はサンクコスト部分の費用はもう戻ってきませんし、今後の判断をするときに関係ありませんから無視すべき事項なのです。

しかし、それができない人や企業が多いんですね。

つまらない映画を最後まで見てしまう

例えば2,000円だして映画を見始めたとします。

本当につまらなかったとしても途中で抜けて来る人は少ないです。

これはすでに支払ってしまった2000円がお金が勿体無いという心理が働いているのです。

これがサンクコスト効果です。

合理的な判断をするならば、つまらない映画を見るのに2時間使うよりもその時間を有意義に使う方法はいくらでもあるはずなのにです・・・。

すでに回収不能は2000円が判断を狂わせてしまうですね。

しかし、これができない人がほとんどなのです。

コンコルド効果も同じ意味

ちなみにサンクコストのことをコンコルド効果と言うこともあります。

意味はほぼ同じです。

コンコルドは新型の飛行機を開発する際に多額の投資をしました。

しかし、途中で開発が難航し利益を出すのは難しいとわかっていたにも関わらず、過去の投資金額が無駄にしたくないという心理が働いてそのまま開発をして大きな損失を出した事例から名付けられました。

どことは言いませんが、なんか日本でも同じような話を今も聞きますね・・・(笑)

サンクコストは大企業ほど陥りやすい

サンクコストは頭が良い人、プライドが高い人ほど陥りやすいと言われています。

また、企業で言えば大企業ほどサンクコストにハマる傾向が本当に強いのです。

過去の過ちを認めたくない、責任を取りたくなのでしょう。

その点、セブン&アイ・ホールディングスがサンクコストに陥らないのがすごいんですよね。

株で損切りできないのもサンクコスト

株式投資でも同じです。

サンクコストが働いてしまうケースがあります。

例えばある株を1,000円で買いました。

その後、不祥事がありその株は500円に落ちます。

しかし、1,000円で買ったという買値を気にするため損切ができません。

1,000円になるまで塩漬けをしてしまうのです。

不祥事があった時点でその会社の価値は大きく変わっているのに買値に縛られているのです。

たぶんもう1,000円の価値はないとわかっていてもサンクコストを考えてしまうため動けないのですね。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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7Payはサンクコストを考えたら撤退できなかった

この点を考えるとスパッと撤退の決断ができた7Payがすごいのです。

142億円というかなり大きなサンクコストがあるにも掛かわらず、今後の部分だけを考えることができたため決断できたのでしょう。

今後を考えるとたくさん不穏な材料があります。

・開始4日で止めざる得ないほど不正が横行してしまったシステム。
・それを作り直すだけのシステム改良費
・イメージ悪化で今後のユーザー獲得の見通しに暗雲
・もともとスタートが後発ですでに他社が先行
・国が主導する5%還元の消費者還元事業は10月から始まるため時間がない

これらを総合的に勘案すると撤退は正解でしょう。

下記の決算のとおり、ソフトバンク、yahoo関連のPayPayなんてとんでもないお金をつぎ込んでいますしね。

PayPayの営業担当によると10年くらいは赤字を覚悟しているそうです・・・・

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次は11Pay?

報道によるとセブン&アイ・ホールディングスグループはまだQR決済を諦めてはいないようです。

一からシステムを作り直して名前が違うPayを出してくる可能性が高そうですね。

11Payとかでしょうか・・・

それだけ顧客の情報が取れることや他社に手数料を払わなくてよいというメリットが大きいということなのでしょう。

まとめ

今回は「7Payがサービス終了。批判が多いけどサンクコストに囚われない経営判断は称賛されるべき」と題して7Payの撤退とサンクコストについてみてきました。

個人的にはセブン&アイ・ホールディングスの経営力を感じた撤退の判断でしたね。

もちろんそもそもの7Payの開発を失敗してセキュリティが甘くなってしまっていたという部分がありますので一概には言えないでしょうが・・・

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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