日本郵政が民営化後初めての赤字となりました。
しかもその金額は400億と大きいこと、ちょうど郵便料金が6月に上がることもあり、自身の貯金に対して不安に思っている方も多いかもしれません。
今回はこの日本郵政の赤字と貯金との因果関係を見ておきたいと思います。
ちなみに貯金という言葉は郵便局やJAで使います。銀行だと預金と言います
【日本郵政】民営化後初の赤字を計上。その額400億円
日本郵政は民営化後初の赤字となりました。(予想段階ですが)額は400億円です。
これはとてつもなく大きいと捉える人が多いでしょう。
しかし、これ数字のマジック的部分や報道の印象によるなところが大きいです。まず、日本郵政の売り上げ予想は13,330,000百万円あります。そして赤字は40,000百万円です。
つまり、13,330,000百万円のうちの40,000百万円であり企業規模からすると赤字の割合は実はそこまで大きくないのです。百万円の単位を外してみると分かりやすいかもしれません。
売上約1億3千万円の会社が4万円の赤字でしたよ。
という状態と割合は同じなのです。
ちなみに、同じく話題になっている東芝は第三四半期までの数字で売上高3,846,852百万円に対して純損失は597,017百万円と企業規模から見てもかなり高い割合の高い数字となっています。
また、経常利益は780,000百万円あり、前回予想よりも10,000百万円ほど増えています。
つまり本業の業績自体は予想よりも良いのです。そして今回の赤字は当期純利益(損失)段階のものです。当期純利益(損失)は経常利益から特別利益と特別損失を差し引きしたものになります。
つまり今回の赤字は特別に起きた事象の特別損失による赤字な訳です
。特別損失の内容としては報道されています通り買収したオーストラリアの物流会社「トール」の業績が悪く4,003億円の減損処理を行ったことによるものです。
4,003億円の減損処理とは
次に4,003億円の減損処理とは何かついて見ていきましょう。
減損処理とは
減損処理とは下記のように資産の収益性が低下した際に、投資の回収ができない場合にする処理のことです。
減損会計(げんそんかいけい、impairment accounting)とは、資産の収益性が低下して投資額の回収が見込めなくなった場合、当該資産の帳簿価額にその価値の下落を反映させる手続きをいう。減損処理ともいう。 Wikipedia 減損会計より
今回の場合は、6200億円で買収したオーストラリアの物流会社「トール」社の収益性が低下したのでその分帳簿の「のれん」や「有形固定資産」を4,003億分減らした処理になります。
のれんとは
のれんとは下記のようなことです。簡単に言えば買収した際に実際の金額より高く払った分を将来性とかノウハウ、ブランド料などとして考えましょうよといったことです。
のれんの名前の由来は、商店の店先にある日よけの布ののれんからです。
ここに商店名とか書いてありますよね。それが店の知名度や長年の経験など目に見えない価値として評価されます。
そこから取っているのです。昔の簿記では営業権と言いました。
のれん (goodwill)とは、企業の買収・合併(M&A)の際に発生する、「買収された企業の時価評価純資産」と「買収価額」との差額のことである。(連結会計にあっては投資価額と被投資企業時価評価純資産のうち持分相当の差額) Wikipedia のれん(会計)より
今回のポイント
今回、大体的に報道されており、東芝みたいになるのではないか?と心配されている方もお見えかもしれません。
確かに大きな損失となりますが、今回の損失で追加でお金が出て行く話ではないということを押さえておくと良いでしょう。
今回の減損損失は帳簿上の話で2015年に買ったものが想定より価値なかったよ。
収益出ないので適正にしましたよってだけなのです。簡単に言えば買収金額が高すぎたということです。
しかし、考えなければならないのが「トール」社の巻き返しが期待できるかでしょう。
今後次第では追加での持ち出し等が発生する可能性があります。
あなたの貯金との関係
自分の貯金がどうなるのか心配している人もいるとのことですが、結論からすると関係ありません。
実は民営化にあたり日本郵政は下記のような構成になっています。
そのうち貯金を担当しているのはゆうちょ銀行です。
ゆうちょ銀行は日本郵政の子会社ではありますが別会社なのです。
ですので基本的には今回のことが直接関係あることはありません。また、2017年9月までにはその資本関係も解消する予定です。
出所:wikipedia 日本郵政
また、もしものことが起こったとしてもゆうちょ銀行も通常の銀行と一緒で1,000万円までは預金保険制度により保証されます。ちなみにゆうちょの預け入れ限度は1,300万円までです。
株式追加売り出しへの影響
日本郵政は2次売り出しが決まっています。
主幹事もすでに決まっています。
国内
大和証券、野村證券、みずほ証券、三菱UFJモルガンスタンレー証券
海外
ゴールドマンサックス証券、メリルリンチ日本証券
証券大手揃い踏みですね。
日本郵政のIPO(新規上場)では公開価格1400円に対して1520円をつけて儲けた方も多いかもしれません。
今回の損失で価格が抑えられる可能性が高いのかな?と思いますので追加売り出しはどうなるか面白くなりそうな気もしています。
まとめ
マスコミの報道だけを聞いていると今にも倒産するんじゃないか?という感じでしたが東芝とは違い実はそこまで大きなレベルのお話ではありません。ただ、株式の追加売り出しには確実に影響が出ますので注目しておきたいこところです。
読んで頂きありがとうございます、