中小企業119が爆誕。ミラサポとなにが違うのか等を解説

中小企業を支援する国の制度である「ミラサポ」(中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業)の専門家派遣事業が令和3年度より「中小企業119専門家派遣」に変わります。

なぜ変わるのか謎でしたが、先日説明会を聞いて推測できました。(中小企業庁は言及はしていませんが)

今回はそのあたりも含めて「中小企業119専門家派遣」制度について解説します。

中小企業119専門家派遣とは

中小企業119専門家派遣とは簡単に言えば名前の通り、困った中小企業が専門家の力を借りる制度です。

中小企業診断士などの士業やマーケティングなどの専門家を年3回まで無料で派遣できるんですよ。

なお、士業や専門家には国から謝金が払われる仕組みです。(具体的な金額は書きませんが、他と比較してかなり安いのでやらない士業・専門家も多いですが・・・)

ミサラポとの違い

もともと同様の制度で「ミラサポ」(中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業)の専門家派遣事業がありました。

「ミラサポ」(中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業)の専門家派遣事業が「中小企業119専門家派遣」制度に変わる形ですね。

仕組み自体は大きくは違いません。

利用者からみた違いは専門家データベースが中小企業から見えなくなることくらいです。

派遣を要請したい方はまず商工会議所や商工会などの支援機関に相談に行きます。

そこで商工会議所や商工会で解決できない相談に対して派遣要請をする形となります。

派遣される専門家は支援機関が選定するので事業者に専門家データベースはいらないだろうという判断ですね。

なぜミラサポから変わる?

専門家データベースが中小企業から見えなくなるだけだったら、WEBサイトを変えればよいだけじゃん。。。って思ってしまいますが、支援機関や専門家からすると他にも違いがあります。

それは不正防止です。

専門家、専門家とグルになった支援者や支援機関の不正ですね。

ミラサポはかなり不正が多かったという話があります。

知り合い同士が派遣しあってお金を回すとか、実際は補助金の申請をなど請け負っているんだけどその費用をもらうために架空の相談をして派遣してもらっているとか・・・(これはある支援機関の方から聞いた実際の話しです)

大きな話題になったのはよろず支援拠点のモデルになったと言われる富士市産業支援センター(f-Biz)を運営していた株式会社イドムによる不正ですね。株式会社イドム代表取締役の小出 宗昭氏は中小企業支援の第一人者としてその手の話では引っ張りだこだったのですが・・・

「中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業」で、専門家5人が支援先の事業者を訪問せずに謝金や旅費2952万円を不正受給していた

出典:朝日新聞デジタル 「中小企業支援の先駆者「エフビズ」 なぜ閉鎖に」 より

話題にはなっていませんが、他の団体でも同様のケースがあったと聞いています。

そういった不正が多いため、ミラサポでは専門家の指名ができなくなったり、必ず支援機関の職員が同席するのが必要になったり、相談時の写真を提出する必要があるなどどんどん厳しいルールに変わってきました。

もともと性善説に基づいて設計された仕組みでしたが、不正があるという前提でルールを厳しくしたのです。

しかし、それでも不正は完全には防げていなかったようです。

そこで仕組み自体を変えて不正を排除するのが中小企業119専門家派遣に変えた大きな目的となっていると推測しています。

不正防止のために取られる措置

それではどうやって不正防止をするのでしょう?

以下の3点が今回の制度変更のポイントですね。

専門家DBを見えなくすることで指名を防ぐ

まずは前述の専門家を支援を依頼したい人から見えなくすることで「指名」的な要請をなくすということです。

ミラサポも途中から専門家の指名は不可としていましたが、会員からこの人呼んでほしいと言われれば拒否もしにくかったようです。

そのため、より指名を防ぐためにどんな専門家がいるのかを見れなくするということなのでしょう。

支援機関は専門家データベースを見れますからそこから派遣する専門家を決めるという流れです。

ただし、この専門家に支援してほしいという話も実際にあるしょうから、個人的にはこのルールはどうなんだ?って思います。

商工会議所や商工会などの支援機関がすべて派遣する専門家を決めるとなると専門家と支援機関の癒着を生む可能性もありますしね。(すでにそういう話もよく聞いています)

また、専門家自体が「中小企業119専門家派遣」制度での要請を勧誘すればあまり意味がある規制にはならないかもしれませんが・・・

LINEで位置情報を記録する

もう一つがLINEによる位置情報の記録です。

その時間に必ずその現場に行っていたということを証明するためにLINEのチェックイン、チェックアウト機能を使うようです。

写真をとって証拠とするよりは手間暇は少ないですし、確実なのでよい制度変更だとは思います。

ただし、支援報告等もLINEアプリを通じて実施するとのことでかなり不便だな・・・って専門家の立場としては思います。

専門家は登録しなおし

また、ミラサポで専門家登録していた方も「中小企業119専門家派遣」制度では再度の登録が必要となります。

その際、支援機関が面談を義務付けていますので専門家の選別も行うことになるのでしょう。

わざわざ再度登録しなおしたり、面談したりするのも不正防止の一貫だと思われます。


まとめ

今回は「中小企業119が爆誕。ミラサポとなにが違うのか等を解説」と題して「中小企業119専門家派遣」制度についてみてきました。

不正があったことで依頼する中小企業からしても派遣される専門家からしても派遣申請をする支援機関からしても使いにくくなった印象がありますね・・・

仕方ない部分だとは思いますが。

個人的にはそもそも商工会議所や商工会が実施してる似た仕組みのエキスパートバンク、各県の産業支援機関、市町村が実施している派遣制度などもあり、わざわざ国手動で「中小企業119専門家派遣」制度のようなものが必要なのかちょっと疑問です。

よろず支援拠点もそうですが、なんかやってる感を出しているだけのような。

重複する仕組みを作るお金があるなら他にやれることがあるだろう・・・って思ってしまいますね。

とはいえ制度としてあるものですから、専門家に相談したい話がある方は中小企業119を利用してみてください。

詳しくは最寄りの支援機関(商工会議所、商工会、各県の産業支援機関、よろず支援拠点など)にお尋ねください。(開始は4月から)

無料で専門家相談できますよ。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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