家計資産が過去最高を更新。投資をしている世帯としていない世帯で二極化が進む

日本銀行が2023年1~3月期の資金循環統計(速報)を発表しました。

新型コロナウィルスの影響で消費が抑制されたことや世界的な株高の影響で家計の資産は過去最高を更新しています。

しかし、投資をしていない世帯と投資をしている世帯の二極化も進んでいるという現状・・・

今回は日銀が発表した2023年1~3月期の資金循環統計(速報)を見ていきましょう。

家計資産の残高は過去最高を更新

日本銀行 2023年1~3月期の資金循環統計(速報) 前年比
出典:日本銀行 2023年1~3月期の資金循環統計(速報) 前年比より

2023年3月時点の家計の資産残高は2,043兆円と過去最高を更新しました。

新型コロナの問題が発生するかしないかの2020年3月では1,816兆円でしたから3年で227兆円も増えたことになります。

株と投資信託、債券が伸びる

それは前述の2023年1~3月期の資金循環統計(速報)を細かく見れば一目瞭然。

株式等が2.7%増、債務債券が4%増加しています。

2021年〜2022年にかけては投資信託や株が二桁成長だったこともあり、投資をしている人としていない人でかなり差が開いた形となっています。

現金預金の伸びは1%程度

預金残高が増えているという話は特別定額給付金の2回目が騒がれたときにも出ていましたが、実はそれほど増えていません。

現金給付があった期間でも5.5%程度です。

2023年1~3月期では1.1%の伸びにとどまっています。

実は株や投資信託が大きく伸びており、そこに全体が引っ張られた形なんですよ。

株や投資信託の資産に占める割合はまだ大きくない

2023年1~3月期の資金循環統計(速報)ではそれぞれの資産の比率も出ています。

  • 現金・預金が54.2%
  • 保険が26.2%
  • 株式等が11%
  • 投資信託が4.4%

となっています。

株式投資ブームとも言われていますが、まだまだ株式投資や投資信託への比率はあまり高くないんですよ。

まだまだ現金預金や保険が多いことがわかりますね。

これだけ株や投資信託が上がっている状況だとやっている世帯とやってない世帯では資産額に大きな差がでてしまうというのも仕方ない部分かもしれません。

日本人は預金がお好き?

日欧米の資金比率比較

出典:日本銀行 資金循環の日欧米比較より

この傾向はずっと続いています。上記は昨年のデータですが、日本では現金・預金と保険がやけに強く、株式投資や投資信託の比率がアメリカ、ユーロと比較してかなり低いことがわかりますね。



預金と保険だけだとインフレに弱い

いま世界的に警戒されていることがあります。

それはインフレです。

新型コロナ対策で各国が金融緩和をした影響で大きなインフレがきてしまう懸念が出ているのです。

インフレとは

インフレとはインフレーション(inflation)の略です。

モノやサービスの価格が持続的に上昇する状態のことを表します。

簡単に言えば「モノの価値があがり、現金の価値が下がっていく」ってことです。

同じモノを買うのにたくさんのお金が必要になる。つまり、お金の価値が下がっていくってことになります。

元々の語源はマネーサプライの上昇、つまり出回る通貨の量が増加していることを意味します。

ちなみにインフレの日本語では通貨膨張と訳します。

この直訳が1番わかりやすいかもしれませんね。

お金が出回る量が増え通貨膨張状態になるってことです。

ちょうど今の世界中でおきている状況。

これが続けばインフレになる可能性が高いということです。(経済はそんな単純ではありませんので必ずインフレになるとは限りませんが)

預金や保険はインフレに弱い

現在、日本では年間2%の物価上昇率を目指しています。

もし、実際に年間2%の物価上昇になれば実質的にお金の価値が年々2%下がることになります。

今まで100円で買えていたものが102円になるのですから当然といえば当然です。

現在、貯金していても金利はほとんど付きません。

楽天銀行のような高い利率を謳っているネット銀行でも年0.1%とかです。

物価は2%あがるのに貯金していて増えるのは0.1%なんです。

そうなれば徐々に預金の価値が実質的に目減りしていくことになるのです。

物価は今の政策を続けていけばゆっくりと長い期間上がり続けるでしょう。

また、保険も多くの場合はインフレ対応していません。

そのため、預金や保険だけの資産の方はインフレが進むにつれて目減りしてしまう可能性があるのです。

逆に株式投資や投資信託はインフレに強い仕組みですからインフレになると上がりやすいという特徴があります。

日本円の価値も変わる

また、ほとんどの方は日本円のみで預金されていると思います。

これも結構リスクがあるのです。

これはどちらにも転ぶ可能性がありますが、例えば円安に大きく振れたとしましょう。

今現在は1ドル110円くらいです。

それがもし120円に振れたとすれば今まで1万ドルの商品を買うのに110万円出せばよかったものが120万円掛かるようになります。

つまり、同じ商品なのに対日本円では上がってしまうのです。

これはインフレと同様に日本円の価値が下がったことになりますので実質的に目減りしていると言って良いかもしれません。

特に長期でみるとその傾向を心配する必要があります。

日本は現在、どんどん人口が減り続けています。

対してアメリカは先進国としては珍しく人口が増えているんですね。

人口が増えればそれだけ国力が上がっていきますからドルが強く、円は弱くなる可能性が高いのです。

つまり、長期的にみれば円安方向になる可能性があるのです。(経済はそんな単純ではありませんので必ず円安になるとは限りませんが)

投資をしている世帯としていない世帯では二極化が進む

ですから投資をしている世帯と投資をしていない世帯ではこれからどんどん二極化が進んでしまう可能性があるのです。

株式投資に限りませんが、インフレ対応型の資産を持つ必要性はどうしてもありますね。

インフレに強い資産としては以下のようなものがあります。

  • 株式投資(投資信託含む)
  • 不動産(リート含む)
  • 債券
  • 外貨預金
  • コモディティ(商品)

いろいろありますね。

個人的にはどれが上がるか、どれが下がるかなんてプロでも予想は当たりませんから分散投資がおすすめです。

特に投資信託は分散投資をしやすい仕組みですからおすすめ。

また、iDeCoやつみたてNISAなど税制優遇のある仕組みを使うとお得に投資が可能です。




まとめ

今回は「家計資産が過去最高を更新。投資をしている世帯としていない世帯で二極化が進む」と題して家計資産の統計データを見てきました。

新型コロナウィルスで厳しい環境にあるように見えて、日本全体で見れば家計資産は増えているんですよ。

特に株式投資や投資信託をやっている家庭では資産が大きく増えたことでしょう。

まだまだ日本では投資へ回る資金は多くなく、一般的ではありませんが、今後のインフレを考えるならそろそろ対策しても良いかもしれませんね。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。
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