政府が保有する日本郵政(6178)の株を一部売却することとなりました。
対象は発行済み株式総数の27%というかなりの規模となっております。
そのため、ネット広告でも日本郵政POのものが多くなってきましたし、各社WEBサイトのトップで大きくアピールしています。
SBI証券なんて専用サイトまで設けています。
また、証券会社がかなり売り切るのが大変なようで私の元にも何社か営業にきましたね。
同じような方も多いでしょうから今回は日本郵政のPOは買いなのかについて考えてみましょう。
日本郵政株POの概要
まずは前提となる今回の日本郵政株の売り出しの概要から見ていきましょう。
- 株式の種類:日本郵政株式会社 普通株式
- 売出し株式数;国内770,608,100株、海外売出との合計総売出株式数1,027,477,400株
- 売出価格等決定日:2021年10月25日(月)から 2021年10月27日(水)までの間のいずれかの日
- 売出価格:未定
- 申込期間:売出価格等決定日の翌営業日から売出価格等決定日の2営業日後の日まで
- 受渡期日:売出価格等決定日の4営業日後の日
- 申込単位:100株以上100株単位
- ジョイント・グローバル・コーディネーター:大和証券株式会社、みずほ証券株式会社、ゴールドマン・サックス証券株式会社、JPモルガン証券株式会社
- 国内売出しの共同主幹事会社:大和証券株式会社、みずほ証券株式会社、ゴールドマン・サックス証券株式会社
JPモルガン証券株式会社、SMBC日興証券株式会社
なお、ジョイント・グローバル・コーディネーターや共同主幹事会社以外でもかなり多くの証券会社で取り扱いがあります。
なぜ政府は日本郵政株を売り出すのか
政府は2015年11月の新規上場(IPO)時、2017年9月の売出し(PO)と過去2回の日本郵政の株を売り出しています。
これは郵政民営化法により、日本国政府は発行済株式の総数に占める割合で3分の1超の日本郵政株式を保有する義務を課せられており、日本国政府は保有義務を超える部分の株式を売却するためのものです。
簡単に言えば政府が保有する株式数が法律で定めるより多すぎるので、その水準までさげるために不特定多数の方に売ることを目的に実施するってことです。
別に業績がわるくて。。。とかそういうたぐいのものではありません。
なお、本売出しにより、日本国政府は郵政民営化法上の保有義務を超える株式を全て売却する予定であり、現行制度において最後の政府保有株式の売出しとなる予定とのこと。
つまり、大規模な売出しとしては最後となりそうなのです。
出典:日本郵政第3次売出し幹事引受団 郵政民営化と本売出しの位置づけ より
過去の日本郵政株売出し時との比較
今回の売出しと過去の売出しを比較してみましょう。
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第一次売出し(IPO時) | 2015年11月 売出株数:495,000,000株 売出総額:約6,809億円 |
第二次売出し(PO) | 2017年9月 売出株数:990,099,100株 売出総額:約12,990億円 |
第三次売出し(PO) | 2021年10月 売出株数:1,027,477,400株 売出総額:未定 |
今回の売出し規模は過去2回と比較しても大きい形ですね。
日本郵政株を売り出すPOって?
その売り出すための方法としてPOという方法が使われます。
POとは「Public(公開の)Offering(売り物)」の略で公募増資を行う場合や今回のような売出しを行うための方法です。
一般的に通常に市場で株を買う場合と比べて割引条件が提示されます。
つまりお得買える可能性があるってことなんですよね。
ちなみに前回の日本郵政株のPO時の割引条件は2%でした。
日本郵政株の過去の売出し成績
それでは日本郵政株の過去の売り出し成績を見てみましょう。
2015年11月に新規上場時(IPO)
まずは2015年11月の新規上場(IPO)時です。
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公開価格 | 初値 | 騰落率 |
1,400円 | 1,631円 | +16.5% |
公開価格は1,400円でした。
公開価格とはIPOに挑戦した方が買える金額となります。
そして実際に上場した時についた金額は1,631円でした。
つまり、IPOに挑戦した人が初値ですぐ売ったとしても16.5%儲かった事になります。
取得難易度も低めでしたからかなりの株数を手に入れた方もおいででしたね。
ただし、後述するようにその後株は下がっていますので、IPOで取得してそのまま持ち続けている方はかなり含み損を抱えている形です。
2017年9月の売出し時(PO)
次に2017年9月の売り出し時です。
※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。
発行価格 | 受渡日の始値 | 騰落率 |
1,322円 | 1,309円 | +0.9%(配当分含む) |
前回のPO時は発行価格は1,322円でした。
ぱっとみると発行価格より受渡日の始値が下でマイナスになっているようにみえます。
しかし、POのタイミングがちょうど配当に絡む時期であったため、参加した人は配当がもらえたのです。
それを加味すると実際の騰落率は+0.9%となります。
0.9%ってかなり微妙ではありますが笑
ちなみにこの時の割引は2%だったのでその割引よりも儲からなかったという・・・
一応すぐ売ればプラスではあったんですけどね。
ただし、今回のPOは前回以上の規模ですからそのあたりがどう反映されるか。。。
日本郵政の業績、株価
それでは肝心の日本郵政の業績はどうなのでしょうか?かなり苦しんでいるんですね・・・
日本郵政の経常収益
一般企業の売上にあたる計上収益は下記のように伸びていません。
どちらかというと右肩下がりの状況・・・・
出典:日本郵政 IRより
日本郵政の経常利益
本業とそれ以外の利益・経費を表す経常利益は波がある形ですね。
2019年は落ち込んでいますが、少しずつ盛り返しています。
出典:日本郵政 IRより
日本郵政の親会社株主に帰属する当期純利益
当期純利益は2021年で大きく下がっています。
これは前年と比較して、特別利益が少なくなったこと、減損損失など大きめの特別損失を計上したことが要因となっています。
キャッシュ・フローはかなり潤沢ですからもっとうまくやれるだろ・・・って気もしなくもない業績ではありますが・・・
出典:日本郵政 IRより
日本郵政の株価推移
次に日本郵政の株価推移を見てみましょう。
こちらも一目瞭然です。
上場後、右肩下がりで株価は下がっていますね。
新型コロナでの株価落ち込みからはだいぶ盛り返してきてはいますが、上場後からの推移をみればかなり低い水準です。
出典:ヤフーファイナンス 日本郵政より
日本郵政の株価指標
株価指標も業績がいまいちなのもあり、かなり割安な水準となっています。
2021年10月14日現在で予想PER10.83倍、実績PBR0.26倍、予想配当利回り5.43%となっています。
配当利回りはかなりよいですし悪くない株価ですね。
ただし、今後大きな成長を見込める企業でもないでしょうしそのあたりをどう考えるかでしょうね。
まとめ
今回は「日本郵政(6178)の政府保有株の第三次売出し(PO)は買いなのか?」と題して日本郵政のPOについてみてきました。
私の結論としては
かな。そもそも郵便局あまり好きではありませんし将来性を全く感じませんからね。
前回のPOの状況をみてもわざわざPOで買うほどのお得さはないですし・・・
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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