外貨建資産を持つなら為替差益に気をつけよう。所得税、住民税の対象となるぞ

2022年くらいからアメリカなど各国の金融緩和縮小や利上げ、ウクライナへのロシアが侵攻などもあり、円安ドル高が進行しています。

ここ数年のアメリカ株の人気などもあり、外貨建資産を保有している方も多いでしょうが、ぜひ気をつけてもらいたいのが為替差益です。

現在、ドル建て資産を持っている方なら為替でもかなり利益となっていると思いますが、その為替での利益分も所得税や住民税の対象となるんですよ。

また、特定口座(源泉徴収あり)の場合には思わぬ場面で課税されてしまうケースも。。。。

今回は為替差益について解説していきます。

為替差益とは

まずは今回の話の前提となる為替差益について解説しておきましょう。

為替差益とは名前のとおり、為替で益がでた状況です。(損が出た場合は為替差損といいます。また、合わせて為替差損益とも言う場合も)

例えば1ドル100円のときに10,000ドル保有していたとします。

日本円にすると100万円ですね。

それが1ドル150円になれば同じ10,000ドル保有でも150万円となります。

このときに、外貨建預金を日本円に買えれば100万円と150万円の差50万円が為替差益となります。

為替差益は所得税・住民税の対象

ただし、このドル建て資産をなにも動かさなければ確定していませんので、個人の場合に課税されるものではありません。

確定した段階で課税対象となります。

例えば外貨建預金なら円に買えたタイミングなどですね。

為替差益は所得税・住民税が掛かります。



為替差益の税金の基本

なお、為替差益は雑所得(総合課税)の扱いとなります。

そのため、所得税の税率は他の所得と合算した合計額に応じて異なります。

ちなみに所得税は最低5%、最高で45%です。

他の所得が多い方は為替差益の所得税も高くなるってことですね。

また、住民税は10%(自治体により多少違う)です。

特定口座(源泉あり)は為替差益分も源泉徴収される

なお、課税は特定口座(源泉徴収あり)なら源泉徴収で自動的に行われます。

米国株の売買で為替差益が出た場合などがわかりやすいですね。

この場合、株の利益と為替差益をあわせて源泉徴収されます。(自動で引かれますから考えなくても良いですが)

例えば100ドルの米国株を1ドル110円のときに買ったとしましょう。(便宜上、手数料等はなしすると)

その後、150ドルまで株価が伸びて、為替も1ドル150円になっていたら、11,000円(100ドル×110円)が22,500円(150ドル×150円)の差額11,500円に対して税金がかかるってことですね。

なお、源泉徴収されるのは20.315%(国税15.315%、地方税5%)です。

為替差損も同じ

当然、逆となるケースもあります。

円安のときに米国株を買って、円高のときに売ると株価はプラスだったとしても為替の影響でそれほど儲からないということもあります。

この辺りも差し引きしてどうなっているかで判断されます。

例えば先ほどと同じく100ドルの米国株を1ドル110円のときに買ったとしましょう。

その後、150ドルまで株価が伸びけど、為替は1ドル100円になっていたら、11,000円(100ドル×110円)が15,000円(150ドル×100円)の差額4,000円に対してだけ税金がかかるってことになります。

外貨建MMFも

また、米国株をやっている人などが外貨の一時的な退避先として使う人が多い、外貨建MMFなどは譲渡(売却)時に同様に源泉徴収されます。(2016年から改正されました)

例えば米国株から配当が入った後に、一時的に外貨建MMFに退避。

その後、外貨建MMFから出して米国株を買ったようなケースでも為替で利益が出ていればその分が課税対象となります。

特定口座(源泉あり)なら自動的に源泉徴収されますね。

なお、外貨建MMFから外貨への交換であってもその時点での為替で判定されます。

私も先日平均1ドル105円くらいで入ってた外貨建MMFを米国株を買うためにドルに交換しましたが、為替差益だけでかなり税金取られましたね笑

それだけ為替で利益が出ていたというわけですが・・・

外貨建MMFってなんだっけ?って方はこちらの記事を御覧ください。

為替差益分の確定申告が必要なケースも

また、特定口座(源泉徴収あり)以外の一般口座、特定口座(源泉徴収なし)、外貨建て預金などなら為替差益が出た場合、確定申告が必要となります。

なお、為替差益を含めた給与所得および退職所得以外の所得が年間20万円以下であれば確定申告は不要です。

ただし、住宅ローン控除や医療費控除などなにか確定申告をする理由があってする場合には、年間20万円以下であっても為替差益も合わせて申告しなければなりませんのでお気をつけください。

日本の投資信託の為替差益

日本の投資信託の場合は直接為替差益が出ることはありません。

ただし、海外の株や債券などを買ってる投資信託であれば当然に為替の影響は受けますけどね。

直接、為替差益が出てくることが無いというだけです。

基準価格には当然反映されてきます。

為替の影響を受けたくない方は為替ヘッジありの投資信託なんてのもあります。

このあたりの話はこの記事で解説しておりますので合わせて御覧ください。




特定口座(源泉あり)の米国株投資でも確定申告が必要なケースも

ちょっと注意が必要なのが特定口座(源泉あり)でも確定申告が必要になってしまうケースがあることです。

例えば米国株を売却してドルのまま保有。

円安になってから日本円に両替したようなケース。

また、米国株を売買してドルを保有。

しばらくそのまま保有しておいて、円安になってから米国株を購入するケース。

このような場合には為替差益がでますが、自動的に為替差益とは判定されず源泉徴収されません。

確定申告が必要となります。

ちょっと面倒ですよね・・・・

これを回避する方法もあります。

円貨決済にする

まず一つ目が米国株の取引を「円貨決済」にするという方法です。

これにすれば米国株を売買する都度、為替差益も発生しますので全て特定口座(源泉あり)で自動処理できます。

ですから為替の確定申告は不要です。

為替交換する

もう一つの方法が同日内に処理をしてしまうというやり方です。

売買したらすぐに日本円に戻したり、他の米国株をかったり、外貨建MMFを買ったりするのです。

こうすればその日のうちの処理ですから為替差益はなかったものとして処理されます。

私は滅多に売却しませんが、そのようなケースでは外貨建MMFを利用していますね。

前述のように外貨建MMFを換金するときに自動的に為替差益が源泉徴収されますから確定申告は不要です。




まとめ

今回は「外貨建資産を持つなら為替差益に気をつけよう。所得税、住民税の対象となるぞ」と題して為替差益についてみてきました。

まとめると

  • 為替差益に対しても税金が掛かる
  • 特定口座(源泉あり)は自動で計算
  • それ以外は確定申告が必要な場合も
  • 特定口座(源泉あり)でも米国株売買で確定申告が必要になるケースも

意外な盲点となっていることも多い為替差益のルール。

ぜひ理解しておきましょうね。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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