人気のアメリカのETF「VT(バンガード・トータルワールドストックETF)」に気軽に日本の投資信託で投資ができることで人気であった「楽天・全世界株式インデックスファンド」
しかし、その前提が変わってしまうことになりました。
今までは基本的にVTを買うだけの投資信託でしたが、VTに加えてVTI(バンガード・トータルストックマーケットETF)、VXUS(バンガードトータルインターナショナルETF)の2つを加えて運用していくことになるのです。
今回は「楽天・全世界株式インデックスファンド」の組入ETF変更について解説していきます。
なお、こちらの記事の動画版はこちらです。合わせて御覧ください。
楽天・全世界株式インデックスファンドとは
まずそもそもの前提となる「楽天・全世界株式インデックスファンド」から解説しておきましょう。
楽天・全世界株式インデックスファンドは名前のとおり、全世界株を投資対象とした投資信託です。
具体的にはFTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)をベンチマークとしており、投資方法としてアメリカのETF「VT(バンガード・トータルストックETF)」に投資をすることでそれを実現しておりました。
実質、VTに投資をしているだけですから、楽天VTとも言われていましたね。
VTを直接買うより利便性が高かった
日本の投資信託で買えるとVTを直接買う場合と比べて利便性が高いんですよ。
VTを直接買うと1単位ごとの購入が必要です。対して、投資信託なら多くのネット証券では100円から1円単位で買えます。
この差がまず大きいですね。
ちなみに2022年4月14日時点のVTの価格は98.6ドル。
98.6ドルごとの購入が必要となります。
また、日本の投資信託ですから当然ドル交換も不要なんですよ。
VTはアメリカの株式市場に上場していますから買う場合はドルで買う必要があります。
しかし、それも不要というわけです。
また、投資信託ならつみたてNISAやiDeCoなどの非課税枠で買えるのも大きいですね。
つまり、VTを直接買う場合と比べて「楽天・全世界株式インデックスファンド」を買えば、利便性がかなり高くなるんですよ。
その分手数料が多少高いのですが、利便性の高い部分がそれを上回っていると考えている方も多く「楽天・全世界株式インデックスファンド」は人気が高い投資信託でした。
VTのみからVT、VTI、VXUSの3本へ投資をする形へ
今まで「楽天・全世界株式インデックスファンド」はVTだけへの投資でした。
しかし、VTだけへ投資をする楽天VTとして売り出しているわけではありません。
あくまで全世界株に連動する「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)」をベンチマークとした投資信託なんですよ。
ですから今回の変更でベンチマークや信託報酬が変わるわけではないのです。
内部の投資先を変えるというだけです。
具体的な変更内容
具体的には以下のように全米株式を対象としたVTI(バンガード・トータルストックマーケットETF)、米国を除いた全世界株を対象としたVXUS(バンガードトータルインターナショナルETF)とVTを組み合わせて「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)」への連動を実現するようになるのです。
出典:楽天投信投資顧問 楽天・全世界株式インデックス・ファンド」 投資対象銘柄(組入れETF)の追加について
上記のとおり、管理報酬がVTが0.07%と比べてVTI0.03%とかなり低いことが今回変更に至った大きな原因かもしれません。
VTの米国株比率は60%くらいありますからVTIを加えることで全体の管理報酬はかなり減らせるはずです。
ちなみにVTIは厚切りジェイソン氏が推奨するなどこちらも人気のファンドなんですよ。
将来的な運用管理費用の引き下げ期待
今回の投資先の変更。
ユーザー側からするとすぐにメリットがある話ではありません。
しかし、将来的にはメリットがありえるでしょう。
楽天投信投資顧問からの今回の変更についてのIRでも以下のように言及しています。
これまで以上に効率的な運用が実現できるだけでなく、これら追加銘柄の当ファンドの純資産に占める比率が今後相当程度に拡大してゆくことで、中長期的に「実質的に負担いただく運用管理費用」の引き下げも期待できますことをご報告申し上げます
出典:楽天投信投資顧問 楽天・全世界株式インデックス・ファンド」 投資対象銘柄(組入れETF)の追加について
前述のとおり、VTよりもVTIの方が管理報酬が低いことから、それがユーザーにも将来には反映されるってことですね。
これは大きなメリットとなりそうです。
ちなみに「楽天・全世界株式インデックスファンド」の手数料は以下のとおりです。
- 運用管理費用:年0.132%以内
- ETFの報酬:年0.07%程度
- 実質的な運用管理費用:年0.202%以内
現在のETF報酬が年0.07%程度ですが、VTIの比率が増えれば理屈的には下げることができるはずですからね。
デメリット:複数のETFを対象にすると乖離が心配
ただし、複数のETFに投資をする形に変更することでのデメリットも考えられます。
それは複数のETFを組み合わせることによる乖離が起こりやすくなるという点です。
また、実質コストが高くなる可能性があります。
SBI・全世界株式インデックス・ファンド 愛称:雪だるま(全世界株式)の事例
すでに同様に複数のETFを組み合わせてFTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)への連動を目指す投資信託として「SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式)があります。
SBI・全世界株式インデックス・ファンドはVTIとSPDW(SPDR ポートフォリオ・ワールド(除く米国)ETF)とSPEW(SPDR ポートフォリオ・エマージングマーケッツETF)を組み合わせてそれを実現しています。
しかし、運用初年度などは実質コストがかなり高くなってしまっていましたし、ベンチマークとの乖離も大きいんですよ。
出典:SBI・全世界株式インデックス・ファンド 月次レポート 2022年3月31日
2022年3月末のレポートによると設定来で-5.32%のベンチマークとの乖離が起こっています。
結構、大きいですよね・・・
おそらく複数のETFでベンチマークに連動させる運用が意外と難しいのでしょう。
実際、楽天・全世界株式インデックスファンドと比較しても成績が奮わないんですよ。(具体的な成績は後述)
ですから複数のETFでの運用に切り替える楽天・全世界株式インデックスファンドにはその辺りの懸念がありますね。
まとめ
今回は「楽天・全世界株式インデックスファンドが組入ETFを変更してVTを買うだけのファンドでなくなる件」と題して楽天・全世界株式インデックスファンドの組入ETFが変わった話をみてきました。
実際変更した運用が始まってみないとどうなるのかはわかりませんが、SBI・全世界株式インデックス・ファンドの事例なんかをみてると乖離がちょっと心配ですね。
SBI・V・全世界株式インデックス・ファンドやオールカントリーへの切り替えも選択肢
もし、VTだけへ投資を投資信託で継続したいという方は「SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド」に切り替えるのもありかもしれません。
こちらもVTにだけ投資をする投資信託ですし、実質的な負担が低い(年0.1338%程度)ですからね。
また、多少ベンチマークが異なりますが、同じ世界株へ投資をする「eMaXIS Slim 全世界株(オールカントリー)」もありです。
こちらは信託報酬率(0.1144%以内)と低くなっています。
成績も今回ご紹介した全世界株対象の投資信託で最も高くなっていますね。
ちなみに今回ご紹介した全世界株を対象とした投資信託の過去成績:トータルリターン(2022/3/31)は以下のとおりです。
※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。
トータルリターン(2022/3/31) | 6ヶ月 | 1年 | 3年(年率) |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド | 10.54% | 18.85% | 17.85% |
SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式)) | 10.17% | 18.50% | 17.57% |
SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:SBI・V・全世界株式) | – | – | – |
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 11.19% | 20.46% | 18.34% |
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