企業型確定拠出年金は危険?信託報酬の高い投資信託、成績の悪い投資信託が放置されている件

金融庁が定期的に発表している「資産運用業高度化プログレスレポート」

米国のアクティブファンドは投資する意義な統計上ないこと、EB債に投資をする意義はないという衝撃的な内容が含まれていることを先日ご紹介しました。

他にもいろいろな商品について言及されています。
今回は企業型確定拠出年金の問題について見ていきます。
こちらもかなり厳しいことが書いてありましたね笑

インデックスファンドの信託報酬一物多価問題はDCが酷い

まずは企業型確定拠出年金は危険?信託報酬の高い投資信託が放置されている件について見ていきましょう。

資産運用業高度化プログレスレポートの2021年版で指摘されていた、同一の販売会社、資産運用会社、同一のベンチマークの投資信託でも信託報酬水準に差異が生じてしまっているという件。

簡単に言えばより信託報酬の低い新しい投資信託出して昔から運用しているのはそのままの信託報酬というのが多いという。

つまり、釣った魚には餌あげない状態が生じているのです。

新しい投資信託に乗り換えないと比較すると損をしてしまうという・・・

指摘されたことにより一部のインデックスファンドでは信託報酬率の引下げの動きも見られています。

企業型確定拠出年金は信託報酬の高い投資信託が放置されている

しかし、企業型確定拠出年金(DC )専用のインデックスファンドについて見ると、依然として一物多価が続き、目立った改善の動きがない状況となっているいうのです。

企業型確定拠出年金は商品の選択肢はかなり限られているのでこれは厳しい話なんですよね。

具体的には以下の通り。

こちらは同じ投資会社のインデックスファンドの信託報酬を一覧したものです。

企業型確定拠出年金の信託報酬水準比較

出典:金融庁 資産運用業高度化プログレスレポート 2022年

同じインデックスの投資対象なのに信託報酬がこれだけ商品によって異なっているんですよ。

TOPIX対象なのにアクテイブ投資信託並みの0.7%の信託報酬の商品まであるようですね。

運営管理機関を務める、銀行、信託銀行、生損保、証券会社からすれば高い信託報酬のほうが儲かりますのでわざわざ新しい商品に入れ替えるという提案はしないのが普通です。

企業型確定拠出年金を実施する会社側の担当者がこのあたりの知識がないとどうしてもこうなってしまうのかもしれませんね。

資産運用業高度化プログレスレポートでは以下のような提案をしています。

インデックスファンドの信託報酬率は容易に比較ができるため、DC を実施する企業自らが、能動的に商品選別を行い、加入者に不利益が生じないよう努める必要がある。適切な運用商品のラインナップ選択及び見直しに留意し、DC 加入者に投資教育を行うことも重要である。

出典:金融庁 資産運用業高度化プログレスレポート 2022年

ほんとこのとおりですね。

企業型確定拠出年金実施するなら担当部署はインデックスファンドや投資の知識がないと厳しいでしょうね。




DC専用アクティブファンドのラインナップは危険

さらにDC専用のアクティブファンドも危険というデータを示しています。

こちらの記事でも解説しておりますが、アクティブファンドのうち、アルファが統計的に有意にプラスになったのは 444本中35 本しかなかったとのこと。

逆に統計的に有意にマイナスとなったファンド 32 本あります。

そのうち、約 4 割(32 本中 12 本)が、中長期の運用を前提にしていると考えられる DC(確定拠出年金)向けのファンドであったとのことです。

統計的にみて投資をすると損をする商品が企業型確定拠出年金にラインナップされてしまっているんですよ。

DC 専用ファンドのうち 32%がアルファの最も低いグループ

さらにアルファが芳しくないグループほど、DC 専用のファンドが多く見られるというのです。

DC 専用ファンドのうち 32%がアルファの最も低いグループに属し、31%は2番目に低いグループに属する一方、 アルファの上位2グループに属するファンドは僅か 14.5%しかないという・・・

DC専用アクティブファンドは危険

出典:金融庁 資産運用業高度化プログレスレポート 2022年

つまり、統計的にみて投資をしないほうが良いような商品ばかりがDC専用としてラインナップされている傾向があるんですよ。

前述したようにインデックスファンドは信託報酬が高いものが採用されがちですし、アクティブファンドもあまり良いものが採用されていない傾向があるという・・・・

資産運用業高度化プログレスレポートでは以下のような提案をしています。

年金を運営する企業側が商品選定能力を向上させることによって、DC 向け商品市場を改善し、加入者に良好な運用成果をもたらすことが期待される

出典:金融庁 資産運用業高度化プログレスレポート 2022年

結局は企業型の担当者のレベルを上げてもらうしかないっていう話になりそうです・・・

企業型確定拠出年金の利用者側からできること

これらの問題は企業型確定拠出年金を実施する会社側もしくは運営管理機関側で対処してもらわないと基本的にはどうしようもありません。

運営管理機関は対処すると自社の儲けが減ってしまうという微妙な立場ですから、会社側に期待するしかないでしょうね。

利用者側からできることとすれば、少ない選択肢の中からマシな商品を選ぶことと、会社側に提案などをすることくらいですね。




まとめ

今回は「企業型確定拠出年金は危険?信託報酬の高い投資信託、成績の悪い投資信託が放置されている件」と題して企業型確定拠出年金の問題についてみてきました。

今回の話はそういう傾向があるということですから、すべての企業型確定拠出年金が悪いわけではありません。

しかし、該当してしまっている企業型確定拠出年金を使っている方はこの話をあらかじめ知っておく必要があるでしょうね。

企業型確定拠出年金は商品の選択肢が決まっていますから、利用者側からすればその中から選択せざる得ません。

それをいいことに信託報酬が高い商品や成績の悪い商品をラインナップしているというのは・・・

企業型確定拠出年金を実施する会社側の担当者に勉強を求められる話です。

利用者側からできるのはその中からマシな商品を選ぶことと、会社側に提案することくらいしかできないと思いますしね。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

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