またしても衝撃的な違反事件が発生しました。
2022年6月23日に新規上場した「坪田ラボ」の株主(学校法人慶応義塾)がロックアップ中であったにも関わらず売却していたことが判明したのです。
投資家はロックアップの状況もみて投資をしているわけでこれは話にならない違反です。
ちなみに私も「坪田ラボ」に100株だけ当選していましたので、多少ではありますが影響を受けております。
少し前にも東証マザーズに上場したモダリス(4883)で同様なことがありましたので、またか・・・って感じな話です。
この問題は根が深いんですよ。
こんなのが続けばIPO離れが進んでしまうことは必須。
今回はIPOのロックアップ違反についてみていきましょう。
坪田ラボでの学校法人慶応義塾のIPOのロックアップ違反概要
まずは今回の坪田ラボ(学校法人慶応義塾)のやらかしについてみておきたいと思います。
IRから少々引用させていただくと
上場申請直前事業年度以降に行った第三者割当等により株式の割当てを受けた者は、株式上 場日(2022年6月23日)以後6ヶ月を経過する日までの間は、当社株式を第三者に譲渡しない 旨、また当社株式を第三者に譲渡する場合は事前に当社に書面にて通知をする必要がある旨等 の確約(いわゆる、制度ロックアップ)がされておりました。
しかしながら、当社株主であった学校法人慶應義塾(以下、慶應義塾といいます。)との打ち合わせの際に、慶應義塾が譲渡制限期間内に下記の通り所有株式の全部を市場で売却していたことが判明致しました。
簡単に言えば上場前に株を保有してい学校法人慶応義塾には6ヶ月は売らない、もしくは第三者に譲渡する場合は事前に坪田ラボへ通知をするという確約(ロックアップ)をしていたのに売却をしていたことが判明したというのです。
具体的には以下のとおり株が売却されています。
出典:坪田ラボ 「第三者割当により割り当てられた株式の譲渡に関する報告書」の提出に関するお知らせ
学校法人慶応義塾が保有してたすべての株を売却していたようです。
ただし、保有していたのは16,000株だけですから、モダリスのときとは違いそこまで大株主というわけではありませんけどね・・・
それでも上場日に売っているわけですから株価への影響は多少なりともあったと思われますが。
ロックアップとは
ロックアップという言葉に馴染みのない方もみえるでしょうから簡単に解説しておきます。
ロックアップとは上場前から株を保有していた株主と株を売らないと決める制度のことです。
それにより上場後に買う投資家に大きな売りが飛んでこない安心感を与えることになります。
多くの場合、上場後6ヶ月とか株価1.5倍とか条件が付けられていますね。
その条件を満たすまでは売却できないというものなのです。
今回は学校法人慶応義塾に6ヶ月のロックアップがついていたようなのですが・・・
学校法人慶応義塾の釈明
それではなぜロックアップ違反が起きたのでしょう?
学校法人慶応義塾は坪田ラボのIRの中で以下の釈明をしています。
慶應義塾に対しては、2020年12月に16,000株の 第三者割当増資を行っており、制度ロックアップ対象になります。
ところが、2022年7月15日に慶應義塾から対象株式を全部売却したとの説明を受けました。 そして、当該事項判明後、当社は慶應義塾及び日興証券と事実関係の確認等を行いました。 この確認の結果、以下の事項が判明しました。
✓ 当社は「継続保有確約書の締結先に対して、制度ロックアップを再周知する様に」という 主旨の通知を日本取引所自主規制法人の上場審査部から4月15日に受領したものの、この 対応を失念していたこと。
✓ 上記もあって、慶應義塾が確約書におけるロックアップ条項の存在を認識ないままになっていたこと。
✓ 日興証券は慶應義塾が所有する当社株式の口座受入れに当たり、当該株式が制度ロックアップの対象であることの確認が不十分であったことから、当該株式に売却規制登録の社内手続きを採ることの確認が漏れていたこと。
✓ このため慶應義塾は売却前に日興証券に対してロックアップの対象であるかについて問い合わせを行ったものの、日興証券は当該規制の対象ではない旨の回答を行っていたこと。
✓ なお慶應義塾は決して制度ロックアップ対象であることを把握したうえでの故意の売却でなく、あくまで制度ロックアップについて認識もれであったこと。
かかる状況の詳細な確認ができましたので、本日付けで、有価証券上場規程及び有価証券上 場規程施行規則に基づき、東証に対して「第三者割当により割り当てられた株式の譲渡に関す る報告書」を提出することとなりました。出典:坪田ラボ 「第三者割当により割り当てられた株式の譲渡に関する報告書」の提出に関するお知らせ
つまり、慶應義塾はロックアップの対象であるかの問い合わせを日興証券にしたんだけど対象ではないと言われて売却しちゃったってことですね。
故意ではなくロックアップ中なのを知らなかったってことです。
この話が事実なら慶應義塾を責めるのは少々可哀想ではあります。
問い合わせまでしてるわけですからね。
ただし、慶應義塾側も書面で確約書を出している以上知らなかったでは済まない部分もあるでしょうけど。
一番の問題はロックアップの対象じゃないよって回答しちゃった日興証券側にあるのは間違いないですしね。
ロックアップは単なる紳士協定?
もしロックアップが紳士協定レベルの話なら既存株主はいくらでも儲けることができます。
例えば株価がいい感じであがったときに売り浴びせて暴落したところで買い戻し。とかですね。
いくらでも儲ける方法が思いつきますね・・・
多くの投資家はロックアップの状況をみてIPOの売買をしていると思いますが、その前提が一気に覆されるという事になりかねません。
これでIPO相場が大きく冷え込むことになったとしても不思議ではないでしょう。
マネックスショックが新興市場を冷え込ませたようなことにならないと良いのですが・・・
ロックアップ中の売却には規制を
モダリスの件でも少し前にあったソレイジア・ファーマの件でもそうですが、東証などへの罰金などの罰則があったという話は聞こえてきません。
おそらくロックアップは単なる口約束や紳士協定レベルの話になっているのでしょう。
今回の話をきっかけに厳しい罰則などを用意してほしいものです。
こんなことがまかり通ってしまえば投資家が安心してIPOに投資できなくなります。
ちなみにモダリスのときのやらかした個人株主は発覚後に、自主的にモダリスに対して賠償金4億8588万円を支払ったということがありました。
株主じゃなくてモダリスってのがとても気になりましたが・・・
そもそもロックアップ中に売れる?
また、ロックアップ中の株主が売れる仕組みになっているのがおかしなわけです。
単に株主たちがロックアップを守って売らないだけというのは。。。
システム的に売れないようにしてほしいところです。
慶應義塾、日興証券は賠償するのか?
前述したようにモダリスのときにやらかした個人株主は会社に賠償金を払っています。
今回の慶應義塾や「ロックアップの対象じゃないよ」って回答していた日興証券は賠償を払うのでしょうか?
今の所、その手の話はでていませんね。
もし払うとしても直接被害を受けたのはその時の株主であるはずですから、会社じゃなくてそちらに保障してほしいところですけどね。
私は100株だけですので金額にしては微々たるものだとは思いますが多少被害を受けているはずです。。。
まとめ
今回は「またもやIPOのロックアップ違反が発生。坪田ラボで学校法人慶応義塾がやらかす。罰則は必要!!」と題してロックアップ違反の件についてみてきました。
モダリスや今回の件など定期的に起こるロックアップ違反。
仕組み的に考えればバレてないだけで他にもありそうな予感・・・・
システム面や罰則面でこのあたりを規制してもらわないとIPOの売買にかなり支障が生じる事態になりかねないと思います。
投資家が安心してIPOに投資できるようにそのあたりの仕組みを構築していただけることを祈ります。
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