アメリカを中心に利上げをする国が多く、債券の利回りもかなり高くなっています。
そりゃあ「株じゃなくて債券買うわ」という感じになるのが分かるかなり魅力的な水準ですね。
一方、日本は未だにマイナス金利を続けており、国債などの債券の利回りはかなり低いですね(少しだけ上がってきましたが)
じゃあ海外の債券買えば良いじゃんとなるのですが、日本人が海外の債券を買うには為替(円安)というもう一つの要素が。。。
今回はそんな外貨建債券を円安状況下で買うことについて考えてみたいと思います。
日米債券の利回り比較
まずは今回の話の前提となる日米の債券利回りを比較してみましょう。
日本の国債金利
まずは日本の国債で手軽に買える個人向け国債の金利を見てみましょう。
令和4年11月9日現在の表面利回り(税引き前)は以下の通り。
- 変動10年:0.17%
- 固定5年:0.05%
- 固定3年:0.05%
かなり低いですね。
例えばみんなの銀行の貯蓄預金の金利はプレミアム会員以外でも0.1%、プレミアム会員なら0.3%です。
貯蓄預金は自動支払いなどはできませんが、お金の出入りは自由な預金口座です。
国債と違って資金拘束がないのにそれより金利が高くなっており、比較して個人向け国債に魅力はほとんどないというのが実情です。
個人向け国債があまり売れていないと聞いていますが、そりゃあそうでしょうって感じですね。
米国の国債金利
次に米国国債の金利を見てみましょう。
令和4年11月9日現在の表面利回り(税引き前)は以下の通り。
- 米国債3ヶ月:4.19%
- 米国債6ヶ月:4.56%
- 米国債12ヶ月:4.68%
- 米国債2年:4.58%
- 米国債5年:4.23%
- 米国債10年:4.1%
- 米国債30年:4.27%
すべての期間の国債とも4%超えと日本の国債と比較してかなり高い利回りとなっています。
同じ国債とは思えないくらい利回りが違います。
さらに企業が発行する社債だともっと利回りが高くなっていますね。
たとえば本日現在にSBI証券で買える既発債券では以下のような利回りの商品があります。
- ゴールドマン・サックス・グループ、2024/11/1まで:5.302%
- オリックス、2032/9/13まで:5.822%
- 三井住友フィナンシャルグループ、2030/9/23まで:6.173%
- シティグループ、2044/5/6まで:6.198%
こちらも日本とは比較になりませんよね。
オリックスや三井住友フィナンシャルグループのような日本企業でも海外での社債だとこれくらいの利回りとなっているのです。
このくらいの金利になってくるとわざわざリスクととって株を買わなくても債券で良いかってレベルかも知れません。
円安を勘案して考えるとどうなのかをシュミレーションしてみた
前述のようにかなり日米の債券で利回りに差があります。
しかし、日本の方がアメリカの債券を買う場合には為替の影響を大きく受けます。
現状は過去でもかなり上の円安水準ですからなかなか手が出にくいのが現状。
そこで利回りの差と円安から円高への戻す動きを勘案してシュミレーションしてみました。
結論から言えば
長い期間なら円安下でもありかも
です。
単利で考えた場合:30年
まずは単利で30年投資をした場合で見てみましょう。
基本的に債券は単利的な商品ですからね。
条件としては以下で計算してみましょう。
- 米国債30年:4.27%
- 為替:1ドル146円
- 投資額:100万円(6,849ドル)
この場合、為替がそのままならば元利合わせて228万円(15,623ドル)となります。
128万円のプラスです。※別途20.315%の税金が掛かります
もし、1ドル100円まで円高になっていたらどうでしょう。
この場合でも156万円ですから、56万円プラスですね。※別途20.315%の税金が掛かります
1ドル80円まで円高になっていたらどうでしょう。
この場合でも124万円ですから、24万円プラスですね。※別途20.315%の税金が掛かります
つまり、かなり円高に振れるのを予想しても日本で債券を買ったり預金するよりは魅力的な水準ですね。
複利で考えた場合:30年
ちょっと無理やりですが、複利で考えるとどうでしょう。(金利分を再度同条件で投資すると仮定)
条件としては以下で同じです。
- 米国債30年:4.27%
- 為替:1ドル146円
- 投資額:100万円(6,849ドル)
この場合、為替がそのままならば元利合わせて350万円(24,011ドル)です。
つまり、250万円ほどの利益が出たことになります。※別途20.315%の税金が掛かります
1ドル100円まで円高になっていたらどうでしょう。
この場合でも240万円ですから、140万円プラスですね。※別途20.315%の税金が掛かります
1ドル80円まで円高になっていたらどうでしょう。
この場合でも192万円ですから、92万円プラスですね。※別途20.315%の税金が掛かります
再投資時期の利率がなんとも言えませんので絵に書いた餅に過ぎませんが、複利なら今の円安水準で考えてもかなり魅力的な投資先である事がわかります。
単利で考えた場合:5年
次にもう少し短い5年の場合ではどうでしょう?
条件としては以下で計算してみましょう。
- 米国債5年:4.23%
- 為替:1ドル146円
- 投資額:100万円(6,849ドル)
この場合、為替がそのままならば元利合わせて121万円(8,298ドル)となります。
つまり、21万ほどの利益が出たことになります。※別途20.315%の税金が掛かります
ちなみに同条件で個人型国債(固定5年:0.05%)を買った場合には2,500円のプラスだけなんですよ・・・・
それでは1ドル100円まで円高になっていたらどうでしょう。
この場合は82万円ほどなってしまいます。
つまり、18万円ほどのマイナスとなりました。
1ドル80円まで円高になっていたらどうでしょう。
この場合は66万円です。
34万円のマイナスですね。
5年という短い期間だと大きく円高に振れると厳しいということがわかりますね。
複利で考えた場合:5年
複利で考えるとどうでしょう?
条件としては以下で計算してみましょう。
- 米国債5年:4.23%
- 為替:1ドル146円
- 投資額:100万円(6,849ドル)
この場合、為替がそのままならば元利合わせて123万円(8,425ドル)となります。
5年だと複利がそこまで活きてきませんので単利の場合とそれほど変わりません。
それでは1ドル100円まで円高で84万円で16万円のマイナス、1ドル80円までなら67万で33万円のマイナスとなります。
短い期間の投資を考えるなら為替の影響は無視できないですね。
まとめ
今回は「利回りが高い外貨建債券。円安の状況下でも買うべき?シュミレーションしてみた」と題して円安下の外貨建債券の投資について考えてみました。
長い投資を考えているなら円安なのを考えてもアメリカの債券は魅力的であることがわかりました。
逆に5年くらいの短い投資期間だと為替の影響によりマイナスになる可能性もあります。
つまり、海外債券(アメリカ)への投資は長期ならあり。
短期投資なら慎重にって感じですね。
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